あらすじ
53歳の真行寺弘道は、「巡査長」という肩書きが警視庁捜査一課で異例なだけでなく、きっちり公休を取り自宅のオーディオでロックを聴くのが楽しみという、刑事としてはかなりの変わり種。捜査の「お約束」である所轄刑事との相勤を避けて単独行動するなど、型破りな行動・言動で知られている。これまた異例ながら、キャリアで捜査一課長の水野玲子警視に命じられた真行寺は、八王子の高級老人介護施設で起きた入居者死亡事件を捜査する。AI搭載の人型介護支援ロボットが関わっているらしいその事件を調べるうちに、真行寺は、自らの職業を「ハッカー」と称するオーディオマニアの青年・黒木良平と親しくなった。同事件の捜査が一段落したところに、水野課長から連絡が入る。元警察官僚で衆院議員の尾関一郎が新宿のホテルで変死したという。捜査を進めるうちに、この事件の背後に政界・芸能界・反社会的勢力などが連なる大きな組織の存在をかぎ取った真行寺は、黒木の力を借りて真相に迫るが――。
ゲノム編集や文明社会など幅広くリアルな知見に裏打ちされた、圧倒的なスケールの痛快エンターテインメント!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2018年初版。元政権を彷彿とさせる政府発の不正行為。警察内部の管轄と対立。ハッキングによる情報漏洩。真実は陽の目を見るのか、捕まらずに正義を通せるか、冷や冷やドキドキのスリル感がたまらない。一気に読み通してしまった。
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自由って、何でしょうね。真行寺さん。
お金を払って、得た自由は本当の「自由」なのか。
国の考える自由とは、本当の自由なのか。
とある議員殺害事件から紐解かれる、国家による全国民家畜化計画。
本当はそんな名前ではないが、そう言わざるを得ない計画だと感じる。もしかしたら現実でもすでに計画は進行しているかもしれない。
国にDNAを把握され、個人の嗜好、能力、将来の全てにレールを敷き、無駄な労力を費やして実らない努力を削減すると言う。
病気もDNAをつぎはぎして発症させないようにする、素晴らしい計画だと国は言う。
それを国は「全国民が安全に豊かに過ごせる素敵な未来」と謳う。
とても素晴らしい。同性愛者、潜在的な犯罪者、先天的障碍者は全員処分される素敵な選民国家になるだろう。
こんな未来がないことを祈る。
Posted by ブクログ
久しぶりの日本警察小説
53歳で巡査部長(ほぼ平社員らしい)という階級で、バツイチ、オーディオ狂、署でも浮いてる自由人な主人公の警察小説
一章でスーパーハッカーの黒木と出会ったあたりで「また、ハッカー出てきた」とやや構えてしまった。
「ミレニアム」や「パードレはそこにいる」「フェイスレス(から続く警察物のシリーズ)」に見られる「スーパーハッカー万能大解決」な展開になったら嫌だなぁと…不安になったが、結果的に主人公の魅力に目を向けて読むことができた。
ハッカーの得た情報はヒントでしかなく、手段としては違法なので正式な証拠としては使えない分、裏を取ることに苦心したり根回しをしたり言い訳を考えたりと頭を巡らせて捜査を進める姿は良かった。別の意味で何でもできるスーパーハッカー黒木も良さげ
二人が音楽好きの要素もまた、アナログ派の真行寺とデジタル派の黒木の対比で面白い。味わう様に音楽を聴く、楽しむ感じが日々消耗品の様に聴く私にとっては羨ましい。
ちなみにジョージ・オーウェルの「1984年」のネタバレがありますのでお気をつけください。
Posted by ブクログ
いやー、面白かった!!
警察組織の枠組に収まらない変わり種系刑事の真行寺と爽やか好青年だけど凄腕なハッカー黒木のやりとりを活字で読むのが、まー捗る捗る。帯にも書いてあったけどキャラの造形が良いんだよなー。黒木の驚きの「正体」が明らかになる後半から怒涛の伏線回収を経て辿り着くラストまで、時間を忘れて読み入っていた。
Posted by ブクログ
面白かったーー!!
