藤田覚のレビュー一覧
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ネタバレ勘定奉行に仮託した江戸時代の行財政史。
荻原茂秀(1696-1712)貨幣改鋳によるマネタリー政策。世襲代官の整理。白石の評価が偏っていることは記述しているが高評価ではない。
神尾春央(1737-1753)定免法・有毛検見法(商品作物等の年貢の評価と年貢増徴の場合の商品作物栽培許可)過酷奉行に仮託した江戸時代の行財政史。
神尾春央(1737-1753)定免法・有毛検見法(商品作物等の年貢の評価と年貢増徴の場合の商品作物栽培許可)苛斂な収奪
石谷清昌(1750-1779)長崎会所改革(俵物輸出と銀輸入による南鐐二朱銀(計数金貨)融通貸付(御用金による大名低利融資への幕府保証と債権先取)
(定信・ -
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江戸時代最後の天皇、孝明天皇。
そっから遡って祖父の光格天皇の話からスタートして
なんで大政奉還、公武合体、尊王攘夷、安政の大獄などなど
日本全国揺るがす激動の時代になったのか
大名と幕府と朝廷と天皇のその時の在り方はどうだったのかを
分かりやすく書いてある本。
しかも明治時代スタートした時の
幼い天皇はなぜ決まったのかとかも。
まぁはっきり言えばもうグチャグチャなわけで
裏切りと裏切られの連続なわけ。
朝廷vs幕府で盛り上がってるけど肝心の天皇は
放置されながら名前だけ使われてる始末。
民衆はもう幕府はあてにならねー!
天皇万歳イェイイェイなわけで
そこを朝廷がうまいこと利用したり失敗したり -
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著者の藤田覚先生が以前、2011年明治維新史学会秋季大会の講演中に「近世幕藩体制に天皇を如何に位置付けるか」ということを話されておりました。
この江戸時代の「天皇」を考える上でも、欠かせない一冊だと思います。
講談社選書メチエで出版された時期が、昭和天皇崩御の5年後ということもあり、歴史学の世界でも「天皇」について考える流れが始まった時期ともリンクしますね。
主な内容について。
本書の問題関心は、幕末の孝明天皇が頑ななまでに通商条約を拒絶するなどの「政治化」を果たしたのか、という点にある。
要は、いつから江戸時代の天皇・朝廷と幕府の力関係が変化したのか。
そこで、著者が注目したのが光格天 -
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幕末の天皇、というとおそらく孝明天皇を思い浮かべる人が大半だと思います。
大河ドラマをはじめとする幕末ものにも孝明天皇は登場します。
強硬に攘夷を唱え、公武合体派にも尊皇攘夷派にも推戴されかつ利用された天皇。
ですが、そこまでの過程はほとんど知られていないのではないでしょうか。
そこに登場するのが孝明天皇の祖父・光格天皇です。
幕末の尊皇攘夷運動の発端はこの人にあると言ってもいいくらいの天皇です。
外国船が日本沿岸に頻繁に現れ、ついにペリーがやってくる。
アヘン戦争の衝撃を受け、日本は異国船打払令を撤回、
止むなく開国をしていく。
と始まる幕末史。通商条約締結に伴い、ついに幕府は条約締結の勅 -
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藤田覚『松平定信』(中公新書1142)
最近めきり藤田先生のファンになりつつあります(笑)
今回は寛政の改革を推進した老中首座の松平定信の本です。
前回は芸術面から見た定信だったので今回は政治面、特に老中として活躍していたある意味彼の人生の最高潮のときの本を選んでみました。
この本では定信の行った政策を、社会政策、朝幕関係、対外関係の三つに分けて展開しております。
中でも特に面白かったのは対外関係ですね、今は隣国といろいろと問題があるのであまりネット上ではおおきな事言えませんが…^^;
しかし、鎖国を祖法とした定信本人が消極的開国論者であったというのは、政治の中枢に立つ人間の、 -
