SSヴァンダインのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
歴史を読む。その1点で手に取った1冊のはずだったんですがね…。
まあ面白い、興味深いと云いかえてもよいかな。
毒入りチョコレート事件といい、百年前の作品なのに時の流れに抗えてるわな。耐えたなー。
これぞ名作なんでしょう。ヴァンダインの無駄な知識炸裂しまくってます。文学、数学、物理学、演劇、芸術、チェス…、サッパリでしょうそうでしょう。ペダンティックと云えば聞こえはよいのでしょうが、まぁかましてきますよ、ファイロ・ヴァンスの野郎は…。
後世のかまし屋に与えた影響は計り知れないでしょうな。現代の作家でも京極や米澤穂信辺りは影響受けてるんでしょうなあ。
まあ生粋のドMかまされ好きの私としては堪らんですよね、もっと要らん知識欲しがっちゃいます。
あ、ミステリーとしてもスゴいっす。みんな大好き見立て殺人もここからみたいですね。もっと見立てておくれよ。
ほんでもってあの終わり方…、きょう日絶対アカンですよね。最高かよ。
ミステリーコンプライアンス違反しまくってます。
いやー、尖ってんなヴァンダイン。
他のも読んでみるかー。
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Posted by ブクログ
古典海外ミステリーにハマった最初の作品。
旧訳は持っているけど、新訳も読み比べのために一緒に本棚へ。
11.12月が設定時期なので、ホリデーシーズンの前に読めるとよりうきうきする。
改めて読み返すと、裏の主人公は「グリーン家の館」そのものであると言える。ヴァンスも繰り返し言っているように、空間自体と流れている空気、堆積した想いや感情が人に作用して事件を起こしていくかのよう。
雪の降り積もる静かな夜の館、誰も立ち入れない開かずの間、車で駆けるニューヨークの街並み。
印象的な場面が多く、浮世離れした登場人物も相まって、100年前の時代の空気を感じられるのが楽しい。
トリックの妙を追求するのとはまた違う、物語の世界を享受する方向での魅力を再確認した。
新訳も最初は人物名の変更に困惑したけれど、するする読み易くて良かった。
読み終えるとエラリークイーンの「Yの悲劇」が読みたくなるまでがセット、解説でそちらも言及されているのを見て嬉しかったです。 -
Posted by ブクログ
傑作探偵小説と名高いので名前だけを知っていました。てっきり僧院での殺人事件かと思っていました(^_^;)
マザー・グースの童謡に見立てるかのような殺人事件を素人探偵ファイロ・ヴァンスが解決する探偵小説で、犯人が「僧正」と名乗っているのでした。
私の年代(50代)だとマザーグースはある程度知っている気がする。子供向け番組で「ロンドン橋落ちた♪」「ワンリトル ツーリトル スリーリトル♪」は流れていたし(いまでも「十人の良い子♪」と歌われているみたい)、『不思議の国のアリス』で「ハンプディ・ダンプティ」は知っていたし、なんといっても『ポーの一族』と『パタリロ!』で「誰が殺したクックロビン」を知った人たちは多いはず(^○^)、アガサ・クリスティなどでもマザー・グースはお約束ですしね。
私は西洋の文学、美術を楽しむには「聖書」「シェークスピア」「マザーグース」をある程度でも知らないとわからないと思っていたのですが、こちらの本のあとがきでも「マザーグース由来の言葉がたくさんあり、英語圏に与えた影響は大きい」ということが書かれていました!
