菊池良生のレビュー一覧

  • 傭兵の二千年史

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    ネタバレ

    学者が日本語で書いた文章は形式張っていたり賢く見せたいだったりで読みにくいことがあるが、本書は読みやすい文章でスラスラ読めた。
    著者の専門は中世から近世のようで、古代や現代の情報は薄い印象(というより中世〜近世がかなり厚い)。
    私は「傭兵と言えば三十年戦争」と思っていたのでその様子が詳しく記述され、そして思っていた以上に酷い有様で書いてあったので満足している。

    同時期に読んでいるフォン=クラウゼヴィッツの『戦争論』が軍人の立場から書かれたものなら、本書は戦争経験も徴兵経験も無い純粋な学者の側面から書かれたもので、その対比は面白かった。
    特に、クラウゼヴィッツが著書のところどころで絶賛している

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    2024年04月13日
  • ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世

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    現在のドイツやイタリア、更にフランスやスペインも少し入るような欧州の“中世”、日本史で言えば平安時代の半ばに相当するような10世紀の様子を背景に、合戦や謀略や政治的駆け引き、近親者間での愛憎や争い迄と、実に色々と在る群像のドラマが展開するような物語であった。壮大な大河ドラマが展開するという内容で非常に面白かった。
    オットー1世(912‐973)が本書で語られる物語の主人公に据えられている。「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇帝”」という概念はカール大帝(742?‐814)が創ったとされる。そのカール大帝が開いた帝位の伝統が途切れ、約40年ぶりにオットー1世は「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇

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    2023年02月26日
  • ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世

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    主にオットー1世に関して伝記的に記述しており、オットー1世のローマ帝国=一つのヨーロッパを志向する国際意識が逆に「ドイツ」という国家意識を醸成することとなった、その過程を書いています。

    歴史的事実を淡々と書き連ねていくというより、著者による推測や余談が合間に挟むことで、人を選ぶとは思うが、私は飽きることなく読み進めることができました。
    著者が繰り返し述べているように、同名の人物が多数出てくるので、読み始めの時はわけがわからなくなるのではと思ったものの、こうした余談やユーモア溢れる人物描写によって人物を具体的に想像することができ、読み終わる頃には何となく漠然とした人物相関図が頭の中に出来上がり

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    2023年02月18日
  • 神聖ローマ帝国

    購入済み

    複雑なことをわかりやすく

    この著者の書いた「30年戦争」を読んで感銘を受けたので、通史としてのこちらの本も読んでみた。ヨーロッパ市の中でも特に複雑でわかりにくい神聖ローマ帝国史を、省略せずにわかりやすく書いてある期待通りの良書である。ヨーロッパ諸国は千数百年間に渡ってこのように複雑で混乱した戦争と外交を繰り広げてきた。極東の島国でのほほんと暮らしてきた日本とは、外交や戦争において基礎が全く違うと思わざるをえない。

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    2023年01月02日
  • 傭兵の二千年史

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    古代から近代、現代までの”傭兵”について、軽妙な語り口で解説している良書。

    金銭で雇われて、命を賭けて戦地に赴く。
    その動機はさまざまであり、また、時代とともに変遷していく。

    スイスがなぜ時計の一大立国になったのか、その背景に傭兵集団があったとは知らなかった。
    また、秘伝の砲兵技術をこっそり漏らしてしまった名もなき傭兵の話、同じ民族で戦う馬鹿らしさから戦争放棄する話とか、いろいろ興味深かった。

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    2021年03月28日
  • 傭兵の二千年史

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    傭兵の歴史について簡潔にまとめた本。

    スイスはユグノー戦争でフランスから時計職人が逃げてくる前までは、傭兵しか産業がなかったとか、へぇと思うことが多かった。

    近代軍の父がルイ14世と言うのも意外だった。

    傭兵の兵站とか徴収とか以外と判らない部分も明らかになっていて、非常に面白かった。

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    2013年07月18日
  • 警察の誕生

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    「近代警察の誕生」までを、発生したヨーロッパの歴史を紐解く。エピソードが非常に面白い。
    近代警察以前は、警察権力は行政・司法・政治(公安)が一体になり、かつ無給で、自治と雇われによる腐敗の間をさまよっていたようだ。
    ここでは言及されない非ヨーロッパ、たとえばイスラムなどでの警察組織の歴史などにも興味が出てきた。

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    2013年04月01日
  • 神聖ローマ帝国

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    ハプスブルク家が皇帝位を世襲してからはハプスブルク家に関する書籍はたくさんあるので良いですが王朝・諸侯入り乱れる神聖ローマ帝国史をテンポよく解説しているのでとても面白く読めました。個人的にはドイツ史(?)=神聖ローマ帝国は統一感もないし血統も複雑なので今まで避けてきた感がありますが良い本に出会えました。カノッサの屈辱のハインリヒ4世やフリードリヒ1世バルバロッサは一人の皇帝としては知っていましたが歴史の流れとして知ることができたのは大きいです。何度も読みたくなる本です。ただこのシリーズはよく買ってましたが表紙がシンプルになっちゃったのですね。内容は同じでしょうけど。

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    2012年12月18日
  • 神聖ローマ帝国

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    ネタバレ

    この国にフランスは嫉妬し、イタリアは畏怖し、ローマ教皇は、愛し、かつ憎んだ。

    中欧に存在した不思議な「帝国」に一千年史。 ドイツはじめ中欧諸国の母胎となったこの帝国は、教皇や周辺諸国、諸侯と合従連衡と抗争を繰り返しながら、中世史の一極をなし続けた。その実体を解き明かす。

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    2012年10月03日
  • 神聖ローマ帝国

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    神聖ローマ帝国と言う、ぼんやりとした存在を時系列に、丁寧に説明してくれている本。入門書。

