金田一秀穂のレビュー一覧
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ネタバレ【内容】
「汚い」とはいったい何か。見た目か匂いか、触った具合か、それとも文化か慣習か――。「鼻くそ」からはじまって、金田一先生の授業は言語学から文化人類学、精神病理学に構造人類学等を経て、人類の起源そのものへとさかのぼっていく。自由自在にさまよい、動いていく思考の軌跡が、ひとつの日本語がたどって来た壮大なドラマを解き明かす。学識とユーモアにあふれた、世界一汚い、そして面白い言語学講座。
【メモ】
◆辞書に、そんな立派なことが書かれているはずがない。人生とは、愛とは、認識とは。そんなことの答えを辞書に求めてはいけない。人類発祥の時から悩んできた問題についての解答が、国語辞典上に数行で書かれて -
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言葉のことあれこれ。
雑誌の休刊がなければいつまでも話題は尽きなかったのではないだろうか。
あっちに行ってみたり、こっちに顔を出してみたりと、言葉というだだっ広いグラウンドを縦横無尽に走り回っている印象。
いろんな話が登場しているのに、それが言葉についてのほんの一部分でしかないという印象がどんどん色濃くなっていくから不思議です。
言葉に慣れる前には私も感じただろう「どうして?」を改めて問うてみるということを全くしなくなってしまった。
正しい敬語とか、そんなことをちまちま気にしていた。
でもたまには「どうして?」と自分に問いかけることもしたい。
この本がそう思わせてくれました。 -
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金田一先生がことばを大切にしていらっしゃることや、ことばで伝えられる精一杯をお書きになっておられることが伝わります。雑誌ダカーポに2003〜6年まで連載された「言葉」をモチーフにしたエッセイをまとめたもので、一つが2ページほどなので少しずつ読めるのもいいところ。もちろんかの金田一一族なのでことばについて軽く深く考察を加える面白さは間違いがない。P118 「言葉は精密である方がいい。」 何でも○個と数え、かぶるも履くもまとうも身につける、では貧弱な語彙力がますます衰えてしまう。気をつけよう。P92 「芋」の言葉 「イモ」はジャガイモかサツマイモかサトイモか?という論争にひそむ世代間格差!KYみた
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Posted by ブクログ
お祖父さんが金田一京助、父が金田一春彦では、子ども時代は苦労(プレッシャー)が大きかったろうと思わず同情しそうになりますが、なんていうか・・・餅は餅屋?(←違うだろう)
秀穂さんはことばのことばっかし考えているかと思うとそうでもなく・・・野原しんのすけが自分の母親を「おいミサエ」と呼ぶのは父親の模倣だからごく当たり前に起こり得ることだが、フグ田タラオが「よかったです」のような家人の誰も使わない言葉を使うのは問題だ。タラちゃんには何か隠された生育の事情があるのかもしれない・・・なんて考えているあたり、国語学者っていろんなこと考えて忙しいんだなあと思いました。
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Posted by ブクログ
なぜ人は汚いと思うのか、汚いとはどういうことか、何が汚いものとして捉えられるのか、といった「汚い」という概念について様々な文脈から検討したもの。「小汚い」「不潔な」といった類語との比較や、箸の使い方などの文化的な側面、潔癖症の人の心理、さらには人類に普遍的な「汚い」ということについての概念に関する考察を通して、著者の思考を辿ることができる。
特に7章以降が印象的で、いかに人間が「汚い」ということを後天的に学習するものなのかを認識するのかということや、中心と周縁の「境界」に対する「恐怖」が「汚い」という概念に結びつくことなどが興味深い。最後の章の「汚い」にまつわる日本人の意識や日本人の美学に