壺井栄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
泣いた。素晴らしい作品、の一言。
高校生のときに読んでおきたかった。でも今読めて本当に良かった。
平和な時代に生まれてきた僕は、平和な世の中を当たり前と思っていた。
でもこの作品には、そんな当たり前はなかった。
僕たちには、この平和な時代を守り、そして二度と戦争がおこらないようにする義務があると強く感じた。
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罪もない若人の命を奪っていく戦争は次のような時代だった。
国民精神総動員。戦争に身も心も投げ込めと教え、従わされた時代。
男たちにはどうしても逃れることのできない道。
母親たちには戦場で散る命を惜しみ悲しみ止めることもできない。
治安を維持するということは、命な大切さを訴え命を守ることではない時代。
戦争に取られる不安を口にしてもいけない時代。
自分だけではないという理由だけで、発言権を取り上げられていた時代。
学徒は戦争に動員され、女子供は勤労奉仕にでる時代。
航空兵を志す少年はそれだけで英雄となる時代。
花のように散ることが究極の目的とされる時代。
それが栄誉とされる時代。
戦士が名誉である時代。
そういう教育をされる時代。しなければいけない時代。
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こんな時代があっていいものか。いや、良いはずがない。
平和のために自分のできること。それは海外の友達や外国人同僚との交流を更に深め、相手を理解し、相手の文化や風習をリスペクトすること、そして、対話を持って解決策を模索していくことにあると思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ岬 村 一本松 大石先生 自転車 一年生 落とし穴
岬を舞台にした、12人の子供達と大石先生の物語。
岬という舞台がとても美しく描かれることと相反して、
彼らに襲いかかる戦争が生み出す
苦しさ、ひもじさ、
身内、親戚、友達が死にゆく悲嘆。
それに対し一心不乱に戦い散っていく命、と
生きながらえる命。
小学校教師として、
彼らに夢を持たせたにもかかわらず
兵役に就く男の後ろ姿、それにやるせない感情を抱いた
大石先生には同情しかねない。
戦争の悲惨さ、
そして現在、我々が当たり前のように享受している
平和、裕福さ、それらを
ひしと感じた作品であった。
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Posted by ブクログ
牧歌的な島の風景やなごやかな小学校生活の中に、家庭ごとの貧しさや時代の暗い影が描かれる。小学校低学年のこどもたちが大人になる過程で幾人かが身売りされたり兵隊にとられたりする。そして新任の教師時代に違和感を抱いた「老朽」の教師が岬へ赴任することについて、時を経て主人公が同じ境遇になる。教師と生徒を問わず、戦争によって生活の変化が等しく訪れることが強調される。
解説を読む限り、反戦平和のメッセージがかなり強い作品であるとのことだが、あまりそのように感じなかった。ただ、アカ狩りのシーンは無理矢理に挿入された感じがする。全体的に類型的な人物が多い。今でいうキャラクター小説か。だから時代を超えて読みやすいだろう。面白いかどうかは別にして。 -
Posted by ブクログ
置かれた環境で、必死にもがく子どもたちに心打たれます。
現代を生きる私達の働く意味をも考えさせられました。貧しい一寒村が舞台となっていますが、家庭事情によって幼き頃から仕事を手伝い働く姿、貧しくても活き活きとしている姿、ぶつかり合いながらも団結していく姿、いつの時も子どもたちは大切なことを気づかせてくれる、かけがえのない存在であることに変わりはありません。
国のために生き国のために死ぬことが名誉であるとされ、反戦を口にすれば牢獄へ。自分の考えを持つことが許されなかった時代。
これは二度と繰り返してはいけない過ちですが、間違いに気づき正していく姿勢を持ち続けること、これは現代にも通ずるものがあります。
そして、子どものような女先生、大切なものを見失わない強さにとても惹かれました。 -
Posted by ブクログ
昭和初期、師範学校を卒業して小豆島の分教場に赴任してきた大石先生と12人の教え子との愛情あふれる物語。(文庫裏表紙説明より)
