山際淳司のレビュー一覧

  • ウィニング・ボールを君に

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    山際さんの文章がすばらしい!球場のスタンドで観戦していて空が上にあるような感覚になりました。そしてあったかい。選手のことが好きになる。雑多な感じは否めないが、それは最期だったから周囲が全ての文章を詰め込んでくれたからなのかな。

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    2009年10月04日
  • タッチ、タッチ、ダウン

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    美しい小説を読んだ、というのが正直な感想だ。山際淳司の小説は、常に美しいので今更かもしれないが。シンプルなものには、美しさがある。山際淳司の小説は、いつもシンプルな構造をしている。謎解きも複雑な人間関係もなく、ただスポーツと携わる人間たちだけが、明解に描写されているのだ。
    文字世界のフットボールは、切ない。30代になっても、アメフトを愛さずにはいられないプレイヤーたちの姿がある。日々の仕事に疲れ、人間関係に倦んでも。ヘルメットをかぶり、プロテクターをつけてフィールドに向かうとき、彼らの目は輝いている。退屈な過去も先の見えない未来も忘れて、ただ勝利を手にするために。
    『タッチ、タッチ、ダウン』は

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    2009年10月04日
  • 男たちのゲームセット 巨人・阪神激闘記

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    久々に彼の作品を読んだ。彼の肩書きを見るとスポーツ・ノンフィクションライターとしてある。スポーツモノのジャーナリストの草分け的存在だと思う。
    他界してから何年になるのだろうか。今年のアテネ五輪や日本韓国で開催されたワールドカップとか、どのような視点に注目して書いたか見てみたとつくづく思う。残念で仕方ない。
    この本の話はジャイアンツV9、最後の年を中心に、それぞれ色々な立場から見て書かれている。世代的には今の僕より2年3年上だったら、もっとリアルタイムに感じて楽しめたかもしれない。
    それでも、彼の書く作品にはスポーツの思いや愛を感じられる。人物を中心に書く
    チームを中心に書く場合でも、そこに出て

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    2009年10月04日
  • スローカーブを、もう一球

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    なんとなく手に取る。
    インタビュー中心に、スポーツ選手の生涯からワンプレーまでを丹念に追う。
    冒頭の高校球児の章は、揺らぐメンタルと限界寸前の身体でグラウンドに立つ心理を精密に描き、ページを進める手が止まらなかった。
    スポーツものは、プレーの描写が難しいと思うが、素晴らしい文章力だった。

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    2025年11月15日
  • 江夏の21球

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    ネタバレ

    タイトルの「江夏の21球」のハラハラ感も面白かったが、「異邦人たちの天覧試合」が一番印象に残った。どうやってプロ野球が日本の文化になったのか、戦前・戦中と苦労した選手が監督やコーチとして迎えた初めての天覧試合で何を感じたのか、一人ひとりのドラマが垣間見える逸作。野球の面白さに深みを与える本。

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    2025年07月06日
  • たった一人のオリンピック

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    すごく昔にこの著者のスポーツエッセイをいくつも読みました。今回のはタイトル通り、目立たない競技にひっそりと向かう挑戦者たちが主役。自分にとってもロサンゼルスが最初の記憶です。

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    2025年06月22日
  • スローカーブを、もう一球

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    読み始めると止まらない。実に傑作。スポーツはあまり興味がないところなのだが、ISISでもあったので読んだら当たりだった。

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    2024年09月28日
  • 衣笠祥雄 最後のシーズン

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    山際さんという人は、自分からすればだけど結構旧い時期から書いていたんだな。この本の中に1973年に書いたというものがあって知った。
    昔、江夏の引退から始まったナンバーという雑誌が好きでよく読んでいたんだけど、この山際さんとか、他のスポーツノンフィクションライターたちが実に魅力的な話を紡いでいて、週刊ベースボールにも月刊ジャイアンツにもない、何というかな、それまで読んだことのないような、一種の郷愁のようなものを感じさせる文章と、写真がまた面白かった。
    しかし、この本もそうだけど、落合だったり、東尾だったり、タイトルの衣笠、田淵、星野、村田…こうしてみるともう3人も亡くなってしまってるんだな。いや

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    2024年06月04日
  • スローカーブを、もう一球

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    「江夏の21球」目当てに読んだ本だったが、さすが、スポーツノンフィクションの金字塔と呼ばれるだけの事はある。
    あまり知らないマイナースポーツでも魅せるチカラが宿っている。
    強いて言えば、ある一定の古い年代に偏っている事だけが難点。

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    2023年09月13日
  • Give up オフコース・ストーリー

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    鈴木康博のプロのミュージシャンとしてどうあるべきかから起きた話であるとの事。
    鈴木さんと小田さんの話し合いは明らかにはならないが、その周辺での話をまとめている。

    そう言えば、鈴木さんの会話が少ない。
    彼の考えは決まっていて、それ以上の事は無かったのだろうか。横浜の話でOKというのも、この話だけではなぜOKを出したのかわからなかった。デビューや生まれ育った所だからという理由だけか?

