ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
たったの一球が、一瞬が、人生を変えてしまうことはあるのだろうか。一度だけ打ったホームラン、九回裏の封じ込め。「ゲーム」──なんと面白い言葉だろう。人生がゲームのようなものなのか、ゲームが人生の縮図なのか。駆け引きと疲労の中、ドラマは突然始まり、時間は濃密に急回転する。勝つ者がいれば、負ける者がいる。競技だけに邁進し、限界を超えようとするアスリートたちを活写した、不朽のスポーツ・ノンフィクション。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
人の生活、人生とスポーツの絡め方が絶妙です(^^)人間模様が織り成すドラマに、読み耽ってしまいました
「山際淳司」の、スポーツノンフィクション作品集『スローカーブを、もう一球』を読みました。 「山際淳司」作品は、昨年12月に読んだ『みんな山が大好きだった』以来ですね… スポーツ関係の作品が続いています。 -----story------------- たったの一球が、一瞬が、人生を変えてしまうこ...続きを読むとはあるのだろうか。 一度だけ打ったホームラン、九回裏の封じ込め。 「ゲーム」―なんと面白い言葉だろう。 人生がゲームのようなものなのか、ゲームが人生の縮図なのか。 駆け引きと疲労の中、ドラマは突然始まり、時間は濃密に急回転する。勝つ者がいれば、負ける者がいる。 競技だけに邁進し、限界を超えようとするアスリートたちを活写した、不朽のスポーツ・ノンフィクション。 ----------------------- 野球(高校野球とプロ野球)、ボート、ボクシング、スカッシュ、棒高跳び… 多彩なスポーツノンフィクション作品6篇が収録されています ■八月のカクテル光線(原題:465球目の奇跡) ■江夏の21球 ■たった一人のオリンピック ■背番号94 ■ザ・シティ・ボクサー ■ジムナジウムのスーパーマン(原題:壁に向かって打て) ■スローカーブを、もう一球 ■ポール・ヴォルター スカッシュや棒高跳び等、普段、馴染みの薄い競技も含まれており興味深かったのですが、、、 たったひとつの落球… ホームランを打ったことのない選手が、延長戦までもつれた試合で放った一球… 1979年(昭和54年)夏の甲子園の3回戦、延長18回で決着した「箕島」対「星陵」戦で両軍に訪れた勝機とピンチ… 人生を変えてしまった一球、一瞬を描いた『八月のカクテル光線』、 日本シリーズ最終戦、日本一が決まる試合の9回裏… 「近鉄バファローズ」最後の攻撃で「広島カープ」の抑えの切り札「江夏豊」が投じた21球を描いた『江夏の21球』、 「長嶋監督」が直々に高校を訪問して「読売ジャイアンツ」にスカウトした一人の少年… 投手としては大成することなく、バッテイングピッチャーとして過ごすことになった「黒田真治」の生き方を描いた『背番号94』、 野球経験の乏しい監督のもと、熱心さに欠けるエースがスローカーブを武器に快進撃を続け、ついには春の甲子園の切符まで手にしてしまう… クレバーな「高崎高校(タカタカ)」のエース投手「川端俊介」の活躍を描く『スローカーブを、もう一球』、 個人的に好きな競技だということもあり、野球を熱かった、この4篇が印象に残りましたね。 「広島カープ」ということもあり、『江夏の21球』は以前から大好きな作品なのですが、、、 面白かったのは表題作でもある『スローカーブを、もう一球』ですね… 予想外の連勝に、ミスまで作戦と思い込み、相手チームが慌てる様子がコミカルに描かれ、良い味を出していましたね。 何度でも読み返せる(実際に私も今回は20年振りくらいの再読です)、スポーツノンフィクションの名著… スポーツファンなら必見の書ですね。
