読みやすく、中世ラテン語辞書の制作過程がよくわかり興味深かった。また、辞書編纂史も手際よくまとめられている。
しかし、どうにも著者独自の言葉遣いが気になって仕方なかった。特に辞書についての話題だけに「言語」という言葉の使い方がいただけない。
「... 西ローマ帝国滅亡後、各地域の言語に影響を受け
...続きを読むながら使い続けられたのが中世ラテン語だった。」 P.38
ここでは通常の意味「ある特定の集団が用いる、音声または文字による事態の伝達手段。個別言語。日本語・英語の類。」(広辞苑)である。英語では "language"である。
しかし、次の例に代表されるように「言語」という語の使い方がおかしい。「..OEDが比類ない地位を占めているのは収録されている言語数のためではない。その詳しさ、特に言葉の一つひとつについて ...」P.160 英語では"word"。
「単語」(「語」や「見出し語」がより正確)というべきところを「言語」としている。勝手に語義を作るべきではない。本当に新聞記者(どころか新聞社のエライさん)なのだろうか?編集者は何をしていたのだろう?
その他、「本流」とすべきところを「本川」、「支流」とすべきところを「派川」としている。(ページ数未詳、割合冒頭部分)どちらも見たこともないし、辞書にも搭載されていない。辞書の話題なのに辞書を引かないのだろうか?
誤植:「ハードハンター」P.180 →「ワードハンター」