読む前は先生と生徒の物語なのかな、と思っていたけどどちらかというと戦争のことを描きたかった作品なのかなと思いました。
大石先生にすごく感情移入してしまいました。赴任したての大石先生の苦労や戸惑いには私も思わず「あるある」と苦笑(笑)
子どもは生まれる家や時代を選べないんだなぁ、生まれた環境で、時代で、順応して生きていかなければならないというのは今も昔も変わらないことなのだなぁということを改めて感じました。それを、学校の先生や親含め周りの大人がしっかり理解して子どもたちを伸ばしていってあげないといけないんだなぁと思います。
あたたかくて、さびしい物語でした。 -
Posted by ブクログ
初出は1952年、「ニューエイジ」連載作品。
第一回「新潮文庫の100冊」に選ばれていた一冊。
きちんと読んだ記憶が曖昧なままでした。
実は少し前、中田永一『くちびるに歌を』の装丁を見た時、『二十四の瞳』を思い出していました。
映画化・ドラマ化は数知れず、おそらく私もどれかを観ているはず。
けれど実際に読み始めると、記憶の中にあった「先生と子供たちの温かな交流」だけでは収まらない作品でした。
描かれるのは、戦中戦後の貧しい島の暮らし。
家を支える少女たち。
出征を誇らしく待つ少年たち。
時代の空気は、子供たちの未来を静かに狭めていきます。
私の記憶の中の大石先生は、ずっと子供たちに寄り添い続けていたように思っていました。
しかし実際には、怪我、結婚、出産、戦争と 人生の流れの中で、大石先生が初めての担任生徒たちと共に過ごした時間は、驚くほど短いものでした。
貧困も、時代も、戦争も、一人の教師の善意では変えられないものでした。
子供たちは学校を離れ、生活へ、労働へ、戦場へと流されていきました。
最終章の再会の場面は 大人になった少年少女達が過去の苦労も見せず 和やかな談笑に満ちていました。
『二十四の瞳』は、戦争の悲哀を描いた作品であると同時に、壺井栄が託した、これからの平和な日本への願いですね。 -
Posted by ブクログ
香川県小豆島の小さな岬の村の分教場に赴任した主人公の大石先生と、そこに通う12人の子どもたちとの交流を描いた作品。
昭和初期から戦前・戦後にかけて大石先生と子どもたちとの間に生まれる絆と戦争によって起こる悲劇が中心に記されている。
序盤では小学校1年生の子どもたちの天真爛漫で無邪気な姿と、怪我をして学校に通えなくなってしまった遠くに住む大石先生を自分たちだけで見舞いに向かう力強さを見ることができる。
貧しくても身の回りから楽しみを見出し、今その瞬間を生きようとする子どもたち、そしてそれを温かく優しく見守る大石先生の姿が描かれており、読んでいてとても面白く、心温まる。
小学校5年生から子どもたちは戦争を意識し始めるが、大石先生は言論統制の強まる社会情勢を加味し、悲しく切ない思いを静かに抱く。そこで描かれる心情は、ささやかなる反戦・抵抗の意図をもって、繊細に語られる。
身の回りの戦争高揚が分からなかった1年生の頃の子どもたちは、5年生となった今、少しずつ世の中と自分たちの向かうべき道のりを理解し、意識し始める。
大石先生は、子どもたちの意思に潜み子どもたちの抱く将来の目標に介在する「戦争」の姿を見抜いている。
しかし、それを口にすることは決して許されない。赤(共産主義者)として検挙されてしまう。そのもどかしさと悔しさと悲しさは、どれだけ強大なものであったろうか。読者にそれが想像できるだろうか。
昭和16年、教え子の男子5人は徴兵検査へ行き、女子は両親に身を売られる者もあれば、貧しいため学業を断念する者もあれば、消息を絶ってしまう者もある。
子どもたちがそのような状況にあることを知らされる大石先生の心の底を、誰が完全に察することができよう。かつての思い出と、子どもたちの未来とを浮かべる大石先生が、果たして何を思っただろう。
大石先生は、病にかかっても戦地に駆り出される夫、ずっと一緒に暮らしてきた母親、飢えのために青柿を食い急性腸カタルとなった娘と、次々と家族を亡くす。
その深い悲しみを、そしてその悲しみすらも禁止されて口にできない悔しさを、読者は想像しなくてはならない。「戦争」の圧力の大きさと恐ろしさを、読者は想像しなくてはならない。
解説にもあるように、本小説において大石先生は、悲しみや暗さを表現しない。それは読者の想像にあくまで任されている。
大石先生からは、優しさと、思いやりと、温かさとがいつも伝わってくる。それが不思議でありながら、読んでいて心が解きほぐされる感覚を覚える。その感覚こそが、この小説の「良さ」なのだと思う。
大学の課題として読んだが、また読みたい。