梶山直美のレビュー一覧
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“「うーん、だったらスマートフォンか?」
「残念、ぼくはまだ子どもだからね。そんなツールは持ってないぞ。」
「そうかあ……だとしたら、それこそ超能力でもつかわないかぎり、アクセスできっこないと思うけどなあ。」
「マコト、もちろん本気でいっているのではあるまいな?」
ネロが加わってきて、ぴしゃりといった。
「超能力をトリックにつかうのは、ミステリーでは厳禁ではなかったかね。」
ミステリーのトリックには反則がいくつかあって、超能力やオカルト現象もその中にふくまれているのだ。
「わかってるよ、ネロ。けど、ほかにどんな方法があるのさ。ぜったいに不可能だよ。」
「ほんとうに、そうかね?いつかもいったが、 -
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“電子探偵団、というのがそのへんな「教室」の名前だった。
なんだ、これ?マコトは首をかしげた。つい数日まえまで、こんなのはなかったはずだ。電子探偵団か、なんだか知らないけど、おもしろそうじゃないか。五年の「教室」はぜんぶパスして、さっそくマコトはなかにはいってみた。
こんなメッセージが、いきなりマコトをでむかえてくれた。
『名探偵諸君、よくアクセスしてくれた。わたしこそ、電子探偵団団長のネロである。まずさいしょにいっておくが、当探偵団にはいるためには、入団資格テストに合格しなければならない。テストを受けるかね?』
マコトの目がかがやいた。これだ。こういうのを、ぼくは待っていたんだ。テストを受け -
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パスワードシリーズ第17作。
ビネガー6から、レイさんを誘拐したという挑戦状が届き、電子探偵団がビネガー6とパズルを解きながら対決する、いわばリアルRPGの話と、レイさんの学生時代の冒険&謎解きストーリーの2本柱。
レイさんが誘拐されたと言いつつ、ビネガー6との対決のパズルは、パズル自体が楽しくて、危機感はあまりなく、結末もにっこりほんわかな感じです。
レイさんの学生時代の話は、現代俳句が印象的でした。この辺は大人も楽しめるかも。レイさんの話の謎をマコトが解いてしまうのが、なかなか良かったです。先入観に縛られない立場のほうが、視野が広がるのかもしれませんが…(^^)。
細かい伏線が最後にまとま -
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“その瞬間。
クラリと。
めまいにも似た感覚がレイをおそった。あらっ、どうしたのかな、わたし?そのとき、伊藤晶子のアルト声のつぶやきが耳にとどいた。
「龍は怖いですわね、野沢レイさん」
えっ?なにをいわれたのか、レイはとっさに理解できなかった。
「あの……いま、なんと?」
「ほほほ、なんでもありませんわ。では、きょうはこれで」
伊藤晶子は教室の引き戸に向かっていく。あっと、そうだわ。ひとついいわすれたことがあったのを、レイは思いだした。
「山頭火ウォーズ!」
うしろから言葉をなげかける。伊藤晶子の足がとまった。ふり返ろうとはせず、背中ごしに問いかけてくる。
「山頭火ウォーズですって?なんですの -
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パスワードシリーズ第10弾。
前作の『パスワード龍伝説』の続編ですが、別の話としてもちゃんと楽しめます。
前作の事件の続きを解決するためににロンドンに向かったレイと電子探偵団のメンバー。ロンドンで出迎えてくれるはずのアイザック・ホームズは何者かに誘拐され、アイザックは監禁されている場所で彼なりに事件を推理、レイは『パスワード龍伝説』で関係した“伯爵”に呼び出され単独行動しながら推理、そして電子探偵団のメンバーはホームズ家の執事カトーと一緒に赤いドラゴンの謎解きや、誘拐されたアイザックの居場所などを推理。彼らの推理が、最終的にウェールズのリデル城で合流し、過去の作品で出てきた田中一茶青年も登場し