窪田新之助のレビュー一覧
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人口も農産の規模も少ない対馬を地盤とするJAで類稀な実績を残した挙句、それは不正によって手にしたものであることが明るみに出つつある中で亡くなった職員の裏側に迫るノンフィクション。
ノルマ至上主義によって組織的に不正がなされていたという点だけではなく、さらにその裏で組合員たちも知らず知らずのうちに不正に加担していったという、より深い暗闇が明らかにされる。
不正に手を染めた職員とそれに加担した組合員たちは、職員が保険金を過大に給付する等の便宜をはかる代わりに、彼が不正な手段で金銭を手にしていることは口止めしておくという暗黙の了解があった。そうした持ちつ持たれつの関係が重層的に積み重なった状態は、そ -
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オーディブルで聴きました。
全部実名で書かれているということがすごい。私的には罪に問われてもいいのでは?というレベルの人も出てくる。
西山の義理母なんて黒幕感があるし、妻が裁判しているのもこの人がやらせていると感じさせる。醜悪だったと書かれた人もわかる人にはわかるだろう。ノンフィクションとはいえ、作者は恨まれそう。読者にとっては面白いけれど。大丈夫かな。
私はすぐ影響を受ける人なので、すっかり私の中で、JAは悪い団体認定された。仲間由紀恵もかわいそうに。
保険会社のトップセールスの人も、真っ当にやってたらトップにはなれないのだろうと確信。昔、保険のセールスの女性が新入男性社員全員にネクタ -
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第22回開高健ノンフィクション賞受賞作とのこと。対馬のJAで起きた巨額の横領というのか不正な共済金請求の実態を追ったもの。ノンフィクションというけど、どのくらいのものなんだろうと思ってしまうほど小説のような一件だし映画にしてもいいような(そう、ドラマよりちょっと暗いトーンでも通じる映画のほうが向いている)。仮名で出ていたとしても小さな対馬のことだから対馬を知っている人が読めば誰のことがわかってしまうのではなかろうか。
共済金詐欺の中心的な人物として描かれる西山は、確かに巨額の不正をはたらき蓄財もしたが、最期が最期ということもありとても幸せだったように思えない。一時は権勢を奮ったにせよ、そのよう -
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仕事柄、農協と言うワードはよく聞くのですが、自分としてはあまりいいイメージがなかった。そこで本書を読んでみたのですが、自分の想像をはるかに越えるくらいに「怖い」「ひどい」話しが満載されていました。完全にお客様(組合員)をバカにしている。「農協さんの言うことなら」とおじいちゃんおばあちゃんは信用する。その信頼を利用した「えぐい」商法だと思います。その上、従業員による不祥事のオンパレード。『不祥事の元凶は過大なノルマにある』というのをなぜ農協の経営者らは気づかないのでしょう?
普通の企業ならとっくに信頼失墜で淘汰されて下手もすれば潰れてしまうだろう。
自分のあまり良いイメージを思ってなかったてこと -
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Posted by ブクログ
元日本農業新聞記者でJAに鋭く切り込むジャーナリストである著者が、各地のJA(総合農協)において不正詐取や不正販売、自爆営業がはびこり、JAが真に農家のためのものになっていない実態を豊富な実例を交えて克明に記す。
身近にJA職員がいる(いた)ので、なんとなくそういう感じなのかなとは思っていたが、本書によりJAのかなり歪な実態を再認識した。現役JA職員からのたれこみと思われる動かぬ証拠も豊富に示されており、本書の内容は言い逃れできないものだと思われる。リスクもあるであろうに、これだけたれこみがあるというのは、それだけ職員にとってJAの実情が過酷なのであろう。身内のJA職員が心配になる。
本書でも -
Posted by ブクログ
わりと闇深そうだと思っていた農協の闇を知りたくて購入。著者が農協系の新聞(日本農業新聞)の元記者というのも中々に闇深いというか、ジャーナリスト魂を感じる。
かんぽ然り、商工中金然り、やっぱり金融系に過度なノルマを課してはダメだよなという率直な感想。この点だけは、自分の前の職場は極めて恵まれていたなと(その分人事考課は相当不透明だったが)。そして個人的には、自分が農業仕事で関わっていた秋田と和歌山のことがかなり書かれていて、非常に興味深かった。
前の職場で農協と仕事をしてた身として、農家のことを第一に考える素晴らしい+デキる職員が一定数いることを知っている一方で、そういう職員に仕事が余りにも寄せ -