益川敏英のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中身に価値がというより,益川先生の政治的スタンスがよく分かる本だった。科学者と戦争についてもうちょっとまとまった科学者による本なら,池内了『科学者と戦争』が良い。
STAP細胞事件については,組織の問題と断罪。
"非常に閉鎖的な組織の中で、彼女は予算を獲得する政治的な道具として使われたわけです。そのせいでSTAP細胞問題は、研究レベルを逸脱して、理研トップの政治的な動きと思惑に追い詰められて自殺者まで出してしまった"p.83
中村修二氏に対しては手厳しい。金儲け主義に反発。
"なぜ研究者が数百億円もの報酬を欲しがるのか。私はへんてこな欲望同士がぶつかり合った喜劇だと思っています"
"我々は論文を書くために様々なデータを使います。そのときにこのデータには何百億円もかかっているのだからその何パーセントかを支払えと言われたら、もうお手上げです"p.85
そしてこういうところは正直だなあと。宮崎駿氏にも通じるところ。
"「兵器ゼロを目指す」と言っている私がこんなことを言うとおしかりを受けそうですが、このいたちごっこの経緯が、実に興味深くもあります。この迫撃砲に対抗してこんな装甲車ができたのか、車両のボディの高硬度鋼板にセラミックパネルをサンドイッチ式に挟み込むことで、防御力を強化したのか、なる程うまいこと考えるもんだなと、ときには感心したりもします。兵器研究というのは、科学者としての純粋な好奇心をそそることは確かです。"p.97
いくら戦争に反対でも,科学者あるいは知識人として,戦争や兵器に関することには全く興味がない,考えること自体悪である,みたいのは偽善じゃなかろうかと思っているので,このくだりは好感が持てた。
九条科学者の会の呼びかけ人だったというのも初めて知った。ノーベル賞受賞者にして九条ノーベル平和賞論者。
"早いところノーベル委員会が、憲法九条にノーベル平和賞をあげて、それを安倍首相に受け取らせるという筋書きをつくってくれないと、日本はとんでもないところに行ってしまいそうです。"p.122
幼児期の戦争体験もそうだけど,恩師の坂田昌一博士からも大きな思想的影響を受けたそうで,組合活動や社会活動にも熱心に取り組まれたらしい。
25歳のときの物理学会で,突然「ベトナムでの毒ガス使用反対!」と叫んで動議を提出,先輩研究者に「若造、そんなこと学会のような席で言うべきじゃない」とたしなめられても怯まず,「ポンコツ、黙れ!」と一喝したという武勇伝まで載ってる(p.141)。
全体を通して,国家に利用される科学に忸怩たる思いを持っているのが伝わってくる。政治的発言を良しとしない科学者が多い中,本音で語ってる真摯な本だと思う。
"戦時下における科学者の立場というのは、戦争に協力を惜しまないうちは重用されるものの、その役目が終われば一切の政策決定から遠ざけられ、蚊帳の外に置かれます"p.49
シラードらの原爆投下反対が無視された件について。そう,意思決定権ってのは本当に強大な権力なのだ…。 -
Posted by ブクログ
93ページのあっというまに読める本。益川先生の中学生へのメッセージは、あまり早くから目標を決めてしまわず、フラフラと、その時々で一番興味のあることに全力でやっていけ、といったところだろうか。スティーブ・ジョブズが伝説のスピーチで言っていたことと似ている。
これを見て思うのは、子供にとってやはり親や先生の存在が大事だということ。益川先生にとっても科学への興味のきっかけとして、父親が銭湯の行き帰りに語る科学話があったとのこと。父親は商人だが、科学大好き人間。こういうのが大事なんでしょうね。親が好きなものに子供は興味を持つのでしょう。
あと、学生時代益川先生が強い憧れをもった人はガロアであったとのこと。やはりガロアは人気ありますね。私も大好きです。 -
購入済み
ためになる一冊
山中伸也様ノーベル賞の受賞の際し、紐解きたい゛謎々゛を、この一冊から、大いに学んでいくつもりです。
ちなみに、益川敏英さんの受賞の際は、自分は、風呂で溺れそうであった(笑)
もちろん、先に受賞された、他の偉人の先生も素晴らしいですが、ここ一番に、狂気を発露させて、新しい発見や、説へのチャレンジとは、なかなか出来ないことで、大いに学んでいます。出会え…良かった一冊です。文系理系不問の為になる一冊です。 KOU
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Posted by ブクログ
俺と時間の使い方がちょっと似ています、生活リズムが精密なところとか。10時に寝て4時に起きる(俺はもうちょっと遅い)。そして余裕を持って無駄を省かずに生きたいそうです。
もともとは教育者じゃないので好き勝手しゃべっても周りが理解してくれたからよかったのですが、教えるようになってからそうじゃいけないと思ったと書かれていました。各教授陣には見習って欲しいです。そういうのが出来ない、又は思わない奴が高給をとって教壇に立つのは本当にみっともないと感じました。
まあノーベル賞を取ったから言うわけではないですが、何かをやり遂げる人は毎日決まって行動することがあります。イチローも同じです。朝から晩までのタイムテーブルが決まっている。結構大事だと思いますが、意図してやろうと決めてるようじゃ駄目だと思います。「イチローがブランチにカレーを食べてるから、俺も何かしよう」では遅いのです。同じく益川さんみたくなろうとする人が「一日二食で朝はコーヒーだけ」だからと、真似しても意味ありません。固有の行動ですからね。
ちなみに俺も必ずすることがあります。朝のヤクルトと晩ご飯のあとのブルーベリーヨーグルト。他にもありますが書くのめんどくさいので。
のりしろかどうかはわかりませんが、ルーチンに定則をつける行為が多くの人にとっては無駄だと思うのでしょう。そこにこだわってレールから外れないようにして生活をスリム化させるんでしょうけど、結局は得るものが無いんだと思います。
ざっくりまとめますが、自分の行動指針をちゃんと持っていきましょうというのが、この手の本の特徴です。その中でどれが自分の参考になるかということですね。俺は比較的共感出来ました。無駄が多い自分にとって、無駄な部分を評価していると言う点で。