壺井栄のレビュー一覧

  • 二十四の瞳

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    壺井榮の代表作のひとつ。小豆島が舞台となっており、映画化も複数回されている。初回の木下監督、高峯秀子の大石先生が個人的に好き。母の実家付近もロケ地となり、撮影途中に自宅の便所を借りにきたことが母の語り草となっている。

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    2019年10月19日
  • 二十四の瞳

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    ネタバレ

    岬 村 一本松 大石先生 自転車 一年生 落とし穴


    岬を舞台にした、12人の子供達と大石先生の物語。

    岬という舞台がとても美しく描かれることと相反して、

    彼らに襲いかかる戦争が生み出す

    苦しさ、ひもじさ、

    身内、親戚、友達が死にゆく悲嘆。

    それに対し一心不乱に戦い散っていく命、と

    生きながらえる命。

    小学校教師として、

    彼らに夢を持たせたにもかかわらず

    兵役に就く男の後ろ姿、それにやるせない感情を抱いた

    大石先生には同情しかねない。

    戦争の悲惨さ、

    そして現在、我々が当たり前のように享受している

    平和、裕福さ、それらを

    ひしと感じた作品であった。


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    2019年10月10日
  • 二十四の瞳

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    元々学校現場にいたので、大石先生の立場に立ったときの葛藤は昨今の教育現場を踏まえても、わりと共感できました。
    というのも、誰の方に向いて授業を行っているのかな、と最近の学校教育でも感じることが多いのです。
    本来は、大石先生みたく生徒たちの「瞳」に向けた授業をしなければならないし、それが教育なのではないかと改めて考えることができました。

    初めて読みましたが、もっと早く読んでおけば良かったなと思いました。

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    2019年09月22日
  • 二十四の瞳

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    牧歌的な島の風景やなごやかな小学校生活の中に、家庭ごとの貧しさや時代の暗い影が描かれる。小学校低学年のこどもたちが大人になる過程で幾人かが身売りされたり兵隊にとられたりする。そして新任の教師時代に違和感を抱いた「老朽」の教師が岬へ赴任することについて、時を経て主人公が同じ境遇になる。教師と生徒を問わず、戦争によって生活の変化が等しく訪れることが強調される。

    解説を読む限り、反戦平和のメッセージがかなり強い作品であるとのことだが、あまりそのように感じなかった。ただ、アカ狩りのシーンは無理矢理に挿入された感じがする。全体的に類型的な人物が多い。今でいうキャラクター小説か。だから時代を超えて読みや

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    2022年09月13日
  • 二十四の瞳

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    8月にこの本を読むことで、戦争の時代に思いをはせる。
    戦時中の戦争のかなり具体的な描写があり、戦時中の暮らしを疑似体験することになった。そんな中で、大石先生の子どもたちへの愛情が、前向きな愛と希望として、読み手の心を揺さぶる。

    戦後の描写からは、ひときわ戦争への憎しみが感じられる。

    「いっさいの人間らしさを犠牲にして人びとは生き、そして死んでいった。」(p218)

    今を生きる私の、生きることへの責任を感じる。
    今の時代に日本に戦争はないけれど、同じように追い詰められ、心を痛めている子どもがいることを、知らねばならない。

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    2019年08月09日
  • 二十四の瞳

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    置かれた環境で、必死にもがく子どもたちに心打たれます。
    現代を生きる私達の働く意味をも考えさせられました。貧しい一寒村が舞台となっていますが、家庭事情によって幼き頃から仕事を手伝い働く姿、貧しくても活き活きとしている姿、ぶつかり合いながらも団結していく姿、いつの時も子どもたちは大切なことを気づかせてくれる、かけがえのない存在であることに変わりはありません。
    国のために生き国のために死ぬことが名誉であるとされ、反戦を口にすれば牢獄へ。自分の考えを持つことが許されなかった時代。
    これは二度と繰り返してはいけない過ちですが、間違いに気づき正していく姿勢を持ち続けること、これは現代にも通ずるものがあり

