榎本憲男のレビュー一覧
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榎本憲男『DASPA 吉良大介』小学館文庫。
文庫書き下ろし。日本のインテリジェンスの危機をテーマに描いた警察小説。プロローグに描かれたハッキングによるサイバー・テロの物語が続くのかと思ったのだが、本編ではさらに面白いストーリーが展開する。
通称DASPAと呼ばれる新たに発足した内閣府の国家防衛安全保障会議のメンバーに召集された警察庁警備局出身のキャリア官僚・吉良大介はインテリジェンス班サブチェアマンに抜擢される。DASPA発足の直前に中目黒のマンションでアメリカ人が殺害される。調査に乗り出した吉良はこのアメリカ人がロシアの二重スパイで神経毒により殺害されたことを掴む。事件の背後にあるもの -
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ネタバレ自由って、何でしょうね。真行寺さん。
お金を払って、得た自由は本当の「自由」なのか。
国の考える自由とは、本当の自由なのか。
とある議員殺害事件から紐解かれる、国家による全国民家畜化計画。
本当はそんな名前ではないが、そう言わざるを得ない計画だと感じる。もしかしたら現実でもすでに計画は進行しているかもしれない。
国にDNAを把握され、個人の嗜好、能力、将来の全てにレールを敷き、無駄な労力を費やして実らない努力を削減すると言う。
病気もDNAをつぎはぎして発症させないようにする、素晴らしい計画だと国は言う。
それを国は「全国民が安全に豊かに過ごせる素敵な未来」と謳う。
とても素晴らしい。同性 -
Posted by ブクログ
久しぶりの日本警察小説
53歳で巡査部長(ほぼ平社員らしい)という階級で、バツイチ、オーディオ狂、署でも浮いてる自由人な主人公の警察小説
一章でスーパーハッカーの黒木と出会ったあたりで「また、ハッカー出てきた」とやや構えてしまった。
「ミレニアム」や「パードレはそこにいる」「フェイスレス(から続く警察物のシリーズ)」に見られる「スーパーハッカー万能大解決」な展開になったら嫌だなぁと…不安になったが、結果的に主人公の魅力に目を向けて読むことができた。
ハッカーの得た情報はヒントでしかなく、手段としては違法なので正式な証拠としては使えない分、裏を取ることに苦心したり根回しをしたり言い訳を考え -
Posted by ブクログ
エアー3.0の表紙に惹かれ手に取り、その前作の2.0から読み、世界観と物語の上手さ、イデオロギーの強さに楽しみ、
同じ作家で評価の高さから手にとってみる。
タイトルが凡庸オブ凡庸で、正直期待してなかったのだが、
警察小説としての、ミステリーの強さや、警察組織のうんぬんなんてレベルではない、
・出世を捨てることは自由なのか
・情報社会で、情報を捧げ管理されることは楽だが、不自由なんて言うが、それだって楽に生きられれば良いのではないか
・安全と健康と自由と管理と不自由と欺瞞と正義
ミステリーとしての公平さで言えば0点。
主人公の出世は捨てたが操作能力は高いという設定も、店員と客を間違えて傲慢な態