岡野原大輔のレビュー一覧
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大規模言語モデル(LLM)について、またいわゆる(人口)知能とは、どのような理屈で動作しているのか?、について、その大まかな歴史、また正確な理論の解説と、わかりやすい(ただ決して万人向けではないが…)、技術的な興味を惹かれる記述を含む形で書かれた、優れた技術書であると思う。
私はかつて、学卒後約8年、いわゆるIT業界に身を置き、またその後業界こそ異なれどITに関わる仕事に長年従事してきた。ただ数年前にセミリタイアのような形でかの業界からは身を引き、ちょうど時を同じくしてChatGPTに代表されるような人工知能(AI)(LLM)が世間の耳目を集める時代になったように思う。そのような「自分の仕事 -
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幻覚の克服はできるのか…頻度を減らすことはできるのだろうけど、ゼロにはできないのだろうなと思う。GoogleのBERTモデルの基本思想が分かった。「苦い教訓」面白そうで読んでみたい。結局、モデルとか手法を人知を加えてこねくり回すより計算能力(とデータ量?)で殴った方が良い精度が出るっぽい、ということか。モデルサイズの冪乗則と創発現象。モデルの重みパラメータは学習時以降固定だが、自己注意機構がパラメータを一時変更したかのように挙動するためメタ学習として本文中学習が可能となる。そしてRLHFによるモデル修正。
AIの適切な利用には人類の倫理観の成長が求められるフェーズになってきているが、この分野を -
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※ 出版社さんよりいただきました,また,著者と面識がありますことご承知おきください.
シリーズ1巻目の『「正解」を導くメカニズム』に続く,岡野原さんによる深層学習の解説本.1巻目よりも発展的な内容を,ギュッっと圧縮して説明した本.1巻目より高度なので,機械学習を初見の読者を対象とはしていないようだ.教科書で機械学習を一通り学んだ人が深層学習の情報を得るにはとても便利な本.新しい拡散モデルまで紹介されていていることに驚かされる.
第1章:第1巻で紹介しきれなかった,学習の改良手法を一通り紹介している
第2章:深層学習が,データを一般的な状況にうまく汎化できる理由は,理論上の大きな問題として -
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※ 出版社さんよりいただきました,また,著者と面識がありますことご承知おきください.
深層学習に関する多くの技術的知見を少ないページ数に凝縮している.非常に多くの情報が取り上げられているが,それぞれは概要の説明になっている.
深層学習についてこれから知りたい人には,全体を俯瞰するための本で,さらに理解を深めたい話題を見つけて,他の資料にたどり付ける.ある程度知っている人には,思い返すときの辞書となると思う.
詰め込んであるので雑多になりやすいが,各章の始めに図で,最後にまとめの章を設けていて,主張したいことが明確にするといった工夫がなされている.
各技術要素について,それがどうしてうま -
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ディープラーニングの基本となる考え方から最新の発展まで知ることができる。
【概要】
●機械学習の基本
●ディープラーニングで最近注目されている手法
●ディープラーニングの歴史と現在、今後の展開
【感想】
●本書に書かれているとおり技術解説書であり入門書ではないため、ディープラーニングを知らない人は他書で勉強してから読む必要がある。言い換えると、この本が難しすぎると思う人はしっかり入門書を読んで勉強した方がよい。
●体系的にまとめられているため、検定合格者やディープラーニングを学習したことがある人にとっては非常に理解しやすく、ためになる本だと思う。
●今後も技術進展に伴い、バージョンアップし -
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プリファードネットワークス(PFN)創業者の2人、西川・岡野原が綴ったこれまでの軌跡と、行動規範・未来についてである。
PFNはAI技術を扱う会社でありソフトウェアとハードウェアの融合、AIを扱うロボットを目指す企業だ。
個人的には、GAFAに蓋をされたような日本において、未来に希望を抱くことのできる内容だった。
まさにGoogleのように研究開発重視の姿勢で20%のリソースを自由な研究に割き、組織も同じ方向性に立つ人材に限って採用する、まさに前に進み続けるためにある企業だ。
コミュニケーションを重視する姿勢も良くあるIT企業とは異なると感じる。
表題にもある当社のバリューのうち、Lea -
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プリファード・ネットワークスの沿革や概念について創業者の視点から書かれている。
会社が掲げる主な理念として4つほど挙げられてる。
Motivation-Driven (熱意を元に)
Learn or Die (死ぬ気で学ぶ)
Proud, but Humble (誇りを持って、しかし謙虚に)
Boldly do what no one has done before (誰もしたことがないことを大胆に為せ)
この4つ、確かに大事だなという気がするし、真っ当なことは大きい会社がさっさとやってしまう。だからこそできるかできないか分からないところに挑戦するといった姿勢は好感が持てた(それができるような -
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言語処理(離散的)を除く、連続的な動画、音声、画像の生成AIの現状の技術レベルを数式を使わず、説明している。あくまで現状なので、まだ汎化にはいたっていない。
難しかった、分からなかったという感想が多いが、私にはよく分かった。
理由を考えると、
1.熱力学・統計力学の知識があった。エネルギーや分配関数への理解が容易になる。
2.多様体、対称性など現代数学の知識があった。
3.計算量や並列処理など計算機工学の知識があった。
4.物理的な意味での位相配位空間の知識があった。
5.流体力学の知識があった。
などが挙げられる。
しかし、本書では喩えを用いながら、簡便に説明されているので、前提知識はいら