梶山直美のレビュー一覧
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“「ほほう。これはアンデルセンの『雪の女王』だな。まどか?」
ネロがこの日はじめて、電子捜査会議に参加してきた。
「ええ。わたしがいちばん好きな童話なの。ゲルダがカイを助けにいくシーンって、いつ読んでも涙がでてきちゃう。」
答えながら、まどかは思っていた。わたしもいつかゲルダみたいに、好きな男の子を救出にいく大冒険ができたらいいな。でも、むりよね、そんなのって……。”[P.121]
昔分からなかったコンピュータ関係の話が今はちゃんと分かる。
“「決めたっ!」
みずきはみんなに宣言した。
「あたし、パパにいって、ハチを買ってもらうんだ。ぜったいそうする!」
「あ、それ、名案じゃないか。」
男子組全員から、すぐさま賛同の声があがった。まどかもうれいっそうに、
「ハチ、きっとよろこぶねっ。ロクとシチはいなくなっても、みずきとずっといっしょにいられるんなら。」”[P.182] -
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“「うーん、だったらスマートフォンか?」
「残念、ぼくはまだ子どもだからね。そんなツールは持ってないぞ。」
「そうかあ……だとしたら、それこそ超能力でもつかわないかぎり、アクセスできっこないと思うけどなあ。」
「マコト、もちろん本気でいっているのではあるまいな?」
ネロが加わってきて、ぴしゃりといった。
「超能力をトリックにつかうのは、ミステリーでは厳禁ではなかったかね。」
ミステリーのトリックには反則がいくつかあって、超能力やオカルト現象もその中にふくまれているのだ。
「わかってるよ、ネロ。けど、ほかにどんな方法があるのさ。ぜったいに不可能だよ。」
「ほんとうに、そうかね?いつかもいったが、視点をかえてみることがかんじんと、わたしは思うのだがね。」
「視点をかえる?」”[P.157]
今回はだいぶ変わったなー。スマートフォン出てる。
最初の頃は恋愛模様だいぶ右往左往してるなぁ。
昔読んでた頃は年上を思い浮かべていたのに、イメージが書き換えられる。小学生だよ小学生。なんてこった……。
“「でも、なんなの、これ?」
「ぜったい、ぜ〜ったい、だれにもないしょよ。」
といって、まどかはわけをうちあけた。
なあんだ、そういうことだったんだ。みずきは胸につっかえていたものが、すーっと消えていくような気がした。
「ふーん、やるじゃん、まどか。もう、好きな男の子がいるなんて。」
「やだやだ、みずき、ないしょだってば。」
好きな男の子かあ。あたしはどうなんだろう。そんな男の子、だれかいるかな……。
マコト?
みずきは自分でもびっくりして、思わず首をふっていた。ううん、まさかね……。”[P.253] -
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“電子探偵団、というのがそのへんな「教室」の名前だった。
なんだ、これ?マコトは首をかしげた。つい数日まえまで、こんなのはなかったはずだ。電子探偵団か、なんだか知らないけど、おもしろそうじゃないか。五年の「教室」はぜんぶパスして、さっそくマコトはなかにはいってみた。
こんなメッセージが、いきなりマコトをでむかえてくれた。
『名探偵諸君、よくアクセスしてくれた。わたしこそ、電子探偵団団長のネロである。まずさいしょにいっておくが、当探偵団にはいるためには、入団資格テストに合格しなければならない。テストを受けるかね?』
マコトの目がかがやいた。これだ。こういうのを、ぼくは待っていたんだ。テストを受けるかって?もちろん受ける!でも、いったいどんな問題がでるんだろう?マコトは胸をドキドキさせながら「YES」をクリックした。
画面の文字が、こうかわった。
『きみの挑戦をかんげいする。全問正解が条件だから、そのつもりで答えてくれたまえ。
問1.世界初のミステリーといわれる小説の題名とその作者は?
