高橋和久のレビュー一覧

  • 一九八四年[新訳版]

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    2+2=5

    全体主義と監視社会で構築されたこのディストピアは作者の慧眼か、いつの世も人は変わらぬと言うことか。

    二重思考、ニュースピークの設定も妙で、唸りながらの読書体験。

    後半は酒を片手に読んでいたので、主人公と共に思考は回転、まるで自分もその場で話を聞いているような感覚に。

    希望を手放すことで得られる自由、そんな逆説が冷たく胸に残る。

    最後の附録はその先の光か。

    さすがの名作。

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    2025年12月07日
  • 一九八四年[新訳版]

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    やっっと読み終わった。マジ何ヶ月かけたんだこれ読むのに。もーーほんっっとになんか色々忙しくてタイミングなかったんだよ。
    まぁ、読み始めたのは9月ですね。旅行の飛行機で読もうくらいの感覚で買いました。あとまぁ、友達が村上春樹好きで、1Q84おすすめしてくれたからさ。
    この感想書く前に、現状の私を説明していいですか。ありがとう。
    まぁわけあってNPO属してみたわけですよ。理由はいっぱいある。
    なんかワンチャン休めに海外滞在できそうってのと、他者とうまく協力する経験をもう一つやるかってのと、多分自分が嫌いなタイプだから一回属してみてから判断するかってのと。こんな感じで。
    でそのNPO、まぁ、ボランテ

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    2025年11月29日
  • 一九八四年[新訳版]

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    昔の小説なのに現代に通じるものがあって面白い、いつだって人は権力を持ったら支配したくなるのか、支配したいと思う人に権力が集まるのか。
    どんな時でも自分の中の正しさを信じて生きたいな、死ぬとしても。

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    2025年11月05日
  • 一九八四年[新訳版]

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     「一九八四+四〇 ウイグル潜行」を読んだのちに、改めてオーウェル「一九八四年」を読む。最初にトランプ大統領が就任した2017年以来だけど、これまで何度か読んでいる。しかし、細部はすっかり忘れていました。
     覚えているのは、「ビッグ・ブラザー」「テレスクリーン」「ニュースピーク」「二重思考」、そして「戦争は平和なり」「自由は隷従なり」「無知は力なり」。

     共産主義や全体主義を批判したディストピア小説として知られるけど、いまだに読み継がれるのは、もっと普遍的に権力そのものの本質をついているからでしょう。「権力は手段ではない、目的なのだ。・・・・迫害の目的は迫害、拷問の目的は拷問、権力の目的は権

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    2025年11月05日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    裏切られた人間を再度受け入れることはできるが、自分が裏切った人間を再度受け入れることはできない、確かに、そうかもしれないと思った。

    ーーーーー

    ネット番組で紹介されていたので、読んでみることに。
    ABEMA世界の果てにひろゆき置いてきた内で、東出昌大さんが旅に持ってこられていた本の中に同じジョージ・オーウェルの作品「動物農場」があり、これも併せて読んでみたいと思う。

    党のスローガン、これは人間社会の統治においての真理なのかもしれないと感じた。
    『戦争は平和なり』
    人間コミュニティーの平和のためには共通の敵が必要であり、また、反乱要因と成りうる人間の余暇や物質的余剰をなくすために戦争(的な

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    2025年10月19日
  • 一九八四年[新訳版]

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    こういう社会が、もしかしたらこれから実現してしまうかもしれない、または世界のどこかに既に存在しているかもしれないと思うと、心底恐ろしいです。
    「ニュースピーク」という概念がとても興味深かったです。

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    2025年09月15日
  • 一九八四年[新訳版]

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    これはすごい。
    こんな政治的な内容とは思ってもみなかったけど。

    1940年代に近未来を描いた作品だ。
    究極的な全体主義が世界を覆っている。
    個人の思想、思考は一切許されず、心までも制御、統制をする社会。
    反体制的な言動は顔の表情、寝言まで見逃されない。
    党の正統性を維持するための過去の記録の塗り替えも日常茶飯事。

    「テレスクリーン」や「二分間憎悪」、「二重思考」「ニュースピーク」など、聞き慣れない用語に
    最初は戸惑い、この世界に入っていくのに多少時間がかかるが、このジョージ・オーウェルが
    描いた世界はなんと精巧なことか。この世界の構想を練るのにどれだけの労力がかかったのか、
    と感心させられ

