【感想・ネタバレ】ことばと文化のレビュー

あらすじ

文化が違えばことばも異なり、その用法にも微妙な差がある。人称代名詞や親族名称の用例を外国語の場合と比較することにより、日本語と日本文化のユニークさを浮き彫りにし、ことばが文化と社会の構造によって規制されることを具体的に立証して、ことばのもつ諸性質を興味深くえぐり出す。ことばの問題に興味をもつ人のための入門書。

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Posted by ブクログ

言語学者で慶應義塾大学名誉教授の著者により記された本書は、わたしたちがことばによってどのように世界を捉えているのか、またそれがいかに他言語・他文化と異なっているのかということについて述べられています。

しばしばわたしたちは、ものというものの存在がまず先にあって、それに対応づけを行うようにことばというレッテルを貼っていくのだというような錯覚を覚えます。
しかし、実際はその逆で、ことばがあるからものを認識できるのだと述べられます。

例えば日本語では「湯」「水」「氷」をそれぞれ区別しているのに対して、英語では「water」と「ice」としか区別されません。

一方、日本語では「ワニ」としか呼ばないものを、英語では「alligator」と「crocodile」と呼び分けています。

このように、ものにことばを与えるということは、人間が自分を取りまく世界の一側面を、他の側面や断片から切り離して扱う価値があると認めたということにすぎず、ことばの構造やしくみが違えば、認識される対象も当然ある程度変化せざるを得ません。

ことばが違うということは、単に単語が異なるという意味にとどまらず、文化に違いがあって、ものの考え方に違いがあって、仮にある一点において一致する部分が見られたとしても、それを自国の文化の中で過度に一般化してはならないということです。


以下、本書の序文からの引用ですが、

「私の考えではいかなる学問領域の入門書でも、それは既に知られているさまざまな事実の単なる躍列ではあり得ないし、またそうあってはならない」
「入門書とは、その学問特有のものの見方を示すものでなければならない。そしてものの見方とは、動的な精神の働きに他ならないのであるから、入門書はそれを書く著者に固有な、ものの見方と切り離すことができない。」

本書はまさしく言語学の入門書として良書でした。

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2025年10月22日

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言語が違うということは、世界を見るフィルターが違うということ。
生まれたときから見ている世界を違ったフィルターを通して見ているとすれば、言語の違いが単純に「言葉が通じない」以上の意味をもつことがわかる。文化も考え方も、ものの捉え方も変わってくる。
とりわけ、日本語における人称代名詞が、日本人の文化や考え方に多大な影響を及ぼしていることがわかった。
自分のことを「ママ、パパ」「お姉ちゃん」など生得的階級が上のものは、自人称としてその階級を誇示するために使用することができ、ゆえに日本人は年齢、生まれもった資格(性別、階級)を重んじる文化が発達した。
また、対象と同化することで自分の位置付け(自人称)を決めるため、相手に同調、忖度する文化が育ち、「気が利く」「思いやりがある」などのヨーロッパ語には直訳できない言葉が生まれた。

いま、欧米化が進んで、これまで日本人が良きとしてきたものが、同調圧力、意見がない、繊細すぎて疲れる、などのネガティブな部分にフォーカスされつつある。
これらの考えが進んで、よりグローバル化が進めばこれからの日本語はもっと変わっていくかもしれない。

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2024年06月28日

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ネタバレ

良著。まえがき,1~5章・6章1節6節,あとがきを読んだ.

<印象的なものを列挙>
1,2章:文化によって各言葉で各事象概念を包括できる範囲が異なる.よって文化によっては区別されない事象概念を区別する文化があるために文化によって言葉の数が異なる.

3章:名詞は人によって着目ポイントが異なるので動詞や形容詞の方が定義しやすい.言葉の意味は個々人の体験に基づくため言葉の定義を言葉で示すことができても意味を示すのは至難の業である.辞書ではよく説明のループが起きている(特に基礎語(これ以上分けようがない言葉)において多い).

5章:文化によって感じ方が異なる(この例ではイギリス人と日本人の動物観.犬を手放すとき,イギリス人は殺し,日本人は捨てる).若干冗長な体験談だったものの,本書で一番言いたいことを分かりやすく伝えていると感じた.外国に見習えみたいなことを言う人も多いけど,文化ありきの言葉でもあり,歴史的背景を見たら,大して立派でもなかったり,日本にそぐうか不明なのも多いと書いてある.

