【感想・ネタバレ】神聖ローマ帝国のレビュー

あらすじ

中欧に存在した不思議な「帝国」の一千年史。ドイツはじめ中欧諸国の母胎となったこの帝国は、教皇や周辺諸国、諸候と合従連衡と抗争を繰り返しながら、中世史の一極をなし続けた。その実体を解き明かす。(講談社現代新書)

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複雑なことをわかりやすく

この著者の書いた「30年戦争」を読んで感銘を受けたので、通史としてのこちらの本も読んでみた。ヨーロッパ市の中でも特に複雑でわかりにくい神聖ローマ帝国史を、省略せずにわかりやすく書いてある期待通りの良書である。ヨーロッパ諸国は千数百年間に渡ってこのように複雑で混乱した戦争と外交を繰り広げてきた。極東の島国でのほほんと暮らしてきた日本とは、外交や戦争において基礎が全く違うと思わざるをえない。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

ハプスブルク家が皇帝位を世襲してからはハプスブルク家に関する書籍はたくさんあるので良いですが王朝・諸侯入り乱れる神聖ローマ帝国史をテンポよく解説しているのでとても面白く読めました。個人的にはドイツ史(?)=神聖ローマ帝国は統一感もないし血統も複雑なので今まで避けてきた感がありますが良い本に出会えました。カノッサの屈辱のハインリヒ4世やフリードリヒ1世バルバロッサは一人の皇帝としては知っていましたが歴史の流れとして知ることができたのは大きいです。何度も読みたくなる本です。ただこのシリーズはよく買ってましたが表紙がシンプルになっちゃったのですね。内容は同じでしょうけど。

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2012年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この国にフランスは嫉妬し、イタリアは畏怖し、ローマ教皇は、愛し、かつ憎んだ。

中欧に存在した不思議な「帝国」に一千年史。 ドイツはじめ中欧諸国の母胎となったこの帝国は、教皇や周辺諸国、諸侯と合従連衡と抗争を繰り返しながら、中世史の一極をなし続けた。その実体を解き明かす。

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2012年10月03日

Posted by ブクログ

神聖ローマ帝国と言う、ぼんやりとした存在を時系列に、丁寧に説明してくれている本。入門書。

言葉としては知っていてもいったいそれがどんな国だったのかと聞かれたら答えられない国、神聖ローマ帝国。何せぼんやりとしてつかみどころのない国(国と言っていいのかすらも怪しいですが)をざっくり、でも丁寧に教えてくれました。


先程読み終わったばかりですが、さらに神聖ローマ帝国について知りたくて仕方ありません。もっともっとこの国について知りたい、と思わせてくれるよい本でした。

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2012年09月26日

Posted by ブクログ

著者の菊池良生先生の、「傭兵の二千年史」かどちらかを読んで、それから「戦うハプスブルク家」を読むと、ドイツを中心とした西洋史についてするすると学べる。
「神聖ローマ帝国」を統べた皇帝と、それを取り巻く人々の歴史絵巻。
端的に言って、面白いです。今まで記号でしか無かった歴史上の人物がいきいきと、丹念に描かれています。
入門書にぜひ。

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2012年04月26日

Posted by ブクログ

■何故に『神聖ローマ帝国』なのか?何が『神聖』なのか?
■何が『ローマ的』なのか?ドイツはこの称号を名乗ることでいかなる歴史を背負わされたのか?
■その称号の祖形である古代『ローマ帝国』という名は中世以来のヨーロッパ人全体の心性にいかなる決定的影響を与え続けたのか?

同じ菊池良生著の『図説神聖ローマ帝国』と平行して読むと面白いです。個人的にはルドルフ4世に惚れました。彼についてもっと知りたいかも。

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2011年05月16日

Posted by ブクログ

そもそも神聖ローマ帝国って何だ?の疑問を解きほぐしてくれる。
また今のEUやドイツ・東欧の問題の根源なども垣間見えたりして、
中欧史奥深い。

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2009年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なんてわかりにくい・・」というのが中盤以降の本書の感想である。
ただし、わかりにくいのは本書の文章が問題なのではなく、神聖ローマ帝国の歴史自体が問題なのである。

