鈴木孝夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「日本語は英語に比べて未熟で非論理的な劣等言語である」-こんな自虐的な意見に耳を傾けてはいけない。
われらが母語、日本語は世界に誇る大言語なのだ。
「日本語はテレビ型言語」「人称の本質とは何か」「天狗の鼻を“長い”ではなく“高い”と表現する理由」等々、言語社会学の巨匠が半世紀にわたる研究の成果を惜しげもなく披露。
読むほどに、その知られざる奥深さ、面白さが伝わってくる究極の日本語講座。
[ 目次 ]
第1章 日本語は誤解されている(日本語ってどんな言語 漢字の読みはなぜややこしいのか ラジオ型言語とテレビ型言語)
第2章 言語が違えば文化も変わる(虹にはいくつの色があるのか 太陽は世界のどこでも赤いのか 蛾と鯨が同じ理由 文化によって異なる羞恥心)
第3章 言葉に秘められた奥深い世界(天狗の鼻は「長い」ではなく「高い」 形容詞の中身はなに? 江戸時代、「日本酒」はなかった)
第4章 日本語に人称代名詞は存在しない(身内の呼び方の方程式 日本語の人称代名詞を巡る問題 指示語と自己中心語のしくみ 「人称」の本質は何か)
第5章 日本語に対する考えを改めよう(日本人のもつ相手不在の外国語観 日本語教のすすめ)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
辞書を頼りに小説や文献を読んでいるだけでは、他国や他民族の理解は難しいのではないか。
6色の虹、黄色い太陽、恥部としての足など、興味深い例をあげながら、国による文化の違いを語るとともに、漢字の知られざる働きに光を当てて日本語の長所をも浮き彫りにする。
真の国際理解を進める上で必読の、ことばについてのユニークな考察。
[ 目次 ]
第1章 ことばで世界をどう捉えるか
第2章 虹は7色か
第3章 日本人はイギリスを理解しているか
第4章 漢字の知られざる働き1―音読みと訓読みの関係
第5章 漢字の知られざる働き2―視覚的弁別要素の必要性
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☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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Posted by ブクログ
みかん色の猫ってどんな猫?翻訳本を読んでいてふと首を傾げたことはないだろうか。原文を照合すればorange catと出てくるだろうし、辞書を引いてもorangeオレンジ色と書いてあれば「オレンジ色の猫」と理解せざるを得ない。実は英語のorangeとは日本語でいうオレンジ色から煉瓦色までカバーしているので、orange catとは明るい茶色の猫のこと。みかん色の猫は珍しいけれど、茶色の虎猫だったら誰でも見たことがあるのではないだろうか。
こんな小さな翻訳の間違いが本全体の印象を変えてしまうことは少なくない。言語は文化背景と密接につながっており、辞書を引いただけでは理解の及ばないものも多い。この本はそんな言葉の背景に焦点をあて、記号ではなく「生きた言語」として理解するために必要な知識がぎっしり詰まっている。学校教育では学べない他言語との微妙な差異を鋭く指摘した言語社会学の権威、鈴木孝雄氏の名著。 -
Posted by ブクログ
これまでいくつかの言語学関係の新書で読んだ興味深いエピソードの出典が、この本であったことに驚いた。
日本語には人称代名詞が存在しない、という主張はユニークで、かつ、なるほど納得。
言語のことじゃないけど、最も印象的な部分を。
「それどころか欧米諸国によって、外国に一切迷惑をかけない国のあり方である鎖国から無理に引きずり出された日本が、どの国の植民地にもならず独立国として生きるための富国強兵を目指す過程で、彼らに纏って持った植民地を日本語で統治したことすら、日本の恥ずべき国家的暴虐行為として非難し弾効する『日本人』が大勢いるのです。
しかしこれらの人々はイギリスやフランス、そしてロシアやスペインなどが、長きは数百年にわたる植民地支配の過程で自国の言語を現地民に強制したからこそ、現在、世界では英話を日常使う国が五十以上、フランス語を社会の重要な言語とする国が約四十、そしてスペイン語が約三十でロシア語が二十ヶ国あまりといった具合になっているのだということを知っているのでしょうか。外国が堂々とこんなにも長きにわたって手広くやった悪行には目をつぶって、自分の国のことだけを針小棒大に非難し弾劾するのでは、およそ公平な歴史感覚の持ち主とは言えません。」
ここに著者の感情が露見している。
私も基本的には同意する。
内田樹「日本辺境論」の前に読んでいたら、もっと興奮しただろうと思う。 -
Posted by ブクログ
それぞれの国で関心がある分野のことは
