【感想・ネタバレ】知ってはいけない 隠された日本支配の構造のレビュー

あらすじ

日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

マスコミでは取り上げられない真実が分かりやすく、ファクトに基づき、論理的に説明されている。
日本人が真に賢くなり、平和を真に希求する国民により絶対的な信頼で選ばれた政府が、毅然と米国と対峙する時がくるのだろうか?
戦術・戦略的にはリベラルなアメリカ国民の支持も取り付け、国際社会をも巻き込み、平時国際法・戦時国際法に則り、正々堂々と真の戦後処理をすればいい。
朝鮮戦争は、法的には何ら終結を向かえていない。
どさくさに紛れ、仕組まれたジョン・フォスター・ダレスの法的枠組みは依然として残っているわけである。
内容
第1章 日本の空は、すべて米軍に支配されている
第2章 日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
第3章 日本に国境はない
第4章 国のトップは「米軍+官僚」である
第5章 国家は密約と裏マニュアルで運営する
第6章 政府は憲法にしばられない
第7章 重要な文書は、最初はすべて英語で作成する
第7章 自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
第9章 アメリカは「国」ではなく、「国連」である
あとがき
〈追記〉なぜ「9条3項・加憲案」はだめなのか

という内容でした。

私の追記:白洲次郎はサンフランシスコ平和条約においては、きっちり沖縄返還を吉田茂に進言したが、吉田は、個人として条約にサインした。
吉田としても少々後ろめたいところがあったのかもしれない。
この後、白洲次郎と吉田は袂を別った。
当時の世界の状況で、朝鮮戦法は勃発したこともあり、政治家としては難しい判断だったのだろう。
しかし、その後の保守政治家の体たらくはいただけない。
岸の本音は計りかねるが、真の日本の独立を希求していたとしたら、真の保守がしっかりエセ左翼と対峙する機運が醸成されなかったのだろうか?
いずれにしても、その場の空気に左右されない真の日本人社会の確立を願うばかりである。

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2024年06月10日

Posted by ブクログ

対米従属を構築するために様々な法律が絡み合い、空域までも差し出している、日米合同委員会も絡んで三重構造、というような内容。もちろん陰謀論っぽくはあるが、「そこまで法律で完膚なきまでに叩きのめしといて、じゃあ、どうすりゃいいんだよ」とも言いたくなる内容で、シン・ゴジラのようなアメリカと対峙して乗り越えようとするような夢物語を抱かせてくれる話でもなく、ただひたすら法案を、現実を突き付けてくる。逆にこういう世界観だからこそ、こういうアメリカのせこさも知ってるから、文化で対抗する、という現代になっているような気もするし、その戦略にも必然性があったのかもしれないと思わせる。どうすりゃいいんだろうね。いみじくも小説を書く身としては、言葉の力で対抗することは、果たしてできるのだろうか、と考えてしまった。

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2024年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知ってはいけないのでは無く既知ですが・・・

本書に述べられている事の殆どは戦前から戦争に命がけで言論の力だけで反対して来た100年続く野党=日本共産党が訴え続けて来た事と同じである。

何より重要なのは、全く別系統のイデオロギー的にも異なる(であろう)著者が「思う事では無く自分で調べた事実」を積み上げた結果、この党とほぼ同じ結論に達している事である。

自然科学の世界では追実験が重要であるが、これと同じである。つまり相互にその正しさを証明している。

今緊急に必要なのはロシアの侵略戦争を止め、日本に戦争をさせない事である。それには「保守か革新か、右か左か」では無く反戦平和勢力の共同した闘いが直ちに必要であり本書はその一助となるだろう。

ロシアのウクライナ侵略は許しがたい蛮行であるが、それもこれも「アメリカの掌の上」での事である。ロシアのウクライナ侵略より前のウクライナ人同士の殺し合いの狂気はCIAの手引きで行われている。

そしてアメリカの戦争政策の邪魔ものとして今日、100年続く野党を破壊しようとする動きも、マスコミを含めはじまったが、それはアメリカのCIA関連の謀略では無いかと私は疑っている。何故ならその手先と思える松竹信幸氏の主張はCIAの事実上のエイジェントである、G・ソロス氏と酷似しているからだ。

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2023年02月25日

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ネタバレ

怖いですね。
戦後、アメリカ軍と日本が結んだ密約によって、植民地化している。
アメリカは、日本のどこにでも好きなように基地を作れる。また、日本の旅客機の飛行ルートは、アメリカ軍に支配されて、不自然になっている。

どうすれば、いいのでしょう?