そんなに期待してなかったのだけど、夢中で読んでしまった。
真行寺がヒーローではなく、普通のおじさん刑事のところが良かったなぁ。
実際、こんな刑事はいないのだろうけど、物語の中の人物としてはとても良かった。
ひねりが効いていて良かった。
Posted by ブクログ
榎本憲男『巡査長 真行寺弘道』中公文庫。
オーディオマニアでロックフリークの53歳の刑事・真行寺弘道を主人公にした奇妙な警察小説。
ひねりが効いたストーリーと主人公の人物像が秀逸。全く油断も隙も無い展開と様々なジャンルの音楽に関する蘊蓄に最後まで楽しめた。特に黒木のハッカーとしての活躍が面白い。果たして、続編はあるのか…
介護支援ロボットの暴走による殺人事件と元警察官僚で衆議院議員の尾関一郎の変死事件を捜査する真行寺弘道は天才ハッカーの黒木良平とタッグを組む…次第に見え始める巨大な陰謀と黒木の正体…
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エアー3.0の表紙に惹かれ手に取り、その前作の2.0から読み、世界観と物語の上手さ、イデオロギーの強さに楽しみ、
同じ作家で評価の高さから手にとってみる。
タイトルが凡庸オブ凡庸で、正直期待してなかったのだが、
警察小説としての、ミステリーの強さや、警察組織のうんぬんなんてレベルではない、
・出世を捨てることは自由なのか
・情報社会で、情報を捧げ管理されることは楽だが、不自由なんて言うが、それだって楽に生きられれば良いのではないか
・安全と健康と自由と管理と不自由と欺瞞と正義
ミステリーとしての公平さで言えば0点。
主人公の出世は捨てたが操作能力は高いという設定も、店員と客を間違えて傲慢な態度でものを聞いているという導入から既に瓦解。
捜査のキモはほとんど他人任せのハッキング。
だがまったく本を放り投げる気にならず、むしろどんどん惹かれていく。
エンタメとしての強さと、考えさせられるイデオロギーへの一石に、最後まで一気にいける。
ラストがまた凡庸なのだが、これも極めてエンタメ映画的。ラストで読者のド肝を抜きたいわけではなく、むしろ、そのイデオロギーについての議論を待っているのかと。
現在4作シリーズ出て、パタリと止まっているが、これは4作読んでみないと。
サクサク読める決して軽くない良エンタメ。
Posted by ブクログ
50を過ぎても巡査長の刑事が、議員殺害事件の謎を解く。天才ハッカーの助けを借りながら。
面白かった。読んだことのないタイプのミステリーで意外なストーリー展開と個性的な人物造形がいい。分厚いのに読みやすく飽きない。
Posted by ブクログ
榎本憲男の小説を初めて読んだ。ここ5年ほど、年末のこのミスを見ているが、70数人の投票者の内、3,4人だけが榎本憲男を強力に推しており、気になっていた。
主人公は出世を拒否した53歳の平刑事。ロックと自由が好きで若いころの気分から抜けられない。ひょんなことから凄腕のハッカーと知り合ったことで、政治家の絡んだ犯罪を追う羽目になる。
違法ハッキングによる捜査という点でこれは普通の警察小説とは毛色が違うが、面白いし、なにより全編を通して現代性がすばらしい警察小説である。現代性・時代性は読んで感じてもらうしかないですが、お勧めです。
Posted by ブクログ
映画監督が書いた警察小説。
政治家の巨大陰謀を、53歳で「巡査長」という肩書きながら警視庁捜査一課でバリバリ捜査する主人公の真行寺弘道が何とハッカーと一緒に暴くというストーリー。
但し、他の警察小説のような最後に犯人をきちんと裁く「勧善懲悪」的な終わり方ではなく、それを匂わすところで終わるという映画的な(?)結末。
Posted by ブクログ
介護施設での介護ロボットの不可解なバグ、続いて与党反主流派議員の暗殺と進みます。53歳ヒラの刑事と凄腕ハッカーのコンビが小気味良く絡み合っていきます。
後半やや長すぎ。また、最後の終わり方はあれ?と。
続編に期待します。
著者が映画監督とかでちょっと映像感覚的なシーンもあるなと感じました。★4
Posted by ブクログ
53歳ながら巡査長、警視庁捜査一課ヒラ刑事・真行寺弘道。バツイチ。ロックと自由を愛する男。単独行動ばかりで上司からの受けは悪い。だけど、その捜査手腕で捜査一課にいる。
この異端の刑事が主人公のシリーズ第一弾。
冒頭から漂う不穏な空気。最初の事件が真行寺によってあっさり被疑者確保されるのも名刺がわりのジョブ。メインは国会議員の変死事件。その死が発端となって暴かれていく大きな陰謀。そこに謎のハッカー・黒木とのニコイチ(相棒)で挑んでいく真行寺。面白すぎる。
そしてこの作品がただならないのは、事件解決だけでも、いわゆる社会派だけではないところ。
真行寺と黒木の間で繰り返し交わされる「自由」に関する哲学的とも言えるやり取り。
「自由とは」「我々は本当に自由になりえるのか」「自由であることは幸せなのか」。
自由を突き詰めると人間そのものの存在まで辿り着く深さ。
すごく読み応えのある作品でした。
シリーズ制覇まで駆け抜けます!