    言葉としては知っていてもいったいそれがどんな国だったのかと聞かれたら答えられない国、神聖ローマ帝国。何せぼんやりとしてつかみどころのない国(国と言っていいのかすらも怪しいですが)をざっくり、でも丁寧に教えてくれました。


    先程読み終わったばかりですが、さらに神聖ローマ帝国について知りたくて仕方ありません。もっともっとこの国について知りたい、と思わせてくれるよい本でした。

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    2012年09月26日
  • 神聖ローマ帝国

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    著者の菊池良生先生の、「傭兵の二千年史」かどちらかを読んで、それから「戦うハプスブルク家」を読むと、ドイツを中心とした西洋史についてするすると学べる。
    「神聖ローマ帝国」を統べた皇帝と、それを取り巻く人々の歴史絵巻。
    端的に言って、面白いです。今まで記号でしか無かった歴史上の人物がいきいきと、丹念に描かれています。
    入門書にぜひ。

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    2012年04月26日
  • 傭兵の二千年史

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    グスタフ・アドルフによる軍制改革の完成、これを読みたくて手に取った本ですが、全体的にも非常に面白かったです。特にスイス傭兵やランツクネヒトがヨーロッパを席巻していたというのは興味深かったですね。
    そして傭兵に代わって常備軍が、まず商業が発達していたオランダで導入され、マウリッツが近代的な軍制改革を行う。その流れを受け継ぎ、完成させたのがグスタフ・アドルフです。彼が作り上げたスウェーデン軍の強さは三十年戦争で実証されます。
    傭兵という視点から見る中世~近代のヨーロッパ史もまた、味わい深いものがありますね。

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    2011年12月06日
  • 神聖ローマ帝国

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    ■何故に『神聖ローマ帝国』なのか?何が『神聖』なのか?
    ■何が『ローマ的』なのか?ドイツはこの称号を名乗ることでいかなる歴史を背負わされたのか?
    ■その称号の祖形である古代『ローマ帝国』という名は中世以来のヨーロッパ人全体の心性にいかなる決定的影響を与え続けたのか?

    同じ菊池良生著の『図説神聖ローマ帝国』と平行して読むと面白いです。個人的にはルドルフ4世に惚れました。彼についてもっと知りたいかも。

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    2011年05月16日
  • 神聖ローマ帝国

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    そもそも神聖ローマ帝国って何だ?の疑問を解きほぐしてくれる。
    また今のEUやドイツ・東欧の問題の根源なども垣間見えたりして、
    中欧史奥深い。

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    2009年10月17日
  • 神聖ローマ帝国

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    ネタバレ

    「なんてわかりにくい・・」というのが中盤以降の本書の感想である。
    ただし、わかりにくいのは本書の文章が問題なのではなく、神聖ローマ帝国の歴史自体が問題なのである。

    本書の文章は軽妙で、読みやすくわかりやすい。本書『あとがき』でも担当者に感謝を述べているが、随所に挟まれる家系図や地図、巻末の年表も理解を補完する良い手助けになっている。
    この著者の作品を読むのは本書が2つ目だが、以前読んだものと変わらぬノリで中世から近世にかけてのドイツ・オーストリア史を気持ちよく知ることができるので他の作品も「読みたいリスト」に加えたくらいだ。

    しかし、その著者をもってしても神聖ローマ帝国の歴史はつかみにくい

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    2024年12月05日
  • 神聖ローマ帝国

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    神聖ローマ帝国
    著:菊池 良生
    紙版
    講談社現代新書

    神聖ローマ帝国の推移は複雑である
    前半は3王朝時代、後半は、神聖ローマ帝国の宣言後である
    3王朝時代は、ドイツ、フランス、イタリアを対象として、血縁、ローマ教皇との対応、諸侯からの推戴などである
    神聖ローマ帝国になってからは、ドイツに限定される

    どだい千年にも及ぶ歴史を250頁ほどの新書に詰め込もうとは難しい話である。

    気になったのは以下

    神聖ローマ帝国=ドイツ国民の神聖ローマ帝国 第1帝国 962~1806
     ドイツ、オーストリア、イタリア、チェコ、スイス、オランダ、ベルギー等を版図とする帝国
    ドイツ帝国=プロイセン王国主導  1

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    2023年12月08日
  • ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世

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    通史は本当に面白い。今回はオットーという王の生涯を通して東フランクから神聖ローマ帝国の創立までをたどっている。相変わらず魑魅魍魎なドロドロな中世ヨーロッパで、しかも同じ名前のオンパレードで読むのが大変だが、オットーの生き様は興味深い。
    今回、公候伯子男の爵位の成り立ちを知ったのは収穫だった。

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    2023年04月09日
  • 傭兵の二千年史

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    傭兵がどのようにして生まれ、変遷し、最終的に国民軍にとってかわられるようになったか。
    想像よりずっと傭兵が主役の時代が長くて、欧州史をダイジェストでざっと追えるくらいに駆け抜けた感があった。
    傭兵の立場から脱却して政権を樹立した日本と、一部諸侯に数えられる者はいたものの主役までには至れなかった欧州との、比較も見てみたい気になる

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    2022年08月07日
  • 傭兵の二千年史

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    傭兵という視点を通してのヨーロッパ史。
    こういう何か一つのテーマを通して歴史を語る書はいつも面白い。
    歴史はどの立場から見るかで印象がかなり違う。

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    2021年12月13日
  • 神聖ローマ帝国

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    カール大帝以降、非常にややこしい神聖ローマ帝国について、各時代の皇帝に焦点を当てながら書かれている通史。やはりややこしい話だが、神聖ローマ帝国という概念が実体を持たなかったことについては、理解が進む。

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    2021年05月21日