【感想・ネタバレ】ことばと文化のレビュー

あらすじ

文化が違えばことばも異なり、その用法にも微妙な差がある。人称代名詞や親族名称の用例を外国語の場合と比較することにより、日本語と日本文化のユニークさを浮き彫りにし、ことばが文化と社会の構造によって規制されることを具体的に立証して、ことばのもつ諸性質を興味深くえぐり出す。ことばの問題に興味をもつ人のための入門書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

良著。まえがき,1~5章・6章1節6節,あとがきを読んだ.

<印象的なものを列挙>
1,2章:文化によって各言葉で各事象概念を包括できる範囲が異なる.よって文化によっては区別されない事象概念を区別する文化があるために文化によって言葉の数が異なる.

3章:名詞は人によって着目ポイントが異なるので動詞や形容詞の方が定義しやすい.言葉の意味は個々人の体験に基づくため言葉の定義を言葉で示すことができても意味を示すのは至難の業である.辞書ではよく説明のループが起きている(特に基礎語(これ以上分けようがない言葉)において多い).

5章:文化によって感じ方が異なる(この例ではイギリス人と日本人の動物観.犬を手放すとき,イギリス人は殺し,日本人は捨てる).若干冗長な体験談だったものの,本書で一番言いたいことを分かりやすく伝えていると感じた.外国に見習えみたいなことを言う人も多いけど,文化ありきの言葉でもあり,歴史的背景を見たら,大して立派でもなかったり,日本にそぐうか不明なのも多いと書いてある.

6章読んだ部分:この章は言葉ありきの文化にも少し触れている.人の呼び方から文化を考察している.日本は他国と比較して一人称二人称が役職や親族種別など多岐にわたっており,人を呼ぶ度に役割を定義していることになるため,極めて縦割社会で責任転嫁しやすい文化.相手に対して自分の立ち位置が決まるため,自分の意見を決めるのが不得手.一方,相手を思うが故に,おもてなし・ありがた迷惑などの言葉も意味をなす(これらはそういう文化がないと意味がない言葉と言える).

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5月頃に一回1/3位読んで中断.11月頃にまた読み始めた.通勤時間の気分転換程度に丁度.12/14に読み終わった.

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2020年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 文化に対する言語の影響を独自の視点から論じた,この分野の書物としては古典中の古典と言ってもよいものでしょう。大学生のときに一度読みましたが,約20年ぶりに再読しました。一度目の読書の記憶は皆無と言って良いので,ほぼ初見という印象です。
 書かれたのが40年以上前ということと,私がこの分野が専門に近く,それなりの背景知識を有していることの2点を踏まえて言うならば,かなり独自の論陣を張っているなという印象です。言語相対論という名称で知られている,言語が事象の認識に対してどのような影響を与えているのかを研究する分野にかんして,教科書的な内容でなく,鈴木氏が独自に研究・調査して得られた観察や知見が本書には多く盛り込まれています。この点では,この本はこの分野の通り一遍の知識を身につけるには適してはいないと思いますが,鈴木氏の観察眼には感心させられますし,なるほどと思わせる記述がいくつもあります。
 難点を挙げると,話があっちこっちへ飛んで一つのトピックを一貫して論じていないことがままあり,まるで鈴木氏の講演を聞いているような印象を持ちました。しかし,これは著者の伝えたいという気持ちがほとばしっているとも取ることができます。鈴木氏のあふれ出る好奇心・探求心から様々な文献を渉猟し考察した結果が生き生きと記述されており,難点を差し引いても一読に値します。

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2019年02月10日

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