雪広うたこのレビュー一覧
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シリーズ第2部完結!
結末に、「わあああ」と心の中でうめいた。
大切な人に心が伝わる瞬間は、奇跡というしかなくて、共に歩もうとするその瞬間は、かけがえのない、まさに宝石の輝き。
さて、本作では絶えず二人に試練を与えてきたオクタヴィア嬢と対峙する。
大切な人は欲しくない、そう考える少女の心を溶かすのは難しい。
大切な人が先に逝ってしまったから。
ちっぽけな自分を守るために死んでしまったから。
この意固地な人間…どこかでみたことがある…そうだ、『鬼滅の刃』霞柱、時透無一郎だ…
「あなたがいた『せい』ではなく、あなたがいて『くれた』から」(218頁)
これは誰かのために、自分のために、生きようとする人に対する著者からのエールだ。
心を伝えること、とてもむずかしいから、一生の課題にしないといけない。
だからこそ、誰かの心が現れた言葉を私は噛み締める。
積み上げて、自分になった言葉を、心を、誰かが必要な時に届けてあげられるように。
常には寄り添えないから、私の代わりに、その人の支えになれるように。
本作がずっと語ってきた宝石の名は、ずっと「人の心」だった。
リチャード、正義、さよならなんて言わないよ…
だって、第三シーズンがあるから!続きは明日! -
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シリーズ第3部!
第3部では、正義が日本に戻ってくる!
今回のメインとなる人物は、中学1年の霧江みのるという男の子。
横浜市の公立中学校に通うみのるの元へ、正義がやってくる。
みのるは正義のことを知らない。
正義は自身のことをみのるの親戚、という。…どういうこと??
本作ではいわゆる「宝石」ではなく、螺鈿細工が登場する。表紙のイラストは、まさに螺鈿細工!
精神疾患を持つ母、生死不明の父。曲がりなりにも裕福とは言えない暮らし。
そこに登場する正義は、さながらあしながおじさん。
言葉にできない怒りなのか、悲しみなのか、胸に広がるもやもや。
それを受け止め、心の奥底にあった「愛してほしい」「大切にして欲しい」という思いに応えてくれたのは正義だった。
誰よりも愛して欲しかったのは母だが、自分のことなど視界に入っていないんじゃないか。
しかし、そうではなかったことをみのるは知る。
優しさと愛に溢れたシリーズ、次作刊行が楽しみだ。 -
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第二部が終了し、登場人物たち一人一人にスポットライトを当てたスピンオフ短編集。
理科教師、谷本先生。
たまたま今読んでいる『め組の大吾』のヒロインも理科の先生だったな…。
好きなものに邁進できる谷本先生はかっこいい。
自分のやりたいことがあるのに周りを気にして自分の気持ちを押しつぶすな、は、心に刺さる。
大人になっても、それは同じ。
「悪魔を憐れむ歌」は、ジェフとヨアキムの物語。
二人が互いを大切に思うまで。
幸せの形は人それぞれ、とはいうけれど、みんなどこか歪で、だからその歪な箇所が互いを傷つけてしまうことがある。
それを少しずつ整えていくのが、人と人とのつながり、愛というものなのだろうな…
いいね、いいね、みんないいね。みんな綺麗。美しい。
またちょっとだけ自信をなくして、「私なんて」と思っている私を救ってくれる。
大丈夫、そう伝えてくれる物語は、私に輝きを取り戻させる。 -
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シリーズ第八作目。
2ndシーズン2作目は、南フランス、プロヴァンス!
フランスは卒業旅行で行ったきり。
しかも安いお上りさん観光客コース(それはそれでとても楽しかった)だったので、今度行ってみたい場所の一つ。
さて、話を戻すと、リチャードのお母さん、マダムカトリーヌが登場する。
どこに行っても美しくて目立つカトリーヌ。
悩みなんてなさそう、きっと彼女はそう言われて来続けたのだろう。
羨望と嫌味を、笑顔で「わからなーい」とかわす術を身につけながら。
自由に生きている人は時に真面目に生きている人からは眉を顰められる。
それでも、どこか惹かれてしまうのは、人はそんなに単純ではないからだろう。
過去があって、今がある、そんな言葉通りに。
また、容姿の美しさなんてそんなに大切なものでもない。
それはミラボーの話が象徴的に示している。
本作で胸に響くのは、190頁。
「あっちこっちでつらいことばかり起こるもんだから、誰も彼もが『自分が世界で一番不幸だ』って思いこむ。
それが心の貧しさだと俺は思う。そうすると他人を傷つけるのは簡単だ。」
「自分で自分の心に栄養をやれる人間は強い。そういう人間は決して貧しくならない。」(191頁)
思い出のヴィラでの宝探し。
宝箱には、美しさとは、という難しい課題と、誰をかを思う気持ちの優しさと残酷さがはいっていた。
そして物語はスリランカに戻り…突然の軍事衝突。正義、君はどこへ向かう? -
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シリーズ2ndシーズン!
