木村敏のレビュー一覧

  • 異常の構造

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    哲学に精通した精神科医が統合失調症の事例を参考に正常と異常の間への線引きを検証した力作。

    通常、普通の人は「私/誰か」の線引きを当然のようにできるが、統合失調症の患者はこれができない。

    ≪「わたしがOさんになってOさんがわたしになって」「一つが二つ、二つが一つ」になって、彼女とOとは完全に一体となる。私はかつてこの種の恋愛妄想の構造を示す図式として、「現実の不可能を非現実の可能に変える」と述べておいたが、この図式はこの症例にもあてはまる。彼女が時々つぶやいていた「ヘンコウ」という言葉は、まさにこのことを示しているかもしれない。この患者に限らず、多くの分裂症患者は「表と裏」「なにもかもさかさ

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    2026年02月16日
  • 異常の構造

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    「異常の構造」がこの1冊でわかるというよりも、なぜ「異常」がまったく理解され難いものなのかということに主眼を置き、複数の事例の徹底的な観察を通して、いかに「異常」の発生するシステムが複雑であるか、いかに「異常」を「正常」に戻すことが不可能極まりないことであるかを著している。非常に難しくはあるが、それなりに読み進めていくことはできる。終盤の哲学的思索が難解で咀嚼しきれなかった部分もあるので、必ず再読したい。

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    2026年01月05日
  • 異常の構造

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    正常と異常を、優位と劣等、マジョリティ/マイノリティや、コミュニティにおける価値観のありかたから捉え直してるのがすごくいいし、何も結論づけていないところもとてもいい。正気の人間が街にあふれている異常。正解や正義や正常はただのまやかしなんだよ

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    2025年06月15日
  • 時間と自己

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    難しい本でしたが、過去に精神疾患を経験した者としても、当時の自分や周りで悩んでいる人と照らし合わせて、多くの気づきが得られました。
    文明の進化により時間を理解する概念が遷移していった過程は、身につまされるような感覚を覚えました。

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    2025年01月13日
  • 自分ということ

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    何度も何度も読んでみて、いつも新しい発見がある。読み直す中で新しく語彙を体感して、実際の自分の実感をつかみ取れる。やはり木村敏はすごいなと思う。

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    2024年12月06日
  • 時間と自己

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    使われている精神医学の用語や内容は、本書が書かれた1982年当時のものであることを前提として読む必要がある。それでもなお、思弁的のみならず、臨床的にも示唆に富む本だと感じた。臨床場面で患者さんと接しているときに、自分自身の時間感覚も同調しているように感じることは多く、一日の臨床のなかで、時間の流れは一定ではない。患者さんのためにも、医療従事者が己を知り守るためにも、ここに書かれているような内容を知っておくことは有益だと思う。

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    2024年01月23日
  • 異常の構造

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    素晴らしいの一言。
    遅読気味な自分が一気に読み終わってしまった。
    古い印象を受ける部分が少なからずあるが、それを補って余りある内容でした。

    常識とは何なのか。
    異常か正常かは何で決まるのか。
    正常者の思う世界だけが本当の世界であるとは限らない。

    著者があとがきに書いている内容は精神科のお医者さんとしての誠意を込めた素直な考えなのだと思う。

    木村さんの精神病理学の世界観に触れたい方は是非読んでみて下さい。
    常識を解きほぐして見たい方にもオススメ。

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    2023年03月16日
  • 時間と自己

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    分裂症やうつ病などの症状を、時間と自身の在り方から捉えてみることができるという考え方をこの本で初めて知った。

    本書の中で、"もの"と"こと"は区別され、本質的な"こと"について考えようと思うことで、"もの"となってしまうため、健常な状態では"もの"と"こと"を区別することはできない。ということと、「言葉」の「言(こと)の葉」という成り立ちをみるに、言葉は"こと"の一側面しか表現しえないということころが、特に印象に残っている。

    うつ病者は自己同一性と役割

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    2022年01月09日
  • 時間と自己

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    非常に面白かったし、こんなに豊かなものを人は書けるのだなということに感動して、充実した読書時間になった。
    ペンを持っていることは、ペンなしでそのことを感じることができないというように、「もの」なしで「こと」は成立し得ないということを前提として、精神病者の時間がどのように成り立っているのかを論じている。それは健常者とは別のもののよううに私たちは考えるのだが(もちろん実際そうとも言えるのだが)、精神病者/健常者として最初から区別できるような絶対的な特徴はない。誰にでも時間の変容が起こりうるし、身近にある問題である。その意味で、この本は誰に対しても開かれているものであるし、また時間や自分自身について

