小倉孝保のレビュー一覧

  • 踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代

    Posted by ブクログ


    波瀾万丈な生涯を送った
    一条さゆりさんというストリッパーさんのルポ。



    扇情的なコピーが並んでますが、
    この本の真髄はそこじゃありません。

    彼女はたまたま不器用で、
    転落人生を送ってしまったけど、
    心がピュアな女性こそ、
    彼女の気持ちや行動が痛いほど理解できると思います。

    打算的な気持ちがどこにもなく、
    見返りを求めずにただただ人に尽くす彼女の生き方に、
    心打たれました。

    作者さんの綿密な取材に感謝したいし、
    講談社さんもありがとうと言いたい。


    今年読んだ本の中で、
    ベスト1.2というくらいいい本でした。








    1
    2022年11月01日
  • ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯

    Posted by ブクログ

    「ロレンスになれなかった男」ということで、アラブに空手を広げるという使命感で活躍した人生が描かれている。また同時に、常識では測れない、ビジネスや様々な活動についても、事細かに記述されており、等身大の岡本英樹の生涯に接することができ、親しみを感じることができた。

    0
    2020年10月03日
  • 100年かけてやる仕事――中世ラテン語の辞書を編む

    Posted by ブクログ

    本書を読んで強く思い起こされたのは、イソップ寓話にある「3人のレンガ職人」でした。
    中世ラテン語辞書プロジェクトにワードハンターとしてボランティアで参加した市民は、立場は違えど大聖堂造りに誇りを持つレンガ職人と重なりました。

    「仕事」とは?「生きる」とは?「幸せ」とは?
    目まぐるしく変わり続ける社会で、見失いがちなこと。
    「お金に換算出来ない豊かさってなんだろう?」
    そんな疑問を丁寧に投げかけてくれる一冊です。


    0
    2019年11月28日
  • 空から降ってきた男―アフリカ「奴隷社会」の悲劇―

    Posted by ブクログ

     これは貧困と搾取が生み出した、一人の男の悲劇的な恋の末路だ。

     ロンドン、ヒースロー空港近郊の道に頭から血を流した男が横たわっていた。
     近所の住人は朝、外で大きな音がするのを聞いた。
     現場検証に来た警察官は、ヒースロー空港へ着陸していく飛行機を見上げていた。

     男の名はジョゼ・マタダ。
     アンゴラ発ヒースロー行の飛行機の車輪格納庫に忍び込んで密航しようとしたが、高度一万メートル、マイナス60℃の酸素の薄い空気で体力を消耗し、着陸時に扉が開いたときに落下して時速200kmで地面に叩きつけられて墜落死した。
     
     奴隷社会の絶望と、一人の女性に希望を賭けた。
     アフリカ社会の現代を追うノ

    0
    2018年05月08日
  • 空から降ってきた男―アフリカ「奴隷社会」の悲劇―

    Posted by ブクログ

    「貧困は相対的なものである」この意味を正しく認識し直した。比較対象を認識しなければ、貧富の差に気付くこともなく、貧しさに悩むこともない。生きてていくのがやっとであったとしても、生まれ育ったコミュニティで生活していく、それが幸せだったのかもしれない。1日あたり何ドル以下の極貧生活という表現に意味はない。
    物質的豊かさを求めて、故郷を捨てて国外まで出稼ぎに行く。グローバリゼーションの影の部分がこの事件なのであろう。
    しかし、もう過去には戻れない。

    0
    2016年12月20日
  • 空から降ってきた男―アフリカ「奴隷社会」の悲劇―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2012/9/9-0750AM
    ロンドン警視庁に緊急通報が入る。
    ロンドン西部、リッチモンド・アポン・テムズ区、モートレイクのポートマン通りに人が倒れて死んでいるように見える、とのこと。

    普段は静かな住宅街に、多くの警察官が集まり、現場での捜査が始まった。
    しばらくすると、警察官は上空を気にし始めた。
    現場はヒースロー空港から13キロ程度。
    被害者は、どうやら現場上空で着陸のために車輪を出したとき、格納部から墜落したようだと考えられた。

    身元確認などで捜査は難航するが、次第に状況が明らかになってゆく。
    亡くなったのはモザンビーク出身の男性、ジョゼ・マタダ。
    死亡した日はマタダの26歳の誕生

    0
    2016年10月15日
  • 空から降ってきた男―アフリカ「奴隷社会」の悲劇―

    Posted by ブクログ

     ヒースロー空港の直前で着陸態勢に入ったアンゴラからのBA便の主脚格納部から墜落して死亡した26歳の男の人生を追うノンフィクション。主題はアフリカ人がアフリカ人を奴隷のように扱う現状と、行政の不正、絶対的な貧困なんだけど、僕が興味を持ったのは、その男性が欧州を目指すことになった要因の一つとなった女性の人生。実はこちらも凄まじい。
     女性は82年生まれ。父親は英国人で母親はスイス人。母方は祖母がブラジル人で祖父がドイツ人。国籍はスイスとドイツで、望めばイギリス国籍もすぐに取れる。日常的に母親のフランス語、父親の英語、祖父母のポルトガル語とドイツ語に囲まれて育った。2歳の頃から家族でサハラ砂漠に渡