この本を手にしたのは、『「考える人」は本を読む』(河野通和)のなかで紹介されていたのが直接のきっかけだったけど、この本のなかに収めらている『江夏の21球』で話題になってテレビでも盛んにとりあげられていた大学生時代、読んでみたいと思いながら、そのまま忘れていた作品でもある。 この本のカバーの裏に...続きを読むある山際淳司さんの写真をじっと見つめていると、かつてNHKのサンデースポーツのキャスターをしていた姿が思い出されてくる。この眼鏡の下の鋭い眼差しが、ゲストにきたスポーツ選手から微熱を帯びた秘話を引き出していたのを思い出す。そして、その眼差しが、スポーツをする特定の人物を徹底的に掘り下げて、描写してくれたものを収録したのがこの一冊。 山際淳司の言葉は、スポーツを観る者の勝手な想像や、感傷で語られていない。それは、彼のその人物が身につけてきたすべてを見透してやろうという視線で、徹底的に取材した材料が勝手に語りかけてくるものを、拾い上げているような作業に感じられる。 だから、今語られてるシーンを軸に、いくつもの回想シーンが重なってその人物をより立体的なものとして、よりリアルなものとして感じてもらおうとして、語られる。 ドラマを観ているように読むことができる。 この短編の集まりのなかで、個人的にわたしが一番気に入ったのは『ザ・シティー・ボクサー』。この中でのいくつかの言葉を引用しながら、山際淳司の眼差しを感じてもらいたい 〜〜「いつものパンチとどこが違ったのか。スローモーション・フィルムを見るように思い返した。あのときはひらめきがあった。今、打てばいいと思うようより先に吸い込まれるようにパンチが炸裂した。インスピレーション。パンチを出した。手ごたえがあった。そして倒れた」〜〜 スポーツをした経験を振り返ると誰にでもあるこの感覚。“脳の反応を身体の反応が追い越してしまう”瞬間、でも、それってこうやって言葉にされてみて始めてその存在を確認できる。こういった掬い取りは随所にある。だから、キャスターとして、ルポライターとして、選手は山際の言葉に誘われて、奥へ奥へ、深く自分との葛藤の記憶を語りはじめてしまうのだろう。 〜〜「ものごとや世間が見えすぎてしまうことは、結局のところ、遠回りすることになってしまうのかもしれない。」〜〜 これも、山際の特徴的なところで、瞬間的に人生を語る言葉を挟んでくる。 〜〜「ぼくは何者かになろうと思っていた。サラリーマンをやっていると、それがだんだん見えなくなるんだ。子供が大きくなる。家庭ができてくる。あ、このままいったらヤバイな、と思ったり。何の刺激もない。面白くもない。」〜〜 こうやって、男たちの誰もが時折紛れ込む迷路の風景を差し込む。 〜〜自分は、格好をつけていないと生きてる気がしないんだなと納得した。いつもそうだった。あれはまだ小学校に通っていたときだろうか。新しくできた友達に、オレ、ボクシングやってんだというと、友達は目を輝かせた。その瞬間、友達の目が春日井にとっての鏡になった。鏡の中の自分は完璧でありたいと思った。人はいる、他者との関係のなかでしか、自分を支えられないときがあるし、たいていの人間はそんな風に生きている。 四年間のブランクと同じようにして残りの20分を費やしてしまうのが、彼にしてみれば不愉快だった。〜〜 ここはもう山際は主人公のボクサー春日井健の人生を一緒に歩んでいて見えている世界を描いている。 この本のなかに、誰でもお気に入りのドラマはきっと見つけられる。
登場人物が愛おしくてたまらない。スポーツ=スター選手はもちろん大事だし、期待しちゃうが、だって人間だもの。選手一人一人に人生があり、物語がある。著者の暖かい眼差しがいい。
山際淳司さんも「パック・イン・ミュージック」を聞いていたのかもしれない。本書に収録された「たった一人のオリンピック」を読んでそう思った。野沢那智&白石冬美の深夜放送「パック・イン・ミュージック」で「ボートの津田」が話題を呼んでいた頃、よく聞いていた。津田選手はある日突然、「オリンピック選手になろう...続きを読む」と決意して実際にボートのシングル・スカル日本代表になってしまった。恐らく津田選手の友人の投書が発端だったのだろうが、津田選手の話題は断続的に続いた。よほど運と才能に恵まれた人なのだろうな、と当時は思っていた。 本書を読んで、それが誤解であったことが分かった。