Posted by ブクログ
初めての作家さんの作品だけど面白くて一気に読んでしまった。ハッカーとヒラ刑事の組み合わせは異色と言えば異色だけど、ネタ的にはどこかで見たような、ありえない話じゃないなと。
真行寺のキャラ、嫌いじゃない。自分はそうはできないけど。
続編もあるみたいなのでチェックしてみよう。
Posted by ブクログ
最新刊の新聞広告で本シリーズの存在を知り一巻に遡って読んでみましたが、ちょっとした掘り出しものを探り当てたような気分です。
主人公の真行寺がなんともイイ感じに脱力して自然体で飄々と捜査を進める姿がかっこいいですね。53歳にして巡査長(警察内部の階級制度の詳しいところはわかりませんが)、出世をあきらめた一見アウトローに見えなくもないが、実は実力は折り紙付きで、それゆえ捜査一課に在籍しているという”強者”。
本作では真行寺が必要と考える”自由”と、政府レベルで個人を管理(=自由を奪う)しようとする企てのせめぎあい、ひょんなことから知り合った黒木の自由に対する価値観も真行寺のそれとは対立している、さらに別れた妻の(血はつながっている)子供の病に関する問題も絡んできて、という複線型でストーリーが進みます。黒木の助けもあり事件の中枢に切り込んでいくわけですが、あと一歩のところで…、という展開、。老練というか経験に裏打ちされた真行寺の洞察力がいかんなく発揮され、実力はエース級、でも巡査長という人物像とのギャップになって本作の魅力になっていると思います。展開されていくそれぞれのストーリーも密接に絡み合っていて”深み”を出していますね。4作目まで刊行されているようなので2作目以降も読み進めレビューします。
Posted by ブクログ
警視庁捜査一課の刑事としては型破りな行動・言動をし、かなりの変わり種である「巡査長」が主人公というだけで期待して読みました。オーディオマニュア、ロック好き、ハッカーといった登場人物設定の上に、AI搭載の人形型介護支援ロボット、ゲノム編集などなど、といった展開に引き込まれて、一気に読み切りました。かなり、型破りな刑事ドラマといった感じでしたが、楽しめました。
Posted by ブクログ
53歳で巡査長のままでリュックにスニーカーという出で立ちで捜査する一匹狼の変わり者。でも刑事としてはピカイチ。なぜいつもひとりで行動するのか、巡査長のままなのか。その想いがこの作品に一本の筋を通している。個性的で周りとの衝突や面倒なこともある。でも正しいこと、自由についてもこだわりを持ち、事あるごとに問いかける。社会の仕組み、組織での立ち位置。様々なことに目を向けて気になれば調べる。相棒の黒木とのやりとりや、オーディオへのこだわりも読みどころ。第2弾も楽しみ。
Posted by ブクログ
榎本憲男著「巡査長 真行寺広道」
故あって巡査長止まりの真行寺と天才ハッカーのニコイチが繰り広げる違法性たっぷりの事件の捜査は、スマホ依存の現代社会に生きる私たちには改めて情報漏洩の恐ろしさを感じさせます。
著者は映画監督でもあるそうで、そんな先入観からか、登場人物の会話で発言者が誰なのかはっきりしないところがあるなあとアラを拾いながら読み始めたのですが、そんな事は吹き飛ぶほどニコイチの「やり方」に引き込まれて一気読みでした。
自由とは何ぞや、という難しい命題を提示しながら権力に立ち向かう二人に拍手です。
Posted by ブクログ
なんほど、レビュー評価も高いだけあって面白くて一気に読んだ。夢中になりすぎて電車乗り過ごして隣の駅まで行ってしまった。
自由とは何か?がテーマなんだけど、内容はともかく、これからの日本人が突き付けられる事柄ではあると感じた。
フォローさせていただいている方のレビューを参考に選んだ。普段は注目していない著者なので思わぬ巡り合いに感謝。
Posted by ブクログ
ここ何ヶ月か刑事ものにハマっている。今回は献本で頂いたこの作品だが、結果めっちゃ面白かった〜!
