菊池良生のレビュー一覧
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ネタバレ学者が日本語で書いた文章は形式張っていたり賢く見せたいだったりで読みにくいことがあるが、本書は読みやすい文章でスラスラ読めた。
著者の専門は中世から近世のようで、古代や現代の情報は薄い印象(というより中世〜近世がかなり厚い)。
私は「傭兵と言えば三十年戦争」と思っていたのでその様子が詳しく記述され、そして思っていた以上に酷い有様で書いてあったので満足している。
同時期に読んでいるフォン=クラウゼヴィッツの『戦争論』が軍人の立場から書かれたものなら、本書は戦争経験も徴兵経験も無い純粋な学者の側面から書かれたもので、その対比は面白かった。
特に、クラウゼヴィッツが著書のところどころで絶賛している -
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現在のドイツやイタリア、更にフランスやスペインも少し入るような欧州の“中世”、日本史で言えば平安時代の半ばに相当するような10世紀の様子を背景に、合戦や謀略や政治的駆け引き、近親者間での愛憎や争い迄と、実に色々と在る群像のドラマが展開するような物語であった。壮大な大河ドラマが展開するという内容で非常に面白かった。
オットー1世(912‐973)が本書で語られる物語の主人公に据えられている。「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇帝”」という概念はカール大帝(742?‐814)が創ったとされる。そのカール大帝が開いた帝位の伝統が途切れ、約40年ぶりにオットー1世は「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇 -
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主にオットー1世に関して伝記的に記述しており、オットー1世のローマ帝国=一つのヨーロッパを志向する国際意識が逆に「ドイツ」という国家意識を醸成することとなった、その過程を書いています。
歴史的事実を淡々と書き連ねていくというより、著者による推測や余談が合間に挟むことで、人を選ぶとは思うが、私は飽きることなく読み進めることができました。
著者が繰り返し述べているように、同名の人物が多数出てくるので、読み始めの時はわけがわからなくなるのではと思ったものの、こうした余談やユーモア溢れる人物描写によって人物を具体的に想像することができ、読み終わる頃には何となく漠然とした人物相関図が頭の中に出来上がり -
購入済み
複雑なことをわかりやすく
この著者の書いた「30年戦争」を読んで感銘を受けたので、通史としてのこちらの本も読んでみた。ヨーロッパ市の中でも特に複雑でわかりにくい神聖ローマ帝国史を、省略せずにわかりやすく書いてある期待通りの良書である。ヨーロッパ諸国は千数百年間に渡ってこのように複雑で混乱した戦争と外交を繰り広げてきた。極東の島国でのほほんと暮らしてきた日本とは、外交や戦争において基礎が全く違うと思わざるをえない。
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ハプスブルク家が皇帝位を世襲してからはハプスブルク家に関する書籍はたくさんあるので良いですが王朝・諸侯入り乱れる神聖ローマ帝国史をテンポよく解説しているのでとても面白く読めました。個人的にはドイツ史(?)=神聖ローマ帝国は統一感もないし血統も複雑なので今まで避けてきた感がありますが良い本に出会えました。カノッサの屈辱のハインリヒ4世やフリードリヒ1世バルバロッサは一人の皇帝としては知っていましたが歴史の流れとして知ることができたのは大きいです。何度も読みたくなる本です。ただこのシリーズはよく買ってましたが表紙がシンプルになっちゃったのですね。内容は同じでしょうけど。
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ネタバレ「なんてわかりにくい・・」というのが中盤以降の本書の感想である。
ただし、わかりにくいのは本書の文章が問題なのではなく、神聖ローマ帝国の歴史自体が問題なのである。
本書の文章は軽妙で、読みやすくわかりやすい。本書『あとがき』でも担当者に感謝を述べているが、随所に挟まれる家系図や地図、巻末の年表も理解を補完する良い手助けになっている。
この著者の作品を読むのは本書が2つ目だが、以前読んだものと変わらぬノリで中世から近世にかけてのドイツ・オーストリア史を気持ちよく知ることができるので他の作品も「読みたいリスト」に加えたくらいだ。
しかし、その著者をもってしても神聖ローマ帝国の歴史はつかみにくい -
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神聖ローマ帝国
著:菊池 良生
紙版
講談社現代新書
神聖ローマ帝国の推移は複雑である
前半は3王朝時代、後半は、神聖ローマ帝国の宣言後である
3王朝時代は、ドイツ、フランス、イタリアを対象として、血縁、ローマ教皇との対応、諸侯からの推戴などである
神聖ローマ帝国になってからは、ドイツに限定される
どだい千年にも及ぶ歴史を250頁ほどの新書に詰め込もうとは難しい話である。
気になったのは以下
神聖ローマ帝国=ドイツ国民の神聖ローマ帝国 第1帝国 962~1806
ドイツ、オーストリア、イタリア、チェコ、スイス、オランダ、ベルギー等を版図とする帝国
ドイツ帝国=プロイセン王国主導 1