SSヴァンダインのレビュー一覧

  • カナリア殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    クリスティの「アクロイド殺し」が1926年、本作が1927年ということで録音による偽装をネタにした作品が前後して発表されていて、タイミング的にはパクリではなく偶然らしい。現代ではテクノロジーが何かとミステリーの成立を阻んでしまいそうだが当時はその辺をどう取り入れるか考えるの楽しかったんだろうな、と微笑ましい。「アクロイド殺し」が少し先且つポレミックな超有名作のため割を食ってしまっている面があると思うが、ネタバレすると絵的に間が抜けていてしかも犯人の行動があわただしすぎ無理があるクリスティ作品(徐々に犯人が分かってくるところは相当ドキドキして傑作には違いないけど)に対し、こちらは(凡そ見当はつけていたはずながら)ベートーヴェンのレコードをかけても局が始まらずしばらくすると突然悲鳴が響き渡り、犯行が決定的になる辺にぞわっとする迫力があるし、容疑者を集めてポーカーxプロファイリングで犯人確定も斬新で面白かった。伝説の女優ルイーズ・ブルックス主演でサイレント映画があるがさすがに古すぎて最初だけ見てやめた。。。

    0
    2025年06月13日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遺産相続ものとなればどうしても得をするものが犯人という事になるので絞りやすく、ましてや「そして誰もいなくなった」ばりにどんどん人が死んで行くので、後半になればなるほど分かりやすい。
    なので、どの時点で犯人を当てられたかが謎解きに挑むものにとっては重要なのではないかと思う。
    ただし、その殺人トリックについてまで完全に推理するとなるとなかなか難しいのではないだろうか。
    あのファイロ・ヴァンスでさえなかなか真相に至るに時間を要しているのだから。
    とにかく緻密な構成が素晴らしかった。

    0
    2025年03月21日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ニューヨークにひっそりと佇む古式ゆかしいグリーン屋敷。その一族が次々と射殺される事件が発生する。当初は強盗による犯行と見られていたが、マーカムに連れられて捜査に乗り出したヴァンスの推理によって、どうやら内部の犯行であるということが発覚する。グリーン家は当主のミセス・グリーンをはじめとして、家族でありながら互いに反目し合い、憎しみを抱いている。
    指紋については完璧に消し去られているのにこれ見よがしに残された足跡、クリスティのポアロシリーズでもお決まりの、事件の鍵を握る人物がギリギリのところで口を封じられてしまう展開など、前二作以上に見所が多い。登場人物も癖が強く、一族だけでなく執事のスプルートや医者のフォン・ブロンなどいかにも怪しい人間がうようよしている。
    「この人には死んでほしくないな」と思える人物が登場する作品は当たりが多いが、この作品についてもそれが言える。だが蓋を開ければ恐るべき殺人者、というのもそれ以上に面白い展開。レックス殺害についてはちょっと反則ではと思うけれど、エイダがどうやって殺人のヒントを得たかなど、全体としてうまくまとまった作品。
    かわいいポメラニアンの活躍も、まさか仕組まれたものだったとは。

    0
    2024年12月12日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    「僧正」とはよくわからないけど、チェスのビショップのことらしい。

    登場人物は、数理物理学者、数学の准教授、科学者など理系揃い。
    学者さん達が専門的なことを語りだすと、もう何言ってんのかさっぱりわからない(^_^;)

    この作品は童謡見立て殺人の原点らしい。
    この作品の10年後にクリスティーの『そして誰もいなくなった』が出版されたとのこと。

    マザー・グースが日本では馴染みがないので、見立て殺人はあまりピンとこない。
    日本で例えると「はないちもんめ」「ずいずいずっころばし」「あんたがたどこさ」みたいなものかな?
    それなら子どもの時によく遊んだから、懐かしい思い出の中に殺人が紛れ込んできた恐ろしさみたいな感覚は確かにわかる気がする。