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2021年08月16日

Posted by ブクログ

孫崎享さんの著作を思い出す。日本とアメリカ、というか米軍との関係を明らかにする著作。
前半は日本支配の構造についてで、横田空域などは目新しい話ではない。個人的に面白く感じたのは、サンフランシスコ・システムと呼ぶもので、国連憲章からサンフランシスコ平和条約が導かれ、そこから日米安保法体系や日米合同委員会などが存在しているという、ダレスの考案した法的な体系で、実は戦後レジームとは朝鮮戦争に乗っかって日本を見かけ上は独立させつつも全面的にアメリカに協力させる朝鮮戦争レジームなのだという話。なので占領体制が継続されているのではなく、「占領下の戦争協力体制が継続」しているのだという。
他にもアメリカが集団的自衛権に基づく条約を結んでいるのは米州機構とNATOの死活的な重要性をもつ2つだけとか、日本と米軍の関係は米政府高官も訝しがるもので、インド太平洋軍司令官は現代の総督のようなものだというライスの言葉とかが紹介されている。確かに知ってしまうと精神衛生上よくない話についての本。

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2020年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米国の占領国からスタートした頃の権力の構造が維持されているとのこと。

日本に長く住んでいれば、政治家やマスコミの言論・主張を眺めていれば、この権力のトップに君臨する偉い人たちにアンタッチャブルな領域があることは見えてくる。東京の地下鉄を何年も利用しているうちに、皇居の下だけスッポリと空間があることがわかってくるみたいに。

この本は、そんな皇居の地下の地図のような一冊。

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2020年07月25日

Posted by ブクログ

間違った事を言っている訳ではないので、取り分け、目新しい感じもしないが、主張の論拠として、その事実の取り出し方や繋ぎ方が面白い。最高裁判所により、日米安保や自衛隊の存在なんかが、司法の届かぬ高度な政治判断として扱われた事が全てである。法治国家であるはずの日本が、法で裁けない取り決め。これを密約と呼んで陰謀論っぽく仕立てているのが本著だが、密約と言うよりは、法的な詭弁の中で契約している不平等条約だ。そしてそれは、朝鮮戦争から始まった、あるいは歪んだという事だ。

但し、どちらにせよ、日本が核を保持しない限り、核の傘に入らずを得ないのだから、米国との関係性は現状を変えられない。これは左翼が何を言おうが、右翼がそれ無しで軍隊保持を許そうが、まずは核、あるいは核を超越するような戦力の均衡による相互確証破壊の前提がなければ、軍隊には意味が無い。その点で米国支配に委ねた現状を変えられずにいるのだろうし、民主主義的手続きにおいて、日本国民は、それで良いとしているのだろう。米国が今より更に強欲になるまでは、許容範囲としているのだ。

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2020年03月15日

Posted by ブクログ

知ってはいけない 矢部宏治 講談社現代新書

矢部さんのすごい調査能力のおかげで
今につながる歴史の闇が暴かれている
文もわかりやすく
傀儡政治の急所を握ることで
思いを整理できて
曖昧だった確信を強くすることができる

それにしても
日本民族の長所である広い心によろ包容力が裏目に出て
明治らいの圧政に対する長い間の気疲れが
無関心という情けない形に変化し
今の状態があるように思える