問2.シャーロック・ホームズがかぶっている帽子の名前は?
問3.かしこい人間は、一枚の木の葉をどこにかくす?
以上三問、ただちに回答を送るべし』”
リメイク版!
元々を読んだのは結構前だけど意外と覚えてるもんだなー。
所々今風になってて違和感が消える。
“さらっとそういうと、レイは立ちあがり、四人に頭をさげた。
「というわけで、じつはわたしがネロでした。どう、みんな、そうとわかっても、これからも電子探偵団をつづけるつもりはあるかな?」
「もちろん!」
四人はいっせいにさけんでいた。こんなおもしろいこと、やめられるわけがない。つづけるにきまってるじゃないか!
「よし、そうときまったら、名探偵諸君。きょうはひとつ、いい知らせがある」
とつぜん、ネロの口調でレイはいった。” -
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パスワードシリーズ第17作。
ビネガー6から、レイさんを誘拐したという挑戦状が届き、電子探偵団がビネガー6とパズルを解きながら対決する、いわばリアルRPGの話と、レイさんの学生時代の冒険&謎解きストーリーの2本柱。
レイさんが誘拐されたと言いつつ、ビネガー6との対決のパズルは、パズル自体が楽しくて、危機感はあまりなく、結末もにっこりほんわかな感じです。
レイさんの学生時代の話は、現代俳句が印象的でした。この辺は大人も楽しめるかも。レイさんの話の謎をマコトが解いてしまうのが、なかなか良かったです。先入観に縛られない立場のほうが、視野が広がるのかもしれませんが…(^^)。
細かい伏線が最後にまとまる感じで、読後感がなあなか良かったです。 -
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“その瞬間。
クラリと。
めまいにも似た感覚がレイをおそった。あらっ、どうしたのかな、わたし?そのとき、伊藤晶子のアルト声のつぶやきが耳にとどいた。
「龍は怖いですわね、野沢レイさん」
えっ?なにをいわれたのか、レイはとっさに理解できなかった。
「あの……いま、なんと?」
「ほほほ、なんでもありませんわ。では、きょうはこれで」
伊藤晶子は教室の引き戸に向かっていく。あっと、そうだわ。ひとついいわすれたことがあったのを、レイは思いだした。
「山頭火ウォーズ!」
うしろから言葉をなげかける。伊藤晶子の足がとまった。ふり返ろうとはせず、背中ごしに問いかけてくる。
「山頭火ウォーズですって?なんですの、それは?」
「自由律俳句戦争のネーミングよ。ウチの今泉部長が考えたのだけれども。どうかしら、伊藤晶子さん?」
「ははあ……なるほどなるほど。ええ、よろしいのではございません。いい呼び名だと思いますわ。そうときけば、『∞』の四人の句士もいっそう士気が高まることでしょう。楽しみですわね、野沢レイさん」
いいのこすと、伊藤晶子は教室から消えた。レイはなおしばらく、その場にたたずんでいた。
なんだか、ずいぶんおおごとになってきたな。レイは前髪をかきあげる。さまざまな疑問だ、どっと頭に押し寄せてきた。”
あ、やばい。
前作の内容忘れてる……。
“午後二時。
イギリス埠頭の波止場に、レイはひとりで立ちつくしていた。月光横丁を通りぬけ、まっすぐここにやってきたのだ。
海面をわって吹きよせる風が、レイの髪をかき乱す。
レイの心も千々に乱れていた。
流川幻水からきかされた話。
古書店の名前同様、実態のないひとつのまぼろしみたいな話だった。
そんな話に乗れるわけがない。ふつうなら。
でも。
おもしろそう。
レイの頭のなかに、そうささやく声があった。もしかしたらレイの「探偵脳」が、そうと語りかけてきたのかもしれない。
どうしよう。
レイは迷った。
迷ったいっぽうで、レイは予感してもいたのだった。わたし、きっと、流川幻水と手を組むことになるのだろうな、と……。”