矢部宏治のレビュー一覧
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日米地位協定自体の不平等ぶりと、その協定にさえない、より不可思議な不平等な話。
アメリカ人のほとんどが、沖縄自体を知らないのではないかという。アメリカの無関心が、この協定の改訂へのハードルの一つ、ではあろうけれど、とうぜんもう一方の我が国側でどんな力が働いているのか。それこそ原子力問題と似た構図がある。
ところで、民主党政権がオスプレイ配備に対して、日本からはどうしろこうしろという話ではない、と言ってしまったが、これは図らずも地位協定による権利(の無さ)を白日のもとにさらしたわけで、自民党だったら「厳重に抗議する」などという演技をして、バレないようにしたのであろう、と。さて、では今度の政権は、どうやって「日本を取り戻す」のであろうか。それはそれで、怖いのだ。 -
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「戦後史の正体」に続く、戦後再発見シリーズの第二弾。日米地位協定の密約などを、琉球新報の元記者で沖縄国際大学大学院教授の著者が説明している。
内容は全17問のQ&Aの形で、日米協定の歴史、実際の運用、問題点などを書いている。日米地位協定の考え方、全文と解説も載っている。福島の原発問題などを取り上げながら、日本の関心の低さ、対米従属主義の日本政治に対しての厳しい意見を取り上げている。
全体としては、アメリカの政治について否定的な意見が多いが、対中国的なこともあって、官僚政治や米国従属主義が多くなっている現在、1つの意見として読んでおくことはよいと思う。全編を通して、日本は交渉下手で相手の顔色をうかがいすぎ、必要な主張をしていないために、相手のいいなりになっている印象を受けた。
二項対立や二者択一の考えではなく、(安全に)必要なことを必要と認識すること、不適切なことは主張できる国家になる必要があるように感じた。 -
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日本とアメリカの関係で一番肝心なことを知らなかった。敗戦直後の占領期以来、吉田茂や岸信介がアメリカと交わした平和条約の裏で重大な軍事上の「密約」があったことだ。それは国の有り様を決める決定的なものにもかかわらず国民には一切知らせず隠し通してきたものであった。
先ず「横田空域」という米軍が支配している東京都西部の専用空域の話からこの話は始まる。いつも不思議に思っていたJALやANAの民間航空機が不自然なルートを飛ばざるを得ない理由もここにあった。この巨大な米軍の管理空域は「日本国内法の根拠は何もなく(立ち入ることができない)アメリカの自由な空域」となっている。
2010年沖縄の「嘉手納空域」が返還された時、その裏側で返還の意味を失わせるもっと大きな米軍優先空域が設定されていた。これと同じ方式で1952年に米軍が本土占領を終え日本に返還する時、「日米合同委員会」の密約で巨大な米軍優先空域が設定されていたのだ。それが「横田空域」と「徳山空域」である。
米軍は「返還」する時は常にその裏で「権限強化」や「訓練機能の強化」を実現してきた。
戦後の占領期以降の日本の首都圏上空は巨大な空域が米軍に実質管理・支配されたままなのである。
更に、「日本国当局は所在地のいかんを問わず米軍の財産について捜索差し押さえまたは検証を行う権利を行使しない」という合同委員会の取り決めで、実質的に日本の国土全体が米軍の治外法権下にあるという事実もある。そして戦争になったら自衛隊は米軍の指揮のもとで戦うという指揮権密約を吉田首相が結ぶことで「占領下の戦争継続体制」を固定化することになったのである。
「日米合同委員会」ができた経緯
1950年初頭、アメリカ軍部は朝鮮戦争勃発でソ連・中国の脅威が強く日本の独立には絶対反対であった。政府が独立させるのであれば「在日米軍の法的地位は変えない半分平和条約を結ぶ」「政治と経済は正常化協定を結ぶが軍事面では占領体制をそのまま継続する」というものであり、1952年の平和条約締結はそれに沿った占領解除であった。
「半分主権国家」の国際社会復帰という本当の姿を日本国民に隠しながら日米関係を続けていくための政治的装置が「日米合同委員会」であった。日本を軍事面で法的に従属させるための機能であり米軍が占領期の特権を持ち続けるリモコン装置であった。
「日米合同委員会」の構成や内容
日本側:外務省北米局長・法務省大臣官房長(先々検事総長になる)など計6人、米側:アメリカ大使館公使と上級司令官(太平洋司令官)など6名の軍人の計7人
両国合計13人構成とし、月2回の開催をする
・占領期特権①裁判権(地位協定)②基地権
・密約方程式 : 古くて都合の悪い取り決め