6章読んだ部分:この章は言葉ありきの文化にも少し触れている.人の呼び方から文化を考察している.日本は他国と比較して一人称二人称が役職や親族種別など多岐にわたっており,人を呼ぶ度に役割を定義していることになるため,極めて縦割社会で責任転嫁しやすい文化.相手に対して自分の立ち位置が決まるため,自分の意見を決めるのが不得手.一方,相手を思うが故に,おもてなし・ありがた迷惑などの言葉も意味をなす(これらはそういう文化がないと意味がない言葉と言える).

ーーー
5月頃に一回1/3位読んで中断.11月頃にまた読み始めた.通勤時間の気分転換程度に丁度.12/14に読み終わった.

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2020年04月22日

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入試問題で一節に出会った事がきっかけで読んだ本です。ことばの持つ背景について、ずっと心の本棚にある素敵な本です。

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2019年11月14日

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今後も何度か読み直したい本。
外国語を勉強しているとどうしても不可解なもの(言葉やルールなど)が出てきて、それに気持ちが引っかかって勉強する気が失せることがある。
この本で「それは文化も違えば言葉のルールも違うから」と気付かされた。人間にとって言葉は万能のツールのようなものだと無意識に思っていたけれど、その固定概念を覆される。
「そうだったのか」の連続でどんどん読み進めてしまって、くせになる。
「言葉は生き物」と言われることにより深く納得できる。本当にDNAみたいだ、と思った。

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2017年07月04日

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ことばについて目を向ける良い機会になる。

ことばの意味や使い方には構造があり、それが言語によって異なっているという認識を持っていないと、
第二言語学習の混乱を招く。
項目対項目で理解するのではなく、ことばの構造を理解する必要がある。


また、ことばとは、どういった意味を持っているのか。
実は、「説明」できることばと、説明ではなく個人個人の「経験」により意味が大きく異なってくることばがある
「石」や「痛い」など、幼児期に自然と身につけた言葉は、個人の経験によって意味合いが異なり、また言葉で説明することが難しい。

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2014年05月14日

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言語学における名著だと思います。

高校生の頃、夏期語学留学に行く私に校長先生が薦めてくれました。

日本語と外国語、日本文化と国外文化についてが理解できます。

この本のお蔭で語学に興味が持てたのかしら?

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2014年01月13日

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外国人学習者が感じる「日本語の難しさ」って、こういう事なのかなー。
普段、何の疑問も感じずに使っていたあんな言葉・こんな用法が、改めて考えてみるとこんなに不思議だったなんて。しかもその不思議さを理路整然と説明した本があったなんて。

言語の比較を通して、日本文化独特の心性(対象依存型自己規定、自分を相手に同調させ相手の気持ちになることを重視する等)まで浮き彫りになってしまう事に大興奮です。

高校生の頃に読んでいれば、と悔やまれる1冊。

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2013年11月09日

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「外国語を学ぶことで外国の文化を知れる」などと今では言われ尽くしているが、この本の序盤で「外国語を学ぶことがすなわち外国の文化を知ることになる」ということに気づける。他にも海外の指標を日本に当てはめることがいかに無駄かについて言語学的見地からの批判など、考え方として得るものが多かった。
しかしやはり、「言語学的な考え方」をこの本全体を通して知ることができ、入門書として素晴らしいものだと思う。

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2013年06月24日

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ことばと文化の結びつきは面白い。それがわかる。言語学というものの面白さに触れることができる素晴らしい一冊。

まえがきの部分に
「入門書とは、その学問特有のものの見方を示すものでなければならない。そしてものの見方とは、動的な精神の動きに他ならないものであるから、入門書はそれを書く著者に固有なものの見方と切り離すことができない。」ⅲ
とある。入門書とは平易な言葉で誰でも理解できるようにその学問のことを述べるものだと思っていた。この文章から、多種多様な入門書が同じ学問領域でも存在していることが頷くことができる。入門書といえばこれ!というようなものよりも入門書を比較して読むことで、その領域をさまざまな観点から観察できることの方が重要なのではないかと思った。


本書の中からも数個、
「ものにことばを与えるということは、人間が自分を取りまく世界の一側面を、他の側面や断片から切り離して扱う価値があると認めたということにすぎない。」39
したがって、言語を研究することはその言語を使用する国や地域の文化をも研究することにつながるのだ。日本語ではオノマトペや人を表す言葉が多いことから何が言えるのか、何を重視してきた文化なのかを考えることができるということだ。