本書が「傑作」と言われるのは、マザーグースの見立殺人をしてそのあとに新聞社に手紙を送りつける犯人の「僧正」の異様生、殺害トリック、そして何と言っても殺人の動機でしょう。
連続殺人だと、遺産だとか恨みだとか、関係のある人が犯人だと想像がつくのですが、この「僧正」はそのようなものを全てぶち壊しております。
小説に出てくる人たちは大半が数学者、科学者、またはチェスに打ち込む人のように公式や論理を使う人。
ファイロ・ヴァンスはこの連続殺人を考えるにあたって「学者にとって、広大な宇宙、微小な元素こそが彼らの現実。考え続けると通常の人間の生活を乗り越えてしまう学者もいる」といいます。
つまり、頭の中の現実があまりにも途方もなさすぎて、現実の人間の命を軽んじて、しょうもない子供の遊びを具現化せざるを得なくなるってことで、それが今回の連続殺人の動機だと。それなら犯人判別は難しいですねえ。(小説なので登場人物内に犯人がいるので分かるけどさ)
ヴァン・ダインによるファイロ・ヴァンスシリーズは、作者による注も面白いですね。尾行したのは〇〇刑事、というところに注がついていて「この刑事は前の事件でファイロ・ヴァンスの手伝いをした」みたいに、その人物の豆知識のようなものが書かれています。
作中においてヴァン・ダインは「貴族ファイロ・ヴァンスの法律代理人で、友達で、記述者」なので事件のすべてを知っているんだけど、本当にただ見聞きしているだけ。書き手のヴァン・ダインが完璧に「傍観者」に徹しているので人物とか思考が見えない…。
ちょっと見えたのは「私のメモは完璧だ」と言っていたので、ちょっと厳しそうなファイロ・ヴァンスと仲良くやるだけあって、作中のヴァン・ダインもなかなか拘りの人なんだろうなあと思いました(^_^;) -
Posted by ブクログ
ニューヨークの一角に建つ旧世代の名残のようなグリーン屋敷で起きた連続殺人事件を探偵役のファイロ・ヴァンスが解き明かす。
消えた犯人、消えた凶器、怪しい足跡、限られた関係者、過去の出来事から現代の事件へのつながり、隠し部屋、古い名門に隠された内情…。
由緒正しい探偵小説だあ(^○^)
探偵役のファイロ・ヴァンスは貴族階級で、著者であるヴァン・ダインがファイロ・ヴァンスの学友で法律代理人で探偵記録者となっています。
警察ものだと情報を共有して容疑者逮捕を急ぎますが、素人探偵ものだと「今は言えない」が通じるので小説として盛り上がりを作れますね・笑
グリーン家屋敷は三世代前に作られ、前当主のトバイハスは膨大な財産をなしたがかなり悪どい事をしたという噂がある。13年前に遺言で「家族はこの先25年はこの屋敷を維持すること。家を出たら財産相続権を失う」と残しているためグリーン家家族はお互いを嫌い合いながらも屋敷から出られない。
屋敷に住むのは、未亡人で下半身不随のミセス・グリーン、実子として息子と娘が二人ずつ、養女(ほぼ未亡人の看護人)が一人。執事、料理人、メイドたち。そして事件の関係者にはよく出入りする主治医が追加される。
このグリーン家で連続殺人が起きます。
お屋敷内での連続事件なんだから通常だったら家を離れればいいのですが、グリーン家は「遺産相続権を失う。家族はお互い嫌い合っていて助け合わない」ということで殺人現場から出られない納得の理由になっているわけですね。
さらにこのグリーン家の人々の異常性もあります。みんなそれぞれが高慢だったり攻撃的だったりして嫌な奴。家族が殺されても「そんなことで騒がしくなって迷惑」くらいの反応のため、連続殺人が起きても読者としても「この人たちじゃなあ…」という気持ちに(^_^;)
推理小説としてもまさに読者に正しく情報を提示してきて実にフェアだ・笑
由緒正しい探偵小説は頭の切り替えとか頭の休憩になって楽しいです(^^) -
Posted by ブクログ
ずっこい
新薬ずっこい!いや新薬て!おじいちゃん今は新しいお薬が出来てずいぶん楽になったわね〜か!だとしてもそんなに離れてないわ!( ゚д゚ )クワッ!!
新訳です(わかっとるわ!)
はい、ね
「多重解決」の元祖バークレーの『毒入りチョコレート事件』に続き、「見立て殺人」の元祖ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』です
ボロクソ面白かった!
ぜんぜん今でも通用するよこれ
そして、たぶんわい中一とかそのくらいに一回読んでるんよね
そんで、当時もっと難しかった気がするんよ
で、今回読んだら凄い分かりやすかった
これはもう新訳効果ですよ完全に
大人になって理解力が上がったとかじゃないと思うんですよ
むしろそこはあんま変わってないと思うんですね
なんかごめんなさい中一で成長止まってしまってなんかごめんなさい
ほんと、今の子はうらやましいわ〜
こんな分かりやすい訳でヴァン・ダイン読めるなんてさ
おぼっちゃまか!( ゚д゚ )クワッ!!