    ということで、チェス、理数系、マザー・グースと3つ揃って自分の馴染みのない分野だったので、面白かったけど読むのに苦労した。

    もし1冊目にこの本を読んでいたらヴァン・ダインの2冊目以降は読まなかった。
    1冊目に読んだ『グリーン家殺人事件』はすごく面白かったので、特に初読みの作家の場合に有名だからではなくて自分の好きなテーマかどうかで選ぶのはすごく大事だと思った。

    ※ここから『僧正殺人事件』と『Yの悲劇』の2つの作品の完全ネタバレしてます。









    ラストまで読んで驚いた。
    ラストの解決方法が『Yの悲劇』と同じだったから。
    シチュエーションは『グリーン家』と似ていて、ラストは『僧正』と同じとは…。

    『Yの悲劇』の探偵ドルリー・レーンはあんなに苦悩して決断したのに、『僧正』の探偵ファイロ・ヴァンスは、思いつきで悪びれもなくあっさりとやってしまう…( ゚д゚)

    『グリーン家』(1928年)+『僧正』(1929年)の良いとこ取りして更に練り上げたのが『Yの悲劇』(1932年)のように感じた。

    エラリー・クイーンの『Yの悲劇』を読んで、ヴァン・ダインはどう思ったのか気になるところಠಿ⁠_⁠ಠ

    0
    2024年10月06日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    非常にウィットに富んだ古典ミステリーの名作。 本作を読み終わった時、これと同じ犯罪手法を描いた作品がいくつも思い浮かんだ。名作とは、そういう作品のことを指すのだろう。

    0
    2024年07月30日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    騙された。やや地理的な面やアリバイなどに関する時系列がややこしいので、解きにかかったわけではなかったが、まんまとトリックにかかった感じ。

    しかしヴァンスが探偵としてさほど有名でないのは、やはり異彩を放つ魅力のような点ではホームズやポワロたちに一歩劣るからかなと失礼ながら考えた。
    骨組みやトリックの完成度には文句のつけようもない素晴らしさがあるが、その肉付けの部分にもう少し味わいが欲しかったかも。
    しかしそれでも、本格ミステリのファンは満足できる1冊であると思う。

    0
    2024年06月30日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    犯人は当たった!嬉しい!
    さすがのヴァン・ダイン、古典かつ本格のミステリで私好み。警察なんとかできるでしょ、はさておき、構想が素晴らしかった。訳も読みやすい。
    引き込む力、謎を際立たせる構想、読んで満足間違いない。

    0
    2024年01月30日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

     小学生の頃から知っていたのにようやく読んだ見立て殺人の元祖。登場人物を覚えるまで読みにくかったが、事件が次々と起こるうちにのめり込んでいった。結末のヴァンスの行動は、コナン君で育った私にとって度肝を抜く展開。それアリなの?当時のアメリカ人の感覚ってこんなもの?と疑問符がいっぱい飛び交う。動機が理解できなかったり、現代の感覚ではあり得ない展開だったり色々とツッコミ所はあるものの、全体的には面白かった。古典ミステリの名作を読めた達成感が大きい。