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    2021年08月12日
  • 時間と自己

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    時間を見るときは、時間そのものではなく、いつまでに何分たったまでの、時間のあり方を見ている。
    すべてのものは何らかのこと的なあり方をしている。
    存在者の存在と、あるということそれ自体には根本的な違いがある。
    自己の自己性とは、自己自身による自己認知なのである。
    主語的自己と、述語的な私。

    鬱→メランコリー型→真面目な人に多い。
    →インクルデンツ(秩序の中に自分を閉じ込める)、レマネンツ(負い目を負う)
    →所有の喪失
    役割同一制

    癲癇→アウラ体験:主観的で絶頂的な発作。現在が永遠に思える。
    →現在が永続的かつ、それだけで満たされている状態。

    アフリカ→時間の感覚:ササとザマ二のみ
    ササ→生

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    2021年02月12日
  • 時間と自己

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    最高の出来。まさに天才的。時間論をここまで縦断的に、かつ切れ味よく語れたものとは思わなかった。あまり知られていない名著の一つ。

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    2013年11月13日
  • 新編 分裂病の現象学

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    木村敏さんの初期論文集で、古いもので1965年から、70年代にかけての論文が収められている。
    第3章の一つめ、「精神分裂病症状の背後にあるもの」が一番古いが、これはさすがに、あまりにも西田幾多郎の影響が顕著すぎて露骨だが、後年の論文と読み合わせると、著者の思考がどんどん固有のものに結晶化してゆくのがわかる。
    はじめ躁鬱病患者を診せられたが、離人症の研究で開眼、待ち望んでいた分裂病(統合失調症)の研究へと歩を進める。
    精神病理学においても、現象学的アプローチはすでに古くさく見えていることだろう。時代はなんでもかんでも器質的な説明の方を要求しているから。
    しかし統合失調症の分析をとおして、人間の本

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    2012年12月28日
  • 時間と自己

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    自己とは時間であり、時間とは自己である。私がいまいるということ。
    未来への希求と恐れによる統合失調症、既成過去の役割期待に縛られた鬱病、そして癲癇と躁病の祝祭的な現在。
    こんなふうに乱暴にまとめてしまうことからさて勉強の始まりである。

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    2012年09月24日
  • 時間と自己

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    「もの」としての時間と、「こと」としての時間。

    われわれは「もの」として意識することでしか、すなわち「もの」化することでしか、「こと」を意識できないのであって、それは時間についても同じである。
    カレンダーや時計などの計量される時間が、まさにその代表。

    しかし、「もの」としてしか意識できないとしても、「こと」としてある「いま」。
    この「いま」について、木村敏は次のようにいっている。

    「いまは、未来と過去、いまからといままでとをそれ自身から分泌するような、未来と過去とのあいだなのである」(傍点略)

    われわれが未来あるいは過去についてなにかしらを語るとき、われわれはあたかも未来または過去なる

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    2012年04月02日
  • 時間と自己

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    もの と こと の関係において、時間を考えることができる。
    もの は、時間を考えなければ、そのまま同じ状態である。
    こと が起きると、時間とともに変化していく。

    自己についても、こと と 時間の関係で描写できるだろう。

    ps.
    野口 悠紀雄著 「続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 」 の参考文献に本書が掲載されている。

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    2011年09月27日
  • 時間と自己

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    鬱病者と分裂病者の時間感覚について論じたもの。とてもわかりやすく読みやすい。「鬱病者にとって、自己を規定しているのは役割演技」であるという旨の記述はとても納得できる。

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    2011年02月22日
  • 自己・あいだ・時間 ──現象学的精神病理学

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    すごくおもしろい。うつや統合失調症にも触れながら、独自の哲学的な分析が堂々と記されている。日本に希有な、オリジナリティの人。

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    2010年05月07日
  • 時間と自己

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    こんなにワクワクする本、今まで読んだ事がありませんでした。
    この「時間と自己」から読書にハマりました。
    また近いうちに読みます。

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    2010年02月15日
  • 時間と自己

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     時間という現象と、私が私自身であるということは、厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡付け、更に精神病理学的思索を通じて、普通は健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見て取る。前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。

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    2012年02月16日
  • からだ・こころ・生命

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    本書は1996年の秋に開催された『生命論』シンポジウムでの木村氏の発表原稿をまとめたもので、120ページ弱の小品だが、内容は興味深い。

    「私とは何か」という大ネタに関する卓抜なアイデアが随所にみられる。

    たとえば
    ≪わたしたちが生きていくためのさまざまなソフト機能が、身体というハード機能のおかげで営まれていることは、至極当然のことであって、そこからは何も難しい哲学的な問題など出てきません。
    ところが、「肺呼吸相関」や「胃消化相関」が原理上格別に困難な問題を引き起こさないのと違って、身心相関(脳ーこころ)の方は古代ギリシア以来、西洋哲学を一貫して流れている最も解決困難な問題のひとつになってい

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    2026年02月23日