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2025年11月10日

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«「私にとっての普通」は万国共通では無い»
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こちらの本が出版された当時と今とでは違う部分もあるかと思いますが、「無意識に日本人的な尺度で外国語や外国の文化を日本のそれと比べている」という指摘は、確かに今の自分もしてしまっていると、ハッとさせられました。
日本語を教える上でも、外国人と交流する上でも、自分のものの見方は相手とは全く違うのだという意識、それから、自国と他国の文化や考え方に優劣は無いのだという意識を持って、自分を卑下せず、かと言って威圧的にもならずに接していきたいと思いました。

以前講義の中で紹介されていたので読み、今回は再読です。言語に関わるお仕事をされる方やこれからされる予定の方、言語関係のお仕事に興味がある方に、特におすすめしたい1冊です。

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2025年05月05日

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2024/4/27-6/26.

6.人を表すことば がとても興味深かった。私は自分のことを表す一人称をそこそこ持っていて、状況や環境によって使い分けているけれども、それは日本語特有のものであり、随時「自己規定」しているのである。日本語の自己規定の対象依存的な構造。
一人称に留まらず、人称代名詞の充実さ。

最後3-4ページが非常に興味深くて、何度でも読み返したい。察しの文化、思いやりの文化と言われる日本人の美徳と欠点。その根本にある、対象同化の心的構造。それは、相手に対する甘えであり、依存である。息を吸うように相手の気持ちを察し汲むことに長けているが故に、相手にも同様の言動を求めてしまう。それは、期待外れだったときの不満やストレスに繋がってしまう。
結局「あなたのため」は自分のためであるということ。

相手の出方を伺ってはじめて自分のスタンスを示すのは、わたしもままやること。日本人が自己主張が苦手なのは、他者の意見を軸に考えてしまうから。

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2024年06月26日

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本書に『問題とはそこにあるものでなく、視点を設定した時はじめて出てくるものなのである。』(p.180)とあるように、日本語をながめる時の新しい視点を与えてくれる一冊

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2024年03月09日

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書かれたのが1970年代ということもあって日本と外国の対比に ん?と思うところも何箇所か出てくるけどそれでも読みやすいし言ってることもわかりやすい。言語学ってこういうものなんだろうなーっていうのがわかる。言語学全体を全然知らないから何ともわからないけど。

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2021年09月13日

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ことばの背景には必ずそのことばのもつ文化がある。だから、他言語に同じような言葉があったからといって、一対一で翻訳できるわけではない。動物の例が出ていたが、なるほどと納得するところがあった。また、後半では、一人称、二人称等の概念について述べてあるが、こちらも納得。自国、他国ともに文化を知り、言葉を知らなくて、翻訳などはうまくできないだろう。生理的に嫌悪感をもたらすような言葉遣いをしてしまう事もありうるわけだから。
まずは日本語について知るには、文豪の作品を読むといいかもしれないとこの本を読み終えて感じた。

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2021年03月18日

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国や地域によって異なることばの特徴や力についての記述がおもしろい。表面の発音や単語の違いだけでなく、文化背景も踏まえたことばの発生や変容について考えられる

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2021年01月26日

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英語学習の参考文献として読んだが、45年以上前の本にも関わらず、内容が普遍的で全く古びてない。日本語が特殊な言語であることがよくわかった。

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2019年08月16日

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50年くらい前の本なのに、なるほどーと思わされ、考え方は全く変わらないものなのだと。
日本語の特性と日本の文化的価値観が組み合わさっているというのは面白い。日本語って独特だと思う。

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2018年01月03日

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ネタバレ

 文化に対する言語の影響を独自の視点から論じた,この分野の書物としては古典中の古典と言ってもよいものでしょう。大学生のときに一度読みましたが,約20年ぶりに再読しました。一度目の読書の記憶は皆無と言って良いので,ほぼ初見という印象です。
 書かれたのが40年以上前ということと,私がこの分野が専門に近く,それなりの背景知識を有していることの2点を踏まえて言うならば,かなり独自の論陣を張っているなという印象です。言語相対論という名称で知られている,言語が事象の認識に対してどのような影響を与えているのかを研究する分野にかんして,教科書的な内容でなく,鈴木氏が独自に研究・調査して得られた観察や知見が本書には多く盛り込まれています。この点では,この本はこの分野の通り一遍の知識を身につけるには適してはいないと思いますが,鈴木氏の観察眼には感心させられますし,なるほどと思わせる記述がいくつもあります。
 難点を挙げると,話があっちこっちへ飛んで一つのトピックを一貫して論じていないことがままあり,まるで鈴木氏の講演を聞いているような印象を持ちました。しかし,これは著者の伝えたいという気持ちがほとばしっているとも取ることができます。鈴木氏のあふれ出る好奇心・探求心から様々な文献を渉猟し考察した結果が生き生きと記述されており,難点を差し引いても一読に値します。

