窪田新之助のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026.03.22
まず驚くのはこれがノンフィクションであるということ。だって「冷静に」考えれば、対馬だけ、共済の事故の給付金が莫大に出金され続けるわけがない。
地元では彼を悪くいう人はいないらしいが、そりゃそうだ。簡単にいえばJA共済の掛金を本土から対馬へ多く流し込んでいるのだから。だから、この本には書ききれないところで、この事件が「落とした」お金で対馬経済が循環していた部分もあると思う。すると、これから対馬は緩やかに衰退し続けていくと思う。
この本では、主人公をはじめとする「悪い奴ら」の描写が多く、カネの大きな視点での流れについてはぼんやりとしている。
そんないちゃもんをつけてみたものの -
Posted by ブクログ
手配した時はわかってたはずだけど、手に入れたときは本の内容をすっかり忘れ、
タイトルを見て、対馬の海にまつわる小説、と思ってしまった。
TBS日曜劇場の「海に眠るダイヤモンド」の影響か。
読み始めてすぐ気づく。これは実話つまり著者の取材に基づくノンフィクションだ。
内容は、、凄まじい。
一台の乗用車が海に突っ込み、運転していた男が死ぬ、というところから話は
始まる。その男が、JAで何年も売上日本一になる優秀な営業マンだった。
対馬のような人口の少ないところでどうして?
取材を重ねるうちに、彼がやってきたことがどんどん暴かれる。不正だ。
何か月か前に読んだゆうちょ、かんぽの不正が被る。
そして、 -
Posted by ブクログ
舞台は、農協、その中の小さな集落の凝縮された対馬という舞台で1人の輝く栄光を手に入れた営業職員の死からその謎が解明されていきます。
第六章までで描かれた西山氏の「ワンピース・ルフィへの憧れ」や「妹への慈愛」は、本来なら「仲間のために身体を張るリーダー」という美徳として機能するはずでした。しかし、組織(JA)が求めたのは、その高い忠誠心と「利他の精神」を、過酷なノルマを達成するためのガソリンとして消費することだったように見えます。
「生贄」となった西山氏は、仲間のために、弱い者のためにと動く彼のエネルギーが、結果として組織の不正(架空契約や名義借り)を回す唯一のエンジンになってしまった皮肉 -
Posted by ブクログ
JA対馬で起こった20億円超の大不祥事の真実を暴いたノンフィクションですが、すさまじい一冊でした。
事件は、JA対馬の職員で、日本一の営業マンであった西山義治が自ら運転する車で海へ転落し自殺した事件の真相を追った内容ですが、とにかく闇が深すぎます。
この書籍の前提として、日本に約500あるJAの単協の8〜9割は農業部門で赤字になっており、その経営は保険(JA共済)と金融(JAバンク)で成り立っています。ただ、想像に難くないと思いますが、保険も金融も、基本的には大手保険会社や金融機関と比較すると、サービスの魅力に欠けているため、衰退が続いています。
じゃあ、そんな中でJAはどうなるの?と言 -
Posted by ブクログ
運命の中に生きる人間の無力感を強く感じた。
JAの職員であった西山の巨額横領事件。読み始めた頃は、この横領事件の裏に西山の巨大な悪意があるのかと思っていたが、読み終えてみて、もう悪意があったかどうかなんてどうでも良いと思った。もし西山が善意を持って仕事に邁進していたとしても、同じ結末になったのだろうと考えている。
隣り合ってはいるが噛み合ってはいない大きい歯車たちの隙間に、西山という小さい歯車が入ることで、全ての歯車が噛み合って巨大な動力になってしまう。そんな話だった。
西山の死も、もしかしたら最初からそうなる運命だったのかもしれないし、歯車としての運命に精一杯抗った結果なのかもしれない -
Posted by ブクログ
読んでいて気分が悪くなってきた。
組織として腐っている。そして誰も責任を取っていない。取らされていない。
よく平気な顔をしてのうのうと生きていけるなと思う。
無理なノルマを押し付ける上層組織が一番悪い。その無茶に悪事に手を染めてでも従っていかなければならない下の者は本当に悲しい。悪事を見て見ぬふりをして保身に走るのが悲しい。
そんな中でも告発する人がいたのは救いだ。尊敬する。でも左遷されたり、酷い目に遭わされたり。
悪い人が大手を振り、威張ったり、儲けたりするのが本当に悔しいが、今も昔も、地域でも国でも普通のことなのだろう。
「ムラ社会」に「田舎のヤンキー」
さもありなんという感じだが、日本 -
Posted by ブクログ
この本を読んでいる最中にいつもは横目で見て通り過ぎている大手町のJAビルに入ってみよう、ふと思いました。地上37階の堂々たるタワーです。もちろん用があるわけではないので覗いたのはロビーだけですが受付の背後には大きなJAのロゴ、そしてその隣には「全国農業協同組合中央会」「全国農業協同組合連合会」「農林中央金庫」「全国厚生農業協同組合連合会」「全国農林漁業団体共済会」の文字が石碑の文字板のように掲げられていました。シンプルなデザインのJAロゴとミルフィーユのように重ねられたパッと見わからない漢字の羅列が、本書で描かれているその組織の複雑さを示しているように感じました。日本の経済の中心地のガラスの塔