    0
    2023年09月07日
  • ベンスン殺人事件

    Posted by ブクログ

    著者と相性が良いのか、ここまで読んだ長編3冊はいずれも意外なほど期待値を上回る読後感(そもそも期待値があまり高くないということもあるかもしれないが)。ファイロ・ヴァンスとDAマーカム、ヒース部長刑事などの丁々発止ながら品位を保とうとする掛け合いの好感度が高いのは、透明人間スマート・セット(笑)ヴァン・ダインがちょこちょこ挟む個人的感想によるところが大きい気がする。あまりに黒子すぎて不自然という感想ももっともだがが、ワトソン役が2人以上いる中でさらにもう1人となると収拾つかなさそうなのでこの異様な沈黙が都合良いのでは。後日談で、ちょい役の気の良いミセス・バニングを「私はなぜか、いつ見てもあの女性を好ましいと思う。」と評し裁判に巻き込まれなかったことを喜ぶ優しい性格が好き。ファイロ・ヴァンスについては、1990年代頃の有名なミステリ評「夜明けの睡魔」で、あからさまにやっかみながら一回転して作品は褒めていたようだが自分は結構この衒学キャラクターを楽しんでいる。「高潔な人物てのは、いわば自分の欠陥をさらけ出す勇気がない人間のことだ。」(P123)など、強引だし当然異論はあろうが、見落としがちな真理の一部を突いていて感心させられる。またマーカムの概ね大人エレガントなツッコミや受け答えは勉強になり、真似してみたいと思う。容疑者や刑事の姓名が変化に富んで面白い。
    本文の引用が長いが思い入れが感じられるあとがきの充実度に星を1つ増やした。ガーデン殺人事件を読んで、今まで古い翻訳は敬遠していたけれど味があっていいなと思っていたところで「全長編を個人全訳された井上勇氏」の経歴にじんと来るものがある。この新訳も可読性向上させつつ、カジュアルになりすぎず一世紀前の雰囲気を損なわないようで好感が持てる。

    0
    2023年06月18日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    苦手そうと思いつつ手に取ってみたのがちょうど4月で、小説の舞台と一致する時期に読むのが好きなのでページをめくり始めたら意外にすらすら進めて一気に終わった。推理力がないのに、それなりに古典ミステリーを読み溜めてしまったために、第一の殺人の時点で犯人と動機が思い浮かんでしまい(一番連想したのは映画のローラ殺人事件だったが)、怪しい人物が出てくるたびにやっぱり自分間違ってたのかな、と揺さぶられつつ結果は予定調和…まっさらな気分で堪能できないのは残念だが雰囲気が好きで楽しめた。
    後輩エラリークイーンよりもっとペダンティックな探偵と言われるので腰が引けてたけれど、初期EQで免疫ができていた+蘊蓄の内容に必然性があるというかストーリーに馴染んでいる(端折ってしまうと「数学者は殺人に抵抗を持たなくなる」とか現実的には荒唐無稽な暴論ながら小説の中で説得力のある意見として機能させるために一見冗長な学識データが生きているところなど)。衝撃の結末?も、こちらを本歌取りしたようなYの悲劇では「え… (だめじゃない?)」だったけど、元祖は(犯人の年齢もあるかもしれない)ワイングラス入れ替え時のとってつけた「チェリーニの飾り板」発言が、探偵の衒学キャラクターの効果で妙に鮮やかに決まっていて、種明かし時に不謹慎ながら笑ってしまった。法の執行者に咎められる場面から直接最後の1ページで大人の判断になったんだなとわかる終わり方自体大人な感じ。透明人間なナレーターとその原注もなんだか斬新。

    0
    2023年04月16日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    全ての伏線が見事に回収される。名作古典の力を思い知る作品。
    古今東西の探偵が出てくる話において私個人としては法律に則らず探偵自身が裁きを下すことについては受け入れられない感情はある。けど洗練されていて気持ちよく読み進めた。
    家政婦や使用人が普通にいる話が何となくイギリスとかヨーロッパを思わせるんだけど地名がでてきて、そうだ、昔のアメリカなんだ、そういえばこの時代のアメリカの探偵小説を読むの初めてだなあ、と気づいた。
    ヴァン.ダイン、今更ながら好きになりました。
    他作もじっくり読んでいきます。

    0
    2023年02月27日
  • カナリア殺人事件

    Posted by ブクログ

    捜査に行き詰まり、ポーカーで犯人を推察するシーンがハイライト。
    1920年代アメリカの上流社会が舞台ですが、時代の空気が感じられて興味深かったです。

    0
    2023年02月04日
  • ベンスン殺人事件

    Posted by ブクログ

    【読書】なかなかに面白かったね。あと犯人は意外だったかな。そこにもっていくのも、それほど途中で引っかかることなく、結構すらすら読めたかな。まあマーカム地方検事もファイロ・ヴァンスに振り回されて酷い目に遭わされてるけど、よく我慢してるよなあとは思った。次のカナリア殺人事件は楽しみになってきたな。