この情報で改めて全体を整理し
気持ちを切り替えなければ
日本だけでなく世界上の未来人に対して申し訳ない

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2019年12月28日

Posted by ブクログ

 日本国がいかにアメリカに支配された国であるという事がこれを読めば納得できると思う。

 誰が総理をやっても根本的なところが変わらなければ何も変わらない、自民がどうとか民主がどうという論戦をもうやめにしてほしい。

 今この国に一番必要なことはアメリカから日本を取りぼどすという事。改憲なんてその後からでもいくらでもできる。
まして、今改憲などすればどうなるかという事はこの本を読めばおのずとわかる。

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2019年12月19日

Posted by ブクログ

なんとなく曖昧に蓄えられていた、知っていたような知らなかったような知識を、がつんと力強く差し込まれた。
何が良いか悪いかは別として、日本はどこまで行っても敗戦国であり、アメリカの属国である現状から抜け出す事は不可能に近いと言える。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

テレビでは決して語られない不都合な真実、でも知っておかないといけない真実。
読んでいて、マジ暗くなりました。
沖縄のことも読まなくてはね。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

政府だけではなくメディアも司法も正しく機能していない今の日本を見ていると、なるほどなぁと納得してしまう。

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

米軍と日本国との関係について、筆者が調べたことに基づいて説明した本。とてもわかりやすい。憲法9条と自衛隊の関係は、小学生のときから疑問だったが、なぜそうなってしまったのかがよくわかった。密約は恒久的なのか?、結んだ人が亡くなったら消滅するのではと思う。またそうでないと、密約を捏造されてしまう。

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

憲法第9条の陰に隠された日米の密約。米軍基地の存在や集団的自衛権等。マスコミの報道しない真実に迫る衝撃の一冊。
日本の戦後はまだまだ終わっていない。

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2024年06月23日

Posted by ブクログ

陰謀論の本ではありません。家族は書名を見て陰謀論の本かと思ったと笑っていました。著者がどんな思いで書名を決めたかはわかりませんが、書名で損をしていると思います。

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2024年01月26日

Posted by ブクログ

日本の驚くほどの対米従属は、かなり気になっていることだが、本書では、主に軍事面でどんな不合理性を持っているのかに焦点を当てて解説してくれている。
太平洋戦争に敗れ、アメリカの占領を経て独立した日本からすれば、一定程度のアメリカによる影響はあってしかりだろうが、ここまで言いなりになっていて言い訳がない
何だか真の独立国とは言えない気持ちになってしまう。
そう言う気付きを与えてくれた書だと感じた。

一部抜粋
日米合同委員会の本質とは、占領時代から続く基地の使用権や治外法権など、米軍が持つ巨大な特権を、どうすれば日本の国内法のもとでトラブルなく維持していくかの調整機関。もともと占領中に旧安保条約の交渉をしている段階で、「日本国民の目にふれさせたくない取り決め」を、すべて密室で処理するためにつくられた「ブラックボックス」。
法務省から合同委員会のメンバーとなる大臣官房長は、その後、かなりの確率で検事総長に就任している。

日本が集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカと「どんな攻撃に対しても、たがいに血を流して守りあう」対等な関係になれるというのは幻想でしかない。
アジアの国との二国間条約である日米安保条約が、集団的自衛権にもとづく対等な相互防衛条約となることは、今後も絶対にありえない。
事実、指揮権密約からしても、現在の日米の軍事的な関係では、日本側が軍事力を増強したり、憲法解釈を変えて海外へ派兵できるようになればなるほど、米軍司令官のもとで従属的に使われてしまうことは確実。
つまり集団的自衛権というのは、現在の日米安保条約とは基本的に関係のない概念だ。
にもかかわらず、なぜか米軍部からの強い働きかけによって、2015年9月、その行使のための国内法が強行採決された。

米軍は
①「日本の国土を自由に軍事利用できる権利(基地権)」
②「戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利(指揮権)」
という、信じられないほど大きな権利を密約によって持ってる。
そしてその歪んだ法的関係を構造的に支えているのが、
③「日米合同委員会」
④「最高裁(砂川判決)」
というふたつの聖域化された、アンタッチャブルな機関。
この①から④までの四つの問題を解決しないまま、憲法で自衛隊を容認してしまうと、その先に待っているのは「米軍による日本の軍事利用体制」の完成だ。