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    2018年07月07日
  • 二十四の瞳

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    昔、読んだことあったような・・・と思っていたけど、多分途中までしか読んでなかったのかな。12人の子どもたち、自転車、洋服のハイカラな先生、というところまでは知っていたんだけど。こんなにつらく悲しい話だったなんて。戦争は、あんな田舎の小さな村まで不幸にしてしまう。先生も、子どもたちも、不幸すぎて最後どうやって終わるのか、と思ったけど、解説にもあった「壷井栄の、明るさとえくぼ」で、キラキラ明るく終わった気がする。

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    2017年11月05日
  • 二十四の瞳

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    初めて読んだ。昭和初期の海辺の寒村の子供たちと女教員の物語。ほのぼのと描写される、日々の暮らしの中に貧困と戦争が影を落とすが、夢中に次はどうなるんだろう、と読んでいけた。
    文体も読みやすく、とても優しい気持ちになれた。

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    2017年07月08日
  • 二十四の瞳

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    昭和初期、師範学校を卒業して小豆島の分教場に赴任してきた大石先生と12人の教え子との愛情あふれる物語。(文庫裏表紙説明より)

    読む前は先生と生徒の物語なのかな、と思っていたけどどちらかというと戦争のことを描きたかった作品なのかなと思いました。
    大石先生にすごく感情移入してしまいました。赴任したての大石先生の苦労や戸惑いには私も思わず「あるある」と苦笑(笑)
    子どもは生まれる家や時代を選べないんだなぁ、生まれた環境で、時代で、順応して生きていかなければならないというのは今も昔も変わらないことなのだなぁということを改めて感じました。それを、学校の先生や親含め周りの大人がしっかり理解して子どもたち

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    2015年01月11日
  • 二十四の瞳

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    心温まる教師と生徒の当たり前のような日常と、戦争や貧困によって無残にもその日常を切り裂かれた子どもたちの苦悩が克明に描かれている。まっちゃんが弁当箱を肌見放さず持っていたと知った時は泣くかと思った。

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    2014年10月08日
  • 二十四の瞳

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    瀬戸内海の小さな島を舞台にした、新米教師の大石先生と純朴な12人の子供たちとの交流を描いた牧歌的な作品。
    ……と思いきや、物語が進むにつれて反戦的な描写が濃くなっていく。
    無邪気に軍国主義に染まっていく子供たちを一人歯がゆい思いで眺める大石先生の姿は、言いたいことも言えない戦時中の空気をありありと伝える。
    反戦という重いテーマはあくまで控えめで、それがいっそう説得力を強くしていると思う。
    映像的な表現の美しさもこの作品の魅力。

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    2014年08月19日
  • 母のない子と子のない母と

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    うーん、泣かされたなぁ。解説者も親となって読み返して泣かされたと書いていたが、彼女の母性的な世界は親となった者に強く迫るところがあるのかもしれない。戦後(終戦間際)の話は涙なしでは読めないけどね。親を亡くし子を亡くした人の気持ちを考えると。小豆島の風習を折り込み智恵を伝え優しい心を語る。いい小説家だしやり方がうまい。私は子ども達にどこの何を伝えてあげられるんだろう?何も知らないな私って……。名作はやはり名作と言われるだけの中身をもっている。読んで良かったと思える。'92

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    2009年10月04日
  • 二十四の瞳

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    8月のお盆時期になると読みたくなる本。瀬戸内海の小さな島で、大石先生と豊かな個性を持つ生徒達による、瑞々しい物語が綴られている。優しい文体の中に壷井栄さんの静かなる情動が隠されているような…戦争による多くの人の痛みは決して忘れてはならないものだと思う。語り継がれて行くべき名作。

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    2025年08月12日
  • 二十四の瞳

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    ザ名作文学という感じでした、かなり時代を感じるので読みやすくはないですが読み応えはあります。戦前と戦時中の日常がどのようなものだったかを感じさせてくれる一冊でした。