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    2025年09月13日
  • 一九八四年[新訳版]

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    サイエンスフィクションはいかに納得感があるかに尽きる。事実と、それをどのように解釈するかは異なるものであり、矛盾なく解釈できるロジックがあるとき、世の中のすべてのものは説明がつく(たとえ事実と異なっても)。このロジックを他者に納得させることはある種宗教のようでありながら、とても賢い人が打ち立てた世の中を見るためのものさしのようにも感じられ、それをもう少しで理解できそうだと勘違いしてしまう自分がいる。読むのに苦労したが面白かった。

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    2025年08月28日
  • 一九八四年[新訳版]

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    傑作。衝撃的で素晴らしい本です。物語の中のディストピアが単なるフィクションではなく、今私たちが生きている現実の延長線上にあるように感じられました。世界はすでにビッグ・ブラザーに支配されているのではないかという小説と現実の境目が揺らぐような感覚に囚われています。

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    2025年08月27日
  • 哀れなるものたち

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    傑作。
    女性が押し付けられる物語についての物語を男性作家が書くことの押しつけがましさ、おこがましさというものに対して真っ向から向き合った作品。向き合った結果がこの枠物語の構造だ。読者を混乱させて楽しませる機能のためだけの奇妙な構造ではなく、作者自身が加害者の一人になることで、この物語のテーマを強固にしている。

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    2025年04月28日
  • 哀れなるものたち

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    先に映画を観ていてよかったと思った。
    というのも、映画では描かれなかったことが原作本には書いてあり、それによってまた解釈も変わってくるからだ。
    ただ、本当のところどうだったのか?というところはこの本を読んだ私達に、自由に思考せよと言われているような感じがして、そこもまた良い。
    本自体にもいろいろな仕掛けがされていて、改めて紙の本の良さを実感した。たくさん思考する時間が物語の長さを感じさせないくらい楽しく、あっという間だった。こういう読書体験は久々だったかもしれない。ベラの成長過程、そして成長した先に見つけた彼女の生き方を見ていると、もっと知ることに貪欲でいたいと思うし、自分自身の心を信じて、逞

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    2025年03月26日
  • 哀れなるものたち

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    女性が女性として教育された脳をリセットして、思うがまま自由に生きてみたら…。
    そのリセットというのが、胎児の脳を移植するというのだから、本当に何の先入観もないゼロからのスタートである。しかも、身体的には魅力的な容姿を持った成人女性として。

    女性は選ばれ、管理されるものである。女性は結婚を望み、性に関しては受け身なものである。
    そのような女性観をリセットした主人公 ベラの言動は、現代においても新鮮で、見るものを清々しい気持ちにさせてくれる。

    特にベラとウェダバーンの駆け落ちあたりが最高に面白かった。2人の関係性がよくある駆け落ち中の男女の描写とは違って、性欲や感情に支配されずに、目的を持って

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    2024年08月24日
  • 哀れなるものたち

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    ネタバレ

    あらすじを書くと、19世紀末の医学博士の若き日の回想録と、その妻による回想録に対する反論を、20世紀後半のある作家・画家が編集したことを書き記したフィクション、ということになる。それだけ。世に出回っている、身投げした女性に胎児の脳を云々というあらすじは、上記の回想録の部分を要約したものである。
    この本の中の語り手は、編者、医学博士、医学博士の妻の3人であり、このすべてが信用ならない。
    編者はこの本の著者と同じアラスター・グレイだがあくまでフィクションであるこの本の架空の登場人物と見るべきである。ああややこしい。

    で、中でも最も信用ならないのが編者である。回想録が真実であることを裏付けるための

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    2024年06月18日
  • 哀れなるものたち

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    ネタバレ

    それぞれの世界で描かれる哀れなるものたちの数奇な人生。

    語り継がれる人々の人生は全て主観的なものでしかなく、それが真実か否かは物語において特別意味はなさない。あるのは文章の中で確かに生きているという事を改めて教えてくれるとても素晴らしい物語だった。

