細川重男のレビュー一覧
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洋泉社歴史新書y版を改訂・増補し、
“付編 頼朝の後、後の頼朝”を加えて、大幅パワーアップ。
親分・源頼朝と御家人たちが集い、築いた鎌倉幕府。
彼らの人間関係と武士という存在、彼らを率いた頼朝の器量を
分かり易く、楽しく?描く。そして頼朝後の御家人抗争時代と
北条氏の義時・政子・泰時のその後が加わる。
・プロローグ――物騒な主従漫才
一 流人の生活 二 ドキュメント・鎌倉入り
三 「オレたちの町」鎌倉
四 御家人たちの「溜まり場」鎌倉幕府
五 御家人たちのハートを掴んだ頼朝
六 故郷としての都市鎌倉
・エピローグ――鎌倉幕府の青春時代
・洋泉社歴史新書y版あとがき
付編 頼朝の後、後の頼朝 -
ネタバレ 購入済み
北条家って、つくづく…。
2023年8月読了。
昔から「鎌倉好き」だったのだが、昨年の大河ドラマで久々に〝燃え上がる程の鎌倉愛〟が甦り、最近の研究成果を踏まえた研究書を漁り出したのだが、やはりNHKの力はスゴいもの。
本書と出逢えて、非常にラッキーだった。
『「執権」で有り続けた北条家は、何故〝将軍〟を欲しなかったのか?』をメインテーマとして、歴代執権の中でも対称的なイメージの有る北条義時と時宗を徹底的に“深掘り”した、とても興味深い本だった。
大河ドラマでもそうだったが、あれだけ血腥い事をやり尽くした感の有る義時が、後の時代では『頼朝と並ぶ卓越した得宗(政治家)』として、室町幕府やその後の武家政権からこんなに高 -
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北条氏はなぜ将軍にならなかったのか、得宗専制とはそもそも何なのかなど素朴な疑問の提起から始まる本書は、「北条氏の鎌倉幕府支配を支えた論理」の解明を課題としている。
フォーカスされるのは、承久の乱で執権の権力集中を成し遂げた義時と、蒙古襲来という未曾有の危機に際して得宗専制体制を構築した時宗である。あえて北条氏の歴史ではなく、この二人に絞ったことで「支配を支えた論理」とその政治史的意味を明確にすることに成功していると言って良いであろう。初出は『北条氏と鎌倉幕府』(講談社メチエ、2011)。
きわめて真面目な内容なのだが、資料の解釈など現代的な大胆に噛み砕いている部分が多く、初学者にもわかりや -
購入済み
わかりやすい記述
なぜ北条氏は将軍にならなかったのか、あるいはならなかったのか。そのことがテーマで執筆されたものです。取り上げられている人物は、2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役北条義時、蒙古襲来時の執権北条時宗の二人。著者である細川重男氏は、わかりやすい記述で理解しやすいのが特徴です。
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ネタバレ 購入済み
面白い
この著者の別の書物を読み、あまりにわかりやすく面白かったので、読んでみましたが、こちらも大変面白かったです。
承久の乱の最後に、藤原・三浦に放ったと言われる後鳥羽院の言葉の意訳は、なんだかものすごく府に落ちたというか、ああきっと、こういう意味で言った言葉だったんじゃないかなと思えました。
倫理観も不揃いの、田舎武士たちをまとめる頼朝の、人間味も感じられて、鎌倉時代が面白く思えてきました -
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やー、おもしろいわぁ。これはいい。わかりやすい。現代の私たちに置き換えて説明してくれるから、頭での理解はもちろん、感覚としてわかる。遠い鎌倉時代の武士たちが、実際に生きた人間としてすごく身近に感じられる。『吾妻鏡』などの史書に書かれているセリフも、〈直訳だと雰囲気が伝わらないので〉と、現代の言葉づかいに意訳されているので、笑えるし、リアル。
鎌倉幕府に関する本は、1180(治承四)年の源頼朝の挙兵あたりから始まることが多いようだけど、本書は、頼朝の出自、ひいては源氏のルーツから書かれており、さらに貴族の説明にいたっては710年の大宝律令までさかのぼるので、物事の根本から知ることができます -
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いやぁ〜、面白かった。
なんと言っても文体が面白かった!
