窪田新之助のレビュー一覧
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元日本農業新聞記者でJAに鋭く切り込むジャーナリストである著者が、各地のJA(総合農協)において不正詐取や不正販売、自爆営業がはびこり、JAが真に農家のためのものになっていない実態を豊富な実例を交えて克明に記す。
身近にJA職員がいる(いた)ので、なんとなくそういう感じなのかなとは思っていたが、本書によりJAのかなり歪な実態を再認識した。現役JA職員からのたれこみと思われる動かぬ証拠も豊富に示されており、本書の内容は言い逃れできないものだと思われる。リスクもあるであろうに、これだけたれこみがあるというのは、それだけ職員にとってJAの実情が過酷なのであろう。身内のJA職員が心配になる。
本書でも指摘されているが、JAには、本来の協同組合としての在り方に立ち戻ってほしい。 -
Posted by ブクログ
わりと闇深そうだと思っていた農協の闇を知りたくて購入。著者が農協系の新聞(日本農業新聞)の元記者というのも中々に闇深いというか、ジャーナリスト魂を感じる。
かんぽ然り、商工中金然り、やっぱり金融系に過度なノルマを課してはダメだよなという率直な感想。この点だけは、自分の前の職場は極めて恵まれていたなと(その分人事考課は相当不透明だったが)。そして個人的には、自分が農業仕事で関わっていた秋田と和歌山のことがかなり書かれていて、非常に興味深かった。
前の職場で農協と仕事をしてた身として、農家のことを第一に考える素晴らしい+デキる職員が一定数いることを知っている一方で、そういう職員に仕事が余りにも寄せられることも知っている。そういった方々が報われる仕組みとなり、農家・農業全体にも良い影響が及ぶサイクルにこれから少しでも進んでいけば良いなと願うばかりです。 -
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日本の農家の平均年齢が2015年で66.4歳! 農家の実質的な定年は70歳ということから、この数年で「大量離農」が起きる事は確実という事らしい。意識した事なかった。
日本の農家の課題は、生産性の低さ。これは、国による減反政策から補助金が出る事やJAによる集団保護政策に一因があるらしい。また、大量離農により農地が余るという課題。こちらは、少ない農家で多くの土地を管理しなければならないとな。
これらの課題に対し、センサー付きの農機具による自動運転や、天候や収穫状況などのデータを活用している日本国内の取り組みがいくつもの取材から紹介されています。
農家は、経験と直感から、データ思考へ。
農家にとって大事なデータは、環境情報、管理情報、生体情報らしい。環境情報は、気象、土壌、水など。管理情報は、種子、農薬、肥料をまいた時期やその量、機械を動かしたログ情報。生体情報は、葉の面積、果実の糖度や酸度、収穫など。
ちなみにコメ農家の現状としては、1俵あたり一万六千円の生産費がかかるらしいのだが、10kgあたり二千七百円? これを2020年には、IoTとデータを活用して、一万円を切る目標のようだが、10kgあたりで考えると千七百円くらい。売価が変わらないなら農家にとって良い話。
この本では、IoTを軸にしているものの、農政に対する批判や、これまでの品種改良や、海外への輸出の重要性などの情報が提供される。
楽しかったのは、農家のガレージで、農家が独自に機械学習のテンサーフローを使って胡瓜の仕分け機械を作った話。
仕分けを画像でやる話自体は、ミカンとかで糖度の予想を20年以上前からやっていると思うけど、IT企業や農協肝いりではなく、農家の若旦那がお母さんのスキルを模倣して作ったというのが良い。実際には仕分けの機械の部分はこれからという事だったけど、これも、今頃、3Dプリンター使って作っていそう。
実際には、記事で読むよりめちゃくちゃ大変で地道な努力が色々あると思うんだけど、こういう人たちのおかげで自分の生活も成り立っているんだと、感慨を新たにしました。
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本屋でまとめ買いして、積ん読になっていたが、収穫の秋、読書の秋、楽しく読ませていただいた。
一言で言うと、日本の農業を悲観していないという事であろう。
その論点も的確で、的を得ていると思える。
書かれている内容について、具体的な事例では知っている内容も多くあったが、知らない内容、知らない方も多くいらっしゃり、狭い日本といえど、まだまだ多くの方が各地で活躍なさっていることを改めて知ることが出来た。
農業というのは経済指標となる数字だけで語るには難しいところがある産業である。
それは、命をかなり直接支える産業で有り、心を癒やす景観をつくることにも寄与することにもなっている。さらに日本ではあまり考えられていないが、自然環境を維持するためには必要な大きな要素となっている。
現在、新聞などのメディアからしか農業についての情報を入手なさっていない方にとっては、この本は非常に読みやすく、国内旅行にも誘う一冊となるであろう。 -
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JA対馬、全国JAで表彰されるほどの営業成績を上げ
『神様』 『天皇』と呼ばれた男性には
22億円超の横領疑惑があった
その男性 西島の死と事件の真相
小さな離島でここまでの巨額横領がたったひとりで
できるものなのか?