    ストーリー上でアラスターグレイと共に登場する歴史家のノンフィクション作家と事実か否かで意見が分かれるところから始まるのもまた粋というか。。。

    終盤マッキャンドルズが語る史実が終わりベラから見る自身の史実と合わせて、中略という形で客観的に語られるアラスターグレイの史実が繰り広げられるが、全ての人が幸福で格差のない理想郷を望んでいる彼女の存在その

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    2024年06月14日
  • 哀れなるものたち

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    先に映画観て大正解だった、エマ・ストーンさんが演じたベラを思い出しながら読むともう楽しすぎて楽しすぎて。
    長いと思った533ページ、読み終えるのが惜しいと思うほど。面白かった……。

    アラスターグレイさん自ら描いた挿絵もあったり、註釈、写真、などもあり、なかなか凝ってる本になってると思いました。3枚目のカバーの絵もアラスターグレイさんが描いたものらしい。

    2枚目のあらすじの通り、ある医者が自殺した妊婦(ベラ)に、そのお腹の中にいた赤ちゃんの脳を移植し、蘇生させた。
    その女性は体が大人なのに脳が赤ちゃんという状態で第2の人生が始まり…とてもはやいスピードで成長していくベラ。

    本当に楽しくて面

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    2024年03月22日
  • 哀れなるものたち

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    映画がとても素晴らしかったので、小説も読んでみた。

    基本的には映画と同じ物語、展開ではあるのだが、登場人物周りは映画のほうがよりベラが主体的だった印象。このあたりは昨今の再びのフェミニズムのブームからの影響か、現代的な改変がされているのかな、と。
    そして世界観の構築も結構違っていた。
    映画はヴィクトリア朝時代のような世界観にスチームパンクと、ファンタジーを混ぜたような世界が作られているる。
    小説のほうもケレン味を効かせた部分はあるのだが、映画ほど荒唐無稽な世界ではない。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』なんかの世界観構成と近いかもしれない。SFやファンタジーに振り切ってるわけではな

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    2024年02月09日
  • 一九八四年[新訳版]

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    めっちゃ面白いやん。
    自分の現状も疑ってしまう。
    自分は自由なのか、幸せとは何なのか。
    フィクションなのかどうかも疑わしくなるほどリアルで、真理があるように思える。
    素晴らしいよ。

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    2025年12月06日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    1949年に書かれた1984年を2025年に読んでみた

    テレスクリーンというものに始終監視されていて人を信じることなく生きていかなくてはいけない世界で主人公・ウィンストンはわりと行動的。二重思考に対するウィンストンとオブライエンの問答を読み解くのははなかなかに難しく…。

    第一、二部はわりとするすると読めましたが拷問メインの第三部がどうにもしんどかったです。

    現代に当てはめるとインターネットがあるからそのままの設定では再現は無理というわけでもなく破壊しつくして1984年の世界を創り出せば再現可能で、過去が私が知る過去ではなくなる恐怖に背筋がひんやりしました。

    とはいっても1949年に書か

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    2025年11月17日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    途中に出てきた人間が闘うことになるのは自分の肉体だという趣旨の文が、拷問シーンで伏線回収されてゾッとした。
    絶え間なく監視される生活、改変される過去、騙される民衆、二重思考…解説を読むと現実でも同じようなことが行われていることに気づくことができる。
    同著による『動物農場』では、ブタの支配下に置かれた動物たちの行動次第で何かが変わったかもしれない。本作でもプロールこそが唯一の望みだと書かれていた。未来を良い方向に変えるには、民衆が行動を起こす必要があるのではないか。

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    2025年11月02日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    全体主義社会を描いたディストピア小説。第一部、第二部ではわずかに希望が感じられたが、第三部で主人公が政府に捕まり、徹底した洗脳を受ける過程が執拗に描かれる。物語の結末では、これまでの出来事がすべて無意味になったかのように、まさに「二重思考」的な絶望だけが残る。

    作中には、現代社会にも通じる警句が多く見られる。
    歴史言語学者でニュースピークの研究、ニュースピーク辞典の編集作業に従事する友人サイムのセリフ。
    「おそらく君はわれわれの主たる職務が新語の発明だと思っているだろう。ところがどっこい、われわれはことばを破壊しているんだ。」「ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。最

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    2025年10月23日