本書の文章は軽妙で、読みやすくわかりやすい。本書『あとがき』でも担当者に感謝を述べているが、随所に挟まれる家系図や地図、巻末の年表も理解を補完する良い手助けになっている。
この著者の作品を読むのは本書が2つ目だが、以前読んだものと変わらぬノリで中世から近世にかけてのドイツ・オーストリア史を気持ちよく知ることができるので他の作品も「読みたいリスト」に加えたくらいだ。

しかし、その著者をもってしても神聖ローマ帝国の歴史はつかみにくい。
近世までの国家は、王朝の交代はあっても交代した王朝を軸として見ていけばその国の有様が把握できるのだが、神聖ローマ帝国はその主体が見えない。王朝はあっても、そこへローマカトリック教会による世俗権力への欲望やドイツ国内での領主間の勢力争い、隣国フランスや北部イタリア諸都市の都合といった様々な勢力の思惑が絡まり合い、建国の早い時期ですら国家の主体がどこにあるのかが分からない。これがわかりにくさの要因なのだろうと思う。
また、国として統一されないまま千年近くを経たこともわかりにくさを助長していると感じた。聖俗の権力争いだけを見てもローマ教会の世俗での権勢欲から始まり、教皇権の伸張と衰退、宗教改革、それを利用した教会領への諸侯の介入というように時代により状況が大きく変化していく。聖俗の関係は、教会組織を利用した王権の直轄支配のもくろみとドイツ地域独特の教会のありようという別の視点でも複雑に絡んでいる問題でもある。選帝侯を含むドイツ諸侯は自領や支配権の拡充だけをもくろみ、皇帝の任命により数が増減しパワーバランスも変化するし、隣国フランスは中央集権化を推し進めて強力になり、北部イタリアでも都市国家の連合から有力都市を中心とした国家へと発展していく。時代が進んでいけばヨーロッパ全体での足の引っ張り合いもあり、近世が近づくほど外部勢力の影響も増えて混迷を深めていく。

神聖ローマ帝国という国は、思っていたよりももっと複雑で、その複雑さには歴史の積み重ね、変化していく複数の勢力の思惑が絡まってできていた、ということはわかった。
貨幣の鋳造権や収税権も手放しているので、本書のなかでも度々問われる『神聖ローマ帝国は国家と言えるのか』という悩みが付きまとい、本書よりもっと細かいくくり(;選帝侯や有力諸侯、包括するいくつもの国)の個々の歴史を知らなければ「全体像を掴みきれない」という感覚は晴れないのではないかと思った。

もうひとつ、本書の影のテーマとして一貫していたのは「ローマ帝国の影」なのだと思う。
本書を読む前はローマ帝国というものの影響がこれほど深いものだとは思いもしなかった。「皇帝」という言葉も一般名詞ではなく、長い間「ローマ”皇帝”」という意味合い、固有名詞だったとは想像もしないことで驚いた。
ビザンツ帝国が滅ぶ15世紀頃には西ヨーロッパ諸国は文化・技術的にもビザンツ帝国に追いついた形になり、ローマ帝国への憧れから解き放たれたと思っていたが、本書を読めばその後も形骸化した東西ローマの皇帝を大事にしていることがわかる。本当の開放はナポレオンの登場する近世まで待たねばならないとは意外だった。
このローマ皇帝への気負いやコンプレックス(= 呪縛?)が神聖ローマ帝国の対外政策や周辺諸国の思惑をねじ曲げて不可解とも思える国外 へ/から の干渉へとつながっており、思惑の絡み合いをややこしくしている。



以下、本書を読んで所々で感じたことの覚え書き。
本書の冒頭は神聖ローマ帝国の最晩年から滅亡(解散)後の様子から始まるが、まずその部分で驚いた。第二帝国も連邦国家! ヴィルヘルム1世とビスマルクの中央集権国家だと思っていたにでびっくり。「これでは神聖ローマ帝国の焼き直しではないか」という思いを抱いてしまった。
本書でときに引用される『ドイツ史はそもそも存在するのか?』という問いに、この序章から本書を読み終わるまで一貫して共感を抱くことになった。

第1章は西ローマ帝国の滅亡からカール大帝の戴冠までの略史。短いがわかりやすく、ローマ教皇庁やフランク王国の思惑もわかりやすく、後の叙任権闘争へと発展していく根本や西欧諸国のローマ帝国への憧れがよくわかる。カール大帝の名前が複数言語で存在する理由もわかった。