    0
    2022年11月14日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    見立て殺人。探偵役のヴァンスの深い(何をいっているのか分からないくらいに専門的といってもいいくらいには)知識。「そうくるか!?」のような感動はありませんでしたが、全体的にまとまっていて読みやすく、事件の不気味な雰囲気、探偵の魅力ともに後年のミステリーに大きな影響を与えたことが分かる作品でした。

    0
    2022年05月25日
  • ベンスン殺人事件

    Posted by ブクログ

    漫画家が初期の作品の時に絵が拙いのと同様に、『僧正殺人事件』や『グリーン家殺人事件』と比べるとやや拙くファイロ バンスも諸々しつこさや脂っこさが目に付く。
    しかし、名探偵の登場という瞬間に立ち会う事ができた事に感動しました。
    次の『カナリア殺人事件』も楽しみにして読む事にします。

    0
    2022年04月03日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    最後まで引っ掻き回されたが、しっかり終わった。数学のパートは全くわからなかったが別に分からなくても読める。分かるべきところはちゃんと明言されている。だから数学パートは読み飛ばしても大丈夫だ、安心して読め。
    誰目線の物語か最初はわからなかったが、特筆して書くようなことでもない。この作品の鍵となるヴァンスのセリフが心に残る。

    0
    2022年03月08日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    マザーグースを多少知ってると、話の面白さがわかる。「おぞましく、狂気に満ちた」と書かれているけどずいぶんこじつけのようで、しかもトリックも簡単なわりに有名な本だと思ったら、どうやら初の見立て推理小説らしい。トリックや推理に主眼をおかず、読み物として殺人の方法に趣向を凝らすタイプの。

    0
    2021年12月30日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ヴァンダインの代表作の一つに挙げられることが多い作品なので読んでみた。文学や数学についての肉付けが多くやや疲れるが、事件の進み方、解決パートについては全く古さを感じない優れた作品だと感じた。教授が罪をなすりつけたのはなるほどそういうことか、と。

    ワインを入れ替えるくだりは『バイバイ、エンジェル』を彷彿とさせる。あの作品もかっこよかったなぁ。

    0
    2021年06月29日
  • ベンスン殺人事件

    Posted by ブクログ

     物的証拠や状況証拠・容疑者の自白・アリバイといった、犯罪捜査において重要視されがちなものはそのまま信用せずに疑い、犯行の手口や現場を心理学的に検証して犯人を突き止める。教養と才気に溢れた富豪ファイロ・ヴァンスの探偵方法は現代でのプロファイリングに似ている。
     衒学的で、相方に自分だけが知る真相を仄めかす言動は、後世の作品や探偵たちのキャラクターに大きな影響を与えていることは間違い無いだろう。とは言え、たまにぶん殴りたくなるほど鼻に付いたが。
     探偵“ファイロ・ヴァンス”が仮名で、本作は彼の友人で仕事上のパートナー“S・S・ヴァン・ダイン”による記録であるという設定がおもしろい。作者の影が巧みに消えている。

    0
    2024年10月19日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    学術的な話や芸術作品の話が合間にちょくちょく出てくるので難しく、最初は読み進めるのに苦労したけど後半は一気に読んでしまった。

    確かにこれはミステリを読む上で読んでおかないといけない一冊、という感じ。
    そして最後のダークな終わり方が後味良すぎなくてよい。
    なるほど乱歩が絶賛した理由も分かるかも。

    解説に後世のサイコ・サスペンスにも影響を与えていることが言及されていたけど、確かに映画のセブンとかも見立て殺人だもんね。ふむふむ。

    本作を読んでいて、読書をする上での自分の知識不足をとても感じた。
    注釈が書いてあっても全然分からない、、
    アリアドネは阿刀田さんの「ギリシア神話を知っていますか」を読んでいたのでかろうじて分かったけど、、
    あとはアベンジャーズからのロキ 笑。

    とりあえず欧米の作品を読むのに世界史とギリシア神話は知っておきたい。

    0
    2021年05月24日