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2019年02月10日

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高校生の時に読んだ新書と、古本屋で偶然の再会を果たし、懐かしくなり購入・再読。

国やその地の持つ文化により物事の見方が異なり、それが「ことば」という現実の切り取り方の違いにも反映されていることが具体例を交えてわかりやすく述べられていた。
もっとも印象に残ったのは、第6章の「人を表すことば」の最後の部分。
ことばという観点から日本人の持つ傾向をさらけ出しただけでなく、絶えず相手の顔色を窺うといった日本人の持つ問題点までを論じている。

本書が最初に書かれたのは1973年。
多方面でグローバル化が叫ばれる今日、果たして日本人は本来の意味で「グローバルな人材」になれているのだろうか。そんなことを考えさせられた。

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2016年02月01日

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言語学者・鈴木孝夫による1973年の著作。
著者は本書の目的を、「この本の中で私が文化と称するものは、ある人間集団に特有の、親から子へ、祖先から子孫へと学習により伝承されていく、行動及び思考様式上の固有の型(構図)のことである。・・・この本の目的は、ことばというものが、いかに文化であり、また文化としてのことばが、ことば以外の文化といかに関係しているかを、できるだけ平易なことばで明らかにすることにある」と述べている。
そして、「私の立場を、一口で言えば、「始めにことばありき」ということにつきる。・・・ことばがものをあらわしめるということは、世界の断片を、私たちが、ものとか性質として認識できるのは、ことばによってであり、ことばがなければ、犬も猫も区別できない筈だというのである」と、ソシュールの言語学の中心的考え方をわかりやすく述べるとともに、各言語における「世界の断片」の切り方が、それぞれの文化といかに密接に結びついており、言語によって違うものかを、多くの具体例を引いて説明している。
更に、人を表す場合に、インド・ヨーロッパ語系(ラテン語、英語等)が、(絶対的)関係に関わらず、自分と話し相手を規定する(英語ならIとyou)のに対して、日本語では、人の呼び方が話し相手との関係に依存しがちである(上司のことは役職で呼び、部下のことは名前や「キミ」と呼ぶなど)が、それは西欧の文化が、観察者と対象の対立(自他の区別)を基礎とするのに対し、日本の文化では、自分と相手の関係が特定できないと安定した人間関係を組むことができないという、文化の基本的な違いが反映されているという分析を展開している。
外国語・外国人に接するに当たり、多くの示唆を与えてくれる良書。
(2005年12月了)

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2016年01月11日

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英語教育に関する著作が多い作者が、ことばと文化について記した一冊。
日本語と英語で、辞書の上では対応している単語でも、そのことばが持つ意味の範囲は必ずしも同じではなく、その差こそが文化の違いを生むという論旨は非常に分かりやすい。
(2015.3)

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2015年03月22日

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高校時代に読んだものを引っ張り出して再読。

ものにことばを与えるんじゃなくて、ことばによって世界を切り取っている
という考えを初めて知った時の衝撃が甦る。
「人を表すことば」も、当たり前に使っているものだけに
改めてフレッシュな驚きを感じた。
(内容を全く忘れていたという事でもあるのだけれども...。)
授業で使っただけあって、とても読みやすい&わかりやすい。

