菊池良生のレビュー一覧
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・「大空位時代」はフリードリッヒ二世が死去した1250年に始まり、73年、ハプスブルク家のルドルフ一世のドイツ王即位に終わるというのが一つの定説
・1555年カール五世、アウスブルクの宗教和議により諸侯に宗教の選択権を認める
・神聖ローマ帝国にとってウエストファリア条約の意味するところはあまりにも大きい。「領主の宗教が領民の宗教」という原則が再確認され、カルヴァン派が公認される
・スペイン継承戦争(1701年〜14年):カルロス二世の「スペイン王位はフランス ブルボン家に譲る」という遺言による強大なラテン帝国の出現を恐れ、勢力均衡を是とするオランダ、イギリスがオーストリア ハプスブルク家と対フ -
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古代よりヨーロッパでは国家間の争いにおいて戦争のプロフェッショナル集団である傭兵は必要不可欠であり、職業として認められていた。スイスでは国民に軍事教育を施し、傭兵として輸出するほどであった。さらに傭兵を使った略奪をスポンサー付きのビジネスにしたり、雇い主の国王の名で勝手に徴税したりと。
究極のブルーワーカーである傭兵だが、戦争が終わってしまえば、不要どころか抹殺されてしまうこともあった。それに対して傭兵側は戦闘する互いの傭兵が話し合い、わざと戦争を長引かせて、ギャラをもらい続けることもあった。
本書はそんな様々な傭兵の変遷の歴史を紹介する。
現代では、国家間の戦争は国民の愛国心のぶつかり -
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ネタバレ神聖ローマ帝国という死んだ国があると聞いて。
それは中世ドイツに存在して、数多くの国を抱えながら消滅していった忘れ去られた帝国だと言う話しだった。
実際に世界史には興味があったわけだけど、やはりカタカナは難しくて手に負えない。カール何人出てくるんだ、という勢いである。
読み進めることに苦労しながら、この本を読んで見えてきたのは、国同士や国対教会の対立の中で数々の王たちが利益や利権を得るために奔走していた中で、曖昧なままに生まれ曖昧なままに死んだ「神聖ローマ帝国」という国の生涯だ。
神聖ローマ帝国というのはドイツが望んだ幻想にしか過ぎない願望の現れでしかなかった。実際に西ヨーロッパには強国が -
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ネタバレこの国は「皇帝の国」であるが故に、奇妙な歴史をたどったのかと思った。
神聖ローマ帝国は、イギリスやフランスなどと対比して語られるが、神聖ローマ帝国もそれが包摂する問題があったのだ。
「選挙で選んでいたから、国家としての統一性が失われていた。」などという意見もあるが、カノッサの屈辱を経験した皇帝も叙任権闘争などでローマ法皇と戦ったり、フランスと同じような権力を振るうこともあった。
しかし三十年戦争ののち、やはり選挙で選ぶことの弊害が顕れ、フランスのような自分の領地拡大をする契機がなかったのか、ヴェストファーレン条約によって小さな諸国が主権を得ることになる。フランスもそうならない保障はなかった。
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ネタバレ『傭兵ピエール』を読むついでに参考になるかと思いつつ読んでみた一冊。ヨーロッパにおける「傭兵」の歴史上の影響について論じる。
傭兵は娼婦に続いて世界で2番目に古い職業。ローマ帝国滅亡の要因の1つに、ゲルマン人傭兵の増加があったことは有名である。また、中世の宗教勢力と王侯勢力の対立、ルネサンスと宗教改革の時代、近代国民国家の成立といった歴史の転換期には必ずと言っていいほど傭兵が絡んでいたこと。
興味深かったのは「ランツクネヒト」という主に貧農の次男以降から構成される傭兵部隊について。兵士集会と呼ばれる現在の労働組合に似た民主主義的な傭兵の組織があること、現在のベンチャー起業家のような感 -
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警察の歴史を追いながら、近代ヨーロッパ成立までのからくりを探るという、野心的な一冊。古くは古代ローマから中世、近代ヨーロッパまで、各国の警察を巡って繰り広げられるストーリーは、人間の本質をさまざまな視点から浮き彫りにしており、非常に読み応えがある。
◆本書の目次
序章:江戸の「警察」組織
第一章:古代ローマ「警察」制度
第二章:中世の「警察」制度
第三章:中世の都市の発展
第四章:嫌われるウィーン市警備隊
第五章:パリ「警察」の成立
第六章:警察大改革前のイギリス旧警察
第七章:「ありがたき」警察
最終章:近代警察の誕生
本書は、著者の立ち位置が一風変わっている。さながら”お喋りなナビゲー -
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現在のドイツやフランスを中心とした西ヨーロッパ諸国の歴史を知る上で避けて通ることのできない神聖ローマ帝国だが、あまりにも沢山のキーパーソンがいるせいで、なかなか理解しにくいのも事実。長年に渡って存続したにも関わらず、ついに中央集権体制が確立されなかったのが、その所以。「ハプスブルク家」というキーワードこそあるものの,最終的に「○○家が絶対王政を築いた」とか、「○○家の世襲王朝が長年にわたって存続した」とか、そういった一定の切り口を与えにくいため、色んな角度から何度も復習しないと、複雑な歴史的経緯が全く見えて来ない。このあたりが、日本史や中国史との大きな違いかもしれない。
本書は、これ一冊で神聖