かなり砕けた文体で、分かりやすく書いてくれています。たとえば頼朝が伊豆に配流されたあたりのところでは、
>頼朝は四月生まれなので(『武家年代記』治承四年条)、この時、数え年では十四歳だが、満年齢なら十三歳になる直前、もうすぐ卒業式を控えた小学六年生である。
「頼朝の武士団」より
このように、初心者でも非常に分かりやすく書かれています。
他にも、面白くて分かりやすくたとえたり、「ちびまる子ちゃん」のナレーションのようなツッコミが入っていたりと、とても楽しく読み進められました。
特に、史料に残っている頼朝や政子などが話したことの -
ネタバレ 購入済み
執権・得宗
あとがきに引用されているギタリスト真島昌利氏の言葉「難しいことはわかりやすく、わかりやすいことは面白く、面白いことは深く。」を実践されている本です。
専門用語の意味を説明してくれていて、昔の文書などを親しみやすい言葉で意訳してくれています。
元寇のタイミングが得宗権力の極みと一致していたことは、もう一つの神風だったのかもしれないと思いました。 -
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超絶わかりにくい鎌倉幕府、超絶わかりにくい「何故、執権が実権を握るのに、わざわざ将軍が必要なのか」についての書籍なのに、超絶読みやすい。本論を理解するために必要な最低限(といっても多々ある)時代背景についての説明が、超絶わかりやすい口語で説明していて、とても助かる。
初めて知った「絵馬小四朗義時」この人(承久の乱の主役)と「相模太郎時宗」(元寇の時の主役)この二人が理解するためのキーマン(というか、前者の例を後者が最大限に活用した/心の支えにした)という論の組み立ては、とてもわかりやすかった。
北条時宗って、日本史上最大最強の独裁者(の役を真摯に演じ続けた人)だったのね。
それにしても、 -
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平家打倒後、朝廷とは一線を引く新しい組織の確立を模索する投獄武士団。その試行錯誤の中で血で血を洗う権力闘争があり、本人も意識しない中で権力の頂点に上り詰めた北条義時。東国の事実上の頂点に上り詰めた時に、これまでの権威である朝廷は後鳥羽上皇の命により承久の乱に踏み切った。しかし義時は見事にそれを乗り切ったー
この、鎌倉将軍とその補佐役である「執権」の二頭構造が承久の乱を乗り切った、という構図が、元寇という未曾有の国難に立ち向かわざるを得なかった時宗にとって模範となり、形式として惟康親王を源惟康として頼朝になぞらえ、自らは肉親を排除してでも完全な独裁者として君臨し、いわば承久の乱にも等しい国難を乗 -
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の余韻に浸りたくて、御家人抗争に特化したこの本を選んだ。ドラマと史実の違いも面白く読めたし、かつての仲間同士が殺し合うバトルロイヤルをもう一度楽しむことができた。
記述は『吾妻鏡』と、より信頼できる他の史料に依っているが、ところどころ北条時政の性格を「人のいい田舎のおじさん」のように評しており、史料からは個々の性格はほとんどわからないと思うので著者の主観及びドラマのイメージではないかと思われる部分もあった。
最後のまとめに27年にわたる御家人抗争の原因は「源頼朝が死んだことに尽きる」、「武士は戦闘員であり殺人に対するハードルが低い、というよりも無い」という指 -
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源頼朝の薨去から承久の乱までの27年間の、
鎌倉幕府における御家人間での抗争を詳細に描く。
・旧国名図
序 殺し合いの時代
第一章 十三人合議制の成立と抗争の開始
第二章 梶原景時事件と広域武士団
第三章 比企の乱と北条時政の独裁
第四章 北条義時の台頭と和田合戦
第五章 源実朝暗殺と承久の乱への道程
第六章 承久の乱
第七章 伊賀氏の変と御家人間抗争の終焉
結 兵の道の虚実 あとがき 参考系図、参考文献有り。
――解説編――古代・中世日本の基礎知識
かつて頼朝の下で共に戦った者たちは、彼の死により、
殺し合う抗争時代を生きることになった。
現代語訳『吾妻鏡』を読んだとき抗争があちこちに
見 -
Posted by ブクログ
実に、微に入り細に入り、鎌倉時代の頼朝が挙兵したところから義時が亡くなり政子も亡くなるところくらいまでを書いてあって、いや、その後も述べられてはいるのだが、個人的にはそこら辺までが面白かったなと。
義経の話がほぼ触れられず終わっているのは何故なのかわからないのだが、それを除けば、2年前の大河のストーリーを思い出させてくれるかのような書き方で、意外にあのドラマ覚えてたんだなと気づいた。
あの時代だからこそ許された殺戮もやった人ではあるけれど、普通そんな人だと分かってたら俺なんかは絶対信用しないけど、あの時代の御家人さんたちはオイラの大将!てな感じで本当に慕われていたんだろうな。
親子で、兄弟で戦