真行寺の自由すぎて協調性のない姿も、警察らしい真っ黒な内部も、黒木の賢すぎて飛び抜けている考察も最高にクールだった。文庫本450ページを超える大作なので読み切れるか正直不安だったけど、飽きることなくあっという間に読めた。ここ最近の出来事もちょこちょこ出てくるので、現実からかけ離れた感じもせず、そういう意味でも読みやすかった。私は途中まで完全に騙されていたので、ぜひ同じ体験をしてほしい。
Posted by ブクログ
また一人、変わり者の刑事が登場した。
「巡査長」真行寺弘道。五十三歳。
本庁捜査一課の刑事だ。
警察の階級には「巡査長」はない。
だが、こう呼ばれるのは。
単独捜査を好み、休みたければ休む。
自宅では、オーディオでロック三昧。
上からの指令に従うより、自分のひらめきや思いつき、
疑問を徹底的に追いかける。
それは、一匹の猟犬だ。
といっても、ギラギラ感はない。
だからか、いつまでたってもヒラの刑事。
だが、必ずや事件の真相を掴んでくる。
といって、よくいる性格に難ありの天才というわけではない。
ただただ、自然体。
警察組織にあっては浮きそうな存在なのだが、
疎んじらられていることもなさそうだ。
上司も「一応本部の捜査一課にいる。刑事部長賞なんか
もらってやがる」。そんな男が何で、ヒラなんだと、不思議がる。
喰いついてしまいそうな魅力やオーラを放っているとは
いえないが、じわじわと気になり、クセになる。
そんな人物だ。
そして、ニコイチをしない真行寺に相棒ができる。
この黒木という男も面白い。
ハッカーなのだが、謎を含んでいる。
物語は、真行寺が影の相棒、黒木と知り合う第一の事件。
衆議院議員が新宿のホテルで変死する第二の事件。
この議員は、なぜ、殺されなければならなかったのか。
捜査の中で、巨大な陰謀が浮かび上がってくる。
大胆で、面白く、かつ、恐ろしい。
Posted by ブクログ
期待は高く、導入も魅力的な滑り出しだったのだが、後半やや失速したかな。ラストには明らかに不満。どっちでもいいけど、これだけ長い物語に付き合った読者にカタルシスをもたらして欲しかった。というか、カタルシスを感じる物語が好きです。
文庫解説は北上次郎氏。彼が解説を書いた文庫にも限りはあるが、まだまだ未読作品があるのがうれしい。
Posted by ブクログ
1月-2。3.5点。
53歳、巡査長が主人公。趣味のオーディオを通じ、ハッカーと知り合った巡査長。
ある議員がホテルで死亡し、殺人事件に。
結構面白い。作者が映画監督だけあって、スケールの広げ方、回収の仕方が上手い。
次作も期待。
Posted by ブクログ
【253冊目】山本さんに勧められて読んだ本。インフォメーションテクノロジーとバイオテクノロジーがこの物語の主軸になってるという意味では、ユヴァル・ハラリの本やアニメ「PSYCHO-PASS」をチェックしてる人にとっては目新しさはないかも。
Posted by ブクログ
ベテランの捜査一課ヒラ刑事・真行寺は、介護施設で起きた死亡事件の捜査中、自称・ハッカーの黒木と親しくなる。続く元警察官僚の議員変死事件で、背後に蠢く巨大組織の臭いをかぎ取った真行寺は、黒木の力を借り真相に迫るが―。ゲノム編集など幅広くリアルな知見に裏打ちされた、圧倒的なスケールの痛快娯楽大作登場!文庫書き下ろし警察小説。
オーディオ関係の記述が面白い。
Posted by ブクログ
やっとこ読めた。
はじめはまあまあのスピードで読めてたのに、
途中から別の誘惑が‥。
しかし、それに負ける程度かと言われると、
いやいや、彼じゃない、私が悪かったんですと
謝罪したくなる本でした。
面白いんだけど、頭が付いてかない。
でも理解したい。
まあ、音楽が好きなひとはいけるかも。
そこか?
