SSヴァンダインのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレヴァンスが最後まで犯人や推理を明かさない、まあ推理小説でよくある探偵の沈黙とも言うべきことに、しっかりと理由があるのが好ましい。物語として成立する推理小説であり、ただの謎解き小説ではない。
フーダニットにおいては、絞り込むことは容易いものの自分では犯人を当てられず、しかし無理のない筋立てになっていて良い。
厳しめに☆3としたのは「また読みたい!」と思うほどにはのめり込めなかったためであり、引っかかった点はなかった。ヴァンスという探偵が私にとってやや魅力に欠けるせいもあるかもしれない。また長編小説特有の中だるみはあまりないが、集中して読み切れるほどではない。ミステリ史に残る名作とまではいかないが、読んで損はない作品だろう。 -
Posted by ブクログ
新訳が出たということで再読。とは言っても、高校生のときに読んだのだが、どんな内容だったか全く覚えていなかったので、実質的には初読と同じ。ただ一つだけ、本文が始まる前に「有名なグリーン家殺人事件があったころのグリーン屋敷」という版画が挿入されているのだが、この屋敷の立派な構えや聳え立つ尖塔については鮮明に記憶が残っていた。
下肢が麻痺してしまった未亡人、亡くなった家長の遺言に縛られ遺産を相続するためには四半世紀はこの屋敷に住むことを余儀なくされている4人の子どもたち、そして養女。これらの面々がいがみ合って暮らしていたグリーン家で、次々と家族が殺されていく、果たして犯人は家族の中の誰かなのか、そしてその動機は、手口は?というもの。
探偵役のファイロ・ヴァンスのペダンチックさが鼻持ちならないということは良く聞くが、確かに捜査陣の側からすれば「あんたの言っていることが捜査と何の関係があるのだ」と言いたくなるのは分かるものの、解決と全く無関係なことでもないので、読んでいてそれほど嫌な感じはしなかった。
次々に関係者が殺されていくので容疑者が絞られてしまい、犯人自体の見当はだいたい付いてしまうのだが、犯行方法の詳細は分からなかったので、最後まで面白く読むことができた。
創元推理文庫よりヴァン・ダイン新訳の刊行が2010年に『僧正』から始まり、『ベンスン』2013年、『カナリア』2018年、そして本作『グリーン家』が2024年、一応「S.S.ヴァン・ダイン全集」と銘打たれているが、果たして12作全部出るのだろうか。
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Posted by ブクログ
ミステリー黎明期の作品で、ファイロ・ヴァンスのデビュー作であり、良く言えば手堅い内容、悪く言えば地味で古めかしい。犯人の身長を推定する手法、ある人物の自白の嘘を見抜く尋問、アリバイトリックの方法の指摘などがあるのだが、いずれも地味で、この部分が特に秀逸と言えるようなものはない。
状況証拠を重んじず、犯罪の心理的要因を重視するヴァンスの捜査哲学。地方検事マーカムが状況証拠から犯人と見なした人物を次々と否定していき、さらにそれ以外の人物を2人犯人に指名した直後に却下して、マーカムを翻弄する。ヴァンスの推理は、理詰めで犯人を1人に絞るものでなく、最後は犯人の部屋に無断で立ち入って、物的証拠を見つけるというもの。
印象的なのは、ヴァンスのマーカムに対する辛辣で横柄な物言い。メルカトル鮎を思い出し、昔からこういった性格の人物が探偵役だったのだなあと再認識した。