SSヴァンダインのレビュー一覧
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ネタバレ『十角館の殺人』に登場する推理小説研究会のメンバー:ポウ、カー、エラリイ、ヴァン、アガサ、オルツィ、ルルウの作品を読もうシリーズ第二弾。
素人探偵ファイロ・ヴァンスが、物理的な証拠よりも心理を優先して犯人を特定していく。物理的な事実と心理的な事実が衝突するとき、間違っているのは物質的な事実の方なんだそうだ。心理的証拠を探る作業は、今ではプロファイリングと呼ばれているものだろう。結局どちらも必要かもしれないが、物理的証拠がなければ法的には裁けない。でも本作は、紐と蓄音器のトリックがさっさと見つかっていれば難なく解決していた訳で、ポーカーを通じて容疑者の心理・性格を垣間見ようとする場面は出番なしだったと思われるのであったよ。 -
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ネタバレ途中まで面白く読んでいたが、鍵施錠と犯行タイミングずらしのトリックがあまりにも単純というか捻りがない感じだった。スキールが殺されるとか犯人が自殺するとか、所々流れが想像できる(かつその通り進む)展開だった部分もあった。
いくら犯人が自白したからといって、マーカムのためを思えば目の前で自殺されるのは阻止するべきだったんではないかと結末にもモヤモヤが残った。
ただ、前作でヴァンスが犯罪の性質から心理的に犯人を当てるというのは人柄を知らない人物だったらどうするのか?と思っていた部分が本作で描写されていて良かった。ポーカーでそこまで分かるのか?というのはともかくヴァンスならではの迫り方が独特で面白かった。 -
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綿密に計画された犯罪は個の心理から構築される唯一無二の芸術品…心理の追跡は物的証拠や状況証拠よりも尊い…
なんと心理探偵は1926年に既に誕生していたのか。ポアロが心理云々を重視するようになったのは確か中期あたりから(?)だし、ロジャー・シェリンガムとはどっちが先なのだろう。
黄金時代の幕開けと称されているが、幕開けから既にこんなに皮肉られまくってるのジャンルとして煮詰まりすぎだろう。やや弱めの多重解決要素まであるし。今や英国のバークリーと共に米国では忘れ去られた悲しき作家らしいが、いまだに本格が根強い孤高の島国ではいつまでも読まれ続けられるのではないか。 -
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ネタバレ「見立て殺人」の始祖的作品ということで読んだ。マザーグースの歌になぞらえて殺人が行われる。
登場人物がかなり死んだのもあり、最終的に容疑者が教授、その弟子筋にあたる数学者の男性、教授の姪くらいしかいなかった。この弟子の数学者男が犯人かと思わせておいて(作中でもヴァンスがその体で話を進めていて)最後の問答をしているところで教授がワインを飲み死ぬ。教授が数学者男を犯人にするために仕立て上げた犯罪だったと判明する、という流れ。
序盤から捜査に顔を挟んできた数学者男が犯人かと思ってたら教授だったので驚いた。ひとつひとつの殺人はマザーグースの見立てがあるだけで、どの殺人も容疑者達なら可能な内容だった。タイプライターなどの証拠も家にあったし。
一番驚いたのはヴァンスが青酸カリが入ったワインに気づいていて、気づいた上でそれを数学者男のものとすりかえて教授に飲ませたことだ。教授が数学者男を自殺に見せかけて殺すつもりで入れた青酸カリで、教授自身が死んだ。そのワイングラスをすり替えたのはヴァンスという事実に驚いた。死なせてもいいかとヴァンスは思ったのだろうが、名探偵がそんな選択していいんだ、と驚いた。 -
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ネタバレお初の方の本。ミステリ界では有名で古典と呼ばれてるらしい。探偵役は美術にちょっとうるさいタイプで、助手はほとんど…というか、まったく喋らない。ニューヨークにある古い屋敷に縛り付けられた一族の血塗られた事件。どいつもこいつも性格が悪く、家族同士でいがみあっている始末。母親なんて目も当てられない。それから捜索等が全くもって進まず、しかも探偵役が真相にたどり着いても、まだ待て、まだその時じゃないと止めてくる始末。あんまりにもゆったりしすぎてる。屋敷内は調べ上げたのに、屋敷の外や庭はまったく捜索されなかった。最後もなんだか分かりにくい。私には合わなかった、残念。
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ネタバレニューヨークのフォーリーズで活躍してカナリヤという愛称のあった美女(今で言うラウンジ嬢とかプロ彼女?)が殺された事件のお話。
犯人は妻子持ちのおじさんだった。レコードに女声で台詞を吹き込み女性が生きてるように見せかけて殺害時刻を偽装した。
殺人を実行している時にワードローブ内にカナリヤを恐喝しにきた別の男が隠れていたことが話をややこしこくさせていた。
探偵ヴァンスの「自分の生命はその当人のもので、当人が好きなようにしてよい。(中略)僕は、むしろ自殺は人間に残された唯一の権利だとまでいいたいくらいだよ」という思想のもと、犯人は拳銃で自殺して幕。 -
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ネタバレYの悲劇ほどではないが、衒学的で読みづらい。
ドイツ語やギリシャ悲劇の引用などが多数出てくる。
メトロポリタン美術館のことを「ヨーロッパが引き取りを拒否した死体の陳列室」と評したのは面白かった。
