榎本憲男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
榎本憲男『ワルキューレ 巡査長 真行寺弘道』中公文庫。
シリーズ第3弾。文庫書き下ろし。オーディオマニアでロックフリークの53歳のヒラ刑事・真行寺弘道を主人公にした奇妙な警察小説。第2弾は第1弾がフロックだったのかと思うくらいにレベルダウンしていただけに少し心配。
第1弾が面白かったのは、真行寺とタッグを組んだ天才ハッカーの黒木良平の活躍によるところが大きい。本作では中盤に黒木が登場し、ストーリーは俄然面白くなる。しかし、描かれる事件、テーマが限定的で今一つ面白味に欠ける。第2弾よりは持ち直したものの、第1弾ほどの面白さは無い。
元モデルの17歳の少女・麻倉瞳が誘拐される。母親は評論家デボラ・ヨハンソンの秘書を務めると共にデボラのパートナーでもあった。誘拐犯の要求はフェミニズムの論客であるデボラにこれまでの主張の間違いを認め、一切の活動を停止することだった。警視庁捜査一課の真行寺弘道巡査長は、同期の四竈刑事と共に事件の捜査にあたる。
本体価格820円
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Posted by ブクログ
新刊の広告を見て惹かれたものがあったのだが、シリーズ物の2冊目と分かり、1冊目のこの本の評価も良かったので、それではこちらから読んでみることにした。
先々週の金曜日にネットで注文したのが木曜日になって漸く到着ということで、先週は久し振りに本を読まない通勤時間になってしまったが、たまにはまあいいとする。
主人公の真行寺、53歳にもなって巡査だが、作中、次第に明らかにされる通り、ただのごく潰しではない。
冒頭、介護ロボットのソフトが乗っ取られる事件を担当するが、たまたまコンピュータの技術者(ハッカー)と仲良くなって事件が解決してしまい、その都合の良さが気になりつつ読み始める。
本線の政治家殺しに捜査にあっても、結局はこのハッカーと違法な手段での捜査を進め、色々提示されるきっかけに鋭く反応し糸口を見つけ拡げていくところは並ではないが、結構ハッカー頼みなところはそれでいいのか…?
真行寺が53歳にもなって巡査なのは、訳あって昇進と引き換えに”自由”を買ったという次第だが、しかし”自由”を守るということはそんな個人の気ままさとは別なものなのよと、この真行寺の信念に引っ掛けた内容が本書の主題と結びつく。
今の政権や世情に対する課題提起にもなっており、リベラルがどうのとか自由がどうのとか、そこそこ面倒くさい感もあるが、まあ興味深くはある。
若い人は真行寺みたいな生き方に憧れるのかもしれないが、私は訳ありの「訳」を知って、あまりの真っ当さと言うかピュアさに些か拍子抜け。
『素直に昇任試験を受けて昇級したとしたらもらえるであろう年収-今の年収=自由の値段』って、これに共感できるかどうかが、この本の評価の分かれ目かも。
私は、人生はこんな単純な引き算じゃないと思うけど。
お話としては、撒かれた話題はきれいに回収されて、結論に行きつくまでの展開もスピーディーで面白くは読めた。 -
Posted by ブクログ
53歳で巡査長ながら、捜査一課に在職中、オーディオオタクのロックマニアというトンデモな刑事が主人公。
そんな刑事が、ひょんなことから自称ハッカーと相棒を組み、政治家殺害事件の謎を追ってゆくというユニークな警察小説。
主人公がロックマニアゆえ、事件の局面に合わせてロックの題名が繰り出されるが、読み手にはとんと不可知(笑)。
この事件は、出世を拒否し、自由を買った主人公にとって、その自由を守る戦いでもある。事件解明の過程で浮かび上がるのは、政府によるその自由を奪いかねない計画、「国民〇〇〇化計画」。
果たして、事件を解決し、計画を阻止できるのか。
事件捜査の打合せの中で、上司が主人公と交わす。
「確かに、今の総理は中央集権的な統治が好みよね。他に政権担当能力のある野党が見当たらないので、かなり強引な国会運営をしている。マスコミにもずうずうしい注文をつけるし」
何か今の日本の政治状況そのものではないか!と思ったら、この作品、今年の書下ろしだった。