いくら競技人口の少ないボートでも、いくら体格に恵まれていても、それだけでオリンピック選手になれるはずはないのだ。津田選手はアルバイトをしながら20代の後半をボートの練習に捧げる。念願のオリンピックの代表になるが、モスクワオリンピックへの参加を日本政府はボイコットしてしまう。 有名な「江夏の21球」をはじめ8編のスポーツノンフィクションを収録してある。表題作の「スローカーブを、もう一球」は進学校の群馬県立高崎高校が関東大会を勝ち進んで、センバツ甲子園大会に出場する話。甲子園出場なんて予算も考えもなかった高校の奮闘は高橋秀実「弱くても勝てます」を彷彿させる。いや、「弱くても勝てます」にはこの作品の影響があるのではないかと思えてくる。バッティング投手を取り上げた「背番号94」、小柄な棒高跳び選手を描く「ポール・ヴォルター」もしみじみと心に残る。 「ポール・ヴォルター」の中で山際さんはこう書いている。 ----------以下引用------------------------------- ふと思い出した台詞がある。 ヘミングウェイが、ある短編小説の中でこんな風にいっているのだ。 「スポーツは公明正大に勝つことを教えてくれるし、またスポーツは威厳をもって負けることも教えてくれるのだ。 要するに……」 といって、彼は続けていう。 「スポーツはすべてのことを、つまり、人生ってやつを教えてくれるんだ」 悪くはない台詞だ。 ---------引用ここまで------------------------------ 「競馬は人生の比喩だ」と言った人がいる(寺山修司だったかなと思って調べたら、正確には「競馬が人生の比喩なのではない。人生が競馬の比喩なのだ」だった)。競馬に限らず、スポーツは人生の比喩なのだろう。山際さんのノンフィクションはそれに加えて選手の人生の断面を鮮やかに切り取っている。30年以上前の作品だが、まったく古びていない。それどころか、今も輝きを放っている。当然のことながら、社会風俗は古びても人の考え方は古びないのだ。
大学生以来2回目。前回読んだ時にはなかった味わい深さを感じた。 ステージの高さとか、才能の多寡とか、享楽的とか、献身的とか、主人公たちの境遇とスタンスの違いを超えて、『ああ、スポーツって全部最高だな』って思った。 今の自分は誰のスタンスに近いんだろう?
ノンフィクション作家山際淳司を有名にした、 デビュー作の江夏の21球を読んでみたかった。 本書は、江夏の21球を含む、8作品が収められている。 江夏の21球、しびれた。 スポーツのノンフィクションにはドラマがある。 現実はドラマに満ちている。 勝負をめぐる攻防。 それは、見方のベンチも、エース...続きを読むも、相手も、 真剣なわけで、 その中で心理はめまぐるしく変わり、交錯していく。 どの作品も、どこかに人間の哀しみを含んでいるように感じた。 勝者もまた、哀しみとは無縁ではないのだ。 読めてよかったなぁ、という作品ばかりで、 江夏の21球はよかったが、 それ以上に、本書のタイトルにもなっている、スローカーブを、もう一球もよかった。 高校野球という一瞬のドラマの中にある、悲哀のようなものを感じて、 涙が出そうな、哀しい清々しさを感じた。 投げろよ、スローカーブを、さ。 “キャッチャーの宮下がサインを送ったわけだった。 川端はその指先を見た。その指の形はこういっている-《スローカーブを、もう一球》 川端俊介は、微笑んだ。”
高校生のときに、毎月1冊国語教師指定の本を読んで 感想を書くという課題?のようなものがあって その中に含まれていた一冊。 読んだときに強烈な印象を受けたので ずっとこの本のことは頭に残っていたけど 最近野球に目覚めたことをもあり、 今回再読してみることにした。 スポーツルポルタージュというかスポ...続きを読むーツノンフィクションというか そういったもので好きな作家は山際淳司と沢木耕太郎だけど、 スポーツノンフィクションを読むと 選手に対しての感情のやり場に困ることが多い。 一瞬の輝きを放ち名勝負を作り上げても そこには必ず勝者と敗者がいて、 敗者の人生、勝者の人生をある意味決定づけてしまう。 そのたまらなさ、やりきらなさが スポーツノンフィクションの魅力なのかもしれない。
