【感想・ネタバレ】山頭火ウォーズ レイの青春事件簿(3)のレビュー

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Posted by ブクログ

 パスワードシリーズを久しぶりに読んだので、他に読んでない本はないかと本棚を探したら、この本が見つかりました。「レイの青春事件簿」は全部読んだと思い込んでいましたが、うっかりしていました。ちなみに、4冊目も出ているようです。そのうちチェックしたいと思います。

 パスワードシリーズに比べると、こちらのシリーズの方が読みやすいですね。登場人物が少ないからか、パズルの話が控えめだからか、あるいは、作者が想定している読者層が違うからか、確かなことは分かりませんが、ストーリーに没入できるのは「レイの青春事件簿」シリーズだと感じました。

 先日読んだ「パスワード 渦巻き少女」もアート対決ということでしたが、こちらも「自由律俳句」でバトルいうことで、発想が似ていると感じました。ただ、俳句自体で勝負が決まるわけではなく・・・ここから先はネタバレになりそうなのでやめておきます。

 パスワードシリーズをずっと読んできた者としては、野沢レイが高校生という設定はどうしても違和感があります。まあ、楽しめる一冊であることは間違いありません。Stay Homeでも読書で充実した週末でした。

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2020年05月10日

Posted by ブクログ

“その瞬間。
クラリと。
めまいにも似た感覚がレイをおそった。あらっ、どうしたのかな、わたし?そのとき、伊藤晶子のアルト声のつぶやきが耳にとどいた。
「龍は怖いですわね、野沢レイさん」
えっ?なにをいわれたのか、レイはとっさに理解できなかった。
「あの……いま、なんと?」
「ほほほ、なんでもありませんわ。では、きょうはこれで」
伊藤晶子は教室の引き戸に向かっていく。あっと、そうだわ。ひとついいわすれたことがあったのを、レイは思いだした。
「山頭火ウォーズ!」
うしろから言葉をなげかける。伊藤晶子の足がとまった。ふり返ろうとはせず、背中ごしに問いかけてくる。
「山頭火ウォーズですって?なんですの、それは?」
「自由律俳句戦争のネーミングよ。ウチの今泉部長が考えたのだけれども。どうかしら、伊藤晶子さん?」
「ははあ……なるほどなるほど。ええ、よろしいのではございません。いい呼び名だと思いますわ。そうときけば、『∞』の四人の句士もいっそう士気が高まることでしょう。楽しみですわね、野沢レイさん」
いいのこすと、伊藤晶子は教室から消えた。レイはなおしばらく、その場にたたずんでいた。
なんだか、ずいぶんおおごとになってきたな。レイは前髪をかきあげる。さまざまな疑問だ、どっと頭に押し寄せてきた。”

あ、やばい。
前作の内容忘れてる……。

“午後二時。
イギリス埠頭の波止場に、レイはひとりで立ちつくしていた。月光横丁を通りぬけ、まっすぐここにやってきたのだ。
海面をわって吹きよせる風が、レイの髪をかき乱す。
レイの心も千々に乱れていた。
流川幻水からきかされた話。
古書店の名前同様、実態のないひとつのまぼろしみたいな話だった。
そんな話に乗れるわけがない。ふつうなら。
でも。
おもしろそう。
レイの頭のなかに、そうささやく声があった。もしかしたらレイの「探偵脳」が、そうと語りかけてきたのかもしれない。
どうしよう。
レイは迷った。
迷ったいっぽうで、レイは予感してもいたのだった。わたし、きっと、流川幻水と手を組むことになるのだろうな、と……。”

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2010年07月23日

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