支配権は中央集権化していくことが普通だと思っていたが、諸侯による選挙態勢もそれほど異常ではないことがわかった。この有力者による選挙という体制は、神話によらず支配者の箔を付けるという意味でも、劣悪な支配者を廃するという意味でも有効であろうと思われた。中央集権が進めば漢の霍光の事跡が後の世に語り継がれるように、皇帝や王を廃することがとても珍しく、困難なものになるという弊害もあることに思い至った。

簡単な家系図が王朝ごとに載っているのが良い。多数の同じ名前が出てくるので、漫然と読んでいると文章だけでは混乱するが、この家系図がある事で一目で整理することができる。
男系が絶えることで王朝は交代するが血統は続いていることもよくわかる。

選帝侯に司教が何人も入っていることが不思議だったが、これも一言で単純に説明できることでは無い歴史の積み重ね、思惑の絡み合いの結果であることがわかった。
ドイツ地域独特の教会のあり方と、世襲を排しようと教会組織を頼った皇帝の思惑、諸侯の削減にローマ教皇の思惑も作用している。そもそも選帝侯は最初から存在していた制度ではなく、国をまとめるゴタゴタのなかで収斂してきたものでもある。神聖ローマ帝国が一枚岩ではないことや時代と共に制度が大きく変化しわかりにくいことがこの一事からも感じられる。

第9章の三十年戦争やウエストファリア条約以降の内容は短い文章ではよく分からないという印象だった。
これは帝国がすでに体をなしていないためであろうが、ここだけで一冊本を書けるぐらいの内容なので、著者の『戦うハプスブルク家』を読んでみようと思い、地図とにらめっこすることなくぼんやりとした理解で読み進めた。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

神聖ローマ帝国
著:菊池 良生
紙版
講談社現代新書

神聖ローマ帝国の推移は複雑である
前半は3王朝時代、後半は、神聖ローマ帝国の宣言後である
3王朝時代は、ドイツ、フランス、イタリアを対象として、血縁、ローマ教皇との対応、諸侯からの推戴などである
神聖ローマ帝国になってからは、ドイツに限定される

どだい千年にも及ぶ歴史を250頁ほどの新書に詰め込もうとは難しい話である。

気になったのは以下

神聖ローマ帝国=ドイツ国民の神聖ローマ帝国 第1帝国 962~1806
 ドイツ、オーストリア、イタリア、チェコ、スイス、オランダ、ベルギー等を版図とする帝国
ドイツ帝国=プロイセン王国主導  1871~1918
そして、ナチスの、第3帝国