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2023年10月30日

Posted by ブクログ

矢部宏治著『知ってはいけない〜隠された日本支配の構造〜』を読んだ。本書の発刊は2017年。私が購入したのは2018年だが読まずにいた。
孫崎享著『戦後史の正体』に衝撃を受けた。この本を企画したのが矢部宏治(1960-)である。本書を読み終えて、日本が対米追従で来た理由がよくわかった。モヤモヤしていた視界が開けた思いがした。
日本の対米追従は「対米軍追従」とも言えるもので、憲法よりも上位にあるのが日米安保条約である。この条約のもと開かれる日米合同委員会。ここに出席するアメリカ人7人のうち6人が軍人であることからも米軍が日本を支配していることが分かる。日本はGHQ占領期と何ら変わっていないのだ。
日本は表向きは独立した国である。国際世論をかわすためにGHQの占領は打ち切らねばならない。しかし、1950年に勃発した朝鮮戦争によって、「日本を独立させながら米軍の支配下に置く」ためのトリックが必要になる。そのための策が、安保条約と密約であった。1951年9月8日午前、アメリカ・サンフランシスコのオペラハウスで行われたサンフランシスコ講和会議においてサンフランシスコ平和条約が締結された。吉田茂は同日午後5時にサンフランシスコ内の第6軍司令部において日米安全保障条約に署名する。アメリカ側は国務長官アチソンが署名をした。そして、このとき「吉田・アチソン交換公文」と呼ばれる密約が結ばれた。

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

米軍基地の謎や憲法9条や、いろいろ感じていた矛盾のナゾがとけた感じ。まだ一応高齢者ではないけど、もっと早くに知っておくべき内容だった。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

「知ってはいけない」と書いてあるが、朝鮮戦争で日本を取り巻く国際環境が変わり、現在に至るまで軍事的には主権国家ではない状態が継続している状態を分りやすく解説している本。

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2023年01月09日

Posted by ブクログ

なーんと!日本て、軍事的にはアメリカの植民地のままじゃん。
「戦争になったらアメリカさんが守ってくれる」何て、誰が言い触らしたんだ。

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2022年12月13日

Posted by ブクログ

日米安全保障条約の密約により、以下の2つの権利が米軍に付与されている。
①軍事指揮権
・米軍が日本国土周辺でいつでも軍備を配備できる)
②基地配備権
・沖縄を初めとする米軍基地だけでなく、米軍が希望すれば日本国土内でどこでも基地配備ができる

それ故に、米軍基地上空は米軍管轄下にあり、日本の旅客機は米軍基地の上空を迂回する空路を選んでいる。

戦後の日米安全保障条約で上記①と②が締結されたというのが本書の要諦

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2022年04月07日

Posted by ブクログ

前半を読むと、日本の憲法と法律ってなんて軽いんだと情けなくなる。後半でそのようになった経緯が検証されている。

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2020年12月13日

Posted by ブクログ

知ってたよ。大体知ってたけど、やっぱり不思議な話。ホントにそんなことあるんだろうかと思いながら、でも「だからか」と腑に落ちることばかり。
この不条理で不合理なシステムから抜け出せる日は来るんだろうか。

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2020年11月29日

Posted by ブクログ

前著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」と
同様に、本来国民の安全や権利を守るべき憲法を超えて
も問題ない判例や米国との密約が存在していることを
告発する本です。

ポイントとなるのは、米軍が日本で自由に軍事行動を
行えるという密約を交わしている相手は「米国政府」
ではなく「米軍」であることです。

「米軍」相手であるがゆえに、本当のことが表に出に
くい構造になっていると著者は主張します。

最近のニュースで割とよく知られるようになった、羽田
空港上空の空域(実は大半が米国管理下の空域である
ので日本の航空会社はここを大きく迂回せざるを得ない)
を見る限りでは「本当かもな」と思ってしまう一冊です。