じいやに手取り足取りか!( ゚д゚ )クワッ!!
はぁ〜、しかし困ったな
海外古典ミステリー…新訳で全部再読したくなってきた -
Posted by ブクログ
『十角館の殺人』登場人物フェア開催中(※1人で勝手にやってます)
アガサ→ポウ→カー→エラリイに続いて、5人目ヴァン・ダイン初読み。
ニューヨークに孤絶して建つグリーン屋敷。
名門グリーン一族に次々と惨劇が起こる…
『十角館』フェアをやるくらいなんで、何しろ「館」が大好きな自分には大当たり!!
綾辻行人さんの館シリーズを読んでいる時と同じドキドキ感でめちゃくちゃ面白い。
グリーン屋敷の見取り図も部屋の平面図もあって、館好きはテンションが上がる。
この家族は互いに憎み合っていて、誰が犯人でもおかしくない。
閉鎖的空間でみんなが疑心暗鬼になるこの感じがもう大好きな展開。
アマチュア探偵のヴァンスは、他の名探偵と違って自信家でもないし、早い段階で犯人を当てるような洞察力もない。
個性もあまりない探偵だけど、だからこそ探偵と読者が同じ目線で一緒に犯人探しができて楽しかった。
作者ごとに様々なタイプの探偵がいて、それぞれ良さがあるなぁ。
海を渡って100年近く多くの人に読まれている不朽の名作は、どれを読んでも超絶面白い。
そして新訳版だからとても読みやすい!!
海外古典ミステリーはもっと難しいものだと思っていて、こんなに面白いとは知らず、恥ずかしながら若い頃に全く読んでこなかった。
そんな私に海外古典ミステリーへの入口をつくってくれた『十角館』が与えてくれた影響は本当に大きい。
遅くなったけど読みはじめて本当に良かった。
解説によると、この作品とエラリー・クイーンの『Yの悲劇』は、〈閉鎖的空間の連続殺人〉などが共通しているとのこと。
クイーンの違うシリーズに進もうと思ってたのに、『Yの悲劇』も読みたくなってしまった。
『僧正殺人事件』も『火刑法廷』 も国名シリーズも読みたいし、フェアはまだまだ続きそう♪ -
Posted by ブクログ
個人的に極めて好きな作品。
■ファイロ・ヴァンスの考え方
一流の美術家は20人に同じ題材で絵を描かせても、どれが誰が描いた絵かを見極められる。それは、その人物の特徴が絵画には現れるもので、二人として同じものはないから、という理由による。同様に、犯罪にもその人物の(心理学的)特徴が現れる。つまり、唯一無二の「その人だ」という痕跡が残る。
故に、それを追えば犯人は特定できる。逆に、それを追わずに物的証拠や状況証拠を追っても意味がないどころか誤った方向に向かい冤罪を生みまくることになり危険。
ただし一方で、
「裁判で有罪とするための確たる証拠」という意味では「心理学的根拠」では意味がない。かと言って物的証拠ではヴァンスが述べるように「物的証拠なんかでは犯人を特定できない」のだから、それも意味がない。
やるなら、心理学的根拠、手法を用い犯人を特定した後、「やっぱりね」という物的証拠を見つけ出す、という順になる。
という、この考え方とそれを踏まえた作品の作りになっていること自体が非常に好み。
「誰が犯人か」とか「ヴァンスの考え方は本当に正しいのか?」とかは別にどうでもよく、この発想の仕方が非常に好み。
■アントニイ・バークリー
自分の最も好きな作家の一人にアントニイ・バークリーがいる。
バークリーも同様に「心理的要素が重要」と考え、『毒入りチョコレート事件』を境に後期になるにつれて本格を捨て心理的側面を重視するスタイルになる。
一方でS・S・ヴァン・ダインは初期の方が心理的側面を重視し、後期になるにつれてその特徴がなくなってしまう、とのこと。(ヴァン・ダインの後期はまだ読んでない)
S・S・ヴァン・ダインもアントニイ・バークリーも他の同時代作家とは異なるベクトル(心理的側面)から推理小説を捉え、それが作品に見事に反映されている、という部分が共通していて、その作風が自分に合っている、と感じた作家。 -