395 ローマ帝国東西に分裂
476 西ローマ帝国滅亡

□3王朝時代
■フランク帝国
フランク帝国成立
 メロヴィング家衰微、カロリング家へ推移
■カロリング家
 カロリング家ピピン、メロヴィング家血統 フレデリック3世推戴後、廃位、あらためて貴族会議にて推戴されて王位へ
 ピピンをささえている要因は、ローマ教会との結びつき
751 ピピン、フランク国王へ、カロリング朝開基
 ピピン死後、長男カール、次男カールマンに国土2分、カールマン早世にて、カールがフランク国王に
800 カール ローマ教皇レオ3世より戴冠 西ローマ帝国復活 カール大帝へ
814 カール大帝没 長子ルートヴィッヒ敬虔王 教皇ステファヌス3世により皇帝へ推戴
843 ヴェルダン条約 ルートヴィッヒ死後、息子3名にて、王国は3分割に、イタリア、ドイツ、フランスの原型が誕生
 ①長子ロタール1世 中部フランク王 イタリア、トートリンゲン(ロレーヌ地方)⇒ロータル1世の子ルートヴィッヒ2世の後に廃絶
 ②3子ルートヴィッヒ 東フランク王、ライン以東(ドイツ人王)⇒ルートヴィッヒ・ドイツ人王、末子カール肥満王が相続
 ③4子カール(シャルル禿頭王) 西フランク王 ライン以西 ⇒禿頭王の末子カルロマン死後、断絶
885 東フランク王 末子カール肥満王が西フランク王の支配権を得て皇帝
 ノルマン人のパリ包囲後、肥満王廃位⇒甥のケルンテン辺境伯アルヌルフ 東フランク王に ⇒東カロリング家はその後断絶
 西フランク カロリング家も断絶 ⇒王権は、パリ伯ロベール家ウード伯に移る ⇒カペー王朝へ
911 東フランク王にフランケン公コンラート1世を選出
 コンラート1世は、後継者にザクセン公ハインリッヒ1世狩猟王に王位を譲るという遺言
 ザクセン王朝=事実上にドイツ王国のハインリッヒ1世狩猟王誕生 ハインリッヒ死後は、オットー1世が即位
■ザクセン朝
962 オット1世が、大帝に、ザクセン朝初代
 <1>教皇ヨハネス12世廃位⇒レオ8世
 <2>イタリア王国を摂取して、ドイツ王とともに、イタリア王にもなる
1024 ザクセン朝第4代聖ハインリッヒ2世死亡 ザクセン朝断絶
■ザリエリ朝
 オット大帝の娘の系譜、フランケン公コンラート2世をドイツ王に推戴 ザリエリ朝創設
 コンラート2世は、ブルゴーニュ王国を支配、ドイツ、イタリア、ブルゴーニュを支配
 コンラートの息子ハインリッヒ3世、中世ドイツの最強の支配者に⇒フランケン公領+シュヴァーベン公領+バイエルン公領を支配、隣接ボヘミアを臣従、ハンガリーも臣従
1056 ハインリッヒ3世の息子、ハインリッヒ4世が6歳で即位、摂政を立てるも、教皇からの圧力を受けるようになる
1076~77 カノッサの屈辱、ハインリッヒ3世のグレゴリウス教皇廃位に対して、ハインリッヒ3世を破門とした、その後カノッサ城にて破門を解除
1122 ハインリッヒ3世の息子4世と、教皇カリクストゥスの間にヴォルムス協約締結
 ハインリッヒ4世は、息子5世のとどめを刺されるが、5世も子宝にめぐまれずザリエリ朝は廃絶 シュタウフェン家に王位を譲ることに
 しかしそのことをきらった諸侯は、ザクセン公ズップリンゲンベルク家のロタール3世を新王に推戴して、ドイツは10年間の内乱となる
■ズップリンゲンベルク朝
1133 ロタール3世は皇帝となるが、その死後、ズップリンゲンベルク家は廃絶
■シュタウフェン朝
 その後、諸侯はシュタウフェン家のコンラート3世を推戴
 コンラート3世死亡後、フリードリッヒ1世(赤髭王=バルバロッサ)4度のイタリア遠征に
■神聖帝国に
1190 バルバロッサは、第3回十字軍を率いて小アジアを突破
 バルバロッサの後継、ハインリッヒ6世、ドイツ王、フルゴーニュ王、イタリア王、ナポリ・シチリア両王を兼ねることに
1197 ハインリッヒ6世急死、フリードリッヒ2世母后が摂政に、母の死後は、教皇インノケンティウス3世が摂政に
1250 フリードリッヒ2世没、3王朝時代が終了、大空位時代始まる