探偵は貴族のファイロ・ヴァンス。著者のヴァンダインが友人として事実を記録したかのように書いてある。
要素は、古いお屋敷、奇妙な一族、一族の連続殺人。
屋敷から人を離れさせない理由として、亡くなった当主の遺言で「屋敷から離れたら相続権なし」としていた。
犯人は養子の末っ子。実父がドイツ人の精神病にかかっている殺人鬼で、血筋が悪さをして犯行に及んだという筋書きだった。自作自演で自分を撃ったり、警察といてアリバイが証明できる時に遠隔で兄弟を殺したり考えられていた。
この時代のミステリー小説は精神病患者が多すぎないか? -
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ネタバレカナリアと呼ばれたブロードウェイの女優が、自室で絞殺される。部屋は激しく荒らされ、完全な密室だった。事件の晩に男と出掛けた後自室に戻ってからは、誰も部屋には入っていないとメイドや電話交換手たちは証言する。
検事マーカムに呼び出された探偵ファイロ・ヴァンスは、こじ開けられた宝石箱やわざと倒されたランプなど、荒らされた部屋の中の様々な矛盾を指摘する一方、カナリアと関係の深かった男たちを取り調べていく。
カナリアと関係のある男たちは誰しもが何かを隠していたり、微罪を犯していたりする。事件の晩も自然とカナリアのもとに引き寄せられるなど、死に際しても男たちを翻弄するカナリア。
クローゼットに隠れ、目の前で起こる凶行を息を殺して見ているしかなかったスキールの恐怖がヴァンスの語り口で臨場感たっぷりに表現されている。ポーカーで殺人者としての適性を測ろうとするところが興味深かった。
このシリーズの面白い、と言うより不思議なところは、一応ヴァンの一人称視点なのだがヴァンスがヴァンに話しかけることはめったにないので、ヴァンスとマーカムのコンビを三人称視点で見ている感じになっている点。 -
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ヴァン・ダインのデビュー作。
好きな順に読んでしまうので、シリーズものなのにデビュー作が最後になってしまった(^_^;)
でも「最初はこんな感じだったんだ!」と後から知るのも結構楽しい。
〈名探偵ファイロ・ヴァンス〉が好きになったのは心理学的推理をするところ。
バークリーの〈名探偵シェリンガム〉も同じく心理学的推理。
バークリー作品の解説によると、アメリカでベストセラーになっていた同じ心理を扱うヴァン・ダインを意識していたのではと書いてあった。
次第に心理的なものを扱わなくなったヴァン・ダインに対して、バークリーはとことん心理的なものを追求していったらしい。
物的証拠にこだわる地方検事マーカムとヴァンスのやり取りが面白い。
「人の性質はみんな違うものだよ。時としてどんなによく似た人間がいるように思えたとしてもね。」
ヴァンスは犯人の心理についてわかりやすく説明してくれる。
初回なので紹介が長いのと、他と比べて事件が地味に感じた。
これで創元推理文庫のヴァン・ダイン新訳版4冊は読み終わってしまった。
1番好きなのは『カナリア殺人事件』かな。 -
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ネタバレヴァンスが最後まで犯人や推理を明かさない、まあ推理小説でよくある探偵の沈黙とも言うべきことに、しっかりと理由があるのが好ましい。物語として成立する推理小説であり、ただの謎解き小説ではない。
フーダニットにおいては、絞り込むことは容易いものの自分では犯人を当てられず、しかし無理のない筋立てになっていて良い。
厳しめに☆3としたのは「また読みたい!」と思うほどにはのめり込めなかったためであり、引っかかった点はなかった。ヴァンスという探偵が私にとってやや魅力に欠けるせいもあるかもしれない。また長編小説特有の中だるみはあまりないが、集中して読み切れるほどではない。ミステリ史に残る名作とまではいかないが、読んで損はない作品だろう。 -
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新訳が出たということで再読。とは言っても、高校生のときに読んだのだが、どんな内容だったか全く覚えていなかったので、実質的には初読と同じ。ただ一つだけ、本文が始まる前に「有名なグリーン家殺人事件があったころのグリーン屋敷」という版画が挿入されているのだが、この屋敷の立派な構えや聳え立つ尖塔については鮮明に記憶が残っていた。
下肢が麻痺してしまった未亡人、亡くなった家長の遺言に縛られ遺産を相続するためには四半世紀はこの屋敷に住むことを余儀なくされている4人の子どもたち、そして養女。これらの面々がいがみ合って暮らしていたグリーン家で、次々と家族が殺されていく、果たして犯人は家族の中の誰かなのか、そしてその動機は、手口は?というもの。
探偵役のファイロ・ヴァンスのペダンチックさが鼻持ちならないということは良く聞くが、確かに捜査陣の側からすれば「あんたの言っていることが捜査と何の関係があるのだ」と言いたくなるのは分かるものの、解決と全く無関係なことでもないので、読んでいてそれほど嫌な感じはしなかった。
次々に関係者が殺されていくので容疑者が絞られてしまい、犯人自体の見当はだいたい付いてしまうのだが、犯行方法の詳細は分からなかったので、最後まで面白く読むことができた。
創元推理文庫よりヴァン・ダイン新訳の刊行が2010年に『僧正』から始まり、『ベンスン』2013年、『カナリア』2018年、そして本作『グリーン家』が2024年、一応「S.S.ヴァン・ダイン全集」と銘打たれているが、果たして12作全部出るのだろうか。