飯沢耕太郎のレビュー一覧
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著者の大島弓子好きが伝わってくる!
純粋少女の感性形という大島弓子の『バナナブレッドのプティング』
第1章 大島弓子と『バナナブレッドのプティング』
第2章 純粋少女とは何か?
この2章で、本書のほぼ半分
第3章 萩尾望都と『トーマの心臓』
第4章 岡崎京子と『ヘルタースケルター』
終章 純粋少女と少女漫画のいま
と続く。
もちろん天才、萩尾望都は欠かせない。
そして映画にもなった「ヘルタースケルター」は
大島弓子の『つるばらつるばら』と重なる物語。
「つるばら・・」は整形手術を繰り返し、かつてのパートナーを探すお話。
大島弓子ファン、必読の書。 -
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影をなくした少年が、どこに行ったのか探し出す。
影を追いかけて知らない町へ。
何か違うと感じたのは、そこが影の町だった。
影は、大きくなったり小さくなったり、光の向きがかわると影の形はぜんぜんちがう。
たくさんの光があたると数も増える。
壁や階段や水たまりの影は、いろんなかたちをしてる。
薄くなったり濃くなったりと。
合体もあり。
影絵を見る。
手で作っている。
そして、人のシルエットもいろいろ。
本物を見えるのは、絵の具で壁に描いた絵。
コンピュータを使った影のしかけ。
夢中になって影を楽しんだ。
不思議なことを発見するのは楽しいこと。
影のさまざまをわかりやすく勉強できる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ大島弓子、萩尾望都、岡崎京子らを通して「少女」というものの存在を検証する。
キーワードを挙げての「少女」の分析が的確でわかりやすい。時代に関係なく「少女」という役割が存在し、生き残る術をさがしていたことが、よくわかる。
何で、今、「ハッピィエンド」が成立しないのかも。
そんなに長くはないけど「かわいい」という言葉の使われ方の変化の考察も、興味深かった。それだけで、一冊本になりそう。
ただ、タイトルにもある戦後民主主義については、もっと掘り下げないと書きたいことが伝わらないと思う。
ただ。少女を通じて「純粋性を持ったまま社会に参加する」」方法のスタートとしての機能は十分、果たせている。 -
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まるで大塚 英志の様な題名ではないですか。
でも、あんまり政治よりの話ではなかったです。というか、あんまり一貫した語りじゃない印象です。
大島 弓子論からはじまるのですが、論旨的には、
「昔の大島 弓子は良かったが、『綿の国星』以降の大島 弓子は、イマイチだ」
みたいな感じなのですが、それは、ただ単に、自分がそういう物語に感応できない年齢になっただけにしか見えないんですよ。
わたしは、今、大島 弓子がかいているマンガも、ものすごく深いと思います。
日常の風景の中から、彼女が、なにを切り取ってきているを考えると、
「少女漫画的な空間の緊張感を保ちきれない」
とは、とても書けないと思い -
Posted by ブクログ
物心ついた頃には姉の部屋に置いてあった紡木たくの「ホットロード」を読んでいた。あまり深く考えずに、暴走族の様な硬派な生き方には憧れを持ったし、現実として姉の部屋には暴走族が入り浸っていた。隣の部屋で真面目な学生だった自分は、それまで仲良く過ごしてきた姉が壊れていくのが堪らなく寂しかったが、一方で父親に対して悪辣な発言をする姉へ憎悪にも似た様な感情ももったりした。漫画が人の生き方や考え方に与える影響は大きい。幸いにも?ホットロード以外の漫画にほとんど触れず、活字にばかり触れていた自分は、漫画の絵を見て視覚的に入ってくることがない分、想像力という点では幼少期に大いに身についたと今でも思っている。