=新しくて見かけのよい取り決め+密約
・基地権密約文章
行政協定=地位協定+密約
・日米当局3つの裏マニュアル
①最高裁の「部外秘資料」(53.9)
②検察の「実務資料」(72.3)
③外務省の「日米地位協定の考え方」(73.4)
日本の最高裁は誕生してから一度も正常に機能したことがない。(占領下の砂川事件以来)
朝鮮戦争勃発で占領主体が連合軍から米軍に転換。
安保条約は憲法よりも上位に位置づけられる。
憲法9条は占領中に国連憲章(国連軍)とセットで書かれたが、ダレスのトリックにより独立後は日米安保条約とセットで存在するようになった。
裁判権密約・基地権密約・指揮権密約(戦争になったら自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う、吉田首相が1952.1954締結)‥‥完全に隠された日米の取り決めであった。
日米関係は「占領体制の継続」でなく、もっと悪い‘52「占領下の戦争協力体制の継続」であった。
占領期、1950年朝鮮戦争の勃発で、日米関係が大きく変形し(国連の理想から米軍の現実へ)、それが現在に続く。
作者は最後に戦後日本という国はアメリカ政府ではなくアメリカ軍部(米太平洋軍)によって植民地支配されている、早く日本の既得権益層(安保村の面々)を退場させてこの「不平等条約(体制)の改定」をすべき と結論づけている。牽強付会な部分も感じるが、これだけのことが広く国民に知られていないことに大いなる疑問を感じる。
自分の意見であるが
日米の政治家でも鳩山首相や民主党は勿論ライス国務長官ですら知らない軍事関連の異常な二国間関係になっている。決めた人・推進した人や知っていた人は責任が重い。これは国際法やルール、密約を武器とするアメリカの典型的な支配方式だ。
今更ながらの日本の国家統治・主権意識の前時代性、検察・最高裁の構造的欺瞞性に憤りすら覚える。
政治的手続きに多大な労力と混乱を伴うのは民主主義必然のコストだ。説明責任やディスクローズ、隠蔽の断罪等々徹底すべきだ。敗戦後混乱期の異常は早く正常化するべきでこれこそが政治の責任だ。
「密約」は企業活動に例えるなら粉飾決算と同じでトップは勿論関わった人はすべて犯罪者だ。
条約・密約当事者は勿論、合同委員会の参加者個人の人間としての良心はどうなのだろうか。
特に司法や外務省の高官は基地問題や沖縄住民の繰り返される犠牲に何を思うのか。そのような不平等な条約補完のために彼らは勉強・努力し出世して今の地位を得たのではないはずだ。「墓場まで持っていく」という考えにも繋がるが、自分の立場だけで国や国民を売るような行動の生き様に対して、彼らは棺桶に入る前に何を思うのだろうか。
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米軍が日本で好き勝手できる理由を暴露する漫画。
峰不二子みたいな謎めいたおねーさんが案内役になり、間抜けな編集者たちが真実を目撃していくストーリーになっている。
日本の政治家も知らない日米合同委員会なる会があり、そこで密約が交わされていて米軍は治外法権となっている。その密約を作ったのがマッカーサーに入れ知恵したアメリカ人。
米軍機が地上スレスレを飛行しているが、米軍の関係者が住む地域の上空は飛ばないことや、横田基地付近の大きな空間は米軍専用となっていて日本の飛行機は入れないことなどを紹介して、いかに米軍が好き勝手していて、付近の住民が苦しんでいるかを紹介している。
原作者が漫画に登場するが、峰不二子似の人や編集者たちは架空の人物らしいので、真実味が薄くフィクションに感じてしまう。もう少しなんとかならなかったのか。
問題を知るきっかけとして読むことをオススメします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日米間の不平等な関係やどうしてそのような状況になったのかは
歴史的経緯を含めてよく分かりました。
日本全土のどこにでも米軍は基地を作ることができるということや
横田空域のことなどは知らなかったのでそういった事実は
知る必要があるとは思いますし、あまりに世界標準とかけ離れた
日米関係は是正すべきだとも思いますが
この著者の目指したい場所が伝わってきませんでした。
結局戦争のない平和な世界というのが現状絵に描いた餅である限り
自国のことは自分たちで守るかそれが出来ないのであれば
米軍(国連)に守ってもらうしかないと思います。
ただ著者は今のままだと米軍の指揮命令のもと自衛隊が国内外で戦争行為を
行うかもしれないとも煽っています。
日本が現状の米軍支配から脱却した後、国防についてはどうするのか
という話になった際に自衛隊の軍隊化は避けられない議論だと思いますが
そこにはどうも反対のような感じを受けました。
結局どっちつかずで中途半端な印象を受けました。