山下肇のレビュー一覧

  • ゲーテとの対話 中

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    岩波文庫の「ゲーテとの対話」は上・中・下巻の三巻からなり、中巻は原著「その生涯の晩年における、ゲーテとの対話」の第二部(1828年から1832年(ゲーテ没年)まで)を収録している。

    著者であるエッカーマンがゲーテとの談話や対話をまとめたもの。詩人・作家であるエッカーマンが書いた内容は当然のことながら芸術、殊に文学に対する話題がほとんどを占めている。中巻では「ファウスト」の話題が良く出てくる。

    文学や戯曲に関心がある人は興味深いものになるだろうが、私は人生訓となるような部分に関心を持って読んだので、ゲーテの人間心理に関する考察を引用しておく。

    ナポレオンの話題で、エッカーマンが「ナポレオンは一種独特の魔力を備えていたから、人々は彼のものになり、彼のいいなりになったのでしょうね」というと、ゲーテはこう言った。

    「彼の人格はずばぬけたものだったよ。けれども、大事なことは、人々が彼を指導者と仰いでいれば、自分たちの目的がかなえられると確信した点にある。だから、彼のものになってしまったのさ。だが、そういった確信をおこさせる人なら、相手えらばずそうするわけさ。俳優たちにしても、いい役につけてくれると信じれば、新しい舞台監督でも、いうことをきくじゃないか。これはお古い話だが、相変らずむし返されている話だね。人間の本性とは所詮そんな仕組みになっているのだ。誰も、自ら進んで他人に仕える者はいないよ。だが、そうすることが結局自分のためになると知れば、誰だって喜んでそうするものさ。ナポレオンは、人間を十二分に知りつくしていた。それで、人間のこの弱点を存分に利用することができたのだね。(p117-118)

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    2024年12月20日
  • ゲーテとの対話 上

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    岩波文庫の「ゲーテとの対話」は上・中・下巻の三巻からなる。上巻は原著「その生涯の晩年における、ゲーテとの対話」の第一部(1823年から1827年まで)を収録している。

    著者であるエッカーマンが、ゲーテとの談話や対話をまとめたもの。まえがきに書いあるように、著者のフィルターを通したゲーテである。

    「これは私(エッカーマン)のゲーテである」

    「私(エッカーマン)が彼(ゲーテ)をどのようにとらえ、どのように再現することができたか」


    詩人・作家のエッカーマンが書いた内容は、当然のことながら芸術、殊に文学に関する話題がほとんどを占めている。

    何を求めるかによって、本書の評価は変わってくるだろう。

    ゲーテの会話に触れることによって、人間関係の機微や思考法などを学びたい人というには向いていない。人生訓として訳に立つ部分もあるのだが、先述したように芸術の話題が多すぎる。ゲーテの人柄や芸術に対する考え方を知りたい人に特に向いている。

    1968年の翻訳なので、多少の読みづらさを覚悟していたが、2024年現在の目で読んでも古臭い感じはしない。読みやすい文章だった。

    本書の翻訳のサンプルとして、また、人生訓に関する文面の例として、以下に引用しておく。

    「われわれの行動には、すべて結果がともなうが、利口な正しい行動が、必ずしも好ましい結果をもたらすとはかぎらないし、その逆の行動が必ずしも悪い結果を生むわけでもなく、むしろ、しばしばまるっきり正反対の結果になることさえあるね。」「私は、少し前に、ちょうど出版社の人たちとのあの交渉のさいに、あるまちがいをしでかしたのだ。そしてそれをやったことを後悔していた。ところがだ、今になると、事情がまるっきり一変してしまったので、もしあのまちがいをしていなかったら、かえって大失態を演じる破目におちいるところだった。同じようなことが、人生にはよくくり返し起こるものだな。だから、こういうことをよく心得ている世間人は、じつに大胆に、横着に仕事をしているのが目につくよ。」
    私は、この見方に注目した。それは私の気づかなかったことだ。(P.252)

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    2025年03月22日
  • 変身・断食芸人

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    「グレゴール.ザムザはある朝、何やら胸騒ぐ夢がつつづいて目覚めると、ベッドの中の自分が一匹のばかでかい毒虫に変わっていることに気がついた」
    あまりにも有名なこの書き出し。
    もう読んだ気になっていて今まで読まずにいたらしい、今回初めて読んだ。読み進めるうちに
    そのうち蚕になるんだろうか?美しい蝶になるんではないかと期待したが、あっけなく裏切られた。
    グレゴールの引きこもった後の家族の在り方がなんとも言えない。よかったと言えばよかったのだろうが、グレゴールのつらくても我慢してやってきた事がすべて無駄だったようで悲しい。否定されたグレゴールが、空回りしている時の自分と重なる。どっと疲れる。
    断食芸人も同じくです。悲しいし、落ち込む。

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    2024年08月10日
  • 変身・断食芸人

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    ネタバレ

    読め、読めと言われていたがなかなか機会がなかった変身をついに読むことにした。
    変身も断食芸人も作中で自らの意思ではどうにもならないような障害に突き当たる。
    両方とも最後は主人公が死に、主人公は何を成したわけでもなければ死後讃えられるわけでもない。むしろその逆だ。
    私はこのようなタイプの小説に慣れていないので、読後の感情は決していいとは言えなかったが、これもおそらく自らの不勉強の致すところであろう。
    10年、20年後に読むとまた違う感を得るのかもしれない。
    話は変わるが、今年2024年はカフカ没後100年にあたるらしい。時間がなくて2、3年後回しにしていたのがたまたまこのような年に読めたことも何かの縁ではないか、と考えるのは少し都合が良すぎるだろうか。