私は角川文庫が苦手である。 決して社風が苦手とか、「あそこのレーベルはろくな本がない!」というわけではない。そうではなくて、なんだか、読みにくいのだ。それが文字の大きさなのか、フォントなのか、レイアウトの仕方なのかは、わからない。深く研究したことはないが、これはもう、相性、としかいえない。 少...続きを読むなく見積もって200冊はある私の本棚に、角川文庫は本書が3冊目である。そのうち「最初から最後まで読んだ本」は、一冊もない。つまり、本書の中のいくつかのエピソードは、最後まで読んでいない。 すべて読まずにレビューを書く、ということに抵抗感を抱かずにはいられないし、これを読んでいる方にはそう思われる方もいると思う。 しかし、本書について「面白かった」といわずにはいられない。それほど「面白かった」。 最後まで読みきったのは「八月のカクテル光線」「江夏の21球」「背番号94」「ザ・シティ・ボクサー」「スローカーブを、もう一球」。「シティボクサー」以外はすべて野球がテーマである。 一番面白かったのは、「江夏の21球」だった。有名なだけある。 読みにくかったのもあるかもしれないが、登場人物のバチバチとした心理戦に引き込まれ、読む速度をあげるにはもったいなかった。食い入るように一文字一文字確かめながら読んだ。 世の中には、才能というものがある。 それだけで闘えたら素晴らしいが、そういうわけにもいかない。プロ野球にいる時点で既に多くの凡人に比べて多大な才能を持ち合わせているはずなのだが、それだけではプロ野球では勝てない。 だから、プロはできるだけ、理詰めの努力をする。練習方法を厳選し、トレーナーの指示を仰ぐ。体を痛めるフォームを修正する。 しかし、そこから先は才能や感覚で判断する。できるだけ理詰めで成功確率を上げたところで、そこから先は、成功するかもしれないし、失敗するかもしれない。果ては「どこまで理詰めを守るか」といったところまで、感覚で判断する。そういった過程を含めたのちに結果を残せる人が、リスペクトに値するのである。 本書にでてくるスポーツマン(すべて読んでないですが)は、理詰めと追求している。著者の山際さんは読み物として敢えてそうしていると思うが、その理詰めの先の確率の部分を、必然であるかのように書いている。だからこそ面白く、スポ根マンガの「限界超えてやりますおおおおおお!!」といった気合と根性一本調子とは違った見方を知ることができる。 そして忘れてはいけないのが、今やっている甲子園も、出場者それぞれがドラマを持っているはずだ。「甲子園より、熱闘甲子園の方が面白い」という人の気持ちがわかった気がする。 本書を購入したのは、文化系トークラジオLifeの「夏の一冊」の回でオススメされていたからである。すごく面白かった。
なんとなく手に取る。 インタビュー中心に、スポーツ選手の生涯からワンプレーまでを丹念に追う。 冒頭の高校球児の章は、揺らぐメンタルと限界寸前の身体でグラウンドに立つ心理を精密に描き、ページを進める手が止まらなかった。 スポーツものは、プレーの描写が難しいと思うが、素晴らしい文章力だった。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
スローカーブを、もう一球
新刊情報をお知らせします。
山際淳司
フォロー機能について
「角川文庫」の最新刊一覧へ
「エッセイ・紀行」無料一覧へ
「エッセイ・紀行」ランキングの一覧へ
イエロー・サブマリン(小学館文庫)
ウィニング・ボールを君に
海へ、ボブスレー
江夏の21球
エンドレス・サマー
男たちのゲームセット 巨人・阪神激闘記
彼らの夏、ぼくらの声
衣笠祥雄 最後のシーズン
「山際淳司」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲スローカーブを、もう一球 ページトップヘ