壺井栄のレビュー一覧
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ネタバレ岬 村 一本松 大石先生 自転車 一年生 落とし穴
岬を舞台にした、12人の子供達と大石先生の物語。
岬という舞台がとても美しく描かれることと相反して、
彼らに襲いかかる戦争が生み出す
苦しさ、ひもじさ、
身内、親戚、友達が死にゆく悲嘆。
それに対し一心不乱に戦い散っていく命、と
生きながらえる命。
小学校教師として、
彼らに夢を持たせたにもかかわらず
兵役に就く男の後ろ姿、それにやるせない感情を抱いた
大石先生には同情しかねない。
戦争の悲惨さ、
そして現在、我々が当たり前のように享受している
平和、裕福さ、それらを
ひしと感じた作品であった。
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牧歌的な島の風景やなごやかな小学校生活の中に、家庭ごとの貧しさや時代の暗い影が描かれる。小学校低学年のこどもたちが大人になる過程で幾人かが身売りされたり兵隊にとられたりする。そして新任の教師時代に違和感を抱いた「老朽」の教師が岬へ赴任することについて、時を経て主人公が同じ境遇になる。教師と生徒を問わず、戦争によって生活の変化が等しく訪れることが強調される。
解説を読む限り、反戦平和のメッセージがかなり強い作品であるとのことだが、あまりそのように感じなかった。ただ、アカ狩りのシーンは無理矢理に挿入された感じがする。全体的に類型的な人物が多い。今でいうキャラクター小説か。だから時代を超えて読みや -
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置かれた環境で、必死にもがく子どもたちに心打たれます。
現代を生きる私達の働く意味をも考えさせられました。貧しい一寒村が舞台となっていますが、家庭事情によって幼き頃から仕事を手伝い働く姿、貧しくても活き活きとしている姿、ぶつかり合いながらも団結していく姿、いつの時も子どもたちは大切なことを気づかせてくれる、かけがえのない存在であることに変わりはありません。
国のために生き国のために死ぬことが名誉であるとされ、反戦を口にすれば牢獄へ。自分の考えを持つことが許されなかった時代。
これは二度と繰り返してはいけない過ちですが、間違いに気づき正していく姿勢を持ち続けること、これは現代にも通ずるものがあり -
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昭和初期、師範学校を卒業して小豆島の分教場に赴任してきた大石先生と12人の教え子との愛情あふれる物語。(文庫裏表紙説明より)
読む前は先生と生徒の物語なのかな、と思っていたけどどちらかというと戦争のことを描きたかった作品なのかなと思いました。
大石先生にすごく感情移入してしまいました。赴任したての大石先生の苦労や戸惑いには私も思わず「あるある」と苦笑(笑)
子どもは生まれる家や時代を選べないんだなぁ、生まれた環境で、時代で、順応して生きていかなければならないというのは今も昔も変わらないことなのだなぁということを改めて感じました。それを、学校の先生や親含め周りの大人がしっかり理解して子どもたち -
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名作だけどどんな内容だったけ?シリーズ
子供の頃から良く目にしたタイトル、
映画化もされてかなり有名な小説。
どんな内容の物語?と聞かれると
戦争と先生と生徒の話くらいしか覚えていない。というより読んだことがない。
ということで読んでみた。
本書は戦争の描写が直接描かれているわけではないので戦争小説という感じは余りしない。
教え子達の無邪気さや変わらない童心と先生の深い愛情、著者の優しい文体が読み手の心をあたたかくしてくれる。
物語前半は岬の分教場での無邪気で幼い12人の生徒達とのほのぼのとした交流、生徒達を優しい目で見守る大石先生に心あたたまります。
赴任して直ぐに生徒の瞳が個性豊かにき -
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戦争による空襲の被害が克明に描かれているわけでもなく、戦時下の圧迫された学校生活や日常の様子を丁寧に描写しているわけでもありませんが、1人の若い女性教員の一生を通して、戦争の悲惨さや命の尊さをひしひしと感じさせてくれる作品です。
もちろん、田舎の寒村ですから戦争だけでない根本的な貧困や、家父長制のような古い社会の慣習から苦労せざるを得なかった、という事情もあるでしょう。
けれども、戦争がなければ起こらなかった悲しみもあるでしょうし、「戦死」を名誉なこととして求める子どもたちに無邪気な姿に心を痛める主人公の姿には強く共感します。
決して、殺したり殺されたりするために、愛して育ててきたわけではな -
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先日小豆島に観光しに行ってそこで24の瞳映画村に行った際この本を手に取った。実際にその土地に行ってきたからか作品の描写がイメージしやすかった。本作は小豆島が舞台で第二次世界大戦前から始まり戦後すぐまでが描かれている。小豆島の中でも岬の寒村に派遣された大石先生とその時の12人の一年生が戦争という状況の中でどういうふうに成長していくか書かれており戦争の悲惨さを改めて感じた。洋服に自転車通勤という当時ではハイカラな姿だった大石先生は閉鎖的な岬では最初避けられていたが彼女の明るい性格により子供たちは懐き、そこから13人の付き合いが始まる。大石先生がアキレス腱を切りしばらく学校にこなかった先には12人の