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    2024年04月24日
  • 変身・断食芸人

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    変身について
    ・物語はグレゴールの主観でしかないため場面を想像しながら読むとコメディ的な面白さのある作品だった。
    ・好きな場面は母がグレゴールの部屋の家具を片付けるのを制止するところ。家具が無くなってしまうとグレゴールが人間であった事を否定するのと同じように、グレゴールがグレゴールである事はその周囲の認知によって成り立っている事なのだろうと思った。(グレゴールだけではなく人間全ての話)また、毒虫がグレゴールである根拠などなくそれが結果的に家族の不信感に繋がっているように感じた。
    ・その場で行われてる事の描写が事細かく描かれておりカッティングの悪い映画のような印象を受けてしまった。

    追記批評文を読んで
    グレゴールが毒虫になった事は病気や事故など何物にも替えられないものであり、未知への恐怖を描いているからこそ不条理ものだという主旨の文を見た。病気や事故で彼が不労になってしまった場合は家族の非人道的な振る舞いに同情の余地が出てしまう。本作が伝えたいのはそのような心の変化ではなく、突発的に訪れる不条理への警鐘である、と。
    私はこの物語を人間の本質的なところに触れた作品だと思っていたのではっとさせられた。

    断食芸人について
    ・自分のプライドを貫き通した断食芸人に心打たれた
    。サーカスに来る大衆は生き生きとした豹に魅了されるが、読者(私)だけは断食芸人の生き様に共感できるのだという心地よさを覚えた。
    ・拘りを捨てきれずにいると身を滅ぼすという教訓とも捉えられるが、最期のセリフからやはり断食芸人にとってはそれは身を滅ぼした事ではないように感じる。

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    2022年10月12日
  • 変身・断食芸人

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    *カフカエスク

    *岩波文庫にしては本の厚みが薄い本なのですぐ読める

    *「変身」と「断食芸人」それぞれ設定が独特な感じがしたので他の本も読みたいと思った

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    2021年09月27日
  • 変身・断食芸人

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    ひきこもりが関係している気がしたがどう解釈するか悩む。読み返すたびに感想が変わる気がする。そこに面白さがあるのかもしれない。

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    2020年08月31日
  • ゲーテとの対話 中

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    岩波文庫 ゲーテとの対話 

    1828年〜1832年のゲーテの言葉。

    中巻はゲーテが死んで終わる。下巻はどうなるのか?


    ゲーテの晩年は 自然から人間を見る傾向が強くなっている。生命と自然が一体になっている感じが 死生観へつながっている。


    自然科学的な著書「色彩論」が評価されていない点について 納得していない様子。色彩論に関してはニュートンすら誤っており、真実を知っているのは 自分だけとする論調。上巻で大作に要注意と言いながらも、ゲーテ自身 大作の罠にはまっている気もする


    ゲーテ「一人で仕事をするのはよくない。何事か成し遂げようと思ったら、他人の協力と刺激が必要」は御意。

    ゲーテ「自分自身を知るのは、楽しんでいるか、悩んでいるときだけ。悩みと喜びを通してのみ、自分が何を求め何を避けるべきか教えられる」は なるほどと思う。


    デーモンやデモーニッシュという言葉が繰り返し出てくる。同じ意味なのか?神性に近いのか、悟性に近いのかわからなかった。
    *人間は高級であるほど、デーモンの影響を受ける
    *デーモンは、人間をからかったり、馬鹿にしたりするために〜誰も到達できない人物を作る

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    2020年06月16日
  • ゲーテとの対話 上

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    読みつつ思ったことは、ゲーテの話が妙に鼻につくと言うところ。
    もちろん偉大な作家であり、詩人であり、科学者でもあるゲーテのことを知ろうと思って読んだのだが、合わないなと感じた。
    所々ではっとするようなことを言っていると思うことも多いし、豊富な人脈、鋭い洞察力、そして人間味がゲーテを魅力的な人物にしているのだろう。
    また、背景にある当時の知識人たちやその著作の知識があれば、もっとおもしろかったのかもしれない。

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    2013年07月13日
  • ゲーテとの対話 上

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    はっとする良いことをそこかしこで言ってるんだが、基本的に芸術家向けの内容だと思う。これを読んで水木しげるさんは自分の創作活動に影響を受けたのだなあ。会社員が読んでも役に立つわけではない^^;

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    2012年07月06日
  • ゲーテとの対話 上

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    エッカーマンが晩年のゲーテとのやりとりを収めたもの。日記という形式を取っている為、やや冗長のきらいがある。また、200年近くも前の出来事なので、知らない人が一杯出て来ていまいちピンと来ない。
    しかし、詩人であり芸術に関する造詣が深く、光や植物の研究など自然科学に関しても一流と言われる鉄人じゃなかった哲人 ゲーテ。彼が長い間考えてきたことや彼の価値観、人柄などがエッカーマンのお陰で知ることができる。
    正直なところ、忙しい受験生やビジネスマン、主婦などにはお薦めしないが、芸術や学問(特に自然科学)を志す人は読んでおくべきだろう。
    しっかし、エッカーマンは日付や曜日間違えすぎ!いい加減だなぁ。俺みたい(笑)

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    2009年10月04日