榎本憲男のレビュー一覧
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DASPAシリーズ第一弾は、巡査長真行寺弘道シリーズの1作目とリンクする内容。こちらは、吉良大介の目線で語られる。
真行寺弘道シリーズでチラッと登場した長身でイケメン、バイオリンも嗜むエリート警察官僚・吉良大介。国のために働き、日本を良くすることを本気で考える姿に官僚として完璧な姿を想像していた。
この作品では彼の意外な弱点、女性に弱いところが露呈。ハニートラップにかかったり、真行寺の上司である水野にもキツく当たられたり、女性関係の受難が続く。
それでも吉良の青臭いまでの国家観には、個人の自由を何よりも大事にする真行寺よりも個人的に共感する。
作品では現実より先にスパイ防止法案が委員会を通 -
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53歳ながら巡査長、警視庁捜査一課ヒラ刑事・真行寺弘道。バツイチ。ロックと自由を愛する男。単独行動ばかりで上司からの受けは悪い。だけど、その捜査手腕で捜査一課にいる。
この異端の刑事が主人公のシリーズ第一弾。
冒頭から漂う不穏な空気。最初の事件が真行寺によってあっさり被疑者確保されるのも名刺がわりのジョブ。メインは国会議員の変死事件。その死が発端となって暴かれていく大きな陰謀。そこに謎のハッカー・黒木とのニコイチ(相棒)で挑んでいく真行寺。面白すぎる。
そしてこの作品がただならないのは、事件解決だけでも、いわゆる社会派だけではないところ。
真行寺と黒木の間で繰り返し交わされる「自由」に関す -
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ネタバレ本シリーズの3作目となる本作、相変わらず安定の面白さです。今回はフェミニズムや男女の性差、LGBTといったあたりに絡んだ事件が起こるのですが、こういった社会系トレンドネタが織り込まれているのも毎度のお約束、著者の視点の鋭さがうかがえます。
フェミニズムや性差に関する登場人物の持論や真行寺、水野が展開する論については少々難しいところもあるので、この点、個人による好みがわかれるところかもしれません。
とはいえ、そういった点を差し引いても本シリーズの魅力が色あせることはなく、真行寺の鋭い観察眼や仮説構築力は相変わらずですし、黒木のハッキング技術も手伝って事件が解決されてゆく展開、そしてこれも毎度のこ -
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最新刊の新聞広告で本シリーズの存在を知り一巻に遡って読んでみましたが、ちょっとした掘り出しものを探り当てたような気分です。
主人公の真行寺がなんともイイ感じに脱力して自然体で飄々と捜査を進める姿がかっこいいですね。53歳にして巡査長(警察内部の階級制度の詳しいところはわかりませんが)、出世をあきらめた一見アウトローに見えなくもないが、実は実力は折り紙付きで、それゆえ捜査一課に在籍しているという”強者”。
本作では真行寺が必要と考える”自由”と、政府レベルで個人を管理(=自由を奪う)しようとする企てのせめぎあい、ひょんなことから知り合った黒木の自由に対する価値観も真行寺のそれとは対立している、さ