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「人は年をとると、以前のように賢明に身を保つことはむずかしくなってくる」。ゲーテ最晩年の対話。
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Posted by ブクログ
ゲーテとの対話(上)を読み終わってから、半年以上が経ってしまった。 文章を読むことも、咀嚼して理解することも、時間がかかるけれど、時間をかけ、何度も読まなければ、到底理解できない。その上、何度読めば、どのような経験を積めば理解できるのかもわからない程、かなり高次な著書である、、ということは理解できる...続きを読む。 続けて(下)を読み、再度(上)から読んでいき、どのように理解や感じ方の変化があるのか楽しみ。 ---------- (前略) もともと人間は小さなことにしか向いていない。そしてただ、自分でよく知っているものを理解し、喜んでいるにすぎないのである。すぐれた有識者は絵を理解することができ、いろいろな部分を、自分で精通している普遍的なものにむすびつけることを知っている。絵全体も、各部分も、彼にとってはいきいきと理解できるのである。彼はまた、一つ一つの部分についてもまったく偏愛をもたず、顔が醜いとか美しいとか、ある箇所が明るいとか暗いとか、は問題にしない。彼が問題とするのは、すべてのものがあるべきところにあり、規則的で、正しいかどうかということである。しかし、もし半可通な者に多少とも大きな絵をみせるとすると、全体がわからずに、眩惑され、それぞれの部分部分に心惹かれたり、反発したりして、結局、自分によくわかっている、まったく取るにたりないことにかまけてしまうのである。(後略)
デモーニッシュ 文学、芸術、音楽、そして宗教的なものが、師弟の対話の記録として残され、最高の高いレベルの思想が弟子に受け継がれていく。 この本では、師の突然の死までが書かれている。 死によって師弟によるデモーニッシュなる物についての対話が途切れてしまったが、この何かについて考える事が、出発なのかな...続きを読むと余韻も残る素晴らしい作品でした。 「(マンネリズムは)いつでも仕上げることばかり考えて、仕事そのものに喜びが少しも無いものだ。しかし、純粋の、真に偉大な才能ならば制作することに至上の幸福を見出すはずだ」
文豪ゲーテの晩年に約10年身近で過ごした若き詩人エッカーマンが、ゲーテとの談話や対話を日記のように書き綴った手記。1828年6月~1832年3月を収めた、三分冊の中巻。そのテーマは、文学、芸術、科学から人生の過ごし方に及び、優れた上達論として読むことができる。 「ひとかどのものを作るためには、自分も...続きを読むひとかどのものになることが必要だ。ダンテは偉大な人物だと思われている。しかし彼は、数百年の文化を背後に背負っているのだよ。・・・こういうことには、どれ一つとっても、人が想像するよりももっと深い根があるものだ」 「ことにナポレオンが偉大だった点は、いつでも同じ人間であったということだよ。戦闘の前だろうと、戦闘のさなかだろうと、勝利の後だろうと、敗北の後だろうと、彼はつねに断固としてたじろがず、つねに、何をすべきかをはっきりとわきまえていて・・・」 「人間は、・・・さまざまな段階を経ねばならないものだ。そしてどの段階にもそれ独特の美点と欠点があるが、それらもその由来する時期においてはまったく自然なことで、ある程度までは正しいのだよ。次の段階ではまた変わってしまい、以前の美点と欠点は跡方もなくなってしまうが、こんどは別の長所や短所がとってかわることになる」等 200年前に生きた巨人ゲーテの言葉が生き生きと伝わってくる。
これ程の偉人であるゲーテの言葉を一つ一つ記録し後世に伝えてくれた著者に礼を言いたい。日々の悩みや疑問に思っていることをこの本が解決してくれる。あと、ゲーテ本人から難解な「ファウスト」の解説をしてくるのがとても有り難い
岩波文庫の「ゲーテとの対話」は上・中・下巻の三巻からなり、中巻は原著「その生涯の晩年における、ゲーテとの対話」の第二部(1828年から1832年(ゲーテ没年)まで)を収録している。 著者であるエッカーマンがゲーテとの談話や対話をまとめたもの。詩人・作家であるエッカーマンが書いた内容は当然のことなが...続きを読むら芸術、殊に文学に対する話題がほとんどを占めている。中巻では「ファウスト」の話題が良く出てくる。 文学や戯曲に関心がある人は興味深いものになるだろうが、私は人生訓となるような部分に関心を持って読んだので、ゲーテの人間心理に関する考察を引用しておく。 ナポレオンの話題で、エッカーマンが「ナポレオンは一種独特の魔力を備えていたから、人々は彼のものになり、彼のいいなりになったのでしょうね」というと、ゲーテはこう言った。 