矢部宏治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本の驚くほどの対米従属は、かなり気になっていることだが、本書では、主に軍事面でどんな不合理性を持っているのかに焦点を当てて解説してくれている。
太平洋戦争に敗れ、アメリカの占領を経て独立した日本からすれば、一定程度のアメリカによる影響はあってしかりだろうが、ここまで言いなりになっていて言い訳がない。
何だか真の独立国とは言えない気持ちになってしまう。
そう言う気付きを与えてくれた書だと感じた。
一部抜粋
日米合同委員会の本質とは、占領時代から続く基地の使用権や治外法権など、米軍が持つ巨大な特権を、どうすれば日本の国内法のもとでトラブルなく維持していくかの調整機関。もともと占領中に旧安保条約 -
Posted by ブクログ
矢部宏治著『知ってはいけない〜隠された日本支配の構造〜』を読んだ。本書の発刊は2017年。私が購入したのは2018年だが読まずにいた。
孫崎享著『戦後史の正体』に衝撃を受けた。この本を企画したのが矢部宏治(1960-)である。本書を読み終えて、日本が対米追従で来た理由がよくわかった。モヤモヤしていた視界が開けた思いがした。
日本の対米追従は「対米軍追従」とも言えるもので、憲法よりも上位にあるのが日米安保条約である。この条約のもと開かれる日米合同委員会。ここに出席するアメリカ人7人のうち6人が軍人であることからも米軍が日本を支配していることが分かる。日本はGHQ占領期と何ら変わっていないのだ。
-
Posted by ブクログ
本書は「戦後再発見」シリーズの2冊目で、「日米地位協定」の内容や問題点をQ&A形式で解説するPART1と、外務省で地位協定の運用マニュアルとして書かれたという機密文書「日米地位協定の考え方」を紹介するPART2の二部構成である。編著者の前泊博盛は『琉球新報』で記者・論説委員長を務めた人で、現在は沖縄国際大学で教鞭を執る。専門は沖縄経済や日米安保論である。
日米地位協定は米軍の日本での法的な地位を定めている。この協定に根拠があればこそ、外国軍隊である米軍は日本国内に基地を保有し、訓練などを行うことができる。ところがこの協定には重大な欠陥があり、その欠陥からさまざまな問題が生じている。問題がなぜ -
Posted by ブクログ
前著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」と
同様に、本来国民の安全や権利を守るべき憲法を超えて
も問題ない判例や米国との密約が存在していることを
告発する本です。
ポイントとなるのは、米軍が日本で自由に軍事行動を
行えるという密約を交わしている相手は「米国政府」
ではなく「米軍」であることです。
「米軍」相手であるがゆえに、本当のことが表に出に
くい構造になっていると著者は主張します。
最近のニュースで割とよく知られるようになった、羽田
空港上空の空域(実は大半が米国管理下の空域である
ので日本の航空会社はここを大きく迂回せざるを得ない)
を見る限りでは「本当かもな」と思ってしまう -
Posted by ブクログ
平成天皇と美智子様がこれまでに発せられたおことばやお詠みになった歌、に、筆者の解説を加えた本。短くて易しい。
沖縄のこと、原発のこと、憲法のこと、戦争のこと、美智子様のこと、退位のこと、などなど。知ってたこともあれば知らなかったことも。
「天皇・皇后陛下が被災地を訪れ現地の方々にお言葉をかけられました」というニュースは、物心ついたころには平成になってた(5歳くらいだった)私にとってはもはや見慣れたおふたりの姿で、ああまたか、地震あったものな、くらいにしか思っていなかったが、「国民の苦しみに寄り添う」というそのスタイルは、象徴天皇としてのあり方について考えに考え、模索し続けてきたおふたりの答 -
Posted by ブクログ
薄々は感じていたさ。日本はアメリカの属国じゃないのかって。
属国どころじゃなかったよ。敗戦後のGHQによる占領期と
なんら変わってないんだよな。
今はGHQじゃなくて、「在日米軍」って呼び方が変わっているだけ。
本書は「高校生でも分かる」をコンセプトに企画されたシリーズ
もの第2弾。テーマは「日米地位協定」である。
先日、姪に「なんでアメリカの軍隊が日本にいるのか」と聞かれて
日米安保条約と日米地位協定を説明しようとした。ところが、自分
の頭の中でこのふたつがごっちゃになっていることに気付いて
勉強し直した。
Q&A方式で一見分かりにくい日米地位協定について実例を引き
ながら詳 -
Posted by ブクログ
いつまでもアメリカの意向を気にして、いつも何かを押し切られ続けているのを、どうしてなのかと素朴に感じ続けていました。
原因が、敗戦にあるのはわかっているものの、それでもなぜ?と思っていた謎が、一冊で全部解けます。
団塊世代は豊かな日本を作ってきた、ということになっていますが、大事なことを棚上げしたまま30年ほどたってしまったように感じます。
「失われた10年」とばかり目を向けられてきましたが、実際は、「取り戻せない70年」が続いていることがよくわかります。
東アジアの国が攻めてくることより、何か動きがあって、日本の主要都市のインフラをアメリカが封鎖することの方が、現実におきる可能性が高い