□神聖ローマ帝国
1254 ホラント伯ウイレム、国号に「神聖ローマ帝国」を使用
1256 ウイレム遠征中に沼で溺死、ドイツの南北朝時代が始まる

■ルクセンブルク家
1310 ハインリッヒ7世、イタリアで戴冠式
 ルードヴィッヒ4世 皇帝戴冠式、一方対立王カール4世も併存
1347 ルードヴィッヒ4世急死、カール4世が1人王に
 カール4世は神聖ローマ帝国がドイツ、イタリア、ブルゴーニュの王国に君臨するというが、おとぎ話にすぎないことを骨身に染みさせられた
1356 カール4以西は、金印勅書を発行し、諸侯に特権を付与
 ハプスブルク家建設候ルドルフの偽書騒動⇒以後ハプスブルグ家の勢力が伸長
 カール4世の次男ジギスムントは、宗教改革をまとめきれずに死去、後任には娘婿のハプスブルク家のアルプレヒト2世が選考される
■ハプスブルク家
 アルプレヒト2世は、ルクセンブルク家所領のボヘミアとハンガリを手に入れるが急死
 従兄妹のフリードリッヒ3世が皇帝を継ぐことに
 フリードリッヒ3世は、神聖ローマ帝国の版図はほとんど、ドイツに限られていることを追認
1493 その子マクシミリアンは、ドイツ王
1499年のシュヴァーベン戦争でスイスが帝国から離脱
1508 教皇の戴冠なくして、皇帝となる
 マクシミリアンの後はその孫カールが継承
 カールの敵はフランス、そして、ペストと、オスマントルコであった
 その後カールは、宗教改革で失脚、皇帝を弟、フェルディナントへ、スペイン王は、息子フェリペに渡す
 このことで、ハプスブルク家は、オーストラリア・ハプスブルク家と、スペイン・ハプスブルク家に分裂する
1618~1648 ドイツ30年戦争 
1648 ウエストファリア条約、スイス13州は、自由に離脱した州とした法的地位を獲得する、またオランダが独立
1776 ロートリンゲンは、フランス占領、最後のロートリンゲン公シュテファン・フランツがハプスブルク家の婿養子となることが決まる
 そして、相手の家付きの娘とは、マリア・テレジアである
 アウクスブルクの和議 宗教として認められたのは、カトリックとルータ派であり、カルヴァン派は異端のまま
1806 オーストリア皇帝となっていた神聖ローマ皇帝フランツ2世は帝国の滅亡を勅した

序章 神聖ローマ帝国とは何か
第1章 西ローマ帝国の復活
第2章 オットー大帝の即位
第3章 カノッサの屈辱
第4章 バルバロッサ――真の世界帝国を夢見て
第5章 フリードリッヒ2世――「諸侯の利益のための協定」
第6章 「大空位時代」と天下は回り持ち
第7章 金印勅書
第8章 カール5世と幻のハプスブルク世界帝国
第9章 神聖ローマ帝国の死亡診断書
終章 埋葬許可証が出されるまでの150年間
あとがき
神聖ローマ帝国関連略年表
参考文献

ISBN:9784061496736
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:900円(本体)
発売日:2003年07月20日第1刷

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2023年12月08日

Posted by ブクログ

カール大帝以降、非常にややこしい神聖ローマ帝国について、各時代の皇帝に焦点を当てながら書かれている通史。やはりややこしい話だが、神聖ローマ帝国という概念が実体を持たなかったことについては、理解が進む。

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2021年05月21日

Posted by ブクログ

「神聖ローマ帝国ってなんなのだ?」から始まる、面白く読める神聖ローマ帝国入門と言った感のある一冊。ただし、注意点はある。各所に物事を単純化する傾向、参考文献のつまみ食い的傾向がある。また、フリードリヒ3世の評価やウェストファリア条約の評価についてなど、今となっては古い説になってしまっている箇所があることなどである。この辺りの新しい評価は岩崎周一氏の『ハプスブルク帝国』を読むと良いかもしれない。

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2020年11月07日

Posted by ブクログ

世界史の教科書の中ではなぜかブラックボックスのように隠されてしまっているザリエル朝・ヴェルフェン朝・大空位時代のあたりを知るために読んだ。変なつまみ食いみたいな取り上げ方をするのではなく、こんなふうにきちんとタテの流れを明示しないと、神聖ローマ帝国の歴史が何なのかが結局よく見えてこない。文章も読みやすく、大変ありがたかった。

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2020年10月10日

Posted by ブクログ

・「大空位時代」はフリードリッヒ二世が死去した1250年に始まり、73年、ハプスブルク家のルドルフ一世のドイツ王即位に終わるというのが一つの定説
・1555年カール五世、アウスブルクの宗教和議により諸侯に宗教の選択権を認める
・神聖ローマ帝国にとってウエストファリア条約の意味するところはあまりにも大きい。「領主の宗教が領民の宗教」という原則が再確認され、カルヴァン派が公認される
・スペイン継承戦争(1701年〜14年):カルロス二世の「スペイン王位はフランス ブルボン家に譲る」という遺言による強大なラテン帝国の出現を恐れ、勢力均衡を是とするオランダ、イギリスがオーストリア ハプスブルク家と対フランス大同盟(ハーグ同盟)を結成し、フランスに宣戦布告したもの
・オーストリア継承戦争(1740年〜48年):プロイセンのフリードリッヒ大王が男子帝位継承者のいないカール六世のオーストリアハプスブルク家断絶を主張し、それに呼応したフランス、スペイン、バイエルン選帝侯国、ザクセン選帝侯国の5ヵ国がオーストリアに戦争をしかけたもの