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    2023年07月16日
  • スローカーブを、もう一球

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    「江夏の21球」目当てで手にとりました。
    日本シリーズ最終戦、9回裏1点リードもノーアウト満塁の大ピンチ。
    広島のストッパー江夏、相手バッター、監督、野手、それぞれの1球ごとの心の動きをインタビューでふりかえることで、緊張感あるドラマが紙上に再現されています。
    その他の短編も秀作揃いです。

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    2022年07月03日
  • ウィニング・ボールを君に

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    達観しつつポジティブ。肉体的にも精神的にもギリギリのところで戦う人間の言葉が好きだ。
    そんな言葉を引き出し記録してくれた山際淳司に感謝したい。

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    2021年06月29日
  • スローカーブを、もう一球

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    山際淳司を知ったのはNumberの「江夏の21球」。ノンフィクションの再録だったかなぁ。いずれ、他の作品も読んでみたいと思っていました。店頭で見かけて購入。

    「背番号94」「ザ・シティ・ボクサー」が心に残りました。
    どちらも、王道をゆく物語ではないので、読んでいる最中はもやもやしていました。爽快感や悲劇性があるわけでなく、雑に言ってしまえば御涙頂戴ではないんです。

    ただ、全ての物語が、わかりやすい栄光と挫折であるわけではない。自分の好みの物語があるわけではない。「江夏の21球」がドラマティックなだけに、そう決めつけて読んでいたのかもしれません。期待が決めつけになってしまっていて、先入観が多

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    2021年02月10日
  • スローカーブを、もう一球

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    スポーツ・ノンフィクション。叙情的でリズミカルな文体がくせになる。
    「八月のカクテル光線」(高校野球)
    「江夏の21球」(プロ野球)
    「たった一人のオリンピック」(シングルスカル※ボート)
    「背番号94」(高校・プロ野球)
    「ザ・シティ・ボクサー」(ボクシング)
    「ジナジウムのスーパーマン」(スカッシュ)
    「スローカーブを、もう一球」(高校野球)
    「ポール・ヴォルター」(棒高跳び)

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    2020年10月28日
  • スローカーブを、もう一球

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    ネタバレ

    山際さんのスポーツに対する切り取り方が画期的だったと思う。
    スポーツ、とくに頂点を目指す人間をいかにもスポーツマンというキラキラした世界に閉じ込めず、もっと人間らしいというか痛い部分を描き出している。
    もちろん皆と違う頂に登る人間は、それはストイックでいろいろなものを犠牲にしている。だけどこの本の登場人物はそれがその人間のあたりまえだった(よくも悪くも)のだなぁと思い当たらせる。その人たちはその人たちのあたりまえを生きてそこに立った。それしかないというか。
    最後の「スポーツはすべてのことを、つまり、人生ってやつを教えてくれるんだ」っていうヘミングウェイの言葉がすとんと腑に落ちる。
    普通のスポー

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    2020年03月09日
  • 江夏の21球

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    再読。
    何十年ぶりかな?

    野球がまだ、日本の特に男性の一大娯楽であった幸福な時代のノンフィクション。

    やっぱり表題作が一番いい。リアルでテレビ観戦してただけに、この作品から受ける臨調感は半端ない。テレビで見たあのシーンは、私の中ではこの作品のフィルターを通して心に焼き付いている。

    表題作の他は、「スローカーブをもう一球」も普通の高校野球を描いたものと、少し切り口が変わっており楽しめた。


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    2020年01月24日
  • スローカーブを、もう一球

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    「スポーツはすべてのことを、つまり、人生ってやつを教えてくれるんだ」
    この最後のページに集約されているが、メジャースポーツ、有名人に限らず、あらゆるジャンルの選手やその周辺の人物に光を当て、丹念に人生模様や思想を描く筆者の姿勢と文筆に引き込まれる。約20年ぶりに再読。その都度新鮮。

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    2019年12月01日
  • 衣笠祥雄 最後のシーズン

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    日本でスポーツノンフィクションという文学ジャンルを作り上げた故山際淳司によるプロ野球人を主人公にした9つの短編集。

    どの作品も昭和時代で、今のプロ野球界との違いを感じられる点でも面白い。特に投手の扱い方。完投、中3日登板は当たり前の時代だった。

    表題作は、連続出場試合の世界記録を達成した衣笠祥雄のラストシーズンを記した短編だが、最近亡くなった故人を主人公にした作品をタイトルにすれば、売れるだろうという業界のあざとさを感じる。9作品の中でもあまりデキが良いとは思えなかった。

    オススメはアウトコース打ちが得意な落合博満のアウトローな人生を紹介する作品と、村田兆治が肘の手術後の復活を懸けるシー

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    2019年02月14日
  • 夏の終りにオフサイド

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    夏という季節は、子供のころから人をわくわくさせる何かを持っている。

    今でも夏は大好きだ。

    真っ青な空、灼熱の太陽に、滴り落ちる汗、のどを通る水の冷たさと快感

    梅雨明けが始まる頃、夏の後ずれが来て、甲子園が終わる頃、残暑の時期を迎える

    スポーツの場面を切り取った夏満載の短編集

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    2018年10月28日
  • エンドレス・サマー

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    1980年代前半に活躍したスポーツ選手にスポットがあてられた短編が収録された1冊
    往年の名選手だけでなく、その近くにいる選手たちにもスポットが当たっているので
    その時の雰囲気、臨場感を別の角度から想像することができる。

    選手は何を思い、何のために職業としてのスポーツに打ち込むのか・・

    栄光はつかんだ瞬間、過去のものとなる。その一瞬のために男たちは前に進む

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    2018年10月28日