この本題、結構 ほんとかもと思ってます。
だってみんな、優秀でいて楽したいもの。
作られた毎日万歳。
自分の子ですら、自分の子じゃない。
哀しい世の中だけど、死にたくないしね‥。
なにが幸せなんだろう、あー 午睡したいわ。
Posted by ブクログ
新刊の広告を見て惹かれたものがあったのだが、シリーズ物の2冊目と分かり、1冊目のこの本の評価も良かったので、それではこちらから読んでみることにした。
先々週の金曜日にネットで注文したのが木曜日になって漸く到着ということで、先週は久し振りに本を読まない通勤時間になってしまったが、たまにはまあいいとする。
主人公の真行寺、53歳にもなって巡査だが、作中、次第に明らかにされる通り、ただのごく潰しではない。
冒頭、介護ロボットのソフトが乗っ取られる事件を担当するが、たまたまコンピュータの技術者(ハッカー)と仲良くなって事件が解決してしまい、その都合の良さが気になりつつ読み始める。
本線の政治家殺しに捜査にあっても、結局はこのハッカーと違法な手段での捜査を進め、色々提示されるきっかけに鋭く反応し糸口を見つけ拡げていくところは並ではないが、結構ハッカー頼みなところはそれでいいのか…?
真行寺が53歳にもなって巡査なのは、訳あって昇進と引き換えに”自由”を買ったという次第だが、しかし”自由”を守るということはそんな個人の気ままさとは別なものなのよと、この真行寺の信念に引っ掛けた内容が本書の主題と結びつく。
今の政権や世情に対する課題提起にもなっており、リベラルがどうのとか自由がどうのとか、そこそこ面倒くさい感もあるが、まあ興味深くはある。
若い人は真行寺みたいな生き方に憧れるのかもしれないが、私は訳ありの「訳」を知って、あまりの真っ当さと言うかピュアさに些か拍子抜け。
『素直に昇任試験を受けて昇級したとしたらもらえるであろう年収-今の年収=自由の値段』って、これに共感できるかどうかが、この本の評価の分かれ目かも。
私は、人生はこんな単純な引き算じゃないと思うけど。
お話としては、撒かれた話題はきれいに回収されて、結論に行きつくまでの展開もスピーディーで面白くは読めた。
Posted by ブクログ
53歳で巡査長ながら、捜査一課に在職中、オーディオオタクのロックマニアというトンデモな刑事が主人公。
そんな刑事が、ひょんなことから自称ハッカーと相棒を組み、政治家殺害事件の謎を追ってゆくというユニークな警察小説。
主人公がロックマニアゆえ、事件の局面に合わせてロックの題名が繰り出されるが、読み手にはとんと不可知(笑)。
この事件は、出世を拒否し、自由を買った主人公にとって、その自由を守る戦いでもある。事件解明の過程で浮かび上がるのは、政府によるその自由を奪いかねない計画、「国民〇〇〇化計画」。
果たして、事件を解決し、計画を阻止できるのか。
事件捜査の打合せの中で、上司が主人公と交わす。
「確かに、今の総理は中央集権的な統治が好みよね。他に政権担当能力のある野党が見当たらないので、かなり強引な国会運営をしている。マスコミにもずうずうしい注文をつけるし」
何か今の日本の政治状況そのものではないか!と思ったら、この作品、今年の書下ろしだった。