益川敏英のレビュー一覧
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ネタバレ山中教授と益川先生の日本の研究者のあるべき姿がたくさん詰まった一冊。
自分は研究者を技術者に置き換えて読みました。
挙げればキリがないですが、下記などは共感しました。
・今は効率が最優先される社会ですが、一見遊びに見えたり、無駄に見えたりすることの中に、実は豊かなものや未知なるものがたくさん隠れているのかもしれないですね。無駄なものを削ぎ落とそうとして、そうした未来の種まで捨て去ってしまわないようにしたいものです。(山中教授)
・坂田先生は、「最良の組織と最良の哲学があれば凡人でもいい仕事ができる」という考えを持っておられました。「研究は一人の天才によって行われるのではなく、組織的に行われる -
Posted by ブクログ
ネタバレiPS細胞の山中教授、素粒子物理学の益川教授という
ノーベル賞受賞者による対談。
ふたりともいわゆる「天才」ではない。
むしろ挫折や遠回りをした後にそこに偶然辿り着いたという。
一般には最短距離で効率よく欲しいモノを手にする、
というのが善とされがちだけれども、少なくとも学術の世界では
必ずしもそうではないようだ。
若い山中教授が難病患者を救うという使命に燃えているのに対して、
年配の益川教授は好きなことを勝手にやっているだけ、というコントラストも面白い。けっこう世相を反映しているような気がする。
なんだかまだまだこの世界も捨てたもんじゃないという期待を抱かせる一冊でもある。 -
Posted by ブクログ
益川節の原点がここに・・・?
一見、「銀の匙」からは程遠いお育ちのようにも見えますが、
お父さまの科学談義、小さい頃からの読書好き、小学校での素晴らしい先生との出会い等々、
ノーベル賞受賞に多かれ少なかれ貢献したであろうと思われる
数々の素晴らしい思い出が、この本に紹介されています。
益川先生からのメッセージは、この本の最後にある言葉に集約されているように思います。
「日本がすすんでいく方向に賛成するのも反対するのも、それはみなさんの自由です。
ただ、自分の意見をはっきり言えるだけの力は養っておいて欲しい。
ぼくはみなさんに、何も考えず、意見も持たず、行動もせず、ただ何となく生きてい -
Posted by ブクログ
「科学者である前に人間たれ」
「新しい発見や開発は必ずしも福利だけを生み出すとは限らず、害毒を生み出すこともある。
科学は使う人間に依存する面もあり、平和に利用されるつもりが、軍事に利用される可能性もある。」
研究や技術(あと投資)にはやたら関心を示す割に、世の中の社会問題に何ら関心を示さない理系人間って結構多い気がしていて、
そんな中で益川先生の本書はそういった研究者・技術者を明確に否定し、社会的関心の高い”生活者”であるべしだと諭してくれている。
その他、資本による意図せぬ科学技術の巨大化(ブラックボックス化)に対する憂慮、デュワルユース、安倍政権の問題、憲法9条等について書かれてお