あらすじ
母親を亡くした8歳の秋雨が美妙の家に引き取られたのは、彼女が15歳の時だった。辛くあたる母から秋雨を庇ううちに姉弟という間柄を超えていくようであったが、その思いをずっと胸に秘めたまま、出会いから五十五年となるその日、美妙は娘夫婦と孫娘が起き出す前に、取り壊しが決まった家へと向かう――。
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Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んだ。
異母姉弟として出会い、お互いが家庭を持ちそれでもなおずっと想い合っている。
何十年という時を越えて、最後に一緒に過ごす1日。早起きしてお弁当を作る描写が、美味しそうだし、文章が綺麗で好きな作品。
Posted by ブクログ
読み終わるまで有吉佐和子の娘の作品と気づきませんでした。びっくり。
美妙と秋雨は異母兄弟として出会った。辛い幼少期を送る秋雨を哀れに思う美妙は、なにくれと秋雨の世話をするが、いつしか姉弟としての感情以上のものを抱くようになる。お互い姉弟としての領分を超えることなく年を重ねて行った。
55年の年月が流れ、2人の育った家は取り壊される事となった。
年老いた二人は家族に内緒で、出会った日にあの家で待ち合わせをしようと約束をするのであった。
二人の自分を律しながらも惹かれあってしまうのがなんとも切なく、そしてその抑制の効いた底に燃える愛情がとても美しいです。物心つくかどうかの時期に出会って、唯一優しくしてくれた姉が、吉永小百合ばりの美貌で心優しく、毎日弁当を作ってくれて毎日お見送り。そりゃあ結婚しても姉の面影を吹っ切るの難しいかも。
ちなみに題名の 一日は いちにちではなくいちじつです。素敵ですね。
Posted by ブクログ
時に無力と無知は、残酷。
あの時代女性にはなんの力もないのだけど。
互いに思慕の情を抱き、儚い一日を淡い想いが交差する。
「美しき一日の終わり」
タイトル通り、美しい余韻が残る。