新堂冬樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
黒新堂、炸裂してますね。
4つの短編集だけど、それぞれの登場人物が濃すぎる。まともな人間があまりいない小説ってのもめずらしい。さすが新堂先生。
皆狂ってるけど、普通の人も一歩間違えれば半蔵や栄吉みたいになっちゃう可能性もあるのかもしれない。ニュースで流れる事件の犯人も、この小説の登場人物みたいな人達なのかもしれない。
ただの「作り話」じゃない、「現実」にもなり得そうな小説。そう考えるとさらに怖いと思える作品だった。
個人的には「お鈴が来る」が1番怖い。
普通の人達が普通じゃなくなる様って恐怖。不倫相手の女は怖すぎる…奥さんの「でしょ!でしょ!でしょ!」も怖い!! -
Posted by ブクログ
夜の覇権を競って火花を散らした立花と藤堂の物語がこの本で完結します。こういう終わり方でこれはこれでよかったかなと思わせる読後感でした。
いつもは見ない世界の裏側を見るという意味ではいいのではと思います。 「黒い太陽」 「女王蘭」に続く立花と藤堂の戦いがこの本を持って完結編となります。栄華を極める立花と「堕ちた風俗王」の藤堂。彼がすべてをかけ天才キャストゆりなをはじめ精鋭たちを全国から集めたキャストたちを一堂に冠した「トップキャスト」を立花の旗艦店であるキャバクラ「フェニックス」のある新宿は歌舞伎町にオープンさせることから物語は始まります。
劣勢に立たされた立花はゆりなの弱みを突いて彼女をト -
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小笠原の島で、まっすぐに育った青年と、東京で声楽を学ぶお嬢様の純愛物語。
劇的な出会いをした二人だったが、素直過ぎる青年と、素直になれないお嬢様のなかなか深まらない関係。
育った環境は違えど、心に闇を持つ者同士…惹かれ合い、互いを想い合うようになる。
相手を想うからこそ擦れ違ってしまう二人の心。
哀しい運命の翻弄され、二人はこのまま離れてしまうのか・・・。
まっすぐ過ぎるくらいまっすぐな純愛です。
素直過ぎる青年の心はまぶしく感じられますし、素直じゃない不器用な彼女の心もまた可愛くて。
相手を想うことは確かに大事なことですが、相手が何を求めているかを考えることと、自分に自信 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの物語はわたしにとってどストレートに響いた・・・。
イタリアンのシチリアマフィアのドンの息子ガルシアが主人公。そのガルシアの一年と少しの物語。
切なくなる場面が多々あった。
戦いの前夜のマスミとのシーンがとても胸に響いた―。
『しゃっくり上げ,頷くマスミ―眼を閉じ,微かに顎を突き出した。ガルシアの顔を両手でなぞりながら,ゆっくりと唇を近づける。
唇が触れ合う瞬間―ガルシアは腰を浮かし,マスミの額にキスをした。』
マフィア同士のハンドガンで戦いの描写もよかった。一気に読み進めてしまった。
ガルシアの日本での仲間,久慈,長尾,そして竜崎。とても個性的でとても美しかった。
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ネタバレ「おいしい紅茶を、飲みに行きませんか?」
この一言から純也と夏陽の歯車が動きだす。
誠実で優しい純也に惹かれる夏陽。
元気で明るい夏陽に惹かれる純也。
なにもかも順調で幸せだったが、純也に記憶障害の病魔が襲い掛かる。
大切だった人を、思い出を忘れていくが、
大切だったことは覚えている。
大切な人に惹かれるのは忘れても繰り返す。
本当の愛だから。
運命的な出会いをしたと思っていた夏陽だが、
純也はずっと昔から彼女だけを想い続けていた。
新堂冬樹らしい一冊で、「忘れ雪」「ある愛の詩」と同じ流れですが、
自分はこの感じが好きですね。
これくらい一途に思い続けられることができるなんて素晴らしい。