小倉孝保のレビュー一覧
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◯東京への遠征時に読むため、書店で購入。もともと大学で古典ラテン語を履修しており、ラテン語に関する文庫本だったので興味があった。(実際には往復の新幹線は眠ってしまい、この本は読み終わらなかった。)
◯まず最初に、「辞書の完成セレモニー」の場面から始まり、記者がイギリスのラテン語辞書編集者と日本の辞書編集者の間を行ったりきたりしながらインタビューを重ねていくスタイルは、「フェルマーの最終定理」のように物事の経過がわかりやすかったし、自分自身も一緒に旅をして、彼らの話を座って聞いているような臨場感があった。
◯ラテン語辞書を巡る話ではあるが、特に本書内においてはラテン語の単語や文法などについて言及 -
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ネタバレ「一旦ラテン語学ぼうかな」
「効率化や利益がなくても価値ある生活とは?」
⚫︎英国人の文化と誇りをかけた中世ラテン語辞書について。日本で言う漢文=ラテン語、共通言語とした会話言葉はなくとも読み書き言葉として利用され続けてきたという点が面白い!日本ではアイヌ語が絶滅の危機にあるというが、日本のアイデンティティの確立(言語は元の言語がなくなってしまうとそのアイデンティティを喪失する?)という点で考え直すべきなのか
⚫︎結局は全てギリシャ文化が1番であり、それを理解する為、かつローマ帝国拡大により普及せざるを得なかったラテン語の存在は面白く、これだけ言われるとぜひ学びたくなる
⚫︎本書では利益や効 -
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一条さゆりという、いまから50年ほど前に活躍したストリッパーの評伝。現在、振り返られるとしたら神代辰巳の映画か、ストリップは娯楽か犯罪かで最高裁まで争った事件で名前が出るくらいかもしれない。
一条は「特出し」と呼ばれる、陰部を見せるストリップで人気を博したらしい。それが逮捕の原因となり、最終的に実刑になる。時代背景もあって全共闘やウーマンリブの活動家が支援していたそうで、いまでも一条を「反骨のストリッパー」として、反権力やフェミニズムの象徴のように扱う記事もあった。
しかし、一条本人はせいぜい「自分を応援してくれるひとたち」くらいに思っていたようで、お上に逆らう気もなければ、女性解放運動に -
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これは貧困と搾取が生み出した、一人の男の悲劇的な恋の末路だ。
ロンドン、ヒースロー空港近郊の道に頭から血を流した男が横たわっていた。
近所の住人は朝、外で大きな音がするのを聞いた。
現場検証に来た警察官は、ヒースロー空港へ着陸していく飛行機を見上げていた。
男の名はジョゼ・マタダ。
アンゴラ発ヒースロー行の飛行機の車輪格納庫に忍び込んで密航しようとしたが、高度一万メートル、マイナス60℃の酸素の薄い空気で体力を消耗し、着陸時に扉が開いたときに落下して時速200kmで地面に叩きつけられて墜落死した。
奴隷社会の絶望と、一人の女性に希望を賭けた。
アフリカ社会の現代を追うノ -
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ネタバレ2012/9/9-0750AM
ロンドン警視庁に緊急通報が入る。
ロンドン西部、リッチモンド・アポン・テムズ区、モートレイクのポートマン通りに人が倒れて死んでいるように見える、とのこと。
普段は静かな住宅街に、多くの警察官が集まり、現場での捜査が始まった。
しばらくすると、警察官は上空を気にし始めた。
現場はヒースロー空港から13キロ程度。
被害者は、どうやら現場上空で着陸のために車輪を出したとき、格納部から墜落したようだと考えられた。
身元確認などで捜査は難航するが、次第に状況が明らかになってゆく。
亡くなったのはモザンビーク出身の男性、ジョゼ・マタダ。
死亡した日はマタダの26歳の誕生 -
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ヒースロー空港の直前で着陸態勢に入ったアンゴラからのBA便の主脚格納部から墜落して死亡した26歳の男の人生を追うノンフィクション。主題はアフリカ人がアフリカ人を奴隷のように扱う現状と、行政の不正、絶対的な貧困なんだけど、僕が興味を持ったのは、その男性が欧州を目指すことになった要因の一つとなった女性の人生。実はこちらも凄まじい。
女性は82年生まれ。父親は英国人で母親はスイス人。母方は祖母がブラジル人で祖父がドイツ人。国籍はスイスとドイツで、望めばイギリス国籍もすぐに取れる。日常的に母親のフランス語、父親の英語、祖父母のポルトガル語とドイツ語に囲まれて育った。2歳の頃から家族でサハラ砂漠に渡 -
