木村敏のレビュー一覧

  • からだ・こころ・生命
    「自己とは何か」を追求する著者が行った二つの講演をまとめたもの。

    ・第一講演「身心相関と間主観性」
    「主観/主体」を手がかりに、身心二元論を乗り越えようと試みている。
    ・第二講演「人間学的医学における生と死」
    第一講演の生命論を「生と死」という主題にまで発展させ、それを基盤に現代医学のあり方を問い...続きを読む
  • 時間と自己
     症例を祭りのまえ、あとという時間軸でとらえたところが学びどころ。
     祭りの前、こういうことがあったらどうしよう、不幸になるのではないかという不安。
     祭りの後、なにかとりかえしのつかないことをしてしまった、もう不幸なのではという不安。
     病名にこだわらず、内容をつかむと、意外にみんなもっている不安...続きを読む
  • 時間と自己
    哲学からの引用及び哲学的解釈も含まれるのである程度集中して噛み砕きながら読むことをお勧めします。この本で言われている時間とは物理学的な時間のことではなく、人間の認知における時間概念のことであり、人間にとって時間とは何か、時間を認識しているとはどう言う状態なのか等を離人症・分裂症・鬱病・癲癇患者等の時...続きを読む
  • からだ・こころ・生命
    学生のときに勢いで著者の『自己・あいだ・時間』や『分裂病と他者』などの代表作を読んだ。『生命のかたち/かたちの生命』『偶然性の精神病理』『自覚の精神病理』といった本も続けて読んでいるので、何か重要なものがそこにあると感じていたのは間違いない。精神病理を現象学的に捉えたということで、どこか人間心理の深...続きを読む
  • 時間と自己
    上から見下ろした知識がいっぱい詰まっている
    その割に面白く読み始められたのは
    知識をつなぎ合わせているところに少しだけスリルがあるからだろう
    しかしそのスリルもじきに飽きてくる
    なぜなら継ぎ接ぎだらけで、全体を包んでいるしなやかな心がないからだろう
    「もの」と「こと」を語りながら、話は掻き...続きを読む
  • 時間と自己
    [ 内容 ]
    時間という現象と、私が私自身であるということとは、厳密に一致する。
    自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡づけ、さらに精神病理学的思索を通じて、ふつうは健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見...続きを読む
  • あいだ
    木村は、精神科医であり、思想家でもある人で、その豊かな臨床経験と、哲学の概念をうまく調合して、独自の生命観を記述している。
    この本は木村は、生命一般の根拠というものを記述している。以下は、自分の簡単なまとめ。

    コモンセンスは日本語では「常識」って訳すけど、これだと成文化が可能な何らかの知識だと思...続きを読む
  • 時間と自己
    木村敏さんの思想に、私としては目新しいことはほとんどなかったが、新書ということもあり、いつもより平易な語り口で、木村敏入門として、よくまとまった本だと思う。
  • 時間と自己
    精神病理学という、精神医学のなかの、あるいはそれを批判する学問分野で有名な人の本。哲学的な人間学的な観点から精神病を分析する。独特の理論がこの本で軽く説明されている。哲学の入門にもいい本だと思う。ハイデッガーが分かるようになるかも。
  • 時間と自己
    難しくて半分もわかっていないが。
    時と感情の関係とでもいうのか。
    それを言語化した本。自分はあまりそういうの読んだことがなかったので新鮮。30年以上も前に書かれたもの。

    あとがきに。
    私たちが普段確かな現実だと思い込んでいるこの人生を一つの夢として夢見ているような、もうひとつ高次の現実が私たちのす...続きを読む
  • 自分ということ
     いわゆる統合失調症、離人症などの精神疾患について人文科学的アプローチをしている著作。近年の脳科学の発達による自然科学的側面とは違い、いかに他者と接していくか「間」とは何かを探っていく。
     前半が一般向けの内容となっており理解しやすい。患者に限らず、われわれの毎日の生活に避けては通れぬ他者との接触。...続きを読む
  • 時間と自己
    大学の先生がテキストに選んだ本です。初めて、哲学的な視点でものを見ることを教わりました。目には見えない時間を、頭の中でイメージすることは難しい…