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2018年11月04日

Posted by ブクログ

「神聖ローマ帝国」という大仰な国号に込められた意味を歴史を概観しつつ解き明かしていくといった趣旨の新書。なかでも、ザリエリ朝、シュタウフェン朝、ハプスブルク朝にスポットライトが当てられている。大枠としては、カール大帝による西ローマ帝国の復活から、徐々にローマ帝国の理念と現実が乖離していき、結局ヴェストファーレン条約以降「帝国」としての実体も失っていく過程が描かれていく。

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2015年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

神聖ローマ帝国という死んだ国があると聞いて。

それは中世ドイツに存在して、数多くの国を抱えながら消滅していった忘れ去られた帝国だと言う話しだった。
実際に世界史には興味があったわけだけど、やはりカタカナは難しくて手に負えない。カール何人出てくるんだ、という勢いである。

読み進めることに苦労しながら、この本を読んで見えてきたのは、国同士や国対教会の対立の中で数々の王たちが利益や利権を得るために奔走していた中で、曖昧なままに生まれ曖昧なままに死んだ「神聖ローマ帝国」という国の生涯だ。
神聖ローマ帝国というのはドイツが望んだ幻想にしか過ぎない願望の現れでしかなかった。実際に西ヨーロッパには強国がおり教会の力は大きく、内政における諸侯たちも大人しく従うわけでもない。だが神聖ローマ帝国という幻想がつくりあげた海原は諸国を巻き込むには充分だし、時には恵みを一身に受けたりしながら、結局は重荷になった。
帝国は実体のない、空想上のままでありながらその威光を放っていた異常な国とも言える。だからこそ理解しにくく、まただからこそ魅力がある。まさしく幻想が作り出した国だからだ。
これを読んですべてが理解できた、とは言い切れない。だが、神聖ローマ帝国の魅力は充分に感じ取ることはできた。

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2014年05月08日

Posted by ブクログ

これとハプスブルク家の二冊がかなりリンクしてて合わせて理解しやすかった。中世が思った以上に、現代とかけ離れておった。

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2013年08月22日

Posted by ブクログ

休みを利用して一気読み。
読み物として十分面白い。
神聖ローマ帝国、ひいては中世ヨーロッパという複雑怪奇な代物を神聖ローマ帝国皇帝の人物像を中心にまとめることで非常に面白く、読みやすいものになってる。
領有権はあるのに領有してないとか、○○伯が結婚して○○に対する領有権を獲得、とか少しわかった気がする。
オススメです

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2012年09月18日

Posted by ブクログ

神聖ローマ帝国の起源、なぜ「神聖」かつ「ローマ」って名前がつくのかを時系列を沿って解説してくれている新書。失われた「古代ローマ帝国」の羨望や皇帝と教皇の対立の中で形成された「神聖」という単語の意味合いが面白かった。歴代教皇が目指した神権政治との決別という意味合いっていうのが学びだった。

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2012年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この国は「皇帝の国」であるが故に、奇妙な歴史をたどったのかと思った。
神聖ローマ帝国は、イギリスやフランスなどと対比して語られるが、神聖ローマ帝国もそれが包摂する問題があったのだ。
「選挙で選んでいたから、国家としての統一性が失われていた。」などという意見もあるが、カノッサの屈辱を経験した皇帝も叙任権闘争などでローマ法皇と戦ったり、フランスと同じような権力を振るうこともあった。
しかし三十年戦争ののち、やはり選挙で選ぶことの弊害が顕れ、フランスのような自分の領地拡大をする契機がなかったのか、ヴェストファーレン条約によって小さな諸国が主権を得ることになる。フランスもそうならない保障はなかった。
のように、神聖ローマ帝国は「統一国家になりそこねた国家」とも言える。