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貧困のため、小学校にほぼ行かず65歳まで読み書きができずにいた「西畑保」さんの実話。
貧困なゆえに学校でいじめられ、さらに片道で3時間。冬は日が昇るのが遅いので行けず…小学校は2年も行かずに不登校になってしまった子どもの頃。
仕事にも支障をきたし文字から怯えながら生きていた…ずっとこのまま結婚もできずに孤独に生きてくのだと思っていた矢先にお見合いをすることに。
そこで出会った運命の人。「皎子」さん。
皎子にも打ち明けることができず怯えて過ごす日々…
子どもの出生届けも自分で書けない…
選挙も行くけど白紙…
2000年に夜間中学に入学して文字を覚え、奥さんにラブレターを書く。
2000年 -
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100年以上の年月をかけて完成した『中世ラテン語辞書』。自分が生きている間には出来上がらない辞書に時間と精力を注ぎ込んだ人たちの営みから、「人間の働く意味」を追ったノンフィクション。
今はネットで何でもすぐ繋がるし、調べるとすぐに見つかる。
利益を追い求め、結果を出すことに執着する。
しかし、市場経済では計れない価値が芸術や文化の世界にはあること、ゆっくりと少しづつ人々が作り上げてきたものの中には、数字では計れない重要性があることを教えてくれる。
中世ラテン語は話し言葉としては既に死んでいる言語だが、その言語を正確に残して後世に残して学ぶ意義。
日本にとっては漢文。
四十年くらい前までは -
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小学校にほどんど通うことなく、読み書きができないまま大人になった西畑保さんの実話。
料理人として社会には出れたけれど、読み書きができないことをずっと引け目に感じていた西畑さん。優しい皎子さんと結婚して、その後夜間中学で読み書きを習得する。
前半の人生はしんど過ぎて、本当につらかっただろうな。と思う反面、遅れてもいいからなぜ自分で読み書きを勉強しなかったんだろう?という疑問も持ってしまって。読み進めていくうちに、それがどんなに大変なのかがわかった。鉛筆を持つことも字を書くという行為も私たちが考える以上にハードルが高いのだね。読み書きができないことへの世間の冷たさは容易に想像できます。
西畑さんに -
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女子柔道の母がユダヤ系アメリカ人とは!
当然、日本人の女性が先頭になってその確立に尽力したのかと勝手に思っていました。
大柄なあり余る体力を若い頃は非行に走ったことも逮捕·留置されたこともあるが、柔道に出会ってからその魅力に取り憑かれ、女子柔道の世界選手権やオリンピックの競技化に道を拓いた外国人が居たなんて全く知りませんでした。
名誉や地位、金銭に淡泊でただ一途に柔道取り組んだラスティ、骨髄癌で82才でなくなるもその功績に晩年日本から叙勲を受けたり、再婚の相手である日本人の柔道家鹿子木氏との幸せな私生活もあったことが幸いです。
勝利のみを競わず、人間的成長、精神修養を重視する日本柔道に心を動 -
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100年の歳月をかけて完成した中世ラテン語辞書。本書は、特派員記者である著者が2014年秋ロンドンで「中世ラテン語辞書作成プロジェクト完了」の記事を読んで興味を持ったことをきっかけに、関係者への取材をしてまとめたものである。
英国人のつくった本格的な中世ラテン語辞書の必要性が英国知識人の認識となっていた1913年、OEDと同じやり方での辞書づくりのアイディアーボランティア「ワードハンター」の協力を得て、英国古文献からラテン語を採取してもらうーが出され、英国学士院の事業として実施されることとなった。
二度の大戦という試練を乗り越え、事業は継続されていったが、その間には財政問題や編集に時間 -
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読みやすく、中世ラテン語辞書の制作過程がよくわかり興味深かった。また、辞書編纂史も手際よくまとめられている。
しかし、どうにも著者独自の言葉遣いが気になって仕方なかった。特に辞書についての話題だけに「言語」という言葉の使い方がいただけない。
「... 西ローマ帝国滅亡後、各地域の言語に影響を受けながら使い続けられたのが中世ラテン語だった。」 P.38
ここでは通常の意味「ある特定の集団が用いる、音声または文字による事態の伝達手段。個別言語。日本語・英語の類。」(広辞苑)である。英語では "language"である。
しかし、次の例に代表されるように「言語」という語の