窪田新之助のレビュー一覧
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JA対馬で発生した巨額共済金横領事件の顛末を追ったノンフィクション。対馬という田舎で20億以上の被害額、膨大な架空契約数、そして単独犯の西山が自死など、強烈な異常性と話題性の割にほとんど報道されてなかったのが不思議だったが、そりゃ報道できねぇわ…と頷ける内容。
もちろん本書を以ても真相はすべて明らかになっていない。西山が綺麗に証拠隠滅を完了できた理由や、西山以前の同類犯罪、あるいは対馬以外のJAは本当に大丈夫か気になるところは多い。とはいえJAの構造や他のJAの様子など農業新聞出身という異色の経歴の著者にしか語れない部分も多く手落ち感はない。
閉鎖コミュニティ、西山の人柄、生々しい結末…単純に -
Posted by ブクログ
小説とは違って絶対的な悪がいない。現実に生きる人々の少しの欲が大きな事件を作り上げ、意図せず悪を生み出してしまったように思えました。
ノンフィクションなので名前は伏せ、横領の疑惑に掛けられ、海に身を投げた人物をA氏とします。
A氏が起こした大きな横領事件の発端はある恩義からだという。その恩義が小さな不正を生み、島全体に伝染していったそうだ。
「お願いされたから、付き合いだから。」
そう言い訳するように、罪に加担した人たち。
ムラ社会だなと思いました。
やがて、不正が明るみになり、A氏一人に全責任を擦り付けた。そしてA氏は全責任に背負い込み、海に身を投げた。
A氏はワンピースの主人公ルフィに -
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国境の島、対馬で起きたJA職員の自殺・・・。
実はこの職員は22億円もの横領の疑いが
ありました。
その手口は、顧客の契約を自由に改ざんして
契約金額を釣り上げたり、台風時の被害を過大に
申告したり、などで補償金を不当に受領していた
のです。
本来それら補償金は顧客の口座へ振り込まれるべき
ものですが、顧客の通帳を印鑑とともにこの職員が
管理していたというのですから驚きです。
なぜそんなこと可能であったのか。
それは島独特の、いや日本人独特の「持ちつ持たれ
つ」の人間関係が生み出したと言えます。
関係者のほとんどが、この補償金横領から何かしら
の恩恵を受けていて、「被害者がいない」 -
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ポインティのYouTubeで出てきたオススメ。
ポインティも言ってたけど、横領がテーマの物語って唆られる…
これ本当に実話?と疑いたくなるノンフィクション。筆者がインタビューを重ねるに連れ、主犯のJA職員、社内の協力者、JA対馬全体、長崎本部、対馬市全体と「実は〇〇もヤバかった」のスケールが広がっていくのが恐ろし過ぎた。
最後の方は作者も、完全に自殺した主犯のJA職員に同情してたけど、同じ気持ちになった。
お金で周りに良い思いをさせること以外の信頼関係の築き方が分からなかったんだろうなぁ。それが最後には誰にも助けてもらえなかったのが、悲しい。
最初はきっとただ真面目な営業さんだったに違いな -
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開高健ノンフィクション賞
人口わずか三万人の離島、長崎県対馬。
地図を見ればわかるが、近くの壱岐島と違い、平地がほとんどなく、漁業も衰退し、韓国からの観光が頼みの寂れた島。
そんなところで、JA対馬の小さな支店に勤務して共済(保険)を担当し、毎年のように、全国でも数人しか選ばれない「総合優績表彰」を受け、「LA(ライフアドバイザー)の神様」と呼ばれた西山義治。
その西山が、酒を飲んだ状態で、岩壁から車で海に飛び込み死亡した。
長年の不正が暴かれそうになった挙句の自殺だと思われている。
西山の年収は数千万円で、西山軍団という取り巻きを引き連れ、贅沢な暮らしをし、まさしく「天皇」のようだった -
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ネタバレ先日職場で本作品の話題になり、再読。
長崎県対馬で、JA職員が車ごと海に沈んで亡くなった。亡くなったJA職員とJA内で行われていた不正に関する内容であり、関係者らへの取材でまとめられた一冊。
実際に起こった出来事。
JA内での不正について、本当にこんなことが起こっていたのかと疑いたくなるような内容。どんな理由があったとしても、職員のやったことは許されないことだと思うし、組織の対応に憤りを感じた。
事の背景、職員の環境等考えると胸が締め付けられるような気持ちになった。
どんな人も犯罪に手を染める可能性があり、組織はあっという間に腐りきってしまう可能性があることを肝に銘じておきたい。
後 -
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ネタバレかつてJAの共催部門で「LAの神様」と呼ばれていた男が死んだ。その男がしていた悪事を調査していくと、裏にはさらに大きな影が見えてくる。それはまさに、JAグループであり、対馬に住む住民という「共犯者」だった。
西山が行っていた不正の数々や周囲に対する仕打ちは決して許されるものではないが、それを気づいていながら見逃し美味しい部分だけ貰っている共犯者たちはいまだにのうのうと生活している。
このJAや対馬の実態だけではなく、日本の村社会に広く言える現象だと思った。
周囲の親しい人間にいい顔ができればそれでいい。たとえそれが法に触れる行為であったとしても、黙っていれば問題ない。結局うまく使われた人が責任 -
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長崎県の離島、「対馬」を舞台としたノンフィクション。内容は、JA上対馬支店のある職員の不祥事に関するものであったが、読み進めるうちにとんでもない背景が見えてきた。
JAでエースとして「天皇」などと呼ばれ、カリスマ性を存分に発揮し全国一の成績を取る西山義治。
既に疑問であったのが、対馬の離島で全国一の成績を出すことが可能なのかというところだ。保険の新規契約や災害申請等でたまたま一位を取ることが一度あったとしても、毎年の常連になるには何か裏があると思ってしまうし、すぐに発覚しそうなものである。
しかし、JAの体質としてなのか、地域性もあるのか不正はなかなか明るみに出なかったようだ。告発も握り潰 -
Posted by ブクログ
2026.03.22
まず驚くのはこれがノンフィクションであるということ。だって「冷静に」考えれば、対馬だけ、共済の事故の給付金が莫大に出金され続けるわけがない。
地元では彼を悪くいう人はいないらしいが、そりゃそうだ。簡単にいえばJA共済の掛金を本土から対馬へ多く流し込んでいるのだから。だから、この本には書ききれないところで、この事件が「落とした」お金で対馬経済が循環していた部分もあると思う。すると、これから対馬は緩やかに衰退し続けていくと思う。
この本では、主人公をはじめとする「悪い奴ら」の描写が多く、カネの大きな視点での流れについてはぼんやりとしている。
そんないちゃもんをつけてみたものの -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
しかし、地方の営業所で営業職として働いたことのある人間ならば多かれ少なかれ顧客との共犯関係の構築による信頼関係を築くことや実績を上げるためにコンプライアンスのグレーゾーンを行き来することは業界は違えど見聞きしたことはあるので、この著者の驚きや意外性みたいなものにはそこまで共感できなかった部分はある。
とはいえ、この保険金分配システム?は島内の人脈ネットワークとそこに書類上生まれる「リスクの商品化」を利用したある種の島内の「産業」のような状況になっているとも思えたし、その調査、取材力でここまで状況を解き明かすのはすごい。
自分は「〈賄賂〉のある暮らし 市場経済化後のカザフスタン」を