壺井栄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舞台は小豆島。
小学校の新人教師、大石先生と表情豊かな生徒たちの20年間の物語。
生徒と先生の間に流れる温かな時間の横で、戦争の影がだんだんと広がって浸透していく時代の変化が恐ろしい。戦争によって失われていく人、心、物、あらゆる全ての惨事に胸が締め付けられた。愛国主義や治安維持法、それが当たり前とされる時代に違和感を抱く先生のやるせない気持ちに打ちのめされました。
スマホがなかった時代、手紙のやりとりや人と人との繋がりの温かさがひしひしと伝わってきた。
今はもうここにいない人を想う悲しみは測り知れない。生徒の成長や絆が繋がるラストシーンに涙がこぼれてしまいました。 -
Posted by ブクログ
昭和初期の日本各地に沢山あった心の物語と言って良いだろう。
女学校卒の新米女(おなご)先生と12人の小学生との仲睦まじい学校生活にホッコリしながらも、当時の庶民の生活や雲行きが怪しくなる世相が描かれている。
戦争が拡大するにつれて瀬戸内の小さな村にも、その影響が浸透してくる。
貧困、徴兵、赤狩り、食料不足が当時の日本の隅々までやってきて、悲しみが充満していた様子を大石先生の目線でつぶさに描かれている。
夫も教え子の男の子も戦争に送り出す女性の悲しみはいかばかりだろう。
後半は涙無しには読み進められなかった…
この時代を生きた人々の子孫たる私達が読みついで行きたい作品だった
作中の小豆島弁が物語 -
Posted by ブクログ
小学生の頃に読んだ際には衝撃的なラストシーンばかりが印象に残っていたが、改めて読むとかなり前半のうちから切ない展開が続く。そして、ただでさえ悲惨な場面をもう一段悲惨にするような追いうちの描写が多いのも本作の特徴。
次の世代を担う子どもたちへの希望は描かれているものの、大石先生や大人になった教え子たちに関していえば、とにかく救いのない物語だと感じた。
また今回読んでみて、戦争の只中を描く第8章と第9章が特に印象深かった。地の文にさえ作者の反戦の思いが率直かつ痛烈に込められており、その母として、女性としての嘆きに年齢を重ねた大石先生の心境が重なって現れる。
大石先生は教師としてのプロフェッショナ