周囲の人々が気づかないはずはないのではないか?
違和感を抱き、著者である窪田新之助さんが
何度も対馬に足を運び
JAの構造、仕組み
営業に与えられる高いノルマ
西島の当時の生活や仕事ぶり、人となりなど
丁寧に取材されたルポ。
途中、JA仕組みや手口の説明が何度も書かれていて
読書のテンポが若干落ちそうになったけれど…
読み終わり
『村社会』『田舎の社会』『死人にくちなし』
そんなワードが次々に浮かぶ
神様と崇められいた男性の
虚勢を張った生き方は、寂しい人だな
としか思えない
なぜ横領に手を染めたのか
ただただ強欲で、豪遊して、
“お山の大将”みたいになって
それは本当に幸せだったのか?
自尊心の強さからか、
永遠に沈黙することを自ら選んでしまった事は
孤独で哀れでしかない
そして、
片棒をかつぎ同じくらい罪の重い人たちがいたはずで、 “西島が勝手にしたこと” と
何事もなかったかのようにしていることは、
まさに 『死人にくちなし』で
読後はなんとも虚しい気分
罪はしっかりと償い
真実を語る事を選んで欲しかったな
どう生きるか、どう生きたいか
考えさせられた。
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Posted by ブクログ
対馬のJAで神様と呼ばれていた西山の死からJA組織、対馬という小さなコミュニティの闇が暴かれていきとても読み応えがあった。日本で最も営業成績がよかった西山だが実際は自身で契約を変えたり不正申請で余分に共済金を得ていたことが発覚。西山だけでなく対馬のJA職員や長崎JA共済の職員、対馬の住民も西山の悪事に加担し利益を得て見て見ぬふりをしていたこと自体が問題。死人に口なしとはいうが西山だけが悪人のように吊し上げられるのも確かに可哀想。そもそもJAのノルマのせいで西山の暴走、職員の加担があったことから組織自体を改革しないと今後も不正が横行するかもしれない。
地域住民も判子や通帳を預けて結果西山に加担したことになりなんなら余分な共済金も受け取っているから共犯者になるんだよな、逆に言えば被害者がJA本部しかないからここまでバレなかったのか。 -
Posted by ブクログ
経済的に行き詰まる地方の閉塞感や、ムラ社会的人間関係に加え、金融業界独特の高圧的ノルマ文化が、人一倍の能力と負けん気と虚栄心を持った一人の若者を蝕んだ、何ともやりきれない事件の顛末である。
本書の中で重要な告発者の一人が発覚が遅れた理由として「被害者のいない事件であること」をあげているのだが、実際には全国の共済加入者が損害を広く薄く負担する被害者なのである。対馬という小社会から被害を外部化することで、内輪ではウィン・ウィンの関係を保つことができる、多くの人間が関わりながら長年事件が隠蔽されてきた背景にはそうした構造が見え隠れする。
ワンピースのフィギュアを前に自ら作り上げた「仲間」の物語に没入していた男は、そのストーリーを守り通すことができなくなったことで、実にあっさりと仲間から梯子を外されてしまう。
著者が投げる問いに対し、驚くほど無警戒であったり、はたまた内心の罪悪感から逆ギレしたりと反応は様々であるが、おそらく「普通の人々」の感覚は本書の取材対象の中にほぼ包含されているように思う。
つまり、この類の事件は日本中至るところに転がっているのではないかと感じる。だから怖い。