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ネタバレマザー・グースの一節になぞらえた連続殺人という題材が不気味で面白かった。
容疑者がどんどん殺され退場していくうえに途中でヴァンスが犯人像を数学者と特定するので終盤はもう犯人がかなり絞られてるというのはあるが、最後まで展開があり楽しめた。
ただ最後の自殺を選ぶ権利みたいな話からの自殺容認(というか誘導?)な部分はあまり納得できないので、好みではなかった。(ヴァンスがそういうスタンスなのは既に出ていたので分かってはいたが…。)
ヴァンスの長々とした話はよく分からず流し読みした部分もあるものの、犯罪の性質から犯人像を特定する部分に関してはこれまでのシリーズで一番納得感を持てた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ先にグリーン家を読んでいたが、話がつながっているわけではないものの、こちらを先に読んだ方がヴァンスを始めとする登場人物たちにより馴染めたのではないかという気がする。
物的証拠を信じず心理的な面から犯人を特定するという考えは独特で面白いと思った。ヴァンスには初めから犯人が分かっているが、それを逮捕につなげる(マーカムやヒースが納得できる形で説明つける)ためにどう動いていたのかが解決編で明かされる。マーカムがおちょくられすぎててかわいそうな気もするけど、読者としては親しみが持てた。
とはいえヴァンスがそうやって動いたのもマーカムのためであり、エピグラフの内容がまさにぴったりだと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正直舐め腐っていた。所詮1928年の作品だろうと。そんな遠隔系トリックなんてまだ考案されていない時代だろうと。だからこそ2025年に読んでも「意外な犯人」になってしまった。俺は馬鹿だった。『ビッグ・ボウの殺人(1894年)』でつい最近感銘を受けたばかり(※巻き込みネタバレではない)だし、ホームズだってもっと前からいたんだった。古典侮るなかれという教訓を得たが、侮りながら読んだ方が10倍楽しめることが判明した。
矢吹駆ってこのファイロ・ヴァンスが元ネタか?あと解決編の前に重要な手がかり100個くらい列挙するやつ、日本の本格ミステリにも継承されれば良かったのに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん、控えめに言ってめちゃくちゃ凄いのでは?
なにより見立て殺人の動機が原点にして頂点でしょこれ。容疑の押し付けの方ではなくて、無意味な童謡と殺人を結びつけることで、有意味だったはずの地上的な人間生活とやらを根本から破壊するという壮大なユーモアの方。犯人の造形からも説得力あるし、原点からこんなにぶっ飛んだの用意してるとは思ってなかったよ、すげえなヴァン・ダイン。今や忘れ去られてオタクしか読んでない作家らしいけど、またいつか長編制覇します…いつかね…
本格としては『グリーン家』には劣るけれど、童謡見立て殺人(大好き!)の元祖という偉大さから評価は甘めに。『そして誰もいなくなった』はこれがなくても生まれてただろうけど、『悪魔の手毬唄』や『山魔の如き嗤うもの』はひょっとするとなかったかもネ… という感謝も込めて。 -
Posted by ブクログ
初ヴァン・ダイン。
他の方も仰ってますが、読者にとてもフェアな本格ミステリーだと思いました。
勝手なイメージでしたが、ヴァンの作品なら叙述トリックではなかろうと思って読めたから犯人は絞りやすかったかなと。
ただ、被害者が増えていくにつれ自動的に容疑者が限られてくるので後半になればなるほど犯人は見えやすい。
ミステリーにおいて、ありとあらゆるトリックが使われてきた現代において他の手法はもうない、と言われていますが、これは今読んだとしても楽しめる作品で凄いなと思いました。
ミスリードに導く手法がさすが…。
ヴァンスの講釈だったり、注釈が入ったりと初めはとっつきにくさを感じましたが、読むに連れ慣れていきました。