木村敏のレビュー一覧
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自己とは時間であり、時間とは自己である。私がいまいるということ。
未来への希求と恐れによる統合失調症、既成過去の役割期待に縛られた鬱病、そして癲癇と躁病の祝祭的な現在。
こんなふうに乱暴にまとめてしまうことからさて勉強の始まりである。Posted by ブクログ -
鬱病者と分裂病者の時間感覚について論じたもの。とてもわかりやすく読みやすい。「鬱病者にとって、自己を規定しているのは役割演技」であるという旨の記述はとても納得できる。Posted by ブクログ
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現象学を医学の現場で、科学の視線を持って実践して著者が辿り着いた知の領域。
適切な例を挙げて説明されている為、間主観性への理解が乏しくても話について行ける。
整理された思考。
整然とした論理展開。
丁寧な説明。
どれを取っても満点なのですが…
自分の知識や思考力不足の為に分からないところがあるの...続きを読むPosted by ブクログ -
冒頭の我々の周りの「もの」と「こと」の解釈から引き込まれた。
そこから精神病への展開は難解で、一回読んだだけでは理解が追いつかないが、とても興味深い。
そして最後のまた映画のマトリックス的な自身の他者性についても、共感できるところも。Posted by ブクログ -
「常識」はセンスであって、そこには感情的側面がある。常識に反した他人の行動を目撃したときに感じるぞわぞわとした恐怖は、それが「異常」であることを伝えている。このような「常識」や「異常」は、人間の遺伝的な精神の働きを通して決まっていると考えられ、統計学的な逸脱によって定義されるものとは違う。Posted by ブクログ
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精神病患者の精神世界から、人間の時間と自己に対する認識について書かれた本。過去・現在・未来の捉え方、時間概念は全ての人、時代、世界に等しいものではない。
やや難しく感じたので、また読み直したいと思う。Posted by ブクログ -
「自己とは何か」を追求する著者が行った二つの講演をまとめたもの。
・第一講演「身心相関と間主観性」
「主観/主体」を手がかりに、身心二元論を乗り越えようと試みている。
・第二講演「人間学的医学における生と死」
第一講演の生命論を「生と死」という主題にまで発展させ、それを基盤に現代医学のあり方を問い...続きを読むPosted by ブクログ