先崎学のレビュー一覧
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先崎九段には「3月のライオン」のコラムで文章はよく読んでいたものの、著作は初めて読んだ。うつ病の体験記という重い内容だが、文章は平易で読みやすい。一方で驚かされたのはうつ病やその症状に関する解像度で、著者の言語化の能力に舌を巻く。また対局私自身が最近将棋にハマっていることもあり、将棋の能力(対局や詰将棋)がうつ病からの回復度合いの指標になるのは何となくわかる気がした。
回復の過程で多くの棋士に励まされ、そのちょっとした一言に勇気づけられ、対局を通じて社会復帰に近づいていく様子が印象的だった。そして何より、うつ病を乗り越えた著者が、自身の少年時代も振り返りながら、「将棋は、弱者、マイノリティーの -
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うつ病の当事者が回復期に書いた闘病記。
うつの最中は:
・決断ができない(そのこと自体にストレスを感じる)
・思考力がすごく落ちる
・アクシデントを認識しても反応できない
・喜びを感じることがない
・正常状態ではありえなくらい悪い方に考えてしまう
・表情が作れない
・症状に日内変動がある
・起きたり動いたりできない
・よくなったとおもったら悪くなることもある
・気を遣われていると思うとかえって落ち込む
・まわりから忘れられてしまったという気持ちになる(ので、人と会うと疲れるのだが、本当は会いたい)
うつにとって大事なこと:
・医師の治療を受ける
・散歩
・気質うんぬんよりも環境と考える
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棋士のうつ病体験記。
自分の周りにうつ病の人がいないから、というのは言い訳だけど、これまでうつとは「心の風邪」ぐらいにしか捉えられていなかった自分を恥じたい。
うつっぽい、でもなく、軽いうつでもなく、脳を病気するとこんな生活や考えになるんだと、読書中の衝撃は凄まじかった。
文章のなかで、先崎先生がだんだんと回復していく姿を追っているうちに、先生と自分の境目がわからなくなっていた。先生が周りの人にかけてもらった言葉に、なぜか自分の心がじんわりとあたたかくなる感覚を覚えた。
先生が周りの方からかけてもらった言葉は、自分の大事な人や友人知人がうつになったとき、かけてあげたいな、と思えるヒントに溢 -
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・文章がとても読みやすく、病み上がりで書いたとは思えない
・病状について生々しい描写が多いが、7割近く共感できる
・本書を読むことで、「うつ病」は「脳」の病気であるということがよく分かる
・超一級のプロ棋士である先崎九段が「詰将棋の7手詰めの問題」が解けなくなってしまったという。また、うつ病患者にとって『死』と『生』の境界線があいまいに、そして身近になり、ふとしたことから自殺を図ってしまうというのは怖い症状。「健康な人間は生きるために最善を選ぶが、うつ病の人間は時として、死ぬために瞬間的に最善を選ぶ。」というのは、身に染みる言葉
・ただ、先崎九段のお兄さんも言うように「うつ病」は必ず治る病気で -
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原作を読むのも良いですし
このマンガ版から読んでみるのも良いと思います。
先崎学九段は文章力も非常に高いので、自分の症状等の描写が非常に的確ですね。最初は小さな異変から始まり、きっかけとなる事象等もあり、やがて症状が悪化して……かなり十度のうつ病の典型的な症状が出てきますね。
実は私も家庭の問題などがあって同様に苦しんだ経験があり、未だに睡眠導入剤は服用しているので全く他人事ではなく……自死を選択する者の多くもうつ状態で放置された結果とも言われていますので、こういう作品はホント広く読まれて欲しいですね。
先崎氏の本を公共の図書館で借りるのでも良いと思います。 -
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うつ病の話とイラストの感じが
うつ病の話とイラストの感じが合っていないと読み始めたときは、思っていたのですが、うつ病の症状が描かれている場面の怖さはこの感じだから表すことが出来てるように思えました。
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精神科医を兄にもつ、九段の棋士がうつ病を発症。1年後に復帰するまでを描いた画期的な書。
長い間、「精神的な病である」とされていたうつ病は、近年、ようやく巷にも「脳の病である」ことが流布されるようになってきた。
しかし、これほどまでに鮮やかに、うつの極悪期から回復期を描いた書を、私は読んだことがない。自分自身は関心があって読んだだけであるが、「なるほど。なかなか理解しにくいことである」と感じる部分も多くあった。それ故に、また、見た目は(さほど)変わらない故に、差別があるのであろう。
さて、九段の棋士である著者が、練習用の詰将棋が解けなくなってしまう。また、日内変動(朝~昼は辛く身体が重い -
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うつ病の日常性
作者さんがうつ病を発症してからの経緯を読んで、「こんなに突然なんだ」と改めて驚きました。「予兆はあった」とは言っているけど、日常生活の中では気に留めないくらいのことだと思います。うつ病は風邪のようなもので、誰でもかかるものだなと思いました。
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やっと読み終えました。
鬱になった体験談は
本の中に書いてたけれど
確かに生々しい体験談ってないなと。
鬱になる前から回復のリハビリを兼ねて
描き始めた鬱の体験談の回復期にかけての
歴史は、私達が想像を絶する想いが文書に
滲み出ていた。
鬱病と言われて、よく聞くようになってきたけれど
鬱=精神病の偏見は、決して消えないのは確か。
心の病気ではあるかなと思うが
確かに、脳の病気なのである。
偏見がまたその人を追い込み悩ませる。
沢山の回復する為の時間と、周りの支えに助けられ
本の中に出てきた、本の主人公の兄(精神科医)が
言ったように『必ず治ります』の言葉を信じて
必ず鬱は治るのであ