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2013年11月10日

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"日本の小説で、始めて主人公が登場してくる時、もし作者がその人の顔を詳しく描写するならば必ず、目や口や眉と共に、鼻がどうだということが出てくる。ところが英語の小説を読んでいるうちに、顔が克明に描かれている場合でも、どうしたことか鼻への言及が少ないことを発見した。" "どんな微細なことも見逃さない名探偵が、相手の顔を、じっくりと見て、眉や、口や、あごの形や、眼の様子から、相手の性格を読み取ろうと努力しているのに、なぜか彼は鼻のことにふれない。日本の作者がこのような調子で、人の顔を描くとき、鼻を落すことがあるだろうか。" "一般にヨーロッパの小説で、鼻に言及がある時は、このように(ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』、ゴーゴリ『鼻』)醜い欠点として扱うことが多い。どうも欧米人は、鼻をなんとなく猥褻な感じを起こさせるものと見ているようだ。"
"顔の描写の様式を調べているうちに、もう一つ面白いことに気がついた。それは英語の小説では、人物のあごに非常な注意が払われているという事実である。" "用いられている形容詞は殆んど、その顎の持ち主の性格に関係しているのが特徴である。人物の生命力、人柄、意思の力、決断力の有無を判定する部位として、人の顎を見ているのである。" "これに比べると、日本人の顎の描写は、はるかに形態的で視覚的だ。顎がしゃくれている、長い、張っている、とがっている、角ばっている、二重あご、また顎のない人というような、よくきく表現はすべて外見に関している。人の性格の表われる場として顎をみることは少ないのではないか。"

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2013年08月05日

Posted by ブクログ

40年経っても、びくともしない本物の名著。

いい入門書を読むと、すぐわかる。なんのために、言語学という学問を学び、なんの役にたつのか。読み終わったいま、この分野を興味深いと感じている。

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2012年12月27日

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ものとことばについて鈴木さんは哲学的に「唯名論」と「実念論」の考え方から話を展開していた。世界中には様々な名前でありふれている。植物、動物、物体の動き、人間の動作、心の動作など微妙なことにも、いちいちそれを表す言葉がある。また、同じものでも国が違い言語が異なれば、別の言葉でよばれる。ではその境となるのは何か。言葉というのは、混沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に、人間の見地から、人間にとって有意義なしかたで、虚構の分節を与え、分類するはたらきを担っている、らしい。この本は少し難しいが、勉強になった。

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2024年03月29日

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日本人が外国語が不得手で、国際会議でも学会でも実力の割におくれをとるのは、語学力そのものの点よりも、むしろ問題は、自分を言葉で充分表現する意志の弱さ、それも相手の主張や気持とは一応独立して、自分は少なくともこう考えるという自己主張の弱さに原因の大半がある。
このことがことばと文化的観点から書かれている。

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2018年10月12日

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最初の方(2章まで)は、私が期待していた、まさしく書名通りの「ことばと文化」について書かれていて大変面白かった。しかしながら、後半は文化というより言語という感じになってきたので、少し期待と違ってしまった。もちろん英米の言語との比較はあるんだけれども。
そしたら、6章では人称代名詞の話があって、それはそれで面白かった。英語でIはずっとIだけど、日本語だと僕、私と変わるとか、あなた、お前とかは、元々方向を示す語だとか。お前、貴様、とか昔はリスペクトを込めてたのに、とか。目上の人を呼ぶときは人称代名詞(あなた、とか)では呼べず、先生とか役職とか名前で呼ぶしかない、みたいな話も。母が娘に対し、「お父さん遅いね」という時のお父さんは誰?みたいな例とか。

古びれていないか、というと正直古びれている。正しい正しくないではなく、言語は変容している。多分、日本語は他の言語に比べて早い。そんな気がした。

1 ことばの構造、文化の構造
2 ものとことば
3 かくれた規準
4 ことばの意味、ことばの定義
5 事実に意味を与える価値について
6 人を表わすことば

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2014年03月29日

Posted by ブクログ

言語学になるのでしょうか、日本と欧米とにおける日常の言葉と文化の違いについて。

文化の違いは表面的なものだけでなく、隠れたものについては差異をみつけることが困難だということ、
言葉の違いも、動詞ばかりでなく名詞ですら外国語との一対一対応は困難であるばかりでなく、自国語の単語も、基礎語は定義が不可能であること、
等々、つれづれと綴ってありました。

一番興味深かったのは、日本語の人称代名詞の使い方について。
目上の人に対する二人称はない、という指摘にビックリしました。確かに……

誰も明確にそんなことを教わらないのに、社会で皆適切に言葉を扱えるという事実に改めて驚くと伴に、
学校で初めての外国語に触れるときに異文化を考慮しない一種乱暴な対訳を教わって、特に疑問に思わないのが不思議ですね。

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2014年03月14日

Posted by ブクログ

外国語を習得するのが苦手で苦手で仕方がなかったのは、全て日本人の文化的な思考に当てはめようとするからだと気づけた。なぜ、他の言語は他の文化的思考が有ると今まで気づかなかったのか。

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2014年01月19日

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