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藤田覚「松平定信」(中公新書)
1993年初版なので最近の田沼ブームは反映していない。ただしバブルの頃も田沼意次は人気があったらしく、著者はそれに反発して松平定信を顕彰したい思いもあったようだ。
本書では商業優先の田沼政治が飢饉等の自然災害に対応できなかったことから、定信の重農主義的な政治が始まったという。具体的には農業の振興、さらに米穀を都市や地域で備蓄させることで飢饉を防ごうとした。また武士に商業的価値観が浸透することを嫌い、また幕府や武士の威信を回復するため朱子学を中心に武士への教育を浸透させようとした。その他、朝廷と幕府の名分論、京都御所の復興、朝鮮との国交などにもふれている。なお本 -
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江戸時代、経済成長とその拡大から生じた米価の低迷・諸物価の高騰という難問に対処したのが勘定所。本書は幕府のお財布事情を通して江戸時代二百六十年余りを俯瞰したものだ。
幕府の直轄地(天領)経営とそこから得た年貢米を中心とした収入を元に、将軍家の台所の遣り繰りから幕府財政全般を担うに至った勘定所は、計数に明るく実務に裏付けされた「仕事が出来る人」を必要とし、末端の吏僚からトップの奉行に上り詰める道が拓かれていた。
それは家格によって江戸城中での席順・役職の振り出しからその上がりまで決まっていた幕府の組織の中で、極めて例外的な実力本位の部署だったと云える。そのことは勘定所に関わった面々を見れば明ら -
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江戸後期、幕府は財政窮乏化のなか風紀粛清と質素倹約を旨とする天保の改革を断行する。風俗取り締まりのため庶民の娯楽である寄席の撤廃や歌舞伎三座の移転、廃止まで打ち出した老中水野忠邦に対し、真っ向から対立したのが北町奉行の遠山金四郎だった。庶民生活の実情を重視し、厳しい改革に反対しながら骨抜きにした名奉行の論理を明らかにする。(親本は1992年刊、2015年文庫化)
・まえがき
・第一章 遠山の金さん像の虚実
・第二章 繁栄の江戸か寂れた江戸か
・第三章 寄席の撤廃をめぐって
・第四章 芝居所替をめぐって
・第五章 株仲間解散をめぐって
・第六章 床見世の撤廃をめぐって
・第七章 人返しの法をめぐ -
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ネタバレ<目次>
序章 幕藩体制の核心はインテリジェンスだった!~情報と江戸時代の政治・交通
第1章 将軍直属の「スパイ」がいた!~御庭番の情報収集と幕府政治
第2章 大名と幕臣を監察する将軍の「目」~小人目付の情報収集と幕政の
第3章 「探検家」の真の任務とは?~勘定所普請役の情報収集
第4章 犯罪捜査と経済調査のエキスパート~町奉行所隠密廻り同心の情報収集
第5章 異国船とアヘン戦争、鎖国下の情報戦~オランダ風説書と対外政策
第6章 「敗戦」という不都合な事実の拡散~文化露寇の情報と政治
終章 インテリジェンスの大失策が幕府の命取りに!~天皇・朝廷情報の収集
<内容>
もっと -
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ネタバレ<目次>
第1章 勘定奉行は幕府の最重要役人
第2章 御家人でも勘定奉行になれる
第3章 財政危機の始まり
第4章 行財政改革の取組み
第5章 新たな経済政策の模索
第6章 深まる財政危機
第7章 財政破綻
<内容>
タイトルは”勘定奉行”だが、江戸時代中~晩期の経済史にもなっている。驚きは、勘定奉行は三奉行の一つなのに、ここだけ世襲の江戸時代において、実務官僚ゆえに、御家人からでも出世できた(いやいや一般の町人クラスからでも)唯一の役職だったということ。
江戸時代の経済の基本は年貢=米だったので、貨幣経済の発達により、早晩破綻する流れだったのだが、勘定奉行はそれに抗うように様