語彙が増えると読んだことがあります。
農業が盛んだった国では
気象に関する言葉が多かったりするように。
ある言語で、ひとつにしか結びつかない語が
別の言語ではいろいろな意味を含むとしたら
そこに「齟齬」が生じることもある。
うわ〜。翻訳が大変な仕事だってよくわかるなぁ。
この本でも、そういう語彙のことや
ひとつの言葉が与えるイメージも
国や時代によって変わってしまうという話
(太陽が赤くない国、虹が六色でも気にしない人)
カタカナ英語が氾濫する事情など
言語学習のためというより
国際社会で外国語を使うための予備知識が
たくさん載っている感じがします。
後半は漢字の利便性のような言語学的な話もあり。
1990年の新書ですが、今読んでもおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
第4章「日本語に人称代名詞は存在しない」については、家族の中で使われる「父」「姉」など卑近な例を用いて、日本語での指示代名詞について説得力のある興味深い説明がされていて面白い。
また、著者は海外における外国語学習の位置付けが、例えばライバル国の事情をいち早く把握して出し抜くことであったり(米国)、自国の歴史を他国に宣伝することであったり(中国)して、普段考えているより多様な目的が存在しているということを知れたのは面白かった。
一方で、著者の過ごしてきた年代を考慮すると仕方がないことのようにも思えるが、国民と民族を同一視する表現や、いわゆる「若者」に対してのステレオティピックな思いが表されているのはすこし気になった。
また、著者は英語学習強化よりもむしろ、日本語教育施策を積極的に展開することで日本の国力増大を図ろうという、「日本語教」の立場を取る。しかし、個人的には、主にフィージビリティの観点から、世界の主要国(しかも主要国の意味するところも今後数十年でまた変わっていく)のすべてに日本語教育を行き渡らせることと、実質的な国際共通語になった英語を習うことなら、明らかに後者の方がコスパが良いと考える。つまり、私は「日本語教」には入信できそうにない。
「日本語教」の信者にはなれそうにないが、日本語の響きや表現、日本語で書かれた詩や歌詞などはとても好きなので、「日本語愛好者」くらいで生きていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
日本と外国では、「虹は何色と考えるか?」など言語以前に文化習慣の根っこのところが違うとか、日本語の音素の少なさと漢字との分かち難い関係など、外国語と対比した時の日本語の特質をいろいろな角度から考察する。そして、いまある日本語をもっと大事にしようや・・・と著者はつぶやく。絶滅危惧種・日本語に憐れみにも似たまなざしを向けるのである。
さすがに日本語表記をアルファベットに、という暴論はもはや力を持っていないと思うが、漢字を減らせという「間違った圧力」はなお強いと思うし、なにより生活レベルで無批判に増え続けるカタカナ語、さらにその闇雲な略語などがますます隆盛を極めている(「リア充」とかもう意味わかんないし)事実には、日本語の崩壊を感じざるを得ない。
近ごろネットを渉猟していると(とくに各種のWebサービスを利用したりしていると)、日本語はほとんどアメリカ語に呑み込まれようとしていると感じる。
自分もそういう環境にいるし、それを押しとどめようという気概もないんだけど、言葉を喪失するというのは日本のアイデンティティー・・・おっと、独自性を捨てることだと思う。
小学校ではアメリカ語を教え始めるというが、そんなヒマがあるんなら日本の文化習慣や自分の好きなことを貫く信念についてもっと教えたらいいと思う。手段をではなく自分自身をまず磨かずに、世界が認めることもあるまいよ。 -
Posted by ブクログ
最初の方(2章まで)は、私が期待していた、まさしく書名通りの「ことばと文化」について書かれていて大変面白かった。しかしながら、後半は文化というより言語という感じになってきたので、少し期待と違ってしまった。もちろん英米の言語との比較はあるんだけれども。
そしたら、6章では人称代名詞の話があって、それはそれで面白かった。英語でIはずっとIだけど、日本語だと僕、私と変わるとか、あなた、お前とかは、元々方向を示す語だとか。お前、貴様、とか昔はリスペクトを込めてたのに、とか。目上の人を呼ぶときは人称代名詞(あなた、とか)では呼べず、先生とか役職とか名前で呼ぶしかない、みたいな話も。母が娘に対し、「お父さん遅いね」という時のお父さんは誰?みたいな例とか。
古びれていないか、というと正直古びれている。正しい正しくないではなく、言語は変容している。多分、日本語は他の言語に比べて早い。そんな気がした。
1 ことばの構造、文化の構造
2 ものとことば
3 かくれた規準
4 ことばの意味、ことばの定義
5 事実に意味を与える価値について
6 人を表わすことば