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2020年02月13日

Posted by ブクログ

面白いけど現在の自分では評価/判断できない本。
日本の空は米軍に支配されていて、日米合同委員会で米軍が決めたことに日本は従わなければならないという。
現在の憲法ができた経緯も面白かった。
密約がいっぱい。

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2020年11月15日

Posted by ブクログ

現在の日本は米軍に占領されていた当時と変わっていない、半独立国だという話。

最初の方を読む限りでは、「とんでも本だったかなー」という感想を抱いた。しかし読み進めるうちにジワジワと「あれ、本当なのかも…」と説得力を増していった。

沖縄の米兵によるレイプ事件など、米軍基地内での治外法権は知っていた。それだけでもなんでそんなことが許されるのだろう?と疑問に思っていたのに、日本はそれどころではなかったらしい。

国際情勢が不安定な昨今、色々と考えさせられる本だった。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

日本とアメリカの関係で一番肝心なことを知らなかった。敗戦直後の占領期以来、吉田茂や岸信介がアメリカと交わした平和条約の裏で重大な軍事上の「密約」があったことだ。それは国の有り様を決める決定的なものにもかかわらず国民には一切知らせず隠し通してきたものであった。

先ず「横田空域」という米軍が支配している東京都西部の専用空域の話からこの話は始まる。いつも不思議に思っていたJALやANAの民間航空機が不自然なルートを飛ばざるを得ない理由もここにあった。この巨大な米軍の管理空域は「日本国内法の根拠は何もなく(立ち入ることができない)アメリカの自由な空域」となっている。
2010年沖縄の「嘉手納空域」が返還された時、その裏側で返還の意味を失わせるもっと大きな米軍優先空域が設定されていた。これと同じ方式で1952年に米軍が本土占領を終え日本に返還する時、「日米合同委員会」の密約で巨大な米軍優先空域が設定されていたのだ。それが「横田空域」と「徳山空域」である。
米軍は「返還」する時は常にその裏で「権限強化」や「訓練機能の強化」を実現してきた。
戦後の占領期以降の日本の首都圏上空は巨大な空域が米軍に実質管理・支配されたままなのである。
更に、「日本国当局は所在地のいかんを問わず米軍の財産について捜索差し押さえまたは検証を行う権利を行使しない」という合同委員会の取り決めで、実質的に日本の国土全体が米軍の治外法権下にあるという事実もある。そして戦争になったら自衛隊は米軍の指揮のもとで戦うという指揮権密約を吉田首相が結ぶことで「占領下の戦争継続体制」を固定化することになったのである。

「日米合同委員会」ができた経緯
1950年初頭、アメリカ軍部は朝鮮戦争勃発でソ連・中国の脅威が強く日本の独立には絶対反対であった。政府が独立させるのであれば「在日米軍の法的地位は変えない半分平和条約を結ぶ」「政治と経済は正常化協定を結ぶが軍事面では占領体制をそのまま継続する」というものであり、1952年の平和条約締結はそれに沿った占領解除であった。
「半分主権国家」の国際社会復帰という本当の姿を日本国民に隠しながら日米関係を続けていくための政治的装置が「日米合同委員会」であった。日本を軍事面で法的に従属させるための機能であり米軍が占領期の特権を持ち続けるリモコン装置であった。

「日米合同委員会」の構成や内容
日本側:外務省北米局長・法務省大臣官房長(先々検事総長になる)など計6人、米側:アメリカ大使館公使と上級司令官(太平洋司令官)など6名の軍人の計7人
両国合計13人構成とし、月2回の開催をする
・占領期特権①裁判権(地位協定)②基地権
・密約方程式 : 古くて都合の悪い取り決め       
    =新しくて見かけのよい取り決め+密約
・基地権密約文章
    行政協定=地位協定+密約 
・日米当局3つの裏マニュアル
 ①最高裁の「部外秘資料」(53.9)
 ②検察の「実務資料」(72.3)
 ③外務省の「日米地位協定の考え方」(73.4)

日本の最高裁は誕生してから一度も正常に機能したことがない。(占領下の砂川事件以来)
朝鮮戦争勃発で占領主体が連合軍から米軍に転換。
安保条約は憲法よりも上位に位置づけられる。
憲法9条は占領中に国連憲章(国連軍)とセットで書かれたが、ダレスのトリックにより独立後は日米安保条約とセットで存在するようになった。

