安田依央のレビュー一覧
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全3巻の内の最終巻。
今作は、わりとシリアス成分が多めか。
これまでの章でちょびちょび出ていた、
各ご家庭の問題が、いよいよ一ヵ所に集結する。
並行して、仁の京都行きだとか、
山田に求愛し続けるおじさん問題も(^ ^;
そして、おじさんにも大きな転機が訪れる。
これをきっかけに、山田の心も微妙に揺れ動くが...
最終巻で初めて語られる、主人公山田の過去。
でも、それまでにあちこちで片鱗は見えていたので、
後出し感は全くなし。
皆それぞれに歩んできた道があって、
それぞれの選択肢でそれぞれの決断をして...
時に間違え、道を踏み外しかけたりする人も。
かなり強引ではあるが、関係者を一同 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何気なく手に取った第一巻があまりに面白く、
続きが気になって購入。
連作短編集であるが、今回は一話目から
なかなか波乱含み。
ベールに包まれていた仁の過去が徐々に明らかになり、
京都修業時代の「因縁」が、山田と仁を引き裂こうとする。
さらに山田に「熱烈な片思い」をするナイスミドルが。
かなり波瀾万丈な展開ではあるが、
オーナーを中心とした「ほっこりしたシーン」が
丁寧に描かれるおかげか、ドタバタ感は薄い。
もちろん、山田の「心象風景」はドタバタしっぱなしだが。
この作品の魅力は、バランス感覚にあると思う。
ドタバタとしっとり、サスペンスと胸キュンが、
過不足無いバランスでちりばめられてい -
Posted by ブクログ
読み始めは、ほのぼの日常の謎系と思った。
が、徐々にミステリ度がアップしてきて、
なかなかに手に汗握る展開に(^ ^;
十八年前の事件の真相は?
ヒカリは何故死んだ?
行方不明のミツバチは今?
「主人公」の探偵役は、美術館のカリスマ学芸員。
が、探偵の一人娘が通う保育園の先生目線で話は進む。
先生も色々と鬱屈した思いを抱えているが、
「ものの見方を変える」ことで救われたりする。
その「視点を変える」ことが大きなテーマの一つで、
世界の名作絵画の「解釈」に絡めて、
一地方都市の盛衰と人々の思いを浮き彫りにする。
作者は、かなりの「手練れ」とお見受けする(^ ^
予想もしてなかった「過去の -
Posted by ブクログ
ネタバレ女として、男として生きにくさを感じて死を望む沙保とミナトと、完璧な尊厳死を望む律との、希死念慮をもつ3人の不思議な生活。物語後半は結末にドキドキしたけど、辛さを抱えながらも生き続ける決断をした結末に少し安心。おそらくほんの少し前まで(今でも)「女だから」というしがらみは世の中にたくさん当たり前にあったこと。多少は良くなってる部分もあるかもしれないが、「普通の人」の枠に当てはまらなければ、行きにくい世の中。沙保のコラムのように、現実でも多くの人たちが自分の辛さや経験をSNSで共有していて、皆持つ悩みは異なるけど、似た経験をした仲間とたまたますれ違って気が合う人が見つけられる社会だったらいいなと思
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Posted by ブクログ
ネタバレ介護や相続などが盛り込まれた内容にはつい手がのびてしまう。タイトルからよからぬ予感はあったものの恐ろしい内容だった。今や誰もが抱えるであろう問題ではあるけれどこのような小説を読んでしまうと実際に親の介護問題に直面したら疑心暗鬼になってしまう。身内がいなかったり疎遠だったり家族と問題を抱えてたりしたら他人であれ優しくしてくれる人に頼っていくというのは当然だ。中盤までは単なるいい人かもしれない、そうであってと思ったけれど後半にむけてやっぱりか、、というやるせない思いになった。紀藤さんというヒーロー的な人の活躍でやっつけて欲しいという思いはあったけれど真逆の展開。結末は不気味に終わりゾッとする。