木村敏のレビュー一覧

  • 時間と自己

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    「永遠のドストエフスキー」(中公新書)を読んで、精神疾患に時間感覚が関係することが分かった。積読本を整理中にパラ見をしたら、関連部分があるので読むことにした。
    「今」との関係が、精神疾患の現れ方を決める。時間と精神疾患について「こと」と「もの」を着眼点に展開される。
    「私」ということは、私にとって取扱注意(不自由)かと思った。

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    2024年05月03日
  • からだ・こころ・生命

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    現象学を医学の現場で、科学の視線を持って実践して著者が辿り着いた知の領域。
    適切な例を挙げて説明されている為、間主観性への理解が乏しくても話について行ける。

    整理された思考。
    整然とした論理展開。
    丁寧な説明。
    どれを取っても満点なのですが…

    自分の知識や思考力不足の為に分からないところがあるので⭐️一つ減^^;
    本のせいではありません。今後著者の本やヴァイツゼガーの著書を読んでまたチャレンジしたいです。

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    2023年09月10日
  • 時間と自己

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    冒頭の我々の周りの「もの」と「こと」の解釈から引き込まれた。
    そこから精神病への展開は難解で、一回読んだだけでは理解が追いつかないが、とても興味深い。
    そして最後のまた映画のマトリックス的な自身の他者性についても、共感できるところも。

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    2023年06月23日
  • 異常の構造

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    「常識」はセンスであって、そこには感情的側面がある。常識に反した他人の行動を目撃したときに感じるぞわぞわとした恐怖は、それが「異常」であることを伝えている。このような「常識」や「異常」は、人間の遺伝的な精神の働きを通して決まっていると考えられ、統計学的な逸脱によって定義されるものとは違う。

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    2023年03月02日
  • 時間と自己

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    あとがきにある「人生をひとつの夢として夢見ているような、もうひとつ高次の現実が私たちのすぐ傍らに存在しているらしいということだけは、真理に対して謙虚であるためにも、是非とも知っておかなくてはならないように思う」という言葉、なぜか『鋼の錬金術師』を思い出させる。
    また、「夜、異郷、祭、狂気、そういった非日常のときどきに、私たちはこの『だれか』をいつも以上に身近に感じとっているはずである。(…)「時と時とのあいだ」のすきま(…)に見えてくる一つの顔(…)の持主が夢を見はじめたときに、私はこの世に生まれてき(…)、その「だれか」が夢から醒めるとき、私の人生はどこかへ消え失せているのだろう。この夢の主

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    2022年03月13日
  • 時間と自己

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     精神病患者の精神世界から、人間の時間と自己に対する認識について書かれた本。過去・現在・未来の捉え方、時間概念は全ての人、時代、世界に等しいものではない。

     やや難しく感じたので、また読み直したいと思う。

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    2022年02月05日
  • からだ・こころ・生命

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    「自己とは何か」を追求する著者が行った二つの講演をまとめたもの。

    ・第一講演「身心相関と間主観性」
    「主観/主体」を手がかりに、身心二元論を乗り越えようと試みている。
    ・第二講演「人間学的医学における生と死」
    第一講演の生命論を「生と死」という主題にまで発展させ、それを基盤に現代医学のあり方を問い直している。

    各講演とも40頁程度で、かつ5,6の節に分けられているので、初学者であっても読み進め理解することが可能。
    ただ、なんとなくわかったような気にはなるが、完璧な理解には程遠い。心の経験をより積んでいけばもっと身を持って理解できるようになるのだろうか。

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    2021年01月24日
  • 時間と自己

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     症例を祭りのまえ、あとという時間軸でとらえたところが学びどころ。
     祭りの前、こういうことがあったらどうしよう、不幸になるのではないかという不安。
     祭りの後、なにかとりかえしのつかないことをしてしまった、もう不幸なのではという不安。
     病名にこだわらず、内容をつかむと、意外にみんなもっている不安だとも言える。
     私の考えだと、祭りの前は、可能態の不安、祭りの後は、欠如態の不安。どちらも自己や現実をそのままに(現実態)とらえていない。現実態としてものごとをとらえる(→研究方法)のは難しい。

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    2020年04月12日
  • 時間と自己

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    哲学からの引用及び哲学的解釈も含まれるのである程度集中して噛み砕きながら読むことをお勧めします。この本で言われている時間とは物理学的な時間のことではなく、人間の認知における時間概念のことであり、人間にとって時間とは何か、時間を認識しているとはどう言う状態なのか等を離人症・分裂症・鬱病・癲癇患者等の時間感覚を比較・分析しながら考えて行くという興味深い内容。

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    2016年06月25日
  • からだ・こころ・生命

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    学生のときに勢いで著者の『自己・あいだ・時間』や『分裂病と他者』などの代表作を読んだ。『生命のかたち/かたちの生命』『偶然性の精神病理』『自覚の精神病理』といった本も続けて読んでいるので、何か重要なものがそこにあると感じていたのは間違いない。精神病理を現象学的に捉えたということで、どこか人間心理の深い真実に連れていってくれているような気がしていたのだ。同時に、その思想の根幹について、分かったような分からないような状態で読んでいたのもまた確かだ。という思いをもって、久しぶりに読んだ木村敏の著作は、最近の二本の講演をもとにした比較的短いものであった。