裁判権密約・基地権密約・指揮権密約(戦争になったら自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う、吉田首相が1952.1954締結)‥‥完全に隠された日米の取り決めであった。

日米関係は「占領体制の継続」でなく、もっと悪い‘52「占領下の戦争協力体制の継続」であった。
占領期、1950年朝鮮戦争の勃発で、日米関係が大きく変形し(国連の理想から米軍の現実へ)、それが現在に続く。

作者は最後に戦後日本という国はアメリカ政府ではなくアメリカ軍部(米太平洋軍)によって植民地支配されている、早く日本の既得権益層(安保村の面々)を退場させてこの「不平等条約(体制)の改定」をすべき と結論づけている。牽強付会な部分も感じるが、これだけのことが広く国民に知られていないことに大いなる疑問を感じる。

自分の意見であるが
日米の政治家でも鳩山首相や民主党は勿論ライス国務長官ですら知らない軍事関連の異常な二国間関係になっている。決めた人・推進した人や知っていた人は責任が重い。これは国際法やルール、密約を武器とするアメリカの典型的な支配方式だ。
今更ながらの日本の国家統治・主権意識の前時代性、検察・最高裁の構造的欺瞞性に憤りすら覚える。
政治的手続きに多大な労力と混乱を伴うのは民主主義必然のコストだ。説明責任やディスクローズ、隠蔽の断罪等々徹底すべきだ。敗戦後混乱期の異常は早く正常化するべきでこれこそが政治の責任だ。
「密約」は企業活動に例えるなら粉飾決算と同じでトップは勿論関わった人はすべて犯罪者だ。

条約・密約当事者は勿論、合同委員会の参加者個人の人間としての良心はどうなのだろうか。
特に司法や外務省の高官は基地問題や沖縄住民の繰り返される犠牲に何を思うのか。そのような不平等な条約補完のために彼らは勉強・努力し出世して今の地位を得たのではないはずだ。「墓場まで持っていく」という考えにも繋がるが、自分の立場だけで国や国民を売るような行動の生き様に対して、彼らは棺桶に入る前に何を思うのだろうか。


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2024年12月10日

Posted by ブクログ

この本の主張
日本はアメリカの言いなり
アメリカは日米合同委員会でどんな法律でも通せるし、裁判所をコントロール出来るため違憲でも関係ない。そして、それらの法律の日本への影響となぜこういう日米関係になったかを細かく細かく書いてる一冊

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2023年11月28日

Posted by ブクログ

ずいぶん刺激的な内容なんだけどその分信憑性が疑わしい気がする。出てくる調査者も怪しいジャーナリストみたいな人しかいない感じだし、ソースも不十分だと思った。自分の素養不足なのかも知れないが鳩山を評価してる点も何となく世間とはズレてる感が否めない。読み物としては面白かったのでまあまあです。

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2021年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日米間の不平等な関係やどうしてそのような状況になったのかは
歴史的経緯を含めてよく分かりました。
日本全土のどこにでも米軍は基地を作ることができるということや
横田空域のことなどは知らなかったのでそういった事実は
知る必要があるとは思いますし、あまりに世界標準とかけ離れた
日米関係は是正すべきだとも思いますが
この著者の目指したい場所が伝わってきませんでした。

結局戦争のない平和な世界というのが現状絵に描いた餅である限り
自国のことは自分たちで守るかそれが出来ないのであれば
米軍(国連)に守ってもらうしかないと思います。
ただ著者は今のままだと米軍の指揮命令のもと自衛隊が国内外で戦争行為を
行うかもしれないとも煽っています。

日本が現状の米軍支配から脱却した後、国防についてはどうするのか
という話になった際に自衛隊の軍隊化は避けられない議論だと思いますが
そこにはどうも反対のような感じを受けました。

結局どっちつかずで中途半端な印象を受けました。

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2020年08月11日

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