「彼の人格はずばぬけたものだったよ。けれども、大事なことは、人々が彼を指導者と仰いでいれば、自分たちの目的がかなえられると確信した点にある。だから、彼のものになってしまったのさ。だが、そういった確信をおこさせる人なら、相手えらばずそうするわけさ。俳優たちにしても、いい役につけてくれると信じれば、新しい舞台監督でも、いうことをきくじゃないか。これはお古い話だが、相変らずむし返されている話だね。人間の本性とは所詮そんな仕組みになっているのだ。誰も、自ら進んで他人に仕える者はいないよ。だが、そうすることが結局自分のためになると知れば、誰だって喜んでそうするものさ。ナポレオンは、人間を十二分に知りつくしていた。それで、人間のこの弱点を存分に利用することができたのだね。(p117-118)
岩波文庫 ゲーテとの対話 1828年〜1832年のゲーテの言葉。 中巻はゲーテが死んで終わる。下巻はどうなるのか? ゲーテの晩年は 自然から人間を見る傾向が強くなっている。生命と自然が一体になっている感じが 死生観へつながっている。 自然科学的な著書「色彩論」が評価されていない点につい...続きを読むて 納得していない様子。色彩論に関してはニュートンすら誤っており、真実を知っているのは 自分だけとする論調。上巻で大作に要注意と言いながらも、ゲーテ自身 大作の罠にはまっている気もする ゲーテ「一人で仕事をするのはよくない。何事か成し遂げようと思ったら、他人の協力と刺激が必要」は御意。 ゲーテ「自分自身を知るのは、楽しんでいるか、悩んでいるときだけ。悩みと喜びを通してのみ、自分が何を求め何を避けるべきか教えられる」は なるほどと思う。 デーモンやデモーニッシュという言葉が繰り返し出てくる。同じ意味なのか?神性に近いのか、悟性に近いのかわからなかった。 *人間は高級であるほど、デーモンの影響を受ける *デーモンは、人間をからかったり、馬鹿にしたりするために〜誰も到達できない人物を作る
ひとかどのもの
一部ご紹介します。 ・「君に打ち明けておくのだが、私の作品は世にもてはやされることは無かろうよ。そんなことを考えてみたり、そのために憂身をやつしたりすることは間違ってる。私の作品は大衆のために書いたものではなく、同じようなものを好んだり、求めたり、同じような傾向を取ろうとしている、ほんの一握りの人...続きを読むたちのためのものなのだ」 ・「ひとかどのものを作るためには、自分もひとかどのものになることが必要だ。ダンテは偉大な人物だと思われている。しかし彼は、数百年の文化を背後に背負っているのだよ。ロスチャイルド家は富豪だ。けれども、あれだけの財宝は一代にして築き上げたものではない。こういうことには、どれ一つとっても、人が想像するよりもっと深い根があるものだ」 ・「我々は素質を持って生まれてくるのだが、しかし我々が成長していくのは、広い世界の数知れぬほどの影響のおかげであり、この世界から、自分にできるものや、自分にふさわしいものを身に付けるからなのだ。大事なことは真実を愛する魂、真実を見出したら、それを摂取するだけの魂を持っていることだよ」 ・「経験を積むとなると、先立つものは金だよ。私が飛ばす洒落の一つ一つにも、財布いっぱいの金貨がかかっているのだ。今自分の知っていることを学ぶために、50万の私の財産が消えていったよ」 ・「才能があるというだけでは、十分とは言えない。利口になるには、それ以上のものが必要なのだ。自分への投資、すなわち経験を積むことが必要だね」 ・「人間の到達できる最高のものは、驚異を感じるということだよ」 ・「自分自身を知るのは、楽しんでいるときか、悩んでいるときだけだ。悩みと喜びを通してのみ、自分が何を求め、何を避けねばならぬかを教えられるというわけだね」 ・「どんな年齢にも、その前後の年齢と比べて一長一短があるものだ。それは植物が、緑の葉の時期から、花の時期に移り、やがて種子や実の時期へ行き着くのと同じことなのさ」 ・「年をとると若いころとは違ったふうに世の中のことを考えるものだ。そこで私は、デーモンというものは人間をからかったり馬鹿にしたりするために、誰もが努力目標にするほど魅力に富んでいて、しかも誰にも到達できないほど偉大な人物を時たま作ってみせるのだ、というふうに考えざるを得ないのだよ。ラファエロやモーツアルト、シェークスピアのようにね」
#深い #タメになる
エッカーマンが、ゲーテと死別するまでを語る。 聖書の矛盾点を問う若い青年に、聖書から読み取るべきは、 己の倫理的向上と強化をうながすことだとを諭す、 など教育的指導と老いの知恵が垣間見える気がした。
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ゲーテとの対話
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