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2012年01月31日

Posted by ブクログ

現在のドイツやフランスを中心とした西ヨーロッパ諸国の歴史を知る上で避けて通ることのできない神聖ローマ帝国だが、あまりにも沢山のキーパーソンがいるせいで、なかなか理解しにくいのも事実。長年に渡って存続したにも関わらず、ついに中央集権体制が確立されなかったのが、その所以。「ハプスブルク家」というキーワードこそあるものの,最終的に「○○家が絶対王政を築いた」とか、「○○家の世襲王朝が長年にわたって存続した」とか、そういった一定の切り口を与えにくいため、色んな角度から何度も復習しないと、複雑な歴史的経緯が全く見えて来ない。このあたりが、日本史や中国史との大きな違いかもしれない。
本書は、これ一冊で神聖ローマ帝国の歴史が概観できる作りになっており、入門編としても丁度良いボリュームだと思う。ただ、前述の通り、本書で概観しただけでは、おそらく神聖ローマ帝国の歴史はさっぱり頭に入ってこないだろうけれども。

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2010年11月23日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
見果てぬ夢「古代ローマ帝国の復興」を求め、抗争を繰り返しながらも、八百五十年間にわたり中近世ヨーロッパの中心に存在し続けた「帝国」の実像に迫る。

[ 目次 ]
序章 神聖ローマ帝国とは何か
第1章 西ローマ帝国の復活
第2章 オットー大帝の即位
第3章 カノッサの屈辱
第4章 バルバロッサ―真の世界帝国を夢見て
第5章 フリードリッヒ二世―「諸侯の利益のための協定」
第6章 「大空位時代」と天下は回り持ち
第7章 金印勅書
第8章 カール五世と幻のハプスブルク世界帝国
第9章 神聖ローマ帝国の死亡診断書
終章 埋葬許可証が出されるまでの百五十年間

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月21日

Posted by ブクログ

文章が読みやすいというより読んでいて愉快になる。楽しい歴史書。といっても中身が軽いわけでもなく。
二回は読んでいるはずだけど欧州情勢は昔っから複雑怪奇なので、もう手元に欲しい。

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2009年12月10日

Posted by ブクログ

その名のとおり神聖ローマ帝国の本です。
歴史書としては比較的分かりやすく書かれていると思います。
特に「カノッサの屈辱」のあたりが面白かった…!

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

著者も「皇帝列伝形式」で書いたと述べているとおり、神聖ローマ帝国成立前史の位置にあるカール大帝の西ローマ帝国から、ナポレオン戦争における神聖ローマ帝国崩壊までを、「皇帝」の事績を中心に語られています。近年(門外漢の偏見かもしれませんが)中世ヨーロッパに関する本はいわゆる社会史的な観点から書かれている本が多いような気がしますので、制度史が専門だった私には、こういった「古い」視点が逆におもしろさを感じさせてくれます。中世ヨーロッパは、この神聖ローマ皇帝とローマ教皇を縦軸に織りなされてきました。近世・近代と違い「地方」の力が「中央」をしのぐほどに強く非常に分かりづらい時代ではありますが、一つの軸をもってまとめてくれたこの本は、中世ヨーロッパ理解のための基本文献であることは間違いないのではないでしょうか。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

読みやすい、一気に読めた。ややこしい神聖ローマの歴史を簡潔にそれもエピソードを交えて書かれている。良い。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

アメリカもEUも帝政ロシアも意識したローマ帝国。

で、中世ヨーロッパの本を読んでると 
「神聖ローマ帝国」という国が出てくるので
頭が??状態。

なんで読みました。これ読むと本当にEU、ナチス、
ハプスブルク家、大航海時代と時代を逆行して
ヨーロッパ人のアイデンティティが少し
のぞけます。

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2011年08月26日

Posted by ブクログ

まさに「欧州情勢は複雑怪奇」ですね…皇帝や王の名前がナントカ1世だの似たような名前だらけで途中から誰が誰だかよく分からなくなってきた

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2011年03月31日

Posted by ブクログ

評判がいいようなので読んでみた。
おもしろおかしく書かれているので(悪役を作って単純化するにしてもやりすぎな気がするが)さっくり読めて、つかめた気になる。
入門・まとめによい感じ。

文章がやや気になる。(わかりやすくはあるけれど)言葉選びがこなれていない。
がんばって難しい言葉を使っている感じが気恥ずかしい。

ていうか画像…私が読んだのと表紙が違うのはともかくなにこの帯。このコピーはひどい。
単純化した内容ともども安っぽいな。

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2012年03月31日

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