羽住都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乙一にハマりまくった学生時代、一番好きな話がこれに収録されてる「しあわせは子猫のかたち」でした。
ホラー作家としての黒乙一と、心にしみる白乙一なんて言われ方もしますが、今作は真っ白。しかし死体が主人公だったり死んだり殺したりする作家らしく、今回はすでに死んでいる奇妙な同居人との生活のはなしです。
鬱屈と日陰を好み、上手に生きることを難く感じている主人公が、半ば無理やりカーテンを開け放たれて日向を知ってしまう。日向に慣れてしまう。暖かさを失うことを恐れるようになってしまう。
短い話の中にミステリーとファンタジーと友情と主人公のこころの変化がしっかり入ってて、一つの話としてとても好きです。
久しぶりに乙一を読み返したくなったな~!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・しあわせは子猫のかたち
・失踪HOLIDAY
「しあわせは子猫のかたち」は、まさに初期の白乙一。
どうしてもうまく人とコミュニケーションをとることができない。
期待して裏切られるくらいなら、最初から何も求めない。
そんな僕が、殺された前住人の幽霊と暮らすことになる。
直接話ができるわけでも、視線が合うこともない。
ただ気配が、彼女がいたという気配がそばにある生活。
彼女の撮った写真を見て、彼女がどれだけ世界を愛していたかを知り、自分の命をあげることができたなら…とまで思う僕。
しかしそんな生活も終わりを迎えることになり…。
やっぱり白乙一の作品が好きだ。
切なさをこんなに巧みに描ける人がいるだろうか。んまあ、いるかも、だけど。
劇的に改善はしないだろうけれど、この先の僕は「死んでもいい」と軽々しく思うことはないだろう。
そしていつか、子猫のかたちをした幸せを見つけることもできるかもしれない。
『失踪HOLIDAY」は、してやられました。
主人公のナオは、中学生にしては子どもっぽいなあと思いながら読んでいたので、作品すらも子どもっぽいまま終わるのかと思ってしまった。
だってナオの立てる計画って穴だらけで、こんなんじゃすぐに警察に狂言を見破られるんじゃないの?って思って読んでいたので、なかなか警察が真面目に捜査をしていることに、逆に違和感を覚えたりもして。
本当は、ちゃんと怒られてほしかったんだけど。
ナオがパパにお尻ぺんぺんされればいいと思っていたんだけど。
こうなってしまうと、そうもいかないね。
えと…完全犯罪ってことでいいの? -
Posted by ブクログ
「未来予報 あした、晴れればいい。」
「手を握る泥棒の物語」
「フィルムの中の少女」
「失はれた物語」
以上4つの短編が収録されている。
すべて毛色の違う物語であるが、共通項として「切なさ」が感じられる。
「さみしさの周波数」というタイトルは、うまく表現したものだ。
そして、ふつう短編集を読むと好きな作品とそうではない作品が出て来るものだが、この本はすべてに何らかの魅力を感じる短編集だった。
たった一冊の本で、やるせない気持ちになり、心が和み、ハラハラし、号泣した。
それでもあえて一つ挙げるなら、「未来予報 あした、晴れればいい。」を選ぶ。
私は「縁」という考え方を大切だと感じていて、人とのつながりは運命でも奇跡でもないと考えている。
つまり、出会うことも出会ってからどうするかも自分の意志と行動次第、運命と奇跡の中間といったところだ。
この物語は男女のすれ違いの物語でもあるのだが、今の考え方をしている私にはその様子がとてももどかしい。
しかし、読み終えた後には、その「はっきりとしたつながりがあるわけではないけれど、どこかで確かにつながっている」という関係がとても美しく思えてくるのだ。
50%OFFセールをやっていたので電子書籍として購入したのだが、紙で買えばよかったと後悔している。