物語はスリランカから始まる。
正義は国家公務員になれずに、宝石商として修行中。
相変わらずのいい人っぷりも健在。
さて、スリランカにいたはずの正義は運命に導かれ洋上へ。
そこで知り合う怪しげな人々。
敵か味方か、読めない、食えないヴィンスという男。
ヴィンスと私は何もかも違う。
だが、努力しても、それが無駄だったと思える瞬間や、自分が誰の助けにもなれていなかったと知った時の無力感は、程度の差こそあれ、よくわかる。
世の中には自分より優秀で美しくて優れた人物はたくさんいるから。
太陽の光は強すぎて、私はこれまで蝋燭の小さな光を昼間だと勘違いしていたのか、そんな思いに心が潰されそうになる。
それでも太陽を眺めたいと願うのか、安全な土の中に隠れるのか。
どちらも戦略の問題で良し悪しではない。
だけど、叶うならば、私のことをたとえ太陽は知らないとしても、決して自ら光ることはできなくても、美しいものをたくさん知ることはできるはず。
さらりと語られる物語の中に、響く言葉が詰まっている。
突き詰めれば、この言葉に私の願いは集約するだろう。
「守りたいものを守るのに必要な分のだけの強さがあれば。」(301頁)
そういうものに、私はなりたい。 -
無料版購入済み
絵はきれいですごく雰囲気があってタイプの違うイケメンをたのしめますが、ストーリーはおもしろそうだけれどわかりにくいって感じです。
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今回は!リチャードの過去が明らかに!
なのになのに、なんでこんな終わり方?!
海外ドラマのクリフハンガー状態。
だが安心してほしい、次のシーズン(巻)は決定(出版済み)。
正義の遅々遅々として進まない恋にも展開が!
この巻は必読!
「受け継ぐ翡翠」では仏手柑の姿の翡翠が登場する。
カワセミって飛ぶ宝石じゃなかったかなぁ、その名前は翡翠から来てたような、なんておもいながら。
日本の国石でもあったはず。
今ではちょっと宝石としては古めかしいような印象もあるが、なんのなんの、本物はやはり美しい。
本作では代々受け継ぐ、守るということの美しさを感じられた。
表題作「天使のアクアマリン」では、エメラルドとアクアマリンが同じ石、という豆知識を仕入れた。
緑柱石といえばピノコだが、話が逸れそうなので傍に置いておいて。
時に傷ついても、人を信じることの強さ。
色が違っても同じ石…この意味に込められた思いはその時の読者の心で変わるだろう。
だが、ほんの少しで心が軽くなる言葉というものに出会うたび、わたしは言葉の弱さと同じくらい強さを感じるのだ。 -
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シリーズ第二作。
今回の宝石は、キャッツアイ、ガーネット、エメラルド、オパール、ユークレース。
お気に入りの物語は「戦うガーネット」。
山本さんという女性が、正義とリチャードの店にやってくる。
彼女はガーネットを自分で自分のために買おうとしている。
だが、ガーネットはルビーじゃない、とどこか悲しげに怒っている。
リチャードはそんな山本さんに、石言葉を伝え、人生とは闘いだ、と諭す。
人生は闘い、そこで必要なのは何も若さや美貌だけではない、むしろ「努力」「忍耐」であると。
そして、逃げられないものに対し、いつ、どこで立ち向かうかが重要だとも。
確かに美しいことは得だろう。
うまくいくこともあるだろう。
しかし、それだけが全てではないのだ。
私自身、社員証の写真も、社内報の写真もブスだなあと思ったが、ブスはブスなりに努力すれば、そんなに悪くはない。かも。
『エメラルドは踊る』ではこんな言葉に勇気づけられる。
「人間は己の本当に望む方向へ、自分を育ててゆく生き物だ。
(中略)どうにもならない時には諦めろというシニシズムなんかじゃなくて、目指す場所があるなら根性を見せろという発破だと思う。」
(171頁)
『巡り合うオパール』では励まされる。
「正しくあろうとする人間は孤独です。誰しもが同じ道を歩けるわけではありませんし、まぶしすぎるものは時々疎ましくなります。
空疎な理想論と後ろ指を指されることもあるでしょう。それでもあなたは間違っていない。
あなたの正しさの根底にあるのは、己の道を押し通そうとする頑迷さではなく、暗闇の中でも他者に優しくあろうとする気高さだからです。」
(261頁)
本はこうして私を励まし、伴走する。
さて、続きはいつ読もうかな。 -
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シリーズ一作目。
宝石は美しい。
鉱物マニアではないが、やはりダイヤの輝きも、ルビー、サファイヤ、エメラルドの輝きも捨てがたい。
科学博物館に行けば、宝石展は大盛況。
人の心をどうにも動かさずにはいられない、そんな宝石を扱う、世にも稀なる美男子リチャードと、二つ名がつくほどの名掏摸を祖母に持つ正義のバディミステリー。
「出会いのピンクサファイア」の物語はこの物語を形作る説明でもある。
謎多きリチャードとさっぱりとした正義の掛け合いが愉快。
人の心の機微を感じられるのが、本作を締める、「追憶のダイヤモンド」。
なぜか半面黒く汚れたダイヤモンドを持ち込んだ老紳士。
なぜ彼はこのままにしていたのか、そして、なぜ、リフォームを止めると急に言い出したのか。
そこには人生の物語が隠されていた。
人がなぜ美しさを求めるのか、なぜ技術を磨くのか。
それは人は人を元気付けたいと考え、喜んで欲しいと思うからだ。
人は優しいものだ、それを信じさせてくれる物語は、宝石に劣らず美しい。