高橋和久のレビュー一覧
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グレアム・グリーンによる短編集。
私の父は、「そんな渋い本を!」と驚いていたが、その父自身も数十年前にグリーン作品を読み漁っていたらしい。
21話の短編で、数ページで終わるものもあれば
数十ページにわたるものもあり、読み応えは抜群。
シニカルなもの・ホラーのようなもの・難解なものなど様々で、読みにくい話の次の章は、なんとなく進むのが億劫になりそうだったが、そんなこともなく読み終えた。
読んだ感想としては
・人間観察眼の鋭さ
・人の心の毒や闇を言語化するのが上手い
・人間の「自己矛盾」を的確に鋭くついてくる
そんな印象。基本的には「皮肉屋」だなーとww
そこを含めて好印象。
「ヒューマンファクター」も積んでるので、そちらも楽しみだ。
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ネタバレもう凄すぎて言葉が出ない。人々をシャ⚪︎付けにしてるみたいだ。人々から自由を奪うために党が全力を尽くしている。言葉を奪い、貧困にさせる。戦争をして、経済を低迷させ発展させない。なぜなら人々の生活水準を下げることが権利を維持させるから。いや、戦争すらしてないのかもしれない。勝手に爆弾を落としているだけかもしれない。党がこういえばこうなのだ。自分の精神は存在しない。党が全てだ。考える自由すらない。考えたとしても党の言うことにしなければならない。過去は存在しない。
希望が持てなさすぎる。でもそんな社会がきてもおかしく無い。いや、来ているのかもしれない。そんな社会に対抗するためには、考え続けなければならない。考え続けなければいずれこうなるだろう。20代前半で出会えたことに感謝だ。私たちが高校よころ勉強していて、なんの役に立つんだと思っていた。しかし、役に立たない情報を削除していった先にこの社会があるのかもしれない。効率とか、役に立つとかそれだけで削除するのは、恐ろしいことだ。言葉を無くすとは、考える範囲が狭くなる。狭くなった先に自由とは全く反対の事になっている。AI時代に突入し、なんでも答えてくれる世の中になりつつある。そんな世の中だからこそ警鐘を鳴らさなければならない。考え続けることができる幸福に感謝し、享受し伝えていかなければならない。 -
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ネタバレずいぶん前に買ったんですが内容が怖すぎて途中で積んでいた 今読むと余計怖かった
ディストピア物を読んでいるとこういう世界に生きてなくてよかったなと思うことがあるんですけど、一九八四年や侍女の物語ってそう思えないのが恐ろしい 現実が寄って行っている
昔はテレスクリーンとか人がモニターで逐一監視してるのかな、さすがディストピアは狂気的にマメだな〜とか思ってたけど今ならAIで出来てしまうだろうし…
こういう話に架空の歴史研究文書みたいなのがついてると嬉しいので巻末のニュースピークの部分があって良かった 米国の読書クラブから削るように要請された経緯があったそうで、オーウェルの反対によって残ったそう
ピンチョンの解説でも書かれていたけど、あの文章があることで後世ではあの寡頭支配体制は倒れたのでは?という可能性が出てくるのが希望が持てて良かった ピンチョンの解説すごくいいので読む人は解説飛ばさないで〜〜!!と思う -
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読むべき小説に出会った。
『集団浅慮/古賀史健』で、「二重思考」の概念を知り、『1984年/ジョージ・オーウェル』に興味を持ったんだけど、「二重思考」はやっぱり面白かった。
この先の人生で、この小説は何度も私の思考に現れる気がする。
権力と嘘は親和性が高いよね。
権力って魅力的なんだろうな。
プロール(労働者階級)は「平等」を求めるって、この本が出版された当時と今と何も変わらないね。
「無知は力なり」
「戦争は平和なり」
「自由は隷属なり」
最後、「ニュースピーク」は過去のものとなり、ディストピアは終わったのだろうか。
それとも、別のディストピアが始まっているのだろうか。
二重の結末も最高に面白かった。
(以下、すぐにディストピアが何なのかわからなくなるのでAIに聞いた覚書。claudeより引用)
ディストピアって何?
