有吉玉青のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フェルメール版の「三国志男」といったら失礼にあたるだろうか.
私自身にはそういう位置づけの書籍である.
フェルメール愛する著者がフェルメールを求めて旅をする.その旅で起こった出来事,感じたことをつづったエッセイです.
フェルメールを観に最初に訪れた美術館では,絵は盗難されていてフェルメール作品に会うことはできなかった.フェルメールを求めて旅を開始して,その最初から会えないの?なんかこの出だしに引き込まれてしまい,時間を忘れて読みふけってしまった.
ネタバレなので書きませんが,この旅の最後はステキな出会いで終わります.果たしてどんなステキな出会いが待っているのでしょうか.
ぜひ,読んでみて -
Posted by ブクログ
有吉佐和子の娘・有吉玉青による、おそらく自伝的要素もある小説。
産まれて間もなく両親が離婚し父親を知らなかった主人公の珠絵が、祖母と母亡きあと、26年の時を経て父親と再会する。
ただそれは父娘としての再会ではなく珠絵が図ったもので、珠絵は父親(=陣さん)に恋心にも似た感情を抱く。
長く交際してきた同い年の恋人・征太郎との結婚が決まった珠絵は、今度は父娘として父親との再会を果たし、父娘としての時間を取り戻し始める。
作中で珠絵は大学院生兼作家という立場。
院ではサルトルの研究をしていて、サルトルの思想も作中には度々あらわれる。
短期間の勢いで書いた自伝的小説が、賞は逃したもののとある女性編集者 -
Posted by ブクログ
読み終わるまで有吉佐和子の娘の作品と気づきませんでした。びっくり。
美妙と秋雨は異母兄弟として出会った。辛い幼少期を送る秋雨を哀れに思う美妙は、なにくれと秋雨の世話をするが、いつしか姉弟としての感情以上のものを抱くようになる。お互い姉弟としての領分を超えることなく年を重ねて行った。
55年の年月が流れ、2人の育った家は取り壊される事となった。
年老いた二人は家族に内緒で、出会った日にあの家で待ち合わせをしようと約束をするのであった。
二人の自分を律しながらも惹かれあってしまうのがなんとも切なく、そしてその抑制の効いた底に燃える愛情がとても美しいです。物心つくかどうかの時期に出会って、唯一優