    「心的経験には単なる脳のソフト機能以上の、つ

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    2016年03月07日
  • 時間と自己

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    上から見下ろした知識がいっぱい詰まっている
    その割に面白く読み始められたのは
    知識をつなぎ合わせているところに少しだけスリルがあるからだろう
    しかしそのスリルもじきに飽きてくる
    なぜなら継ぎ接ぎだらけで、全体を包んでいるしなやかな心がないからだろう
    「もの」と「こと」を語りながら、話は掻き集めた知識ばかりの「もの」的でしかなく、底が浅い。
    下野に降りて語れる勇気と力さえ持っていれば
    くたびれずに読めるだろうにと、残念に思う

    ともあれ西洋的学問から抜け出せていない古臭さがある
    にもかかわらずどことなく一歩踏み出しているような
    おもしろさも感じられた

    あとがきに至ってこれ

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    2012年03月08日
  • 時間と自己

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    時間という現象と、私が私自身であるということとは、厳密に一致する。
    自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡づけ、さらに精神病理学的思索を通じて、ふつうは健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見てとる。
    前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。

    [ 目次 ]
    第一部 こととしての時間(1 ものへの問いからことへの問いへ 2 あいだとしての時間)
    第二部 時間と精神病理(1 分裂病者の時間 2 鬱病者の時間 3 祝祭

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    2011年03月29日
  • あいだ

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    木村は、精神科医であり、思想家でもある人で、その豊かな臨床経験と、哲学の概念をうまく調合して、独自の生命観を記述している。
    この本は木村は、生命一般の根拠というものを記述している。以下は、自分の簡単なまとめ。

    コモンセンスは日本語では「常識」って訳すけど、これだと成文化が可能な何らかの知識だと思ってしまう。例えば事務マニュアルに載ってる諸規則は、これに該当する。なら、事務マニュアルを全て暗記することによって、初めてその仕事のコモンセンスを習得することができ、仕事が円滑に進むのかと言うと、そうでもない。第一、そんなこと不可能。一方、コモンセンスを直訳するとい「共通感覚」。哲学者ヴィーゴはコモ

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    2011年03月21日
  • 時間と自己

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    木村敏さんの思想に、私としては目新しいことはほとんどなかったが、新書ということもあり、いつもより平易な語り口で、木村敏入門として、よくまとまった本だと思う。

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    2010年05月07日
  • 時間と自己

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    精神病理学という、精神医学のなかの、あるいはそれを批判する学問分野で有名な人の本。哲学的な人間学的な観点から精神病を分析する。独特の理論がこの本で軽く説明されている。哲学の入門にもいい本だと思う。ハイデッガーが分かるようになるかも。

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    2010年06月11日
  • 異常の構造

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    統合失調症の狂気を、分からないなりにも分かりたい気持ちになった。私が世界公式1=1の錯覚の中に生きる限り、1=0や1=∞の世界のリアルさは分かりえないのだろうけれど。
    ブランケンブルクの症例アンネの言葉は、思春期の課題である自己同一性の獲得に失敗しているだけみたいに私には思われた。が、症状が数年持続している間に、統合失調症者に独特の「人格変化」を示してくるようになる(p.53)という説明は興味深い。異常者排除の歴史が精神疾患者の免責(p.140)に落ち着いた点は未だに腑に落ちない。

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    2025年11月16日
  • からだ・こころ・生命

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    8割くらい分からない。しかし,この分からない感じが面白い。第2講は第1講に比べれば理解しやすいと思った。個人と集団,主観/主体,共同的な主体性,今取り組んでいる現象と密接に関連することなので,定期的に読み直してみる。理解の深さの変遷や発想の展開が楽しみだ。

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    2025年01月14日
  • からだ・こころ・生命

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    #講談社学術文庫
    #木村敏 「からだ・こころ・生命 」

    ヴァイツゼッカー 「 ゲシュタルトクライス 」の主体概念から生命論に展開した講義録

    とても難解。相即を含めた主体概念と アクチュアルな「生と死」が つながるまで時間がかかった


    著者が論じる主体概念に基づく生命論は〜生きものは 世界との関係 や 境界を生き、関係や境界は いつも「相手」をもち、死ぬということは 関係や境界が消滅する、といっているのだと思う


    著者が最後に伝えたのは「医学に主体概念を導入し、医者が患者と二人称的な関係に立つことにより、生きている現実として生命を捉えた 人間学的な医学が実践される」というもの


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    2024年11月23日
  • 異常の構造

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    難しくて序文はまったく理解できなかったけど、実際の症例をもとに展開していく本章は読み応えがあった。「異常」を定義するうえでそもそも「正常」とはなにかというところからスタートするが、そもそも私たちが「正常」と認識している現実自体が虚像に過ぎず、「異常」を理解し論じるには値しないのではという考え方には共感できた。でも1970年代に書かれた本ということもあり、男女二元論やミソジニー、恋愛至上主義な話の展開があって、そういう思い込みや社会規範が精神疾患をつくりだす可能性を孕んでいるのでは。

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    2024年08月18日
  • 時間と自己

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    ネタバレ

    難しくて半分もわかっていないが。
    時と感情の関係とでもいうのか。
    それを言語化した本。自分はあまりそういうの読んだことがなかったので新鮮。30年以上も前に書かれたもの。

    あとがきに。
    私たちが普段確かな現実だと思い込んでいるこの人生を一つの夢として夢見ているような、もうひとつ高次の現実が私たちのすぐ傍らに存在しているらしいということだけは、心理に対して謙虚であるためにも、ぜひとも知っておかなくてはならないように思う。

    時間は、物理的にデジタルにはかれるものではない。
    多分、同じ事象に対しても、時間の流れや感じ方が違うんだろうな。ふと、何事も怖くないような気持にもなる。

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    2018年09月13日