「ディストピア」は、理想郷(ユートピア)の反対の概念で、抑圧的で望ましくない社会や世界を描いた言葉です。
特徴:
•全体主義的な支配や監視社会
•個人の自由や権利が厳しく制限される
•表面上は秩序だっているが、実は恐怖や統制で成り立っている
•格差、環境破壊、テクノロジーの暴走などが背景にあることも多い
代表的な作品:
•ジョージ・オーウェル『1984年』(監視社会・思想統制)
•オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』(快楽と管理による支配)
•レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(思想統制と焚書)
現実社会への警鐘や批判として書かれることが多く、SFやフィクションのジャンルとしてもよく使われます。 -
Posted by ブクログ
先に映画を観ていてよかったと思った。
というのも、映画では描かれなかったことが原作本には書いてあり、それによってまた解釈も変わってくるからだ。
ただ、本当のところどうだったのか?というところはこの本を読んだ私達に、自由に思考せよと言われているような感じがして、そこもまた良い。
本自体にもいろいろな仕掛けがされていて、改めて紙の本の良さを実感した。たくさん思考する時間が物語の長さを感じさせないくらい楽しく、あっという間だった。こういう読書体験は久々だったかもしれない。ベラの成長過程、そして成長した先に見つけた彼女の生き方を見ていると、もっと知ることに貪欲でいたいと思うし、自分自身の心を信じて、逞しく生きていきたいという気持ちになる。
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女性が女性として教育された脳をリセットして、思うがまま自由に生きてみたら…。
そのリセットというのが、胎児の脳を移植するというのだから、本当に何の先入観もないゼロからのスタートである。しかも、身体的には魅力的な容姿を持った成人女性として。
女性は選ばれ、管理されるものである。女性は結婚を望み、性に関しては受け身なものである。
そのような女性観をリセットした主人公 ベラの言動は、現代においても新鮮で、見るものを清々しい気持ちにさせてくれる。
特にベラとウェダバーンの駆け落ちあたりが最高に面白かった。2人の関係性がよくある駆け落ち中の男女の描写とは違って、性欲や感情に支配されずに、目的を持って計画的に行動しているベラの姿がかっこよく思えた。
そして文章のリズムも心地良く、頭の中をふわふわと短歌が漂っているような不思議な感覚が味わえる。クセになりそう。 -
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ネタバレあらすじを書くと、19世紀末の医学博士の若き日の回想録と、その妻による回想録に対する反論を、20世紀後半のある作家・画家が編集したことを書き記したフィクション、ということになる。それだけ。世に出回っている、身投げした女性に胎児の脳を云々というあらすじは、上記の回想録の部分を要約したものである。
この本の中の語り手は、編者、医学博士、医学博士の妻の3人であり、このすべてが信用ならない。
編者はこの本の著者と同じアラスター・グレイだがあくまでフィクションであるこの本の架空の登場人物と見るべきである。ああややこしい。
で、中でも最も信用ならないのが編者である。回想録が真実であることを裏付けるための事実を並べ立て、巻末には異常なほどの量の注釈で補強しようとしている。回想録の真偽については回想録の最初の発見者とは意見を異にしているらしい。一人前の作家であるという自負があり、見栄を張りたいという様子が透けて見える。
ということはつまり、回想録はアレであって、妻の反論の方がアレであって、世に出回っているあらすじはつまりアレであって、、、ということになる。この構造的ないたずらがとても面白い。訳者までもが、この編者のたくらみに加担したような解説文を寄せているところも笑える。
ちなみに、ある意味本編とも言える回想録の部分は、奇想天外なゴシックホラー的、SF的な冒険物語となっていて、ここだけ取り出してももちろん面白い。
映画化されているが、本全体なのか回想録の部分だけなのか気になるところ。 -
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ネタバレそれぞれの世界で描かれる哀れなるものたちの数奇な人生。
語り継がれる人々の人生は全て主観的なものでしかなく、それが真実か否かは物語において特別意味はなさない。あるのは文章の中で確かに生きているという事を改めて教えてくれるとても素晴らしい物語だった。
ストーリー上でアラスターグレイと共に登場する歴史家のノンフィクション作家と事実か否かで意見が分かれるところから始まるのもまた粋というか。。。
終盤マッキャンドルズが語る史実が終わりベラから見る自身の史実と合わせて、中略という形で客観的に語られるアラスターグレイの史実が繰り広げられるが、全ての人が幸福で格差のない理想郷を望んでいる彼女の存在そのものが未だ存在し得ない社会主義のユートピアと重なり、この物語の虚構性と来ることのない世界平和を語られているような哀しい気持ちにさせられた。
こちらが何かに渇望する哀れなるものへの仲間入りをして締め括られる物語、本当に素晴らしかった。
映画見た人は絶対見た方が良い! -
Posted by ブクログ
先に映画観て大正解だった、エマ・ストーンさんが演じたベラを思い出しながら読むともう楽しすぎて楽しすぎて。
長いと思った533ページ、読み終えるのが惜しいと思うほど。面白かった……。
アラスターグレイさん自ら描いた挿絵もあったり、註釈、写真、などもあり、なかなか凝ってる本になってると思いました。3枚目のカバーの絵もアラスターグレイさんが描いたものらしい。
2枚目のあらすじの通り、ある医者が自殺した妊婦(ベラ)に、そのお腹の中にいた赤ちゃんの脳を移植し、蘇生させた。
その女性は体が大人なのに脳が赤ちゃんという状態で第2の人生が始まり…とてもはやいスピードで成長していくベラ。
本当に楽しくて面白かった、それだけではなく、色々考えさせられたこともあり、自分も成長を止めることなく色々吸収したいと思いました。
この本も映画も面白かったのでオススメです。
こんなに楽しい!と思う読書は久しぶりかも。 -
Posted by ブクログ
映画がとても素晴らしかったので、小説も読んでみた。
基本的には映画と同じ物語、展開ではあるのだが、登場人物周りは映画のほうがよりベラが主体的だった印象。このあたりは昨今の再びのフェミニズムのブームからの影響か、現代的な改変がされているのかな、と。
そして世界観の構築も結構違っていた。
映画はヴィクトリア朝時代のような世界観にスチームパンクと、ファンタジーを混ぜたような世界が作られているる。
小説のほうもケレン味を効かせた部分はあるのだが、映画ほど荒唐無稽な世界ではない。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』なんかの世界観構成と近いかもしれない。SFやファンタジーに振り切ってるわけではないという感じ。
それもあって映画から小説に入ると結構世界観の違いに驚く部分もある。
一番驚いたのは『哀れなるものたち』が結末を迎えた後に、もう一つ物語があって、その部分。
これはベラ本人による手記なのだが、これは映画にも描かれていないので、結構驚くというか、煙に巻かれたような気持ちになった。
今まで見ていたものは何だったのか……。そんな気持ちになる。
でも、それも含めて面白かった。
ただ一つ残念だったのは、これを自分は文庫本で読んだのだが、圧倒的にハードカバー向きの本だったってこと。
それと、国書刊行会は『ラナーク 四巻からなる伝記』を再販してくれ!