鈴木孝夫のレビュー一覧
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[ 内容 ]
「日本語は英語に比べて未熟で非論理的な劣等言語である」-こんな自虐的な意見に耳を傾けてはいけない。
われらが母語、日本語は世界に誇る大言語なのだ。
「日本語はテレビ型言語」「人称の本質とは何か」「天狗の鼻を“長い”ではなく“高い”と表現する理由」等々、言語社会学の巨匠が半世紀にわたる研究の成果を惜しげもなく披露。
読むほどに、その知られざる奥深さ、面白さが伝わってくる究極の日本語講座。
[ 目次 ]
第1章 日本語は誤解されている(日本語ってどんな言語 漢字の読みはなぜややこしいのか ラジオ型言語とテレビ型言語)
第2章 言語が違えば文化も変わる(虹にはいくつの色があるのか 太 -
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[ 内容 ]
辞書を頼りに小説や文献を読んでいるだけでは、他国や他民族の理解は難しいのではないか。
6色の虹、黄色い太陽、恥部としての足など、興味深い例をあげながら、国による文化の違いを語るとともに、漢字の知られざる働きに光を当てて日本語の長所をも浮き彫りにする。
真の国際理解を進める上で必読の、ことばについてのユニークな考察。
[ 目次 ]
第1章 ことばで世界をどう捉えるか
第2章 虹は7色か
第3章 日本人はイギリスを理解しているか
第4章 漢字の知られざる働き1―音読みと訓読みの関係
第5章 漢字の知られざる働き2―視覚的弁別要素の必要性
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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みかん色の猫ってどんな猫?翻訳本を読んでいてふと首を傾げたことはないだろうか。原文を照合すればorange catと出てくるだろうし、辞書を引いてもorangeオレンジ色と書いてあれば「オレンジ色の猫」と理解せざるを得ない。実は英語のorangeとは日本語でいうオレンジ色から煉瓦色までカバーしているので、orange catとは明るい茶色の猫のこと。みかん色の猫は珍しいけれど、茶色の虎猫だったら誰でも見たことがあるのではないだろうか。
こんな小さな翻訳の間違いが本全体の印象を変えてしまうことは少なくない。言語は文化背景と密接につながっており、辞書を引いただけでは理解の及ばないものも多い。この -
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これまでいくつかの言語学関係の新書で読んだ興味深いエピソードの出典が、この本であったことに驚いた。
日本語には人称代名詞が存在しない、という主張はユニークで、かつ、なるほど納得。
言語のことじゃないけど、最も印象的な部分を。
「それどころか欧米諸国によって、外国に一切迷惑をかけない国のあり方である鎖国から無理に引きずり出された日本が、どの国の植民地にもならず独立国として生きるための富国強兵を目指す過程で、彼らに纏って持った植民地を日本語で統治したことすら、日本の恥ずべき国家的暴虐行為として非難し弾効する『日本人』が大勢いるのです。
しかしこれらの人々はイギリスやフランス、そしてロシアやスペ -
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それぞれの国で関心がある分野のことは
語彙が増えると読んだことがあります。
農業が盛んだった国では
気象に関する言葉が多かったりするように。
ある言語で、ひとつにしか結びつかない語が
別の言語ではいろいろな意味を含むとしたら
そこに「齟齬」が生じることもある。
うわ〜。翻訳が大変な仕事だってよくわかるなぁ。
この本でも、そういう語彙のことや
ひとつの言葉が与えるイメージも
国や時代によって変わってしまうという話
(太陽が赤くない国、虹が六色でも気にしない人)
カタカナ英語が氾濫する事情など
言語学習のためというより
国際社会で外国語を使うための予備知識が
たくさん載っている感じがします。
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第4章「日本語に人称代名詞は存在しない」については、家族の中で使われる「父」「姉」など卑近な例を用いて、日本語での指示代名詞について説得力のある興味深い説明がされていて面白い。
また、著者は海外における外国語学習の位置付けが、例えばライバル国の事情をいち早く把握して出し抜くことであったり(米国)、自国の歴史を他国に宣伝することであったり(中国)して、普段考えているより多様な目的が存在しているということを知れたのは面白かった。
一方で、著者の過ごしてきた年代を考慮すると仕方がないことのようにも思えるが、国民と民族を同一視する表現や、いわゆる「若者」に対してのステレオティピックな思いが表されてい -
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日本と外国では、「虹は何色と考えるか?」など言語以前に文化習慣の根っこのところが違うとか、日本語の音素の少なさと漢字との分かち難い関係など、外国語と対比した時の日本語の特質をいろいろな角度から考察する。そして、いまある日本語をもっと大事にしようや・・・と著者はつぶやく。絶滅危惧種・日本語に憐れみにも似たまなざしを向けるのである。
さすがに日本語表記をアルファベットに、という暴論はもはや力を持っていないと思うが、漢字を減らせという「間違った圧力」はなお強いと思うし、なにより生活レベルで無批判に増え続けるカタカナ語、さらにその闇雲な略語などがますます隆盛を極めている(「リア充」とかもう意味わかん -
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最初の方(2章まで)は、私が期待していた、まさしく書名通りの「ことばと文化」について書かれていて大変面白かった。しかしながら、後半は文化というより言語という感じになってきたので、少し期待と違ってしまった。もちろん英米の言語との比較はあるんだけれども。
そしたら、6章では人称代名詞の話があって、それはそれで面白かった。英語でIはずっとIだけど、日本語だと僕、私と変わるとか、あなた、お前とかは、元々方向を示す語だとか。お前、貴様、とか昔はリスペクトを込めてたのに、とか。目上の人を呼ぶときは人称代名詞(あなた、とか)では呼べず、先生とか役職とか名前で呼ぶしかない、みたいな話も。母が娘に対し、「お父さ -
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言語学になるのでしょうか、日本と欧米とにおける日常の言葉と文化の違いについて。
文化の違いは表面的なものだけでなく、隠れたものについては差異をみつけることが困難だということ、
言葉の違いも、動詞ばかりでなく名詞ですら外国語との一対一対応は困難であるばかりでなく、自国語の単語も、基礎語は定義が不可能であること、
等々、つれづれと綴ってありました。
一番興味深かったのは、日本語の人称代名詞の使い方について。
目上の人に対する二人称はない、という指摘にビックリしました。確かに……
誰も明確にそんなことを教わらないのに、社会で皆適切に言葉を扱えるという事実に改めて驚くと伴に、
学校で初めての外国 -
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ネタバレ1章から3章まで、この本の半分くらいは言語の特徴というよりは、文化の違いによる意味の広がり方の違いが現れていることを豊富な具体例で記しています。虹の色、太陽の色、リンゴの色の認識の違い、食べ物や服装の認識の違いが書かれています。
後半の4章と5章は漢字が持つ特徴を記してあります。
ここで書かれている漢字の特徴をひとつ挙げますと、複数の概念が組み合わさってできている「高級言語」に現れていることを著者は示しています。
英語で高級言語と呼ばれる単語はスペルから意味を察するのは難しく、丸暗記するしかないことが多いです。
「graminivorous」、これは漢字だと「草食性」。漢字の場合は聞くだけで