    0
    2016年07月18日
  • 35年目のラブレター

    Posted by ブクログ

    小学校にほどんど通うことなく、読み書きができないまま大人になった西畑保さんの実話。
    料理人として社会には出れたけれど、読み書きができないことをずっと引け目に感じていた西畑さん。優しい皎子さんと結婚して、その後夜間中学で読み書きを習得する。
    前半の人生はしんど過ぎて、本当につらかっただろうな。と思う反面、遅れてもいいからなぜ自分で読み書きを勉強しなかったんだろう?という疑問も持ってしまって。読み進めていくうちに、それがどんなに大変なのかがわかった。鉛筆を持つことも字を書くという行為も私たちが考える以上にハードルが高いのだね。読み書きができないことへの世間の冷たさは容易に想像できます。
    西畑さんに

    0
    2025年07月11日
  • 柔の恩人~「女子柔道の母」ラスティ・カノコギが夢見た世界~

    Posted by ブクログ

    女子柔道の母がユダヤ系アメリカ人とは!
    当然、日本人の女性が先頭になってその確立に尽力したのかと勝手に思っていました。 
    大柄なあり余る体力を若い頃は非行に走ったことも逮捕·留置されたこともあるが、柔道に出会ってからその魅力に取り憑かれ、女子柔道の世界選手権やオリンピックの競技化に道を拓いた外国人が居たなんて全く知りませんでした。
    名誉や地位、金銭に淡泊でただ一途に柔道取り組んだラスティ、骨髄癌で82才でなくなるもその功績に晩年日本から叙勲を受けたり、再婚の相手である日本人の柔道家鹿子木氏との幸せな私生活もあったことが幸いです。
    勝利のみを競わず、人間的成長、精神修養を重視する日本柔道に心を動

    0
    2025年05月25日
  • 35年目のラブレター

    Posted by ブクログ

    小説かと思って購入したらノンフィクションだった…

    個人的にはノンフィクションで涙を誘おうとしているのがわかる系は苦手(好きな人を否定はしないです)

    わたしがこのお話で一番好きな人は奥様。
    頑固でプライドの高いくせに臆病な夫を優しく包み込んで受け入れている。
    この奥様だったからこの男性はラブレターを書きたいと思い、字を学びたいと思えたのだろうなと感じた。

    0
    2025年03月31日
  • 35年目のラブレター

    Posted by ブクログ

    胸がほこっとします。
    西畑さんが鶴瓶さんの顔になって読んでました。
    今日は映画の封切り日、観ちゃおうかな。

    0
    2025年03月07日
  • 35年目のラブレター

    Posted by ブクログ

    映画化されると聞いて買った。
    フィクションかと思っていたらノンフィクションだった
    優しい奥さまに出会うまでの辛い道のり、奥さまに出会ってから本当のことを話すまでの休まらない毎日。
    奥さまの「辛かったね」で救われる 
    その後の夜間中学の話が微笑ましい。

    3ついいこと探して生きていこう
    辛いに一本足すと幸せ

    0
    2025年01月31日
  • 35年目のラブレター

    Posted by ブクログ

    文字が読めないことを告げた際の奥さんのリアクションが泣ける。このやさしさがあるからこそのラブレター。自分も女性のやさしさに救われているのかも。

    0
    2025年01月03日
  • 中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事

    Posted by ブクログ

     100年の歳月をかけて完成した中世ラテン語辞書。本書は、特派員記者である著者が2014年秋ロンドンで「中世ラテン語辞書作成プロジェクト完了」の記事を読んで興味を持ったことをきっかけに、関係者への取材をしてまとめたものである。

     英国人のつくった本格的な中世ラテン語辞書の必要性が英国知識人の認識となっていた1913年、OEDと同じやり方での辞書づくりのアイディアーボランティア「ワードハンター」の協力を得て、英国古文献からラテン語を採取してもらうーが出され、英国学士院の事業として実施されることとなった。
     二度の大戦という試練を乗り越え、事業は継続されていったが、その間には財政問題や編集に時間

    0
    2023年10月04日
  • 100年かけてやる仕事――中世ラテン語の辞書を編む

    Posted by ブクログ

    読みやすく、中世ラテン語辞書の制作過程がよくわかり興味深かった。また、辞書編纂史も手際よくまとめられている。

    しかし、どうにも著者独自の言葉遣いが気になって仕方なかった。特に辞書についての話題だけに「言語」という言葉の使い方がいただけない。

    「... 西ローマ帝国滅亡後、各地域の言語に影響を受けながら使い続けられたのが中世ラテン語だった。」 P.38

    ここでは通常の意味「ある特定の集団が用いる、音声または文字による事態の伝達手段。個別言語。日本語・英語の類。」(広辞苑)である。英語では "language"である。

    しかし、次の例に代表されるように「言語」という語の

    0
    2021年02月27日
  • 100年かけてやる仕事――中世ラテン語の辞書を編む

    Posted by ブクログ

    辞書による情報の伝播などを期待していたが、コツコツしたことを書名通り紹介していたので、個人的に期待したことではなかった。また、ラテン語に興味があれば違ったかもしれない。

    0
    2020年01月24日