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    2025年08月08日
  • 二十四の瞳

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    名作だけどどんな内容だったけ?シリーズ
    子供の頃から良く目にしたタイトル、
    映画化もされてかなり有名な小説。
    どんな内容の物語?と聞かれると
    戦争と先生と生徒の話くらいしか覚えていない。というより読んだことがない。
    ということで読んでみた。
    本書は戦争の描写が直接描かれているわけではないので戦争小説という感じは余りしない。
    教え子達の無邪気さや変わらない童心と先生の深い愛情、著者の優しい文体が読み手の心をあたたかくしてくれる。

     物語前半は岬の分教場での無邪気で幼い12人の生徒達とのほのぼのとした交流、生徒達を優しい目で見守る大石先生に心あたたまります。
    赴任して直ぐに生徒の瞳が個性豊かにき

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    2025年07月20日
  • 二十四の瞳

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    戦争による空襲の被害が克明に描かれているわけでもなく、戦時下の圧迫された学校生活や日常の様子を丁寧に描写しているわけでもありませんが、1人の若い女性教員の一生を通して、戦争の悲惨さや命の尊さをひしひしと感じさせてくれる作品です。

    もちろん、田舎の寒村ですから戦争だけでない根本的な貧困や、家父長制のような古い社会の慣習から苦労せざるを得なかった、という事情もあるでしょう。
    けれども、戦争がなければ起こらなかった悲しみもあるでしょうし、「戦死」を名誉なこととして求める子どもたちに無邪気な姿に心を痛める主人公の姿には強く共感します。
    決して、殺したり殺されたりするために、愛して育ててきたわけではな

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    2025年07月02日
  • 二十四の瞳

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    先日小豆島に観光しに行ってそこで24の瞳映画村に行った際この本を手に取った。実際にその土地に行ってきたからか作品の描写がイメージしやすかった。本作は小豆島が舞台で第二次世界大戦前から始まり戦後すぐまでが描かれている。小豆島の中でも岬の寒村に派遣された大石先生とその時の12人の一年生が戦争という状況の中でどういうふうに成長していくか書かれており戦争の悲惨さを改めて感じた。洋服に自転車通勤という当時ではハイカラな姿だった大石先生は閉鎖的な岬では最初避けられていたが彼女の明るい性格により子供たちは懐き、そこから13人の付き合いが始まる。大石先生がアキレス腱を切りしばらく学校にこなかった先には12人の

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    2025年02月25日
  • 二十四の瞳

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    子供が子供のままでいることが出来ない戦争は改めて恐ろしく残酷なものだと思った。

    妻として、母として、教師としてこの時代を生きる大石先生の真っ直ぐとした姿に心を打たれた。
    戦中、世の中全体が混乱していて生活も苦しい中で、大石先生のように素直に物事を捉え考えることはとても難しいと思う。

    戦中における児童たちの暮らしや文化についても知ることが出来た。

    子供たちは素直で純粋な分、戦争までもを日常として受け入れていることがただただ悲しい。

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    2024年10月26日
  • 二十四の瞳

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    ラジオドラマでやっていたので、この機に読んでみました。

    小豆島を舞台にした先生と12人の子供たちのハートウォーミングな話、と思っていました。が、そんな単純な話じゃなかった。深い。貧困や戦争、あの時代のもどかしさ?を壷井栄は書いたんだと思う。

    大石先生は教師だけれど、母親には甘えて拗ねてみたり、一人の人間として描かれていて、子供たちも生き生きと描かれていて、一人一人の個性が素晴らしい。子供たちの成長に大石先生と同じように涙した。

    蛇足だが、ラジオドラマの藤沢恵麻さんの朗読はとても良かった。

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    2024年08月28日
  • 二十四の瞳

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    ★3.5。
    映画は何作かは観ているはずですが、まったく覚えておらず。ただ原作は多分初読。いろんな意味で経済性の高い当方の記憶。
    さておきそうか、こういう小説なのか。もっと直接的なのかと思ってましたが、松竹が映画化するんだからそうですわね、理知的な抑制が効いていてます。
    しかしこんな話があちこちにあって、かつ、小説にするのも憚られるのが100年も経たない前のこの社会の話、現在を見ると知らないからと見向きもしない、遠くに来てしまって見えなくなっているのかなぁ。

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    2024年08月25日