竹村猛のレビュー一覧
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アレクサンドル・デュマ
1802-1870フランスの作家.放任された幼少時代をおくったが,パリに出て公証人の書記をつとめながら書物に親しみ,戯曲を書いて成功する.七月革命で革命軍に身を投じるなど,すすんで政治運動にも加わった.戯曲のほかに,紀行,歴史小説,短 ,童話など, 200以上の作品を残したが,協力者との共同作業によるものも少なくない.小説は,劇的な展開と生きいきとした会話が特徴.『モンテ・クリスト伯』とならんで『三銃士』が有名.
編訳者 竹村 猛(タケムラ・タケシ)
1914-1987フランス文学者.バルザックを主として,フランス 19世紀文学を研究.訳書に,バルザック『三十女』,デュマ『三銃士』,モーパッサン『男ごころ』,ラクロ『危険な関係』などがある.
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「しかたがないさ、エドモン君。われわれはみんな、一度は死ぬのだ。古い者は新しい者にその席をゆずらねばならない。それがなければ、進歩ということはあるまいさ。それに、とにかく君もいってくれるように、積み荷のほうは 」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「そう、それは知っているよ、メルセデス」と、青年は答えた。「だけど、カタロニヤ人たちのあいだでは、カタロニヤ人どうしで結婚するというのが、神聖な掟になっているのを、君は忘れているのかい」 「それはあなたの思いちがいよ、フェルナン。それは掟なんかじゃなくて、たんなる習慣だわ。そんな習慣を、自分の都合のいいようにお取りにならないで。あなたは兵役にはいっているのよ、フェルナン。今にも召集がくるかもしれないわ。兵隊になったら、あなたはこのわたしをどうしてくださるの。財産もなく、あるものといったら朽ちかけたあばら屋ひとつの、あわれなみなしごのこのわたしを」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「かまわないさ、メルセデス。どんなに君が貧乏でひとりぐらしだといったって、マルセイユのどんな大きな船主の娘やどんな金持ちの銀行家の娘なんかよりも、ずっと君のほうがこのぼくにはふさわしいんだ」 「フェルナン」と、メルセデスは頭をふりながら答えた。「友情だけでがまんしてちょうだい。くどいようですけれど、わたしがあなたにお約束できるのはそれだけです」 「そうか、わかった」と、フェルナンはいった。「君は自分の貧乏にはじっと堪えているが、このぼくの貧乏はおそろしいんだ。いいとも、メルセデス、君が愛してくれるなら、のるかそるかやってみよう。君が好運を持ってきてくれるんだ。そうしてぼくは金持ちになるよ。このまま漁師の仕事をひろげてもいいし、事務員になって銀行にはいってもいいし、商人になったっていいんだ」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「いいかね、ダングラール」と、カドルスは友人に目くばせをしながら、「このフェルナンという男は、善良で勇敢なカタロニヤ人で、マルセイユ一番の漁師なんだが、これがメルセデスという美しい娘にほれているんだ。ところが、残念ながら娘のほうでは、ファラオン号の一等運転士にくびったけ。しかも、そのファラオン号がちょうどきょう入港した、ということさ。わかるかい」 「気の毒だな」と、ダングラールはいかにも心から青年に同情したようなふりをしながら、「この男は、ダンテスがこんなに急に帰ってくるとは思っていなかったんだな。おそらくダンテスは死んだか、それとも心変わりしたんだ、と考えていたわけだ。こうしたことは、突然やってくることだけに、それだけいっそう身にしみるというものさ」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「司祭は微笑をうかべた。 「人間の学問などは、かぎられたものだ。数学と物理学と歴史と、それにわしの話せる三か国語か四か国語を、君に教えてあげたら、それでわしの知っていることは終わりだ。それをそっくり、わしの頭から君の頭につぎこむのに、二年とはかかるまい」 「それでは、はじめになにを教えてくださいますか。わたしは学問にうえているのです、早くはじめたいのです」 「なにもかも教えてあげるよ」と、司祭はいった。 その夜すぐに、ふたりの囚人は教科案を立て、翌日から実行にかかった。ダンテスは、おどろくべき記憶力と、異常なまでの理解力とを持っていた。彼にとって有益な日々が、数えるともなくすぎていった。一年たつと、彼はまったく別人のようになっていた。」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「ある夕方、ふたりがいつもいっしょにいた近くの樅の林から、ほんとに狼が出てきました。狼は十歩も走らぬうちに、撃ち殺されてしまいました。ヴァンパは意気揚々と、狼を肩にかついで農園に帰りました。これが付近の評判になりました。すぐれた人間というものは、どこにいても、一群の賛美者を得るものでございます。この若い羊飼いは、このあたり十里四方でいちばん腕のよい、いちばん強い、いちばん勇敢な若者だ、といううわさになりました。テレサのほうは、もっと広いうわさで、サビーヌいちばんの美しい娘だとされていましたが、ういたことばをかける者はひとりもおりません。娘がヴァンパに愛されていることを、みんな知っていたからでございます。テレサは十六、ヴァンパは十七になっておりました。 」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
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18歳のころ、船長への昇進と結婚を目前に彼を妬む者たちにより貶められ、犯罪者とされ、孤島の土牢に収容された、エドモン・ダンテスは14年後に奇跡の脱出を果たした。
そして「モンテ・クリスト伯」という謎の大金持ちとして、かつて彼に陰謀を働いた知人やその息子たちに復讐を計画する。彼にかつて陰謀を働いた者たちは狡猾に立ち回り、成金、新参者の貴族になっていた。モンテ・クリスト伯は社交界にデビューし、華々しいジェントルマンとして注目されながら、じわじわと彼らに近づき、着々と復讐の足場を固めていく。
まだどんな形で復讐するのか分からないのだが、少しずつ少しずつ化けの皮を剥がしていく過程は探偵物のようでスリルがあり面白い
フランス革命、ナポレオン帝政、王政復古という激動時代だったからこそ、人生大逆転ドラマも実際にあったんだろうな。 -
Posted by ブクログ
もはや半世紀以上前になるでしょうか。その頃、世界文学全集を持っていて、その中に同じ題名の本・・確か厚い本で3巻に分かれていたと思います。
それを読み始めてから気になって夜もろくに眠れなかったくらい。
そして読み終わってからしばらくほかの本を読めなかった‥‥
もっと子供の頃はラジオで、巌窟王 として放送されていて、
♫牢屋の石の壁は俺の心を知っている 虚しく過ぎた14年 忘れられないこの恨み♫
多分誰も知らないと思いましたが、私は鮮やかに思い出してしまい、読み始めました。少年文庫というのを複数の中から選びました。
そして「上」を読み終えました。
薄い記憶の底にあったものが少しづつ浮かんできました。
早く読み終わりたい‥‥ -
Posted by ブクログ
勧善懲悪の復讐劇。
冒頭のエドモンが嵌められるところで、もう腸が煮えくり返っていたということで、この作品の読者を引き込む力は相当なものだと思います。きっとエドモンがなんの汚れもない無垢な好青年として完璧に描かれているからでしょう。
登場人物は多いようだけれど、それぞれ性格がはっきり分けられているのであまり混乱はしません。(とはいっても、私はダングラールとヴィルフォールが中巻まで混ざっていました。まあ名前が似ているからということで)
読者としてはばっさばっさと悪者を血祭にあげて復讐を完遂させることを期待するのですが、途中でエドモンが迷い始めるところで若干イライラします。でも読み終わる頃には、その迷いも含めてエドモンの人の良さというか、悪人ではないという人物設定に救われるはずです。残酷な復讐だけでは、エドモンの魅力が半減してしまうもの。
この頃のフランス文学は因果応報が鉄板のテーマだったのでしょうか。「赤と黒」然り、私の性格に合っているので、この時代に焦点を絞って他も探してみたいと思います。
ということで、非常におもしろい作品でした。不朽の名作、納得。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ銃士隊に入ろうとフランスの片田舎からパリにやって来た若者、ダルタニャンが、友人となった三銃士と波瀾万丈の生活を送りつつ、やがて銃士隊長になるまでのお話。それ以降の続編は、また別の物語として語られる。
個人的に今まで読んだ中で一番好きな冒険活劇小説。発生する事件はいちいち突拍子もないのに、最後の最後にはきちんと収まりが付くのが凄い。ダルタニャンと三銃士のアトス、ポルトス、アラミスはそれぞれかなり違うタイプのキャラクターなので、読者にはそれぞれの贔屓が出来そうだが、私は落ち着いた雰囲気のアトスが纏め役と思いきや、単体では相当の無茶をやらかす辺りに惚れた口。
差し当たって冒険活劇が